ガンダムSEED Destiny 白き流星の双子   作:紅乃 晴@小説アカ

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destinyの楽曲て良いですよね




第7話 アーモリーワンの戦い 1

 

単身、アーモリーワンのコロニー内部から離脱したレイは、逃げながらもこちらへ的確に迎撃してくる三機の新型機の動きを見つめながら、グッと歯を食いしばった。

 

「なんて奴等だ、奪った機体でこうまで…!!」

 

たしかに、こちらもインパルスに乗り換えてから充分な慣熟訓練を行えなかった点はあるが、それでも相手は新型であるはずのモビルスーツを手足のように動かしているのだ。明らかに横たわる技量の差に、レイは苛立ちを隠せなかった。

 

「敵艦にたどり着かれる前に何としても捕らえる!ミネルバ!フォースシルエットを!」

 

ソードシルエット。

 

本来ならば汎用的なモビルスーツ戦を得意とするレイにとって、ソードシルエットは苦手な距離の専用機という相性の悪さがあった。それに、このまま追うにしてもインパルスのエネルギーも心許ないものになってくるだろう。

 

レイからの通信を受けたミネルバだが、副長であるアーサーでは判断が付かなかった。

 

なんと言っても、インパルスはあの三機よりも機密性の高い新型機だ。それも奪われた相手の前で新型装備を扱うとなると…。

 

「艦長!」

 

「許可します!射出して!もう機密も何もありませんでしょ?」

 

そう確認するようにタリアが議長へ問いかけると、デュランダルは何も言わずとも頷いて答える。こうなってしまって後手に回ることになれば、不利になるのはこちらになる。

 

デュランダルの許しを得て、ミネルバではフォースシルエットの発進準備が始まる。

 

『訳わかんねぇ可変機は居なくなったけど、いい加減!』

 

アウルの駆るアビスが、振り向きざまにインパルスへビームの一斉射を放つが、レイはその機敏な動きでビームを難なく避ける。

 

すでに近距離武装は背中へ格納しており、手にはマウントしていたシールドとビームライフルが握られていた。

 

「宇宙ならビームライフルは気にしなくて済む…!!」

 

レイは、あのオーブ軍機から言われた言葉に苛立ちを覚えながらも、どこか理解して納得している自分に戸惑っていた。

 

戦うことでしか、自身の価値を見出せない自分が何故?そんな答えのない問いを思考から追いやりながら、レイは目の前をいく三機へビームライフルを構えた。

 

 

////

 

 

ミネルバのハンガーも再び慌ただしさに包まれていた。中央のプラットホームが稼働を始め、武装コンテナからフォースシルエットが姿を表す。

 

《フォースシルエット射出シークエンスを開始。シルエットフライヤーをプラットホームにセットします。中央カタパルトオンライン。非常要員は待機して下さい》

 

「隊長!!」

 

「ええい!とりあえず退避だ!その機体もこっちに退けろ!」

 

オーブ側であるカガリたちに問いかけている最中だと言うのに!

 

そんな苛立ちのこもった声でハイネは渋々と指示を出していく。作業員たちもまだ手がついていないモビルスーツや武装の配置作業に戻っていく。

 

「シン!」

 

「わかってます!!」

 

プラットホームの稼働の邪魔にはならないだろうが、シンも屈んで置いてあるメビウス・ストライカーへ乗り込み、移動をさせていく。

 

メビウス・ストライカーの足元。シンが歩行操作をするたびに揺れる脇では、キラがリークへ言葉を投げていた。

 

「ベルモンドさん!!ラリーさんは!?」

 

こんな状況だ。シンが先行して出れたのは、自身の専用機と同じメビウス・ストライカーがあったからだろうが、弟子であり部下であるシンを一人で行かせるのは考えづらい。

 

キラの予想が的中したように、リークは小さく笑みを浮かべながら、その問いに答えた。

 

「彼なら、先に出てるよ」

 

 

////

 

 

『やめてぇ!こないで!!死ぬのは…いやぁあああ!!』

 

まだ錯乱状態から立ち戻れていないステラが、がむしゃらにビームライフルを放つ。その尽くはレイのインパルスの脇を通り過ぎていくものの、逆に進路が読みにくくなることで、レイは攻めきれずにあぐねいていた。

 

「ええい!無茶苦茶な動きを!」

 

まずは錯乱らしき動きをする機体を仕留める!そう言わんばかりに、レイはステラが放つ閃光を潜り抜けながら動きが鈍いガイアへと距離を詰めていく。

 

『やらせるかよ!』

 

そんなレイの行く先を、スティングのカオスが遮った。機動兵装ポッドを射出し、多方向からのオールレンジ攻撃。カオス本体からもビームが放たれ、レイは苦い顔をしながら詰めた距離を離していくしかない。

 

「く、やはり一機では…!!」

 

三機相手に立ち回りを考えていた時、レイの頭上からビームライフルの閃光が降り注いできた。三機は目の前にいる。じゃあこの閃光は…?

 

『なんだ!?』

 

『あの機体…!!』

 

頭上を見上げると、そこには先ほどレイやスティングたちが目撃したモビルアーマー形態のメビウス・ストライカーが居た。それは出力を上げると、レイとスティングたちの間を通り抜けて、少し上昇したところでモビルスーツ形態へと可変する。

 

「やはり宙域に来たか!よりにもよって…出てくるか!!お前達!!」

 

『また可変機かよ!さっきのやつか!?』

 

変形と同時に放たれた牽制のビームの閃光を躱しながら、アウルは再び現れたオーブの機体に対して怒りをあらわにする。そんな感情的なアウルとは逆に、スティングは冷静に敵を分析していた。

 

機体は同じものだろうが、カラーリングや頭部の形、そして武装も違う。

 

『違う!別のやつだ!!』

 

そう判断を下したスティングへ、現れたメビウス・ストライカーは、腕部のグレネードランチャーを放ちながら三機の動きを見極めていく。

 

「あれはオーブの…」

 

「そこのモビルスーツ!!」

 

付いてこまいと思っていたオーブ軍機が現れたことに呆気に取られていたレイへ、件のモビルスーツから通信が入った。

 

「近接戦闘は苦手そうだな?苦しいなら下がれ。モビルスーツ単機では分が悪いぞ!」

 

青い胴体と赤いくびれ。特徴的なトリコロールカラーの機体は3機から放たれるビームの猛攻をひらりひらりと避けながら、レイの駆るインパルスの動きを見つめている。

 

ソードシルエットの代名詞であるエクスカリバーを彼は抜いていない。ビームライフルとシールドで応戦に徹するレイに、忠告するようにオーブの可変機は言葉を掛けたが、レイは特に気にすることなく簡潔に答えを返す。

 

「構わないで欲しい。こちらも準備は整っている」

 

アーモリーワンから飛来したそれがレイの元へ届いたのは、その言葉と同時だった。

 

インパルスはソードシルエットをパージすると、一瞬だけ灰色の無通電状態の機体を晒したのち、フォースシルエットとドッキングを果たす。

 

『あいつ…装備を換装する!?けど

だからってぇッ!』

 

「やはり開発されていたか、ザフトの新型…そこっ!!」

 

自機と同じトリコロールカラーとなったインパルスを一瞥すると、オーブ機はビームサーベルを引き抜き、カオスが放ったビームを切り払って飛散させた。

 

その隙のない動きにスティングは目を見開く。

 

いい位置へビームを〝刺した〟はずなのに、敵は何事もない様にその閃光を容易く切り裂いたのだ。その動きだけであのオーブ軍機に乗るパイロットが、先ほどまで切り結んでいたパイロットと同等か、あるいはそれ以上か…!!

 

『やめて!あっち行って!!』

 

『ちぃい!!』

 

まだまともに連携を取れないステラを守ることになるため、こちらから下手に攻められない。

 

スティングはグッと歯を食いしばって迫るオーブ軍機と、インパルスに向き合った。

 

(こいつらの親玉は誰だ!?それを見極めるまでは…!!)

 

本来はキラが駆るはずのストライクと同じ配色をした可変モビルスーツ、メビウス・ストライカーを機敏に動かしながら、オーブ軍のノーマルスーツを身につけたラリー・レイレナードは、〝ムウ・ラ・フラガ〟ではない、〝ネオ・ロアノーク〟の姿を追っていた。

 

 

 

 


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