佐竹義昭列伝   作:どんぐりヒッター

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悪屋形佐竹義昭

昔々のその昔、ファミコンはRF出力端子なる装置でテレビに接続され、

ゲーム映像がテレビ放送と同じ信号形式で画面に表示されていたそうだ。

時代は変わり、コンポジット端子、HDMI端子とテレビの進化に合わせて、

ゲーム映像の出力方法も変わっていった。

 

 

何時頃からかは分からない。

ビデオとゲーム、両方接続されっぱなしの事を想定されてか、

入力切替が複数ある様にもなっていた。

ゲーム機を複数持っている方はHDMI切り替え器なども愛用されているのではないだろうか。

 

 

 

 義昭の謁見の間の壁にはテレビの画面が映し出される。

ゲーム機に電源が入っていれば、ビデオやテレビ放送などが見れるわけだ。

ビデオやテレビの放送はいかに神とて見ることしかできない。

しかし、ゲーム機が複数起動されていたらどうなる?

 

 

 

◇◇◇ふぉーらっぱっぱぱぱー♪◇◇◇

 

 

 

 これはこれは神様、またお会いできて光栄です。

先日はホームズのドラマを見せていただき、誠にありがとうございます。

義昭などは、探偵ごっこに夢中になっておりまして。

此度もよろしくお願いいたします。

 

 

おや? ご友人がいらしたようで。

ご友人と昔やってた鉄拳2をおやりになるのですね。

それでは、我々は今回我慢と言う事で。

はい? おお! どちらも付けたままできるのでございますか。

ではでは、義昭と楽しみにしております。

 

 

 

◇◇◇ぐぁん、どしゃっん、ぐががんぐあん!◇◇◇

 

 

 

「おお、雷ですな」

「ほお、雨の崖じゃな」

「うわ、おっさんが登ってきたぞ」

 

 

プツン

 

 

画面が切り替わる。生意気そうな若造がこっちを見ているようだ。

 

 

「よお、おふたりさん。今夜のゲストはあんたたちかい」

 

 

「じい、なんじゃこれは?」

「さあ、分かりませぬな」

「おいおい、無視は無いだろう、無視は」

「ん? わしらに話しかけておるのか?」

「他に居るのかよ。俺は三島一八(みしまかずや)、こっちの世界のボスなんだぜ」

「なるほど、そうか! こっちから見えてるんだから、あっちからも見えている訳なんじゃな」

「流石ですな、若」

「おいおい、だから、俺は名乗ったんだからお前らも名乗れ!」

「ああ、すまんすまん。わしは名探偵佐竹義昭じゃ」

「わしは家臣の岡本禅哲にござりまする」

「どう見ても侍と坊主だろうに。名探偵とか何言ってんだ?

まあ良い、そっちは2D格ゲーなのかい? ちょっと肩慣らしに相手してほしいんだが」

「格ゲー? 違うぞ、シュミ? シミ? シミュ? どれだったかの?」

「若、そこはSLGと言っておけば良いのですぞ」

「あれ? じゃ、あんたら戦えないのか?」

「戦うは戦うさ。兵を指揮してな」

「そういう系か、じゃあ兵隊も連れてこっちに来いよ」

「え? 行けるのか?」

「俺が行こうか?」

「あ、ああ。うん」

 

 

 

「って、あれ? 行けねーじゃねーか」

「どういうことだ? 分かるか? じい」

「はてさて」

「ははーん、あんたら今どきカセットだな」

「む、そうじゃが」

「俺の所はCDだからな。いやー、時代遅れさん達とはなかなか交流も難しいってもんだな」

「なにをー!」

 

 

 

 CDもとっくに時代遅れなんだが、と思う禅哲は黙っておいた。

そう、懐ゲーだから古い友人が来た時だけ起動されるのだ。

 

 

「それにしてもお主らの所は3Dなんじゃろ?

2Dの格ゲーとやって面白いのか?」

「あー、白状しちまうと、

俺らは3Dっぽく見せてるだけで前後にしか動けないから2Dと変わらないんだ」

「そうなんじゃ」

「そうなんだよ。かえって2Dの方が演出が派手で面白かったりしてな」

「わしらは合戦だと前後左右に動けるぞ」

「あ、この野郎。やっぱりこっちに来い! ボコボコにしてやるぜ! こんな風にな」

 

 

下らない言い争いをしているうちに一八の出番が来たようだ。

画面が切り替わって戦闘シーンに移るが、CEROレーティングの差。

全年齢とR12の違いで壁の画面はモザイクだらけ。

レーティングがもっと違えば全く映らないのだろうが、

全年齢とR12の微妙な差がモザイクをもたらしているらしい。

 

 

また、一八が直前に見せた動きのせいでモザイク越しにもなんとなく動きが伝わる。

義昭は壁に近づいたり離れたり、目を開いたり細めたりとせわしなく壁の画面を見ていた。

 

 

「ふう、全勝してやったぜ」

「お主は手加減と言うものを知らんのか」

「滅多に動かしてくれないんだ、手加減なんてしてられるかよ!」

「そんなことだから、動かしてもらえんのじゃ」

「あんたらは頻繁に動かしてもらってるのか?」

「い、いや。そうでもないがの」

「じゃあ、やりたいようにやるのが正解じゃねーか」

「うむむ。おい、じい! 何とか言わんか」

 

 

「二人とも落ち着かれよ。仏門では輪廻転生というてな、

こうして最初からのやり直しやり直しがそれぞれ輪廻になっておってな。

若の言うようにそこそこ、そこそこの配慮が必要と言うもの。

で、あるからして、云々云々」

 

 

「おい、義昭。お前いっつもあんなの聞かせてているのか?」

「仕方なかろう、今の当家には人材が少ないからのう」

「まあ、がんばれや」

「ふん」

 

 

 

 一八が帰っていったあと、天翔記の世界が動き出した。

そう、まだ佐竹家我慢プレイのミソである義重も登場していなかった。

 

 

だがしかし、様子がおかしい。

どうもはじめからやり直す様だ。

 

 

「じい、じい! 聞いてまいれ」

「はっお任せを」

 

 

 

◇◇◇ふぉーらっぱっぱぱぱー♪◇◇◇

 

 

 

 神様神様、どうかなされましたか?

ふむふむ。鉄拳2をやった後なので、戦ばっかりプレイをしてみたいと。

そう言う事でしたら、今回は別の家でおやりになるのですね。

では、我々はまたの機会をお待ちしております。

 

 

え? 違う? 佐竹家でやるのですか?

また始めからやり直しになるが、佐竹家でやっていただけると。

これはこれはありがとうございます。

ふむふむ。義昭満足プレイにする訳でございますか。

ほうほう、極力内政をしないで戦中心で行くのですね。

いやいや、ありがとうございます。

此度も宜しくお願い致します。

 

 

 

「若、若!」

「おお、戻ったか。どうであった?」

「とにかく、攻めまくりで楽しみたいとのことでした」

「ほうほう、じいも戦うのか?」

「無茶を言ってはなりませんぞ、戦は若が行うのです」

「なに、わしを大名一騎駆けに選んで下さると」

「はい、この辺りでは蘆名盛氏(あしなもりうじ)どの位でしょうなぁ。

選んでもらえるのは」

「あ、ならば、じいの追放から始めないといかんな」

「いえいえ、そんなガチガチの一騎駆けではございませぬ」

「なんじゃ、たまにはじいも倒してみたかったのに」

「わしなど倒しても何の自慢にもなりませぬぞ。

基本的に面倒くさい事をしない方針だそうです」

「ふむふむ」

「捕らえて配下になった武将は一つの城に集めて、

その城の治安はやってよいとの事でした」

「ああ、城に武将が居ると一揆の時に対応を迫られるからのぅ。

一つの城以外は治安も放置とは悪屋形プレイじゃな」

「それと、誰の城でもなくなった空白城に人をやって占領しても良いそうです」

「行って帰ってくる分の配下は必要と言う事か。商人との売買はどうするのだ?」

「売買はやって良いそうですが、弁舌は使わない方針だそうです」

「徴兵や訓練は?」

「配下にやらせるのは無しと言う事で、後は教育も無しですな」

「ふむ。敵兵を奪うために野戦は大将狙いだったな、腕が鳴るわい」

 

 

 一騎駆けは基本足軽で行う。

足軽部隊であれば特技の流出を覚えると、戦場にて徴兵が可能になるからだ。

戦場で敵と戦うと、使用した兵種の適性が上がることが有る。

また、敵の城の本丸を落とすと特技を覚えることも有る。

大名一騎駆けではこのチャンスが多数あるので、

もりもり適性が上がり、特技が増えて行くのも楽しみの一つだ。

 

 

結果から言うと適性も上がらずろくに特技も覚えないないまま、

義昭一人で長尾(けんしん)攻略に武田(しんげん)攻略まで出来てしまった。

下に恐ろしきかな速攻攻略。義昭はそれはそれは鼻高々である。

 

 

始めに南の小田家を攻めて戦闘能力アップ狙い。

小田家を攻めると関東最弱御三家の小田と千葉に足利が敵対してくるので丁度良い。

さらに南下して安房(ちば)の里見を落とし、小田原城の北条(ほうじょう)へ。

北条は当主の氏康(うじやす)風魔小太郎(ふうまこたろう)を切ったら、もう怖くない。

北条を放置して、武田攻め。

 

 

武田攻め中は関東管領上杉憲正(うえすぎのりまさ)一党の加勢と敵対に悩まされ、

一時は全滅もあったが何とか乗り越え攻略完了。

甲州の兵は徴兵してそのまま使えるのが有難かったんだろう。

 

 

長尾攻略中は神保(じんぼう)家に、本願寺の家臣だった七里頼周(しちりよりちか)が仕えており、

こいつが育っていたので大苦戦となってしまったが、

肝心の長尾家の連中が育っていなかったので攻略は完了した。

 

 

 

「じい、わしサイン書いてやろうか」

「サインですと」

「もう作って来たぞ」

 

 

サインにはこう書いてあった。

 

 

『信玄と謙信倒した佐竹義昭』

 

 

ご丁寧に手形付き。

 

 

「適性など飾りじゃな」

「調子に乗ってしまってまあ」

 

 

 

 ここで関東以北の反抗勢力をつぶして回るのも良いだろう。

しかし、天下を目指すに重要なのは中央の近畿だ。

鉄砲生産の地域が幾つも有るからだ。この地を長く放置してしまうのは恐ろしい。

義昭と禅哲が戦線戦局の振り代わりに付いて話していた時、

禅哲に神からの呼び出しが入った。

 

 

「若、神様が次は騎馬で楽しみたいと仰せですぞ」

「ほう、騎馬か。ならば適性Cじゃし、楽勝であるな」

「なので、羽州探題と奥州探題、関東管領も取ってから長尾武田を叩くようにと」

「ははぁ、それだとやつらも多少は育ってるかもしれんな」

 

 

騎馬での攻略は予想通り楽だった。

今度は落とす城が多くなった分、特技を二つ覚えられた。

流出と挑発である。流出は足軽部隊でないと使えないので意味がなかった。

もう一つの挑発は、戦場で使うと敵を怒らせ有利な場所から不利な場所におびき出す面白い技だ。

智謀の高い武将で使うと、とんでもなく遠くからおびき寄せることが可能だと言う。

しかし、ずっと戦を繰り返していた義昭の智謀は21になっており、

隣り合った敵部隊にしか使えなかった。

なんとも微妙な特技を選んで覚えたようなものだ。

 

 

太平洋側から北に一直線に攻め入り、最北の蝦夷(ほっかいどう)徳山舘(とくやまだて)を武将の集合場所にした。

ここだけ治安をしていい訳だ。ちゃんとした安全地帯である。流刑地ではない。

折り返して日本海側の秋田山形方面を制して羽州探題。

残りの奥州をつぶして行って奥州探題も取り、関東へ。

安房の里見攻略中に騎馬適正がCからBに上がった。

 

 

騎馬適正B騎馬適正B、素晴らしい響きだ。

もちろん効果のほども素晴らしい。楽々関東を制して関東管領へ。

まだ育ち切っては居なかったとはいえ、長尾景虎も正面から叩きつぶしてしまった。

信玄は何故か兵を装備していなかったので、部下たちを倒して武田攻略完了。

 

 

「じい、またサイン書いてやったぞ」

「ははぁ、では一応ありがたく」

 

 

今度のサインにはこう書いてあった。

 

 

『騎馬適正B佐竹義昭』

 

 

ご丁寧に馬の蹄の形も押してあった。

そして恒例? の神からの呼び出し。

 

 

「若、今度は鉄砲隊でやれとの話にございますぞ」

「なに、そのような最強兵器を使っては、また楽勝で有るな」

「若の鉄砲適性はEですぞ、油断召さるな」

「鉄砲じゃぞ、遠距離攻撃じゃぞ、適性などもりもり上がっていくわい」

 

 

 

◇◇◇ふぉーらっぱっぱぱぱー♪◇◇◇

 

 

 

 早速、鉄砲と兵を集めて小田家に攻め込んだ。

鉄砲は高い、集められたのは47。

しかし、相手は小田の弱卒、問題なしのはずが負けてしまった。

そうだった鉄砲適性Eでは敵を押しとどめられない。

しかも小田が弱いとは言っても適性Cの騎馬部隊。

足止めも出来ずに踏み込まれて負けてしまうのだ。

 

 

この兵数ではどこに攻め込んでも巻き込まれた勢力はすべて敵対してくる。

戦場に出たら兵を鼓舞し、士気を高めて山に籠るが小田方は攻めてこない。

慎重に森を進んで攻めて行っても押し切られてしまう。

たまには勝てる。小田には勝てるが消耗が激しく、

その後、千葉と足利に滅ぼされる戦が続いた。

 

 

当然、北の相馬や二本松に那須も厳しい。

騎馬兵の早さにも足軽の身軽さにも打ち勝てない。

相当数のチャレンジの末、敵方が二部隊の相手だと、

戦場の隅っこでハメ技に近い状態を作ることが出来るのが分かって来た。

 

 

敵の陣形が前後に分かれた物でないと上手くいかない。

二三歩まえにでて上下の端に寄る。

すると敵の前衛が通り過ぎて大将に鉄砲を当てられる。

 

 

これだ、これならいけると意気込んでみるが、

体勢を立て直されてこっちが削られては滅亡街道まっしぐら。

敵が二部隊出てきて戦いやすいのは初手相馬攻め。

葛西も三部隊で巻き込まれるが近くまで来たり来なかったり、あまりやる気は無いようだ。

倒したいのは伊達と相馬、二部隊で出てくる。どちらが弱いかと言うと伊達だ。

伊達を消耗少なく倒して、なおかつ鉄砲適性をEからDにあげる。

そうすると相馬を消耗少なく倒す目が出てくる。

 

 

幾度も幾度も挑戦(ロード)してようやく禅哲の薄い目が開いた。

伊達と相馬に削られて残った兵は26。

ここで欲を掻いてはいけない。敵将は皆捕らることが出来た。

相馬の盛胤(もりたね)と伊達の亘理元宗(わたりもとむね)に兵が残っているので、配下になってくれれば万々歳である。

 

 

 

「なんじゃと、盛胤の親父を切る?」

「小高城を空城にしないと空城派遣で領地を増やせませんぞ」

「じいとて、わしと相馬の相性を知っておろう」

「存じております」

「ほぼ竹馬の友ぞ、その親父を切れる訳なかろうが!」

「鉄砲は高いのです、仕方ないのですぞ!」

「くっ」

 

 

相馬盛胤は、これも戦国の習いと納得して家臣になってくれたが、義昭は少しグレた。

 

 

「じいには今度のサインをやらんからな!」

 

 

 

 鉄砲適性がDになれば小田に勝てる、かと思いきや簡単に負けてしまった。

義昭は盛胤から兵を吸収して、米を売り鉄砲を買い43の鉄砲部隊になった。

小田は兵を増やして96の足軽部隊、適性D同士であるのに数で押されて負けてしまう。

小高城から北に攻めると戸沢道盛が立ちはだかる。

まだ、一部隊同士の戦いでは削り合いが回避不可避。

攻めるなら小田。その上で、小田との戦闘中に鉄砲適性DからCの薄い目を引きたい。

 

 

知略に優れた有用な特技持ちならば、小田などと泥仕合をすることも無いだろう。

政治か智謀のどちらかが100を超える、

または政治戦闘智謀の合計値が250を超えると軍師に成れる。

軍師になると戦場で使える陣形が増える。

長蛇の陣形が鉄砲一騎駆けと相性がいい。

攻撃効果と防御効果に劣る長蛇の陣形だが、

移動速度が早く二回攻撃があり鉄砲一騎で効果抜群なのだ。

 

 

しかし、智謀に劣り特技の無い義昭ではそうそう軍師に成れない。

得意の政治を上げていけないから仕方ない。

長い長い道のり(ロード)の末、ようやく消耗少なく鉄砲適性がCに上がった。

 

 

これでようやく栃木と茨城の全域支配に移れた。

とは言え悪戦苦闘は必死なので資金はカツカツ。

米も200を残して売り払い、鉄砲補充に充てていた。

 

 

このまま北条から武田長尾となだれ込み、とやるには資金が足りな過ぎた。

北に回って伊達の城を一つ落とした戦で義昭の鉄砲適性はBに上がった。

だが、喜びの声は無い。

 

 

「鉄砲一騎駆けはもう嫌じゃー」

 

 

嘆く義昭に、神の眠気が救いとなって表れたのであった。

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