関東圏の某地、五車町にある政府直轄の対魔忍育成機関 五車学園。
その校長室で三人の男女が話し合っていた。
「いったいどうしてあの2人に纏の任務を任せたのですか」
沢木浩介、校長である井川アサギの義弟である。
「浩介、それは「兄さんには聞いていません!」・・・」
実兄である井川恭介が答えようとするも一喝で黙ってしまう。
「今回の纏の任務。その目的の関係上よ」
「ヨミハラでの水城不知火の捜索と救出。その為には、本人確認をスムーズに行える娘のゆきかぜと幼いころから交流がある秋山凜子が適任と判断したわ」
アサギが浩介の問いに答える。
「・・・」
水城不知火
かつてはアサギと共に最強と呼ばれていた対魔忍、5年前に地下都市ヨミハラで任務中に消息を絶っていた。
ヨミハラ
首都圏外郭放水路から徒歩で丸一日以上かかる地中300メートル先にある闇の地下都市。
政府の力も対魔忍の力も及ばず、日本において最も闇に近い歓楽街。
「理由は理解しました。しかし、どうやってヨミハラに潜入させたのですか。あの二人では誰の手引きもなく潜入は不可能でしょう」
戦闘能力は同世代の中でも抜き出ているが今回のような潜入調査には全く向いていないというのが2人に対する評価だ。
「別件で捕らえた奴隷商人を使った、名はゾクト。今回の協力と引き換えに今までの罪を見逃すと言ったら飛びついてきたよ。こちらとあちらの連絡役もゾクトが務めている、その定期連絡では何の異常もなし」
恭介が答えた。
奴隷商人を利用してのヨミハラへの潜入。
ゆきかぜと凜子が纏ったのは、ゾクトに捕らえられた哀れな奴隷という身分。そのまま奴隷として娼館に売られ、娼婦に扮して捜査を行う段取りだ。
対魔忍がヨミハラに潜入するにはそれくらいの手しかないが、ゾクトが裏切れば、全ての前提が崩れてしまう。
「いくら何でも雑過ぎませんか、それにどうして今になってこんな任務の話が出たのでしょうか」
「数ヶ月前に、ヨミハラで不知火が目撃されたという情報がもたらされたのよ」
「数年行方不明だった人が突然見つかる時点で怪しいですがもう動いている以上は仕方がありませんね」
「義姉さん、至急救出任務の許可をください、詳しい作戦内容は事後報告で構いませんね」
既にゆきかぜ、凜子がヨミハラに潜って時間がたっている。早ければ早いほど望ましい。
「許可します。人員の編成はどうするつもり」
「・・・達郎君を連れて行こうかと考えています、本人の意思次第ですが」
自分1人でのほうが良いのだが関わっている者が全員彼とつながりが深い。何らかの罠の可能性が高いと踏んでいるが連れていきたいと思ってしまう。
「では準備にかかりますので失礼いたします」
どうしたら考えてることを簡単に文章にできるんだろう