アルジュナ(オルタ)SSまとめ   作:いざかひと

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※2024 4/23 読みやすく、改稿しました。


『戦闘巨神アルジュナ』コラボイベント風SS 第43話~第44話

 第43話 2023/05/11

 

 

 ──宇宙空間、火星、地球間

 

 

モリアーティ

「ほらほらほらほらァ! どうしたんだい? 

 さっきまでと打って変わって、しおらしい!!」

 

土方

「相手からの連続攻撃で、機体と俺の体が軋みやがる!

 こっちの巨神が、純粋に力負けしてんのか!」

 

きょしんさん

「敵のおぞましみ、解析できたぞ!

 重なった無数の巨神の部品……それぞれが脈動しているせいだ!」

 

土方

「人で言うなら死体のパッチワークってところか。

 お前とA2が震えるわけだぜ」

 

モリアーティ

「巨神デミゴッドの真実に、こんなにも早くたどり着くとは流石だね。

 ふむ、土方歳三か、ようやく思い出せたよ」

 

土方

「俺のような一兵卒を、防衛大臣殿が覚えてくださっているとは」

 

モリアーティ

「手元にレポートがあったのでね、君の機体のAIにも聞こえるよう読み上げよう。

 土方歳三。

 ジャパンコロニーの末裔にして、被験者『沖田総司』とは同郷。

 軍にいたときには下っ端。

 大きな声では言えないような"悪事"もしていたみたいだネ?」

 

土方

「……」

 

モリアーティ

「そんな、器も度量も小さい男が、私のような偉大な存在に楯突くなど! 

 失笑を禁じ得ない!!」

 

土方

「偉大? てめぇが偉大だと?

 大勢の人間を、捨て犬部隊の奴らを使い潰し、切り捨ててきたお前が?

 ……沖田を殺したお前が!」

 

モリアーティ

「ああそうだとも! 私は偉大さァ!

 『人類を救う』! 

 それに人生を捧げ、邁進(まいしん)してきたのだもノ!!

 ただ、それだけのためニィィィ!!」

 

きょしんさん

「来るか! 連続攻撃! 

 私が防いでやる!」

 

モリアーティ

「……ネ、死ネ死ネ死ネ死ネ死ネェェェ!!!

 人類の未来のため、ここで死ネ!!!!」

 

きょしんさん

「ふっ、くっ、ぐっ!

 すまない、敵の力、一撃ごとに変わって……!

 防御、追い付かない! 威力も攻めも変則的すぎる! 

 巨神が組合わさっているせいか?!」

 

土方

「ダメージは俺に渡せ!

 お前の痛み、俺が防いでやる!」

 

きょしんさん

「でも……それをしたら!」

 

土方

「巨神化症が進むってか?

 俺を舐めんじゃねぇ。

 その程度、全部飲み込んでやる」

 

モリアーティ

「美しいネェ! それは愛カナ!?

 それとも友情カナ?

 あ、は、ハハハハヒヒヒャヒャ!!!!」

 

きょしんさん

「防衛大臣の様子がおかしいぞ!

 反応が人間から、()()()()() ()へ切り替わっていく!

 乗っている巨神と融合を始めたんだ!」

 

土方

「俺達を排除するためなら、人を辞めることさえ構わねぇってか! 

 ……OSA2!」

 

きょしんさん

「分かってる! 

 敵の間合いに居ては、こちらが不利みだ!

 短距離ワープで離れ……くっ!」

 

モリアーティ→デミゴッド

「逃がスわけ、ないでショ?」

 

土方

「機体が裂けるぞ! ワープ中止! 

 ぐぅ……掴まれた、か……!

 スピードもパワーもぐんと上がりやがった!」

 

デミゴッド

「こノまま、機体の胴体ヲ搾ってアゲよう!!

 オレンジのじゅーすを作る、その時ノようにネェ!!」

 

???

「──いや、そうされるとちょっと困るなぁ」

 

デミゴッド

「はっ!? ナニモノ……!」

 

???

「君達、『人類防衛軍』が切り捨ててきた者だよ」

 

デミゴッド

「コノ反応、新手……!!」

 

坂本

「助けに来たよ! 土方さん!」

 

お竜さん

「お竜さんも一緒に、な!」

 

土方

「この声……あの二人か!」

 

きょしんさん

「私の方でも確認できた! 商船が見える! 

 だがなぜ?!」

 

土方

「船だけじゃない、あれは……」

 

きょしんさん

「巨神! 巨神だ! 

 坂本龍馬が巨神に乗っている……!」

 

坂本

「昔とった杵柄というか、そう、僕は巨神のマスターなんだ。

 土方さんは知ってるね」

 

お竜さん

「そして、補佐のクールビューティーAIことお竜さんだ。

 いえーい、コスモピース、いえーい」

 

デミゴッド

「1000年前ノ亡霊ガ何ヲ!!」

 

坂本

「アプスーを殺すため」

 

デミゴッド

「!!」

 

坂本

「だとしたら、君は何と言ってくれるかな」

 

デミゴッド

「アプスー、は、殺させない。

 だって彼は、人類ノ希望!

 1000年に及ぶ人類の絶望を、宇宙を逃げ惑う漂泊ヲ終わらせる、たった一つの[[rb:術>すべ]]!」

 

お竜さん

「こいつ、ゾルテトラになりつつあるせいで、相当頭悪くなってるぞ」

 

坂本

「では、ご立派な大臣様にこう言おうか。

 ……『人類のため』に、自分の親友も切り捨てたのかい?

 若き歴史学者であった、シャーロック・ホームズを」

 

デミゴッド

「なぜそれを……!?」

 

坂本

「闇商人だからね、物騒なものは情報だって扱うのさ。

 そして君が軍の闇を知り、身の安全と引き換えに今の地位に座った、ということも知っている」

 

デミゴッド

「う……グゥ……!」

 

坂本

「一方、軍の秘密を知ったシャーロック・ホームズはどうしたか。

 ……自ら死を選んだ。

 誰かの傀儡になることはせず、誰も巻き込まないように、誇り高く、ね」

 

デミゴッド

「誇り高く……だと?!

 あれが……あれが"誇り高く”あるものか!!

 

 シャーロックは死んだ! 

 地上20mはある通路から飛び降りて、ただ死んだ!

 その死体の様子を君は知っているか?!

 顔面は潰れていた! 

 胴体なんて、受けた衝撃で半分になっていた! 

 全身のあちこちが解放骨折し、血みどろだった!

 皆を楽しませていた口も、深く裂けて……!

 脳は、パーティーグッズみたいにこぼれ落ちていたよ!!

 

 もう二度と……二度と! 彼と語らうことは出来なくなった!

 あの無惨な姿が、"誇り高く"あるものか!

 ただ死んだ……あれほどの若者が、ただ、ただァァァ!!!!!!」

 

土方

「坂本! なぜ火星近辺まで来れた?

 ワープドライブが無ければ不可能なはず……」

 

坂本

「ゴルドルフ君から貰ったワープドライブ、それを修理してぱぱっと来たのさ」

 

土方

「なるほど、あの取り引きも全部計算の内だったって訳か」

 

坂本

「疑わないでほしいな。

 僕の行動は本当に、親切心から来るものが多いよ?」

 

土方

「……」

 

坂本

「僕がもっと邪悪なら、1000年の間に討伐されているって!」

 

土方

「過去はどうでもいい、これからの話をするぞ。

 敵をいたずらに挑発して、何のつもりだ?」

 

坂本

「冷静なモリアーティと正面からやりあうのは、流石の僕でも荷が重いからね。

 なので、『冷静さ』を奪い取ったんだ」

 

土方

「相変わらず黒い手を使いやがる」

 

坂本

「……、……、……そうだね、黒い手を使うよ、僕は。

 ──お竜さん」

 

お竜さん

「いいんだな?」

 

坂本

「……うん、いい。

 本当は、あの大馬鹿のアプスーに使いたかったけど」

 

土方

「坂本? 何をするつもりだ、坂本ォ!!」

 

坂本

「もう、いいかなって。

 大臣をやっつけて、土方さんと、彼の大切なものを守ることが出来たなら、いいかなって」

 

お竜さん

「リョーマ、アプスーのこと恨んでいたんだろう?

 殴ってやりたかったんだろう?

 

 『どうして一人で戦いに行ったんだ』って。

 『どうして自分を置いていったんだ』って。

 ……『どうして一緒に死んでくれなかったんだ』って。

 

 聞きたかったんだろ? 1000年の間、ずっと。

 お竜さんには、全部分かっているんだぞ」

 

坂本

「もういいんだ。

 それに、さ」

 

お竜さん

「うん?」

 

坂本

「──憎み続けるの、結構しんどいって気づいたから」

 

お竜さん

「……そうか。

 リョーマがいいなら、お竜さんも、それで、いい」

 

坂本 

「やろう、お竜さん! 詠唱お願いね!

 ──フェイトエンジン、逆……いや、正常回転!」

 

お竜さん

「悲劇の運命、今ここから変わり出す!」

 

きょしんさん

「二人の機体が白く、白く変わっていく!!

 まるであれだ、ええと、ウェディングドレス!

 余剰エネルギーが、背中から翼のように広がって……。

 すごく綺麗だ! めでたみ!!」

 

坂本

「人と神、重なり。

 運命の名を関するエンジンは、正しき方向へと回り始めた。

 これで僕とお竜さんは、完全に一つとなった」

 

お竜さん

「以外とそうでもないぞ」

 

坂本

「なった、なったの! 

 それが巨神の奥の手なんだから!」

 

土方

「まさか、お前……!」

 

坂本

「大臣は僕らが引き受ける! 

 けど、それ以上は無理、かな。

 ここでお別れだ。

 商船にいる13人の小さい以蔵さんのこと、頼んだよ」

 

土方

「……覚悟を邪魔だてするほど、堕ちゃいない。

 ああ、任された」

 

坂本

「ありがとう、恩に着るよ」

 

デミゴッド

「複数ノ巨神の力を持つ私ヲ、殺せるとでも……!!」

 

坂本

「これは、殺すための力じゃない」

 

お竜さん

「やり直すための力。

 だろう? リョーマ」

 

坂本

「僕はやり直したかったんだ。

 1000年前、友との出会い、戦い、その結末を、どうか変えたいと……。

 

 されどその思い、願い、未来のために使おう! 

 

 この力は、人を、みんなを笑顔にするためにある!

 今こそ、憎しみを越えて僕らは──!」

 

お竜さん

「水没銀河、その[[rb:綿津見>わだつみ]]の原を行く──!!」

 

デミゴッド

「攻撃なぞ、受け止めてカラ反撃して……!!」

 

???

「なーんて、させると思った? ダディ」

 

デミゴッド

「このタイミングで、戦艦からノ砲撃?!

 空域には、私指揮下の艦しかいないはずなのに!?

 うぐっ……わ、防御、遅れテ……!!」

 

坂本

「それじゃあ! みんな……さよならだ!!」

 

お竜さん

「バイバイだ、人間」

 

デミゴッド

「まぶ、シイ、なんだ、この、光は──」

 

 

 ──宇宙空間、火星、地球間→???

 

 

???

「教授?」

 

デミゴッド

「はっ!」

 

???

「居眠りですか、モリアーティ教授。

 ……歳では?」

 

デミゴッド

「うるさーい! まだぴちぴちのアラフィフだもん!

 って、え? 

 シャーロック、か?

 私、明晰夢(めいせきむ)か走馬灯でも見ているのか?」

 

???

「どちらも外れです。

 今の私は……貴方の中の『シャーロック・ホームズ』とでも言いましょうか」

 

 

 ──???→モリアーティの心の中

 

 

???

「まず始めに。

 シャーロック・ホームズを悼み続けてくれて、ありがとう」

 

デミゴッド

「……」

 

???

「おかげで、こうして話せるほどに私は成長できた。

 私は貴方のアルターエゴ、と、例えても良いかもしれない。

 どうかしましたか、教授。

 顔を歪めて、おや」

 

デミゴッド

「ぁ……あああ、シャーロック、シャー……ロック……!」

 

???→ホームズ:アルターエゴ

「泣いている、のですか。

 貴方らしくもない」

 

デミゴッド

「私は、私は、ずっと悔やんでいたんだ!

 あの時、君を守れなかったことを!

 

 私は、ずっと恥じていたんだ……!

 あの時、君と一緒に死ななかった自分を!

 

 死ぬのが……怖くて……怖かった……ああ!!」

 

ホームズ:アルターエゴ

「……」

 

デミゴッド

「軍の傀儡(くぐつ)、大臣にまでなって……」

 

ホームズ:アルターエゴ

「死が怖い、それだけが生きる理由ではなかったはず」

 

デミゴッド

「……」

 

ホームズ:アルターエゴ

「自分が生きることで、シャーロック・ホームズの死に意味を持たせたかった。

 違いますか?」

 

デミゴッド

「……そう、だった」

 

ホームズ:アルターエゴ

「だったでしょう?」

 

デミゴッド

「私が死んだら、今度こそ世界からシャーロック・ホームズが消えてしまう!

 そんな気がして……!

 がむしゃらに、生きてきた。

 土方歳三が言うように、他者を道具のように切り捨てて。

 

 そこまでして、終わりがこれか。

 人を辞め、巨神と融合し、知性を無くした。

 はは、なんとみっともない、情けない」

 

ホームズ:アルターエゴ

「終わり、ではなさそうですよ」

 

???

「そうだよ、防衛大臣。

 死んでもらっては困る」

 

デミゴッド

「っ、坂本龍馬!」

 

坂本

「うん、僕らだ。

 先に言っていただろう?

 『これは、殺すための力じゃない。

  やり直すための力だ』と」

 

デミゴッド

「やり直す? 私が?」

 

坂本

「君と巨神の融合を解こう。

 そして、君を人として送り返す」

 

デミゴッド

「なぜ、そんなことを……」

 

坂本

「責任」

 

デミゴッド

「え?」

 

坂本

「責任を取ってもらうためだ。

 今まで、自分がやって来たことについてのね」

 

ホームズ:アルターエゴ

「死んだ私が言うのもあれですが、死を選ぶより、生きていく方がずっと、ずっと困難な道です。

 けれど教授、貴方──困難な道の方がお好きでしょう?」

 

デミゴッド

「低きにばかり流れ、忘れていたが……思い出したさ。

 私はいつだって! 証明の困難な道の方が好きだった!」

 

ホームズ:アルターエゴ

「であれば、行けますね? 

 ……生きて、行けますね?」

 

デミゴッド

「そうだね、生きていくとも。

 どれだけの罰を受けることになろうと、生きて、責任を果たそう」

 

坂本

「覚悟が出来たのであれば、送り返します」

 

デミゴッド

「私は帰る、そのことは分かるのだが……君達はどこへ?」

 

坂本

「さぁ、どこでしょう。

 でも、悪い場所では無いはずです。

 温かくて、優しくて、そういう場所だと思います」

 

お竜さん

「心配は無用だ。

 なんと言ったって、お竜さんがついているからな!」

 

デミゴッド

「……そうか。

 幸せにな、二人とも」

 

お竜さん

「人間に言われるまでもない。

 今度こそ、ハッピーエンドを迎えるぞ」

 

デミゴッド

「シャーロック」

 

ホームズ:アルターエゴ

「さよならは言いません。

 貴方の中で、私は生き続けるのですから」

 

デミゴッド→モリアーティ

「……また、会おう。

 それがもし叶ったら、二人で冒険をしよう。

 空き家を巡る、冒険を」

 

ホームズ

「……ええ、また、必ず」

 

 

 ──宇宙空間、火星、地球間

 

 

モリアーティ

「う……ああ……私、帰って、来た、のか。

 誰か、いる? ひょっとして……」

 

新艦長

「私です! ゴルドルフ・ムジークです!

 半壊した巨神から貴方を引きずり出し、医療用ポットに詰めました!

 はひぃ……疲れた、肝が冷えた……」

 

モリアーティ

「なぜ、君、が……」

 

きょしんさん

「私達がお前を助けたからだ。

 それに、ほら見ろ」

 

???

「ハーイ! お久しぶりですね、ダディ!

 それっともー? 適当に作った"クローン"なんてお忘れでー!?」

 

モリアーティ

「若い頃の私……いや違う!

 なっ、ばっ、お前はー!!」

 

???

「はい! 銀河で一番輝く暗黒星!

 ジェームズ・モリアーティクローンでーす!

 ……会いたかったよ、ダディ?」

 

新艦長

「どゆこと?」

 

???

可憐にして存在儚いモリアーティ:クローン

「説明してあげよう!

 僕はね! そこのシワシワ防衛大臣……これだとシワを守ってるみたいだな、まぁいいか!

 防衛大臣がね! 何かあった時、その脳を移植するために作られたスペアボディなんだ!

 だから若いんだよ!

 あーあ! 僕ってば銀河で一番可愛そうだなー!」

 

新艦長

「……テンション高いね、君ね」

 

儚いだけではなく知性すこぶるモリアーティ:クローン

「ダディを打倒出来たのだって、僕が途中で援護射撃してやったおかげだろ。

 感謝しろよ、しなさい、してください」

 

新艦長

「……情緒不安定だね、君ね」

 

胸を誇らしげに張る姿が煌めくモリアーティ:クローン

「ともかく、だ!

 ダディは助かったのだし、僕も来たし。

 この場は僕に任せ、先行した巨神を追いかけたらどうだい?」

 

新艦長

「は! そうか! 

 地球へ向かったA2を助けに行けるではないか!

 感謝するぞ! スペア君!」

 

生きてるだけでえらいぞモリアーティ:クローン

「そう呼ぶんだ、へぇ」

 

新艦長

「どう呼べばいいの?!」

 

きゃぴきゃぴ笑顔まじかわゆなモリアーティ:クローン

「追ってメールするね!」

 

新艦長

「ええ?!」

 

(略)モリアーティ:クローン

「さてさて、彼らも行ったことだし。

 ……わーい! ダディを生け捕りに出来た!

 これで戦後処理は全部丸投げ出来るぞー!

 ふふっ、僕の人生はこれからさ!

 晴れて自由の身となって! 政界へ華麗に進出……。

 って、その方向に進化していいのかな?

 まぁいっか! 

 ジェームズ、地位と名声とお金、だーいすき!」

 

 

 ──宇宙空間、火星、地球間

 

 

土方

「坂本とお竜が作ってくれた時間、無駄には出来ねぇ。

 まずは託されたこと……13人の小さい以蔵を回収だ。

 そうしたら」

 

きょしんさん

「私には余力がある、短距離次元跳躍も出来る。

 A2の援護に行こう。

 あっ……遠くにいる、あれは」

 

土方

「坂本が乗っていた巨神、か」

 

きょしんさん

「やっぱり、すごい綺麗だ。

 白くて、羽が生えていて、どこまでも行けそうな姿をしている」

 

土方

「お前の言う通り、空域を離れて、どこかに行くみたいだ」

 

きょしんさん

「私達を助けてくれてありがとう、二人とも。

 どうか幸せに」

 

 

 第44話 2023/10/18

 

 

 ──宇宙空間、火星、地球間

 

 

A2

「早くっ、地球に行かなくてはならないのに……!!」

 

ゾルテトラ達

「──!!」

「──?!」

「──!!!!」

 

A2

「敵が分厚い帯状となって、道を阻んでくる!

 仕方がない──武装、追想。

 展開せよ! 

 弓の名はガーンデーヴァ!

 続いて、上位命令インドラを使用! 

 武装起動──銘は、煉獄弐:インドラカスタム!

 

 弓と刀、遠距離と近距離兵器をそれぞれ手に持ち、この領域を焼き付くす!

 そして……マスターを、助けに……!!」

 

土方

「気負うな、お前は一人じゃない」

 

きょしんさん

「こちらの戦いは終わった、やるべきことも済んだ。

 だから来たぞ、れすきゅみ」

 

A2

「再び、助けに来てくれるだなんて……」

 

土方

「雑魚を相手する時間は無い。

 俺達の巨神と手を繋げ。

 もう一度、連続短距離次元跳躍をやってやる。

 そして、地球まで連れていく」

 

きょしんさん

「これで敵も味方も"ごぼう"だ!」

 

A2

「?」

 

土方

「……ごぼう抜き、な」

 

きょしんさん

「そうだった、ちょっと間違えた」

 

A2

「ワープで連れて行ってもらえても、二人は……」

 

土方

「お前の危惧通り、『敵陣のど真ん中』に出ることになる、が」

 

きょしんさん

「みーんな、やっつけてやる、心配は無用だ。

 私達がゾルテトラの注意を惹いている間に、マスターの元へ行け」

 

A2

「分かり、ました。

 二人の機体と手を繋ぎます。

 どうか私を、マスターの近くまで!」

 

きょしんさん

「任された!

 準備はとうに完了! 行くぞ!」

 

土方

「連続短距離次元跳躍、開始!

 ワープ酔いするんじゃねぇぞ、A2!」

 

 

 ──火星圏→地球圏

 

 

A2

「はぁ、はぁ。

 気持ち悪い、けど。

 この程度飲み込んで、私はマスターを……」

 

土方

「アイツのこと、頼んだぞ」

 

きょしんさん

「私も、またA2のマスターに会いたい。

 そして、スペース任侠ドラマのことをお話ししたい」

 

A2

「……はい、はい!」

 

きょしんさん

「予想通り、ゾルテトラの反応だ!

 数は」

 

土方

「言うな、もう見えている。

 流石地球圏内だ、敵がうじゃうじゃ居やがる。

 が、俺とOSA2なら楽勝だ、そうだろ?」

 

きょしんさん

「ぴちぴちざこざこなんて、何体いてもへっちゃらだ」

 

A2

「二人に背中を預けます。

 甘えても……いいでしょうか?」

 

土方

「ありがたいな、信頼ってやつは。

 ああ、存分に応えてやる」

 

A2

「では、しばしお別れです。

 今より地球に、大気圏に突入します!

 高純度耐熱フィルム、機体前面に展開!

 くっ……これが摩擦の熱、地球の熱!

 そして、下に見える景色、真っ赤な海で染まった世界が──!!」

 

 

 ──物語の始まり→地球

 

 

A2

「大気圏突破、機体損耗率1%以下。

 索敵と戦闘機能、異常無し。

 予想結果より数値が良い、問題なく戦いに望めそうだ。

 

 機体が持つ"融合治療"機能を使い、取り込まれたマスターを助けに行く。

 これは、そのための戦いだ。

 取り戻すための、最後の……最後の。

 ……マスターエレナ、こう言っていましたね」

 

エレナ(回想)

『巨神アプスーと巨神アルジュナオルタナティブを接近させて、両機体を融合させる。

 その後、A2が融合状態を制御し、マスターを貴方が知っている状態まで戻すの。

 理論上は可能だけど、すごく難しいと思う。

 

 よしんば成功したとしても……記憶だけは、失われてしまうわ。

 生き物の脳は繊細よ。

 まるで虫のさなぎのように、肉体をドロドロに溶かして再生させるプロセスに、脳細胞は耐えられないはず。

 

 マスターも、全てを忘れてしまうはず。

 

 ええ。何もかも何もかも』

 

A2

「行う私も、ただではすまないでしょう。

 だから、これが最後。

 ──全部の、最後なんだ」

 

???

「■■■■■!!!!!!!」

 

A2

「なんだ?! 叫び? 

 うっ、ここにまで空間の震えが! 

 あそこに浮いているのは、巨神アプスー!

 忘れるはずがない! テレビで見たあの機体だ!

 攻撃を受けている方……巨神、ではない。

 もっと有機的で、[[rb:艶>なまめ]]かしい形をしている。

 

 胸と臀部には女性らしい膨らみがあり、体のあちこちに……あれは鱗か?

 頭には半円状の角、腰から生えているのは尻尾?

 瞳はエネルギーのほとばしりで輝き、口は耳元まで裂け、赤い内側が覗いている。

 

 少しだけ、己の姿に似ている気がします。

 あれが、全てのゾルテトラの母。

 今より3000年前、人類が宇宙に逃げ出す原因を作ったモノ。

 

 ──超常存在『ティアマト』!」

 

???→ティアマト

「aaaaaaa!!!!」

 

A2

「それにしても大きい、2km以上はあるでしょうね。

 アプスーの何倍もの大きさ。

 だというのに、巨神は果敢にいどみかかっている。

 全てはティアマトを倒し、ゾルテトラを滅ぼし、地球を取り返すため、ですか。

 それだけを目的に1000年以上も生きて、私のマスターさえ取り込んで。

 ずっと……ずっと……。

 ……」

 

 

 ──地球 

 

 

マスター:オリジン

『はははは!!!! どうしたティアマト!

 叫ぶばかりで無抵抗! 我に圧されているじゃないか!!』

 

ティアマト

「a、aa……aaaaaaa!!!!」

 

マスター:オリジン

『輝け! 我が機体!

 神の中の神が持つ最後の剣よ!

 敵を……切り裂けぇぇ!!!!!』

 

ティアマト

「aaaa─────!!!!」

 

マスター:オリジン

『竜体表面に傷が付いた! いける……いけるぞ!

 我は自分は! ティアマトを殺すことができるんだ!!!!

 ……かはっ』

 

ティアマト

「a?」

 

マスター:オリジン

『吐血、そうか、機体と急激な融合が進んでいるのか。

 下半身は完全に取り込まれたな。

 ふふっ、頭の角もみるみる育ち、皮膚を突き破り、竜鱗が全身を覆っていく……!!

 いい、良い気分だ。

 人を越えて神になるというのはなぁ!!』

 

ティアマト

「a、a、aaaa……」

 

マスター:オリジン

『死ね、死ね、死ね、死ね、死ね! ティアマト!!

 お前のせいだ! 

 お前がゾルテトラを産み出したせいで、人類は宇宙に逃げる羽目になった!

 

 そして、追い詰められた人は巨神を作り出し、何人も巨神に乗って……戦って……。

 死んだ者もいた! 人じゃなくなった者もいた!

 それだけじゃない!

 巨神を求め、ジャパンコロニーに他のコロニーが攻め込んで来た!

 故郷が……燃えて……消えて!!』

 

ティアマト

「aaaaa……」

 

マスター:オリジン

『哀れっぽく鳴いた程度で、俺が攻撃を止めると思うなよ!!!!

 は? なんだそれは? 涙か?

 ……泣きたいのは、こっちの方、なのに。

 辛いのは痛いのは、こっちの方なのに』

 

ティアマト

「a……?」

 

マスター:オリジン

『痛い、痛い……痛いよ!!!!!!

 そりゃそうだよ! 

 角が、鱗が生えて……下半身、が、無くなって……。

 痛い、痛い、痛い、痛い!!!!!!

 この1000年! 痛みだ! 

 痛みだけが、自分と共にあった!!!!』

 

ティアマト

「a……a……a……」

 

マスター:オリジン

『返して……返してよぉ!

 体も!! 家族も仲間も!!

 あの"世界"を返してくれ!!!! 

 なぁ!!!!!

 お前! 全部の元凶なんだろ!!!!!!!』

 

ティアマト

「a……ア、アアア……。

 ア……ウ……ゴメン……ナサイ……」

 

マスター:オリジン

『──は?』

 

ティアマト

「ゴメン……ナサイ……ゴメンナサイ……」

 

マスター:オリジン

『……こっちの言語を解析し、欲した言葉をわめいているだけか。

 意味を理解しての行動じゃない、オウムが人真似をするのと同じ。

 よって──相手を理解する必要はない』

 

ティアマト

「ア、アア……」

 

マスター:オリジン

『まずは、その腕を吹き飛ばす。

 最後の剣よ、[[rb:戦慄>わなな]]け!』

 

ティアマト

「aaaaaa────!!!!!」

 

マスター:オリジン

『あっは! すごいな! 

 熟れたトウモロコシをもぐみたいに、呆気ない!

 どうした? 

 片腕を吹き飛ばしったってのに、反撃してこないのか?』

 

ティアマト

「……」

 

マスター:オリジン

『相手からの攻撃は無し。

 ただ、赤い海から湧き出てくるゾルテトラは、親の危機を察知し、向かってくるか。

 それも』

 

ゾルテトラ達

「──」

「──」

「──」

 

マスター:オリジン

『剣を振る必要すら無く。

 アプスーの視線を投げるだけで、全て蒸発する。

 つまり目からビーム』

 

ティアマト

「aaa……コドモ、タチ……」

 

マスター:オリジン

『がはっ……ごほっ。

 内臓まで機体に喰われ始めたか。

 でもこれでいい。

 自分が無くなれば、機体はもっと強くなる。

 無くなれ……無くなれ……。

 悲しみと痛み、嘆きだけを覚えている体なんて、自分なんて無くなれば良い!!』

 

A2

「それは! 駄目だ!!」

 

マスター:オリジン

『誰……早いっ……!』

 

A2

「アプスー、いいえ、"私"!

 1000年の時を経て、迎えに来ました!

 そして」

 

マスター:オリジン

『なんだこのパワー!?

 まずい、機体が押されて、ティアマトから離される……!』

 

A2

「私、いえ、みんなのマスターを! 返してもらうぞ!!」




※モリアーティ:クローンの名前がころころ変わるのは仕様です。
 複数いる訳では無いので、ご安心ください。
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