インフィニット・ストラトス〜紛い物の大空〜   作:腹黒熊

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第2話 何事も最初が肝心

冬の寒さが雪と共に消え、春の陽気が風と共にやってくる今日。

俺、ならびににもう1人の男は周囲からの注目を一身に浴びるという、ある意味での地獄の中にいた。

そう、俺ならびに一夏は、結局IS学園に入学する羽目になったのだ。

あっ、一応試験とかはしっかり受けてるよ。

 

「ねぇねぇ、あの2人でしょ例の男性操縦者って」

 

「2人とも美形〜」

 

「ねぇねぇ、どっち派?」

 

「やっぱり、織斑君が攻めじゃない。熊耳君はどう見ても受けでしょ」

 

「嫌々、そこはあえての熊耳君が攻めでしょ」

 

とまぁ、こんな感じの話がチラホラ耳に届いてくる現状に俺、ならびに一夏の精神面は既に限界に近くなっていた。

というか、そのどっちが攻めかって話はヤメロー

俺にはそっちの趣味はねーんだよ!!

あー本当に何故僕はここにいるのだろう。

そうだ例えばあの試験会場でISを触らなければこんな事にはならなかったのでは……嫌、どちらにしても一夏が先に動かしていたから、その関係でいずれISの適正調査は受けていたか……

 

そんな自問自答を繰り返していると、教室の周りにいた生徒達が次々引いていき、その後少しして教室の扉が開き、そこから先生らしき女性が入ってきた。

あれ? あの人って確か入学試験の時にいた、ええっと名前は確か、山田なんちゃら先生だ。

 

「初めまして。私がこのクラスの副担任を務めます『山田真耶』と言います。これからよろしくお願いします」

 

あぁ、そうだ山田真耶だ……まぁ先生だし、山田先生って呼べばいいか。

それにしても、あの見た目で教師って、制服着たらワンチャン生徒って言われても信じそうだぞ。(胸以外)

と、俺がそんな事を考えている間に、いつの間にか始まっていた自己紹介が、勝手に進んでいつの間にか一夏の番になっていた。

 

「お、織斑君? 織斑一夏くんっ?」

 

「は、はい!?」

 

一夏も、その事に気付いて無かったのか座ったままで大声で返信を返す。

すると、クラス内でクスクスと小さな笑いが聞こえるが、そんな事関係無しに山田先生は話を進める。

 

「ご、ごめんね。で、でもね主席番号順に自己紹介をしていくと、次は織斑君の番なんだよね。そ、それでね織斑君も自己紹介してくれないかな? ダメかな?」

 

「えっ?」

 

「ご、ごめんね急に大声で話しかけちゃって、お、怒ってる? 怒ってるのかな? あーえっとーー」

 

ここでようやく現状に気がついたのか一夏が

 

「い、いえ!? 大丈夫ですよ。自己紹介ですよね。今からしますからとりあえず落ち着いてください先生」

 

と慌てて弁解しはじめた。

 

「ほ、本当ですか? 約束ですよ。約束ですからね」

 

うーん、何というかワザとやってるんじゃないかって思うくらい低姿勢な先生だなぁ。

こりゃ、そのうち生徒に舐められるぞ。

じゃなくて、一夏の自己紹介だったな。

どうせ俺の番も回ってくるだろうし、あいつの自己紹介を参考にさせて貰うとするか。

 

「は、はい。ええッと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

「「「…………」」」

 

ん? どうした?

 

「……以上です!」

 

((((ガタッ))))

 

その言葉に、クラスの半分くらいが思わずズッコケた。

まぁ、あれだけ引っ張ってこれだからな……

それにしても一夏よ、小学生でももう少しまともな自己紹介はするぞ。

しかし、俺はここでなにも言わない。

何故って……

 

ゴンッ!

 

俺が何にも言わなくても血族(織斑 千冬)様がやってくれるからさ。

その鈍い音が鳴った場所では、現在頭を押さえている一夏と、その後ろで拳を握っている千冬さんが立っていた。

 

「ち、千冬姉!? なんでここに?」

 

「ここでは織斑先生だ。それよりお前はまともな自己紹介もできんのか!?」

 

ごもっともです。

 

「あっ、織斑先生。もう会議は終わったんですか?」

 

「あぁ、任せてしまってすまないな。山田先生」

 

織斑先生は山田先生と話すと教壇に立って

 

「諸君。私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。お前達、役立たずを一年で使い物にするのが私の役割だ。私の言う事は、よく聴き、理解しろ。出来ない者は出来るまで私が指導してやる。いいな」

 

と言い放った。

おーおー、軍隊顔負けの指導方針ですなぁ。

けどそんな指導を喜んで受ける様な物好きは……

この瞬間、この教室内に黄色い歓声が響き渡った。

 

「「「「キャァァァァァァ!!!!!」」」」

 

「千冬様、本物の千冬様よー!!」

 

「私、ずっとファンでした!!」

 

「あの千冬様のご指導を受けられるなんて夢みたいです!!」

 

いっぱい、いらっしゃるようだ。

にしても、女性の歓声ってこんなに頭に響く者なのか?

 

「……はぁ、よくもまぁ毎年毎年これだけの馬鹿者達が集まるものだ。ある意味感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者共を集中させるように仕組んでいるのか」

 

そう言って頭を抱える千冬、失敬、織斑先生を他所に

 

「きゃぁぁ! お姉様! もっと叱って! なんなら鞭で叩きながら罵って!」

 

「けど、時には優しい笑顔を見せて!」

 

「そして、つけ上がらないように躾して!」

 

おーおー、すげぇーなー織斑先生にかかれば一声発するだけでその場にマゾを増やすことが出来るのか。

流石天下のドS姉さん……

などと考えていた俺の近くに、いつの間にか来ていた織斑先生が、俺を凄い眼力で睨みつけていた。

 

「熊耳、今なにを考えていた?」

 

何故バレた!?

そ、そうか、織斑先生はブラットオブボンゴレの超直感を身につけているのか。

おおー怖々、取り敢えず今はなんとかごまかそう。

 

「今日の天気について考えていました」

 

「そうか、今日は一日中雲一つない快晴だそうだ」

 

「そりゃ良い散歩日和ですなぁ」

 

「全くだ。さて熊耳、他に言う事はないか?」

 

誤魔化せなかったようだ。

 

「……お姉様に指導して頂けて光栄であります」

 

「そうか、それではしっかり指導してやろう」

 

そう言うと、お姉様は俺の頭に自身の拳を力強く落とした。

 

「全く、馬鹿者共のせいで時間も少なくなってしまったな。熊耳、最後にお前だけでも自己紹介しておけ」

 

「さっきので頭蓋骨が割れたのか凄く痛いので、遠慮したいのですが……」

 

まぁ、本当に頭蓋骨が割れてたら、もっとヤバい状況になるけどね。

 

「知っているか熊耳。昔はなぁ、電化製品を叩いて直していた家庭が多く存在していたそうだ」

 

つまり、叩いて直してやろうという事ですね、わかります。

 

「やらせて、頂きます」

 

「ふん、さっさとすませてしまえ」

 

そう言って教壇の方へ戻る織斑先生を他所に俺は立ち上がって自己紹介を開始した。

 

「ええッと、熊耳 蒼と言います。趣味は旅行と読書です。読書のジャンルはミステリーとかホラーとかが多いかな。ISについてはほとんど無知に近いです。これから一年間よろしくお願いします」

 

その後、次の時間になにをやるのかの軽い説明をして1時間目は終了した。

 

 

 

「もう、無理帰りたい」

 

「安心しろ、あと6時間くらいすれば帰れるぞ」

 

机に突っ伏した一夏の側に立って俺はそう言い放った。

1時間目が終わった現在も教室の外には他クラスの生徒がわらわらと集まって来ており、廊下はギュウギュウ状態になっていた。

世間の男性達にあの中に入れるチケットでも売れば、奇声を上げて喜びそうだなぁ。

などと下らない事を考えていると急に周りがざわつき始め、後ろから

 

「……ちょっと、いいか?」

 

と急に声をかけられ、振り向いてみると、そこには黒髪ポニーテールのいわゆる大和撫子風の女性がいた。

 

「一応、聞くけど、俺とこの突っ伏している奴のどっちにご用事?」

 

多分、突っ伏してる方だと思うけど……

 

「……箒?」

 

突っ伏していた方が顔を上げて彼女をみるとそう一言。

それに対して彼女は、少したじろいたがそのまま一夏の顔を見つめ返す。

 

「「…………………」」

 

なにこの空気、なんか少しイラッとするんですけど。

 

「あのさぁ、そろそろ喋ったら?」

 

「あ、あぁ……それで何の用だ?」

 

「……廊下でいいか?」

 

「あ、ああ」

 

「早くしろ」

 

そう言って2人は廊下へ向かって行った。

 

えっ、なに、なに? 修羅場、修羅場なの?

これから、キサマァァよくも抜け抜けとー、的なのが始まるの?

 

少し着いて行こうかと思ったが、周りの子らが、一切動こうとしなかったので、俺も空気を読んで自分の席に戻ることにした。

はぁ、これから授業まで視線は俺に集中砲火しそうだなぁ。

それにしても、一夏が箒って言ってたな。

って事は、あの子が『篠ノ之箒』さんか。

確か篠ノ之束の実の妹でいずれ第4世代ISの所持者になる人だったな。

そんな事を自分の席で考えていると、

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

癖っ毛なのかセットしているのかわからない金髪縦ロールのお嬢様口調のクラスメイトに声をかけられた。

 

「えっ、あぁはい」

 

「まぁ、なんですのそのお返事は!? 私に声をかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度があるのではないかしら?」

 

この私? 言い方からして、この人、有名人かなんかなのかな?

 

「……それもそうですね。すみません」

 

「ふん、まぁ、私は心が広いですからその謝罪に免じて許して差し上げますわ」

 

「はははぁ、それで僕にどんな御用ですか?」

 

「そうでしたわね。私は!」

 

キーンコンカーンコーン

 

「……話の続きは、また改めて」

 

そう言って、席に戻って行く金髪縦ロールを他所に俺は正面を向いて教師が入ってくるのを待った。

金髪縦ロールのお嬢様口調ってもしかしてあの人が……

 

 

 

 




自己紹介って結構大事ですよね。
ちなみに作者は、自己紹介が苦手でいつも同じ様な事しか言えませんでした。
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