インフィニット・ストラトス〜紛い物の大空〜   作:腹黒熊

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第4話 朝は1日の始まり

一夏を、置いて寮に向かった俺は、途中ですれ違う女子生徒の視線やらヒソヒソ話やらに耐えながらも、なんとか自分の部屋となる1032号室にたどり着いた。

さて、ルームメイトはどんな子なんだろうか?

確か、原作では一夏は篠ノ之さんと同じ部屋になるんだよなぁ。

まぁ、この世界でもそうかは知らないけど……

 

などと考えながら、俺は渡された鍵を使ってその部屋を開けて中に入っていく。

俺は部屋に入ると、扉を開けたまま部屋の中を一望してみる。

しかし、部屋のなかには、鞄などはおろか、誰かがいる気配すら無かった。

どうやら、同室の子はまだ来てないみたいだな。

俺がそう結論付け、扉を閉めようと握ったままだったドアノブを引っ張っていくと、突然扉と壁の隙間から手がスルッと飛び出てきたので、俺はすかさず扉から手を離して、少し後ろに下がった。

すると、その飛び出した手によって扉が開けられ、そこから制服をダボダボに来ている垂れ目の女の子が姿を現した。

あれ、この子って確か同じクラスの、

 

「あれ〜? クマミーだ〜なんで〜? どうして〜?」

 

クマミー? ……もしかして俺の事か!?

というか、この子なんて名前だっけ?

クラスメイトなのは覚えてるんだけど……

 

「あぁ実は、俺のこの部屋もここなんだ。まぁ、月末までだけどな」

 

「そうなんだ〜! よろしくね〜クマミー」

 

「あぁ、よろしく。ええっと……」

 

「布仏本音だよ〜」

 

「よろしく布仏さん」

 

そう言って俺が右手を差し出すと、布仏さんは、ダボダボな制服の裾ごと両手を俺の手を包んで、よろしくね〜。と言いながら手を上下に大きく振り出した。

 

「それで、布仏さん。1ヶ月とはいえ同室になるんだから最低限のルールを決めておかない?」

 

布仏さんは俺の手を離すと、首を傾げて

 

「ルール〜、なんで〜?」

 

と何故か聞き返された。

なんで、ってあんたこの歳の男女が同室になるんだから間違いがないようにするためのルールは必要だろ。

って説明した方がいいのかもしれないけど、今日はなんだか疲れたし、ここは、

 

「まぁ、俺がそうしたいからって事にでもしといてくれ」

 

と適当な理由で済ますことにした。

 

「わかったよ〜」

 

その後は、俺と布仏さんで適当な世間話なんかをしながら、部屋のルールを決めたりした。

ちなみに、俺のベットはジャンケンによって手前側になってしまった。

 

 

 

 

 

翌朝、7時ちょっと過ぎくらいに起きた俺は隣のベットで寝ている布仏さんを他所に制服に着替えて、そこから指にリングをはめて死ぬ気の炎を出す訓練を軽く行う。

この3年間の訓練で死ぬ気の炎は自由に出せるようになっていたのだが、その訓練の影響で毎朝、リングに炎を灯すのが癖になってしまったのだ。

ちなみに炎が最初に灯ったのは、この世界に来てから1週間経つか経たないかくらいの時でした。

それが終わって時計を見てみると、7時13分くらいだったので、俺は未だに寝ている布仏さんを揺すったりして起こし、2人でそのまま食堂に向かった。

ちなみに布仏さんはキツネ?の着ぐるみみたいなパジャマのままである。

 

途中、布仏さんの友達に出会って、「あれ? 熊耳君どうして?」とかなんとか聞かれたので、「食堂に行きながら話そうか」と言って食堂に向かいながら訳を説明した。

 

 

そんなこんなで食堂に着いた俺達は、食券を買って注文した料理を受けとる為、列に並ぶ。

俺は最初和食にしようとしたが、他の3人が洋食を注文しているのを見て何となく洋食を注文した。

 

料理を受け取って3人と適当な席を探していると、窓側の席に見知った人物を見かけ、3人とその近くまで移動した。

 

「…………なぁ、箒?」

 

「な、名前で、呼ぶな!」

 

「し、篠ノ之さん」

 

2人は何か言い合っていたが、俺はそんな事気にせず、

 

「隣良いか、一夏?」

 

そう言って一夏の席に隣に腰を下ろす。

 

「なんだ蒼か。って、もう座ってるじゃんか」

 

「気にするなよ。それよりほら3人もここ空いてるんだから、さっさと食べようぜ」

 

そう言って、布仏さん達を隣に呼ぶと、

 

「えっ、良いの」

 

と黒髪ロングの夜竹さんが聞き、

 

「やった」

 

「わーい」

 

と赤茶色のおさげの谷本さんとキツネのパジャマの布仏さんが喜ぶ。

しかし3人が俺の隣に座ると、何故か不機嫌そうな篠ノ之さんが

 

「先に行くぞ」

 

と呟いて食堂から出て行った。

篠ノ之さんって、朝は機嫌が悪くなるのか?

それとも、一夏がなにかやらかしたのかな?

確か篠ノ之さんって一夏に惚れてる筈だし。

すると俺がそんな事を考えてると知る筈もない、隣の3人組が、

 

「織斑君って、朝からそんなに食べるの?」

 

「すごい量!?」

 

「男の子だねぇ〜」

 

なんて、呑気な事を聞き出した。

対する一夏も

 

「そうか、普通だと思うけど、俺からしたら女子ってそれだけで足りるのかって思うけどなぁ」

 

なんて同じように呑気に答えている。

 

「あー私達はねぇ」

 

「お菓子、いっぱい食べるし〜」

 

それを聞いた一夏は今度は俺の方を見て、

 

「そういえば、蒼も朝はあんまり食べないよな」

 

と問いかける。

そりゃまあ、朝食べる量なんて、個人個人で違うからなぁ。

 

「……まぁ、俺はあんまり朝に食べないからなぁー」

 

「そうだったのか。一緒に暮らしてた頃は気づかなかったな」

 

「まぁ、一緒に暮らしてたって言っても、1ヶ月くらいだし気づかなくても仕方ないだろ」

 

俺のこの言葉に夜竹さんが素早く反応した。

 

「えっ、何々織斑と熊耳君って一緒に住んでたの」

 

「あぁ、ここに入学するまでの1ヶ月近くだけだけどな」

 

「へぇーそうなんだ。それじゃあ……」

 

谷本さんが、続けて何か言おうとしたその時、

 

パンッ、パンッ!!

 

「いつまで食べている、食事は迅速に効率良く取れ!! 遅刻した者はグラウンド十周させるぞ!」

 

食堂の中心でジャージ姿の織斑先生がそう言い放つ。

それを聞いた周りの生徒達が、急いで食事を済ませ始める。

そんな中、一夏はというと、

 

「千冬姉?」

 

何故ここに? と言った顔して織斑先生を見ていた。

 

「織斑先生、一年制寮の寮長なんだとさ」

 

それに気づいた俺は、食事を済ませて一夏にそう説明する。

ちなみにこれはこの世界について調べた時に知った事だ。

 

「へぇー、そうだったのか……」

 

1ヶ月、俺が、一夏と偶に帰ってくる千冬さんと一緒に暮らしていたのは確かにそれ期間だけだった。

その時にも感じていたけど、一夏は織斑千冬という人間についてあまり知らないように感じる時があるんだよなぁ。

本当、変わった兄弟だよなぁ。

 

「それじゃあ一夏、俺は先に教室に行かせてもらうぞ」

 

そう言って立ち上がった俺を見て、一夏が

 

「えっ、あぁ」

 

気のない返事を返したが、俺は特に気にする事なく、

 

「それじゃあ、後でな。それと布仏さんはちゃんと制服に着替えてから教室に来いよ」

 

と続けて、布仏さんに注意を促した。

 

「わかってるよ〜、クマミー」

 

そう言う、布仏さんに少し心配を覚えたが、横から谷本さんが、

 

「そこは、私達もついてるから心配しないで」

 

と俺の心配が伝わったのか、そう言ってくれたので、それに甘える事にして俺は、頼む。と一言残して食堂を後にした。

それにしても、篠ノ之さんか……今後の為にも近いうちに、少し話をしておいた方がいいかもな。

 

 

 

 

 

 

 




作者は朝食は時間的に食べない人です。
……どうでもいいですよね。

それでは次も読んで頂けると嬉しいです。

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