俺は朝食を済ませて、一夏達と別れた俺は、急いで教室に向かった。
目的は、『篠ノ之箒』と話をする事だ。
途中、他の女子生徒から声をかけられたりと色々あって結局教室にたどり着いたのは7時50分くらいだったけど……
しかしまぁ、目的の篠ノ之さんはいるし、時間も10分もあるんだ。
手短に話せばなんとかなるだろ。
そう考えた俺は、そのまま自分の席に座っている篠ノ之さんに近づいていった。
「篠ノ之さん、ちょっと良い?」
篠ノ之さんは一瞬俺を睨むように見るも、その後すぐに表情を戻して
「……あぁ、確か熊耳と言ったか?」
そう返事する。
ちなみに、この状況に少し周りがガヤガヤ言っているが、時間が無いので今は無視しておこう。
「そう、熊耳蒼。熊耳でも蒼でも好きな方で呼んで」
そうフランクに話を続けるも肝心の篠ノ之さんは、
「それで、私に何のようだ?」
と俺に警戒心剥き出しで返事をしてくる。
うーん、まぁ、よく知らない異性に急に声をかけられたら、警戒したくもなるか……
「いやぁ、用って訳じゃないんだ。ただ前に一夏が君の事を話してたから挨拶だけでもって思ってさ」
すると、一夏の名前が効いたのか篠ノ之さんは、少し警戒心を緩めてくれた様子で
「そうか、わざわざすまないな」
と軽く頭を下げる。
それにしても、一夏の名前1つで警戒心を緩めるとは……
「気にしないで良いよ篠ノ之さん。それで、一つ聞きたいんだけど」
俺は、そのまま篠ノ之さんにだけ聞こえるくらいの声で
「一夏となんかあったの?」
と問いかけると、篠ノ之さんは瞬時に目を晒して
「な、なんでもない」
と答える。
わっかりやす。
その反応で何もなかったてのは、いくらなんでも無理があるだろ。
「ふーん、それなら良いんだけど……。あっでも、あのアホが何かやらかしたならいつでも言って。俺じゃあ、頼りないかもだけど多少の愚痴くらいならいつでも聞くからさ」
「そ、そうか……では、その時は頼らせてもらう」
その篠ノ之さんの返事を聞いた直後、教室の扉が開きそこから一夏が入って来た。
俺はその事に気付くと、小声で素早く
「それと、一夏の事狙ってるなら、早めに仕留めないと後々面倒かもよ」
と呟く。
原作だと、後から
すると、それを聞いた篠ノ之さんが顔を真っ赤にして、
「べ、別に私はあいつの事など……」
と弁解しだすが、俺はそんな事気にせず
「はいはい、わかったから、まぁ、なんかあったら相談してよ。多少はアドバイスするから。それじゃあね」
と、俺は自分の言いたい事を言った後、自分の席に戻って次の授業が始まるのを待った。
そしてその後、少しして教室に入って来た織斑先生と山田先生によってHRが始まった。
朝、篠ノ之さんと話してから、特に目立った事件もなく、HRと1時間目を過ごした俺達は、現在2時間目の織斑先生による実習についての説明を受けようとしていた。
しかし、チャイムが鳴ると同時に、教室に入ってきた織斑先生は、教壇に立つと、
「さて、今日は実習について説明をするのだが……と、その前に、再来週に行われるクラス代表戦に出る代表者を決めなくてはならないな」
と授業を始める前に、思い出したかのように話し始めた。
「代表者は、代表戦以外にも生徒会の会議や委員会への主席など……まぁクラス長考えてもらって構わない。自己推薦は問わない。誰かいないか?」
織斑先生がそこまで説明し終えると、一瞬周りの音が消え、その直後、
「はい、私は、織斑がいいと思います」
「私も織斑君で!」
「それじゃあ、私は熊耳君で!」
「私も私も!」
とっ、勝手な推薦で俺と一夏が候補として上がった。
まぁ、大方俺達を見せ物にでもしたいって事なのだろう。
それを聞いた一夏が、
「なっ、ちょっと待てよ俺は……」
と何かを言おうとすると、
「納得がいきませんわ!!」
と昨日の金髪縦ロールがその言葉を遮った。
「そのような選出は認められません!」
俺も認められたくありません。
「第一、男が代表だなんて……いい恥さらしですわ!! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか!」
ほう、あの縦ロール、やっぱりセシリア・オルコットだったのか。
情報で金髪縦ロールのお嬢様口調が特徴のチョロインってあったからもしかしてって思ってたけど、やっぱりそうだったのか。
というか、よく考えたら、金髪縦ロールのお嬢様口調なんて、そうそういないよなぁー。
確か、イギリスの代表候補生で専用機の名前は『ブルー・ティアーズ』だったか。
そういえば、昨日の夜に布仏に聞いたら詳しく教えてくれてたっけ……
「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはならないこと自体、私にとって耐え難い苦痛で……」
おっと、ここでそこまで、言っちゃうか。
肝っ玉が座ってるのはいい事だけど、こりゃあそろそろ止めた方が良さそうだな。
俺がそう思い、発言しようとすると、そんな事知るはずもない一夏が、
「イギリスだって大したお国自慢ないだろ!世界一不味い料理で何年覇者だよ」
と火に油を注ぎやがった。
あのアホ!!
「なっ、美味しい料理だって沢山ありますわ」
あたり前だろ!
そもそもイギリスの料理が不味い料理って言うのは、調理過程で味付けを殆どせずに、個人の好みに合わせて酢や塩なんかで後から味付けをするから、他国から観光に来た人達から、そう言われれるだけで、イギリス出身の人からすればそれが普通だったらするんだよね。
「貴方、私の国を侮辱しますの?」
「先に侮辱したのはお前だろ! 蒼、お前も黙ってないで何か言ってやれよ」
おいバカ! なんでそこで俺に降るんだよ。
「あら、貴方も私に言いたい事があるですか、熊耳蒼」
あら、僕の名前覚えてくれたのね。
ってゆう、おふざけはこれくらいにして、取り敢えずこの絶賛沸騰中のアホ2人の頭を冷やしてやるか……
はぁー、面倒臭い。
「まぁ、俺も自分の国を侮辱された事には少しイラッとしたけど、それはこっちもしちゃってるから、正直なんとも言えなくなってるんだよねぇ」
「だったら……」
「とはいえ、このまま引き下がるも、少し違う気がするから少し言わせてもらおうかな」
そう言う俺を少し睨むセシリア・オルコットを他所に俺は話を続けた。
「まず、一夏」
「えっ! 俺?」
「そう、お前だ。自分の国をバカにされたからって同じことを相手にしてどうする。それともなんだ、お前は自分がされて嫌な事を相手にもしろって、後ろにいるお姉様から教わったのか」
ここで俺があえて両親と言わなかったのは一夏の家族について多少なりとはいえ、一夏本人から聞いていたからである。
その代償として、織斑先生から注意でもされるかと思っていたが、織斑先生は、構わん。と言わんばかりの顔でこちらを見ていた。
本当、凄いお姉様だよ。
「……すまん」
「わかってくれるなら良いよ。これからは少し考えて発言する事を覚えておけ」
「あぁ……」
そう反省する一夏を見ると、次に俺はセシリア・オルコットの方を向いて話し始めた。
「さて、次にあんただセシリア・オルコット」
「なっ、なんですの!?」
「あんた、確か……ええっと、なんだっけ? 布仏さん?」
「えっ、わ、私〜!? ええっと何って何が〜?」
「ほら、昨日説明してくれたじゃん。確か、代表なんとかって」
「あ〜代表候補生だねぇ〜」
ここで布仏さんから聞いたって事にすれば、俺がその件について知っている事に関しては深く追求はされないだろう。
何故そんな事をだって、だって俺自己紹介でISについて殆ど知らないって言っちゃってるし、まぁあくまで、念の為だけど……
「あっそれだ! ありがとう布仏さん。で、話を戻すけどセシリア・オルコット、あんた自分がそうゆう立場だって事を忘れて発言してないか? 代表候補生って事は、文字通りいずれ国家代表になる可能性のある数人の内1人って事だよな。そこら辺って、そんな感じで合ってますよね、織斑先生」
「そうだな」
「だとしたら、あんたの言葉はイギリスの言葉と取られてもおかしく無いのでは? そんな貴方が、ISを生み出した人間や元世界最強の現教師が生まれ育った国を侮辱するような言葉を言おうものなら……って、流石にここから先は言わなくてもわかりますよね、イギリスの代表候補生さん」
そう言う、俺にセシリア・オルコットは自分の足元を見て軽く震えている。
少し反省してくれたかな?
「……け……です…」
ん? 今、何て言った?
「悪い、聞こえなかったからもう一度言ってもらっていいか?」
「決闘ですわ!」
「はぁ? ……ちょっと待て…」
少しは人の話で反省を……
「あぁ、いいぜ。四の五の言うより分かりやすい」
「おい待て、一夏何故お前が了解する」
というか、さっきの俺の話聞いてました?
今、お前完全になんも考えないで発言してるだろ!?
しかし、そんな俺を無視して織斑先生が話を進めて行く。
「……わかった、ではお前らで戦って代表決めろ。試験日は1週間後だ」
いや、織斑先生、今代表を決めろっておっしゃいました!?
「あのー、織斑先生。俺もしないといけませんか?」
「なんだ熊耳。不満でもあるのか?」
俺の問いかけに織斑先生は、軽く拳を握ってそう聞き返した。
「いえ、何もございません」
そんな脅しながら聞くか普通……
そんな会話を俺達がしている側で一夏がセシリア・オルコットに話かける。
「それで、ハンデはどれくらいつける」
「あら、早速お願いかしら?」
「いや、俺がどれくらいハンデをつけたらいいのかなーっと」
この一夏の発言に、思わずクラス中で笑いが起こった。
「お、織斑君、それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
「織斑君はIS使えるかもしれないけど、それだけでしょ?」
「やめときなよ。今の女に男が勝てるわけないんだから」
うーん、男としては、あんまりいい気持ちはしないけど、まぁ実績も何もない現状だと仕方ないか。
「だ、そうだ一夏。それでお前はどうするんだ?」
「わかった。ハンデは無しでいい」
「話はまとまったな。では」
そう言って、織斑先生が話し合いを終了しようとした時、俺はすかさず手を挙げて織斑先生にとある疑問をぶつける。
「あっ、ちょっと待って下さい織斑先生」
「ん? なんだ熊耳」
「いえ、イギリスの代表候補生さんは専用機っていうのがあるらしいんですけど、俺達はそこら辺はどうなるんですか?」
一応、原作では一夏には専用機が与えられるけど、俺はどうかわからないしな。
「あぁ、その件か。その件に関しては織斑には、学園側から専用機を用意するそうだ」
織斑には……か。
「せ、専用機!? 一年の、しかもこの時期に!?」
「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで……」
「あぁあ〜、私も早く専用機が欲しいなーぁ」
そうクラス中で聞こえる声を無視して、一夏が俺に問いかける。
「なぁ、蒼。専用機ってなんだ?」
「まぁ文字通りお前のために作られたISって所だ」
「それがどうしてこんなに羨ましがられるんだ?」
だから、少しは考えて発言をって、こいつの場合、これが考えてからの発言なんだろうなきっと……
「ISのコアが限られた数しかないのはお前も知ってるよなぁ」
「あぁ、昨日の授業でそう言ってたな」
「って事はだ。作れるISにも限りがあるわけなんだよ。そのうちの一体をお前は独占使用できる。これが羨ましくないIS操縦者見習いはそうそういないだろ」
「成る程成る程。あれ、でもなんで蒼にはないんだ?」
……大雑把ではあるけど予想はしてる。
おそらく俺には後ろ盾が一切ないからだろうな。
一夏には織斑千冬っていう文字通り元世界最強の後ろ盾がある。
対して俺は一切後ろ盾のない上、
だったら、そんな俺に専用機を持たせるよりは、一夏だけに専用機を持たせて、そこからデータを集める方がリスクが少ないとでも考えたんだろう。
けど、そうだって言う確信が無い以上、その予想を軽々しく口するのは良くないか……
「……さっぱり、なんでですか織斑先生?」
「……少し事情があるのだ。熊耳、お前には学園に置いてある訓練機を一機渡す事になっている」
「そうですか……」
「他に、何かあるのか?」
「いえ、大丈夫です」
「それでは試合は来週の月曜。第三アリーナで行う。織斑、熊耳、オルコットの三名は準備しておくように」
その後、授業の続きが開始され、俺達は自分の席に座って授業を受けた。
イギリスの料理って本当に味がないんですよねぇ。
まぁ、感じ方は人それぞれでしょうけど……
それでは、次も読んで頂けると嬉しいです。