それではどうぞ。
その日の放課後、俺は山田先生に連れられて、学園のIS格納庫に来ていた。
なんでも、訓練機の種類が2つあるため、俺に貸し出す機体をどちらにするか選んで欲しいんだそうだ。
「熊耳君、こっちですよ」
そう言って手を振る山田先生の元へ駆けて行くと、そこには俺がこの学園へ来るきっかけを作った甲冑のようなISともう一機見たことのないネイビーカラーのISが置かれていた。
「この《打鉄》と《ラファール・リバイブ》の2つの内どちらかが熊耳君に貸し出される事になっています」
「はぁ、それで俺はどうすればいいんですか?」
「今日は、熊耳君に3年間貸し出す機体をどちらにするか選んでもらうだけになります。一応、通常状態に戻したりする作業がありますので……」
成る程、選んですぐに貰える訳でもないのか……
「それじゃ、こっちのネイビーカラーのにします」
「《ラファール・リバイブ》ですね。でもどうしてこっちなんですか?」
ん? 単純に俺がこの地獄に来る原因となったISと、同種の物が嫌だっただけなんだけど……そう言う訳にもいかないし……
「……直感ってやつです。ほらISは、パートナーとして扱えって山田先生も言ってたじゃないですか。だったらパッと見たときの直感的な物信じてみようかと……ほら、あれですよ運命の出会い的な……」
これでなんとか言い訳になったかな?
そう思いながらも、一応山田先生の顔色を伺ってみると、
「そうですパートナーなんです。運命の出会いなんです。先生嬉しいです。熊耳君、ちゃんと私の授業を聞いてくれていたんですね」
目を輝かせて、嬉しそうに力説してきた。
俺も良かったです。今回一緒に来た先生が貴方で……そして、嘘ついてすいません。
「それでは、熊耳君にはこちらの《ラファール・リバイブ》を貸し出しますね。色々な設定を合わせて数日はかかると思いますので、準備ができましたらこちら連絡しますね」
「はい、それじゃあ山田先生、後はお願いします。では俺は寮に帰りますね」
そう言って頭を下げた俺は、元の姿勢に戻ってから、格納庫の出口へ向かった。
後ろから山田先生の
「気をつけて帰って下さいね」
と聞こえたので、少し後ろを向いて軽く頷くと、そのまま出口へ向かっていった。
さてと、これからどうしようかな。
山田先生と分かれた後、特に何事もなく寮まで戻って来た俺は自室のベットで横になって今後の事について考えをまとめ始めていた。
「とりあえず、6日、いや今日はもう殆ど無いから実質5日か……」
ISでの戦闘だとすると、リングとかボックスは一切使えないし、ましてや
とは言ってもたった5日で他の武器が使いこなせる訳ないしなぁー
「う〜ん…………どうしよ〜」
「なにが〜?」
「うーん、イギリスの代表候補生との試合について……って、布仏さん帰ってたの!?」
そう言って俺が飛び起きると、俺の足元には、布仏さんだけでなく、谷本さんと夜竹さんも側に立っていた。
2人は俺が起き上がると、それぞれ片手を軽く挙げて
「ヤッホー、熊耳君」
「お邪魔してまーす」
と挨拶してきた。
それを見た俺はベットに腰を下ろしたまま2人に
「どうも。それで2人はどうしてここに?」
と問いかける。
すると、谷本さんと夜竹さんはお互いの顔をチラッと見てから答えた。
「今朝、熊耳君から本音と同室って聞いたから、遊びに来ちゃった」
「せっかくなら、そのまま夕食も一緒にどうかと思って……」
「クマミーも〜緒に食べようよ〜」
そこまで聞いた俺が無意識に時計を見てみると、時計の針は5時3分くらいを指していた。
うーん、まだ夕食まで丸々1時間位はあるのか……
「うーん、せっかくの美少女3人からのお誘いだし、夕食はご一緒させてもらおうかな。とはいえ、夕食の時間まであと1時間くらいはあるけど、その時間はどうやって潰す気だい?」
「それなら大丈夫。トランプを持って来たから」
修学旅行のバスの中かここは! そんなの途中で飽きるぞ……少し適当な話にでも付き合って貰うか……
「成る程、トランプか……けどそれだけで1時間って意外と辛そうだな」
「えーそうかなぁ」
「そうだなぁ……そうだ! だったら俺の相談に少し乗ってくれないか。それで余った時間をトランプで潰そう」
俺はわざとらしく手を叩いて、そう提案した。
すると、谷本さんと夜竹さんが意外と食いついて来た。
「熊耳からの相談!! 何々!?」
「恋愛関係なら任せて、任せて!?」
えっ!? ここまで食いつかれるとは予想外だなぁ……まぁ提案した以上仕方ないか。
「期待している所悪いけど、相談って言うのは、来週のイギリスの代表候補生様との試合についてだよ」
これを聞いた2人はあからさまに、なーんだ。とがっかりしている。
というか、入学してたった2日で恋に落ちるなんて事そうそう無いと思うけど……
「そういえば〜、私たちが部屋に入った時にも悩んでたね〜」
「あぁ、最初は布仏さんだけにでも一応相談しようとはしてたんだけどな。丁度谷本さんと夜竹さんがいるんだから一緒に乗って貰おうと思って」
「成る程ね〜。私は良いよ〜」
布仏さんがそう言うと、谷本さんと夜竹さんも、私達も。っと軽く了承してくれた。
これは少し、お礼かなんかした方が良いな。
「ありがとう。お礼と言っちゃなんだけど、今日の夕食の代金俺が肩代わりさせて貰うよ」
「えっ!?良いの?」
「あぁ、相談に乗ってくれるんだ。それくらいはさせてくれ。それと、俺がお礼としてするんだから、変に気を使って安い物を頼まなくて良いからな」
「えっ、でも本当に良いの?」
「勿論だよ。寧ろこういう場面では、気を使われる方が割と辛いんだよ」
「わ〜い、クマミーの奢りだ〜」
そう言って、ジャンプするくらい喜んでいる布仏さんを、俺は指差して、
「そうそう、布仏さんくらい遠慮ない方がこっちとしてもありがたいんだ」
と笑顔で呟く。
それを聞いた2人はお互いに顔を見つめ合ってから、
「「ええっと、それじゃあ遠慮なく!」」
と笑顔で返事をする。
「それじゃあ、早速相談に乗ってもらおうかな。まずなんだけど、《ラファール・リバイブ》ってどんな…………」
その後、俺達は1時間どころか、2時間近く話し合ってしまったため、食堂で注文しても、5〜6分くらいしか食べられる時間が無くなるといった事態になってしまったり、それをなんとかする為に織斑先生に訳を話して、部屋で食べる事と食べ終わったら自分達で食器を洗う事を条件で夕食の時間を伸ばしてもらったり、と色々あったが、それはまた別のお話ってやつだ。