隻腕の師匠と捨て子の弟子   作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん

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相変わらず隣のおばさんちのカルピスの如くうっすい内容じゃわ。薄すぎて風遁使えそう(意味不明)
というかこれ、4のクエストメインでいこっかなーって思ったんですけど、本来の4の主人公宛に来てるクエとかあってそんな簡単にはいきませんでした…(懺悔)
つーことで途中から別の村とか場所を出そうと思うんです。よろしくおなしゃす、センセンシャル。一応その時にアンケとるのでー


4話 ジャギィ討伐と心配性の師匠

「回復薬と砥石と…あとはーー」

 

手際よくポーチの中にアイテムを詰めていくレオン。そろそろジャギィたちの討伐クエストの時間だ。

 

「ふーー、こんなもんかな?ジャギィ相手に解毒薬はいらないかな。いざとなればげどく草も取れるだろ。あとは食料だけど…これがまた難しいんだよなぁ…」

 

そう言って手を止める。実際クエスト中の食料事情は重要である。腹を満たすのは第一条件だが、その他にも味や持ち運びの良さなども考慮しなければならない。

例えばこんがり肉は美味いし腹を満たせるが持ち運びにくい。それに食べるのにも時間がかかる。しかし携帯食料はとてつもなくまずい。あらゆるハンターさん達が口をそろえるマズさなのだ。一説には本来食用ではない肉を加工しているとかなんとか…

 

「ま、そんな悩みも師匠の発明品で解決なんだけどね!」

 

そう言いつつポーチに小さな肉を詰める。発明品などと銘打っているが実際は唐辛子と塩で干しただけでである。ただしよくある硬くて塩っからいくず肉のようなものではなく、一度燻製にしてあるので思ってる以上に美味しい、というかツマミである。

師曰く、酒のお供を試作していたら「あれ?これ携帯にぴったりじゃないのか?」となったらしい。

 

「喉が乾くのと辛いのがダメな人は食べれないけど…師匠は売る気もないみたいだし関係ないか」

 

この保存食は未だ世に出回っていない。リーフが特許を取得した上にその存在を秘密としたからだ。

なんでそんなことをしたのか聞くと「自分が作ったツマミを他人に知らせたくない…!」と返ってきたので思わず呆れてしまった。

 

「よし!これで大丈夫かな!師匠!行ってきます!」

 

準備が終わり、師に声をかける。

 

「気をつけるんだよ。朝も言ったが奴らは個々が弱くてもそれを数と知能で補ってくる。知能も高いとは言えないがそれでも統率は取れている場合が多い。だから油断は厳禁だ。わかったかい?」

 

念を押すように言ってくるリーフ。やはり心配なのだろうか。というかこのやり取りはもはや母親と息子のそれである。

 

「ええ、わかっています。危ないと思ったらすぐ帰りますし」

 

「それでいい、生きてればなんとかなるからね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、出発したレオンは密林に着き、ジャギィの巣の近くまで来ていた。

 

「1、2…ジャギィが4頭とジャギィノスが2頭か。依頼内容には少し届かないな…」

 

草むらに隠れながらそう呟く。依頼達成にはあと1頭ずつ足りない。とはいえここは巣の中なので、戦闘を始めれば増援が来るだろう。むしろ気をつけるべきはーー

 

「想定以上の増援が来たらすぐ逃げよ…初陣でジャギィに囲まれて死ぬなんて笑い話にもならないや」

 

さて、偵察は終わった。次は行動するだけだが…

 

『いいかい?戦いにおいて数とは絶対だ。それは対モンスターだろうと対人だろうと変わらないのさ。だから多いと感じたら、個別に撃破するのが有効だよ』

 

師の言葉を思い出し、念には念を入れる。

 

「ここで突っ込むのはちょっと危ないかな?ここは数頭を釣るか」

 

そう言いながら端にいるジャギィの近くに石を投げる。石は狙い通りの場所に落ち、コツンと音を立てた。

 

「アゥ?」

 

少し犬にも似た間抜けな声を上げるジャギィ。仲間がいるからか、ここが自分たちの家であるからかはわからないが、特に警戒もせずに寄ってくる。

そして十分に引きつけたら…

 

(ここだ!)

 

声を出させぬように首に狙いを定め、草むらから一気に奇襲する。

 

「ギャン!?」

 

「くそ!浅い!」

 

だが刃は中途半端な深さまでしか届かず即死させる事は出来なかった。

とりあえずこいつだけはさっさと始末するべくもう一回斬り沈黙させる。まずは1頭仕留めた、が既にレオンは囲まれてしまっていた。

 

「グルルル…」

 

自分たちのの縄張りに入った挙句同胞を殺した侵入者に、ジャギィ達は怒り唸る。

いきなりのピンチ。だがレオンは焦らない。

 

『狩りの途中に焦ってはいけないよ?焦りは集中を切らして判断力を削いでしまう。それはまずい。不測に直面した時こそ冷静に、だ』

 

冷静に、静かに、油断せずにレオンは状況の打開を図る。

そんな待ちの姿勢のレオンに痺れを切らしたのだろうか、1頭のジャギィが飛びかかってきた。

 

「ふっ!」

 

レオンはそれを横にローリングする事で躱す。しかしそれを契機に他のジャギィ達が次々と飛びかかってくる。

右に、左にローリングをして、躱し続ける。だがいくら避け続けようと攻勢に出なければいずれはスタミナが切れて限界がくる。そして敵のど真ん中で動けなくなって仕舞えば…

 

「(このままじゃジリ貧だ…冷静に動きをよく見て、一つの標的を一気に片付ける…!)はぁ!」

 

意を決して避ける事を止め、ジャギィの噛みつきを無理やり太刀の刀身で受ける。本来、太刀は刀身が薄く、防御には向かない。刀身を盾として使うには大剣クラスの大きさがなければまともに防げないだろう。故にこの行動は本来は悪手も悪手であるが…

 

「ギァオ!?」

 

この場においては好手であったようだ。今までちょこまかと避けていた獲物が突然立ち向かってきたことに、飛びかかったジャギィは面食らったようだ。噛み付く力が弱まる。そして、それを見逃すレオンではない。

 

「ぐぐ…せいや!」

 

「ギャィ!」

 

ジャギィを押し戻し、よろけた所に一閃。頭を斬られたその個体は即死し、周りを囲んでいたジャギィの包囲網に穴が空いた。

 

「よし!」

 

ジャギィの強さも体で把握した、囲まれている状態からも脱せた。ならば、もう窮地に陥る事などない。

 

「はぁ!」

 

側面から走ってきたジャギィを横に回り込んで斬り捨てる。斬られたジャギィは慣性に従ってそのまま飛んでいき、壁に打ち付けられた。そして、直後に目の前から飛びかかってきた最後のジャギィをバックステップで躱す。

完全に不意打ちと思っていたのか、飛びかかりを避けるとジャギィは着地をしくじりわずかにバランスを崩す。それが、命取りだった。

 

「ふん!」

 

ジャギィが体制を整えた時には鉄の刃の切っ先が目の前に迫っており、それが彼の最後に見た光景であった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お疲れ様でした。今回がこちらの報酬金800zと素材です!」

 

にっこりと笑いながら報酬を渡す受付嬢。

 

「ありがとうございます!これが、自分でやった成果…へへ…」

 

全体的に見れば決して難しいクエストではなかったがそれでも笑いが止まらない。自分の力でクリアした、この事実が重要なのだ。

 

「おーい、側から見ると相当気持ち悪いけど大丈夫かい?」

 

邪魔にならないように端に移動しつつ喜びに浸っていると声をかけられる。

 

「あ、師匠!わざわざ迎えに来てくれたんですか?確かに昼から始めたのでもう暗いですけど、そこまでしてくれなくても…」

 

自分のために夜に出てきてくれたのか、そう考えると少し申し訳ない。

 

「いや、単にギルドまで用事があったのさ。そのついでだね」

 

そんな事はありませんでした。ちょっと恥ずかしい勘違いのせいで悲しみが湧き上がる。まあそのおかげで道の端でクルクルするのはやめられたが。

 

「あ…そ、そうですか…」

しょんぼりとしながら帰ろうとする。すると、横からあまり聞きなれない声が聞こえてきた。

 

「嘘は良くないのうリーフや。お主、そやつが戻るまで2時間くらいウロウロソワソワしておったろう」

 

かなり年を重ねている雰囲気の声の主はギルドマスターだ。というか、ついでではなかったのか?疑問に思いリーフの方を見やると…

 

「…………」

 

少し顔を赤くしつつ伏せていた…

表情を読ませない事には自信があったし、今回は特にバレないように気をつけたのだが…まさか横槍が来るとはさすがのリーフも想定外だったようだ。

しかもうまく行ったと思ったそばからこの始末なので、普段よりダメージが大きいようである。

 

「そういうのは、気づいていても言わないのが花ではないかい?暴露された側の心情を考えてみてくれ」

 

恨めしそうな目でギルドマスターを見つつ苦言を呈した。が、「ほっほっほ、見てて愉快じゃのう」と当のマスターはどこ吹く風である。

 

「はぁ…やれやれだよ…まあとりあえず時間も遅い。君の初陣の勝利祝いもかねて今日は少しいいものを飲み食いしようか」

 

観念したリーフはもっともらしい理由をつけて話題を変える。だがレオンの心のうちは…

 

(やべぇ、顔赤くしてプルプルしてる師匠めっちゃ可愛かった…っていかんいかん!そんな不純な気持ちなど…!など…忘れないようにしとこ)

 

新たな扉を開く一歩手前であった事は、それこそ言わぬがなんとやら、であろう




次は大型をさっさと出しましすかね

モガ村、森について

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