隻腕の師匠と捨て子の弟子   作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん

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たまに2万5千字も書く方がいらっしゃいますけど凄えっすわ。今回も内容薄いっすごめんね。


6話 突然隣のアルセルタス 後編

「マジで死ぬかと思った…焦りすぎて閃光玉の弱点を全く考えてなかったや…」

 

回復と休憩を終えて持ち直したレオン。千切れかけていた右腕も元どおりになっている。

 

「ほんとこの回復力は凄いというかえげつないというか…」

 

調合研究者の弟子ということをしている以上、師からよく豆知識やちょっとした雑学なんかを聞くことがある。

故に人体というものも常人より少しは知っている。一層この回復薬が不思議な薬に思えるものだ。

 

「やっぱり師匠の仮説通り、潜在的な力を引き出してるのかな。でもそれなら回復薬を飲んでも鬼人薬のように力が増しても…いや、今考えることじゃないか。とりあえずさっさとあのクソ虫を追いかけよう。それに、一つ作戦も思いついたしね。」

 

レオンにしては珍しく汚い言葉だが、あれだけの深手を負わされたのだ。それも仕方ない事だろう。

 

「こっちだな。いやーこやし玉様様だなぁ…」

 

強烈な臭いの残り香とそれを敬遠して不自然に小型モンスターが少ない道を歩んでゆく。この先は水辺があるので、今は必死に洗い流しているのだろうか。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

パシャパシャパシャと水の音が響く。

そこには水と戯れているアルセルタスの姿があった。

 

「やっぱり洗ってたか…洗浄に夢中で気づいてないのかな?なら…」

 

音を立てぬように後ろに回り込み、限界まで接近する。そして…

 

「もらったぁぁぁ!!!!」

 

一気に近づき腹に刀を突き刺す。

 

「ギ!?」

 

完全な不意打ちだったがために全く反応できないアルセルタス。しかしレオンの先制攻撃はまだ終わらない。

 

「はぁぁぁ!」

 

突き刺した刀を捻り引き抜く。

 

「ギギギギィァァァ!!!」

 

あまりの痛みに悶絶するアルセルタス。ここで仕留めるべく、とどめに移行するレオンだった。しかし何故かアルセルタスか反撃をしてこない。違和感を感じてよく見てみると、そこには見たことないポーズで叫ぶアルセルタスがいた。

 

「尻をこちらに向けている…?」

 

敵はすでに満身創痍であり、先程の奇襲も大成功した。もうあとはとどめに一太刀かもう1発入れるだけだ。だが僅かな違和感をレオンは切り捨てなかった。

直感に従いその場から真後ろに飛んで距離を取る。するとーーー

 

「ギギギ!」

 

奴の尻から液体の球がが飛び出てきた。

その液体の一つはレオンが居た場所に着弾しーーー

 

「うっわ!溶けてる!?これ、腐蝕液か溶解液の類か!避けててよかったなー!」

 

ジュワッと音を立てて岩と地面が溶ける。もしあのまま突っ切っていったらどうなっていたか、想像もしたくない。

 

「完全な初見殺し…いや場合によっては二度目以降でも充分に厄介だな…」

確かにアレを食らって仕舞えば大変な事になるだろう。

しかしレオンは、でもまあ、と言葉を切り武器を構える。

 

「もうそれには引っかからないよ」

 

アルセルタスとレオンの戦いは最終ラウンドに入った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「遅いな…大丈夫かな…いや信じろ…落ち着け私…」

 

ギルド内部でブツブツと独り言を呟くリーフ。その奇妙な光景に一部のハンターたちは好奇の目線を向けるが、そんな事を気にしている暇はない。

 

「既にクエスト開始からそれなりに時間が経つ…今回はアルセルタスだから日をまたぐことは考えにくい…」

 

しかし時刻は既に夕刻。日が落ちしばらくすれば、宴で騒ぐべくハンターたちで酒場が賑わうだろう。

 

「頼むから無事で居てくれ…」

 

願いを込めたか弱い言葉は、空へと消えていった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅん!ぐっ…ぜえい!」

 

「ギ!ギギギ!ギシャァ!」

 

1匹と1人が死合いを始めてから既に数刻、互いに決定打を入れられず、しかし着実にダメージを蓄積させあっていた。双方にかなりの疲労が見える。もう彼らは長く戦えないだろう。

アルセルタスは脚を数本欠損し、尻の射出機構が損傷している。

対するレオンも左足に傷を受け、さらに右目上に攻撃がかすり、目が開けられない。

お互いに、次が最後の攻撃となるだろう。

 

「へっ、そうだよな…最後の攻撃はやっぱ突進だよな…こっちは早く動けないし当たり前の選択だよチクショウ…」

 

アルセルタスが突進の構えを取る。脚の損傷が響いているのか溜めが遅い。

しかしレオンもそれに攻撃を加えられるほどの力もなく、見ることしかできない。

 

「さあ、こいよ…突進をしてこいよ…」

 

虫に挑発がわかるはずもないが、タイミングが重なったのだろうか。最後の力を絞って突進を仕掛けてきた。レオンの後ろは壁でこれ以上下がる事も出来ない。なので無理やり脚を動かして横へ転がろうとする。しかし疲労と怪我により上手く動かない。

 

「う、ごけえええええ!!!」

 

ここで動かなければ全てが台無しだ。故に動かす。

ボキっという音がした。骨が折れたか、だが関係ない。

ぶちぶちという音がしたような気がした。筋繊維が限界を迎えたか、そんなもん知るか。

やることは一つ。ただ脚を動かす。

 

「ああああああああああ!!!!」

 

獣のような叫び声をあげて無理やり横に移動する。

 

「ギ!?ギガ!」

 

まさか避けるとは思わなかったのか、勢いを殺しきれなかったアルセルタスは壁にツノを突き刺してしまう。

相当深く刺さってしまったのかジタバタともがくが抜ける気配はない。

それを見たレオンはゆっくりとアルセルタスに近づき、武器を掲げる。

 

「最初にお前の突進を食らった時におぼろげに見たんだよ。お前、あの時も早すぎた上にツノが硬すぎて岩に刺さってだろ」

 

あのピンチになった時、頭を壁から抜いていたアルセルタスを見ていたのだ。

 

「じゃあな、強かったぜ徹甲虫。僕の勝ちだよ」

 

徹甲虫と人間の戦いは、人間の勝利で幕を閉じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「レオン無事かい!?その傷…い、今すぐ治療しなきゃ!ええっとこの辺にいにしえの秘薬が…あれ!?ない!なら生命の大粉塵を…」

 

あれから観測船に信号弾を撃ち、クエスト終了の合図を出してバルバレに戻ったはいいが…

 

「し、師匠?ギルドに向かう途中で応急手当は終わってるので大丈夫ですよ?」

 

「ほ、ほんとうかい?どこも痛くないかい?」

 

師匠がめちゃくちゃ取り乱してました。大丈夫と言っても凄い心配してくる。別にいやではないのだが…

 

「おいリーフィール、いちゃつくのは家でやれ。ここはギルドだぞ」

 

団長がにやけながらこちらをからかってくるのだ。ええい恥ずかしいから早くこの師匠を止めてくれ!そんな事を考えてると…

 

「いちゃつくだと!?君はこんな時までふざけないでくれたまえ!さあ早く私に傷を見せたまえ!」

 

そう叫びながら無理やり服を脱がそうとしてくるリーフ。

 

「ちょ、ま、ししょ、やめ、やめてぇ!」

 

何を考えているのかこのアホ師匠は、周りでほかの人たちが見てるのに脱がそうとしてくる。公衆の面前で痴態を晒すという一生の黒歴史を回避すべく抵抗するが何故かリーフの力がえげつなく強い。

 

「なんで抵抗するんだ!?傷を治すためなんだ!さあ脱ぐんだ!」

 

グイグイと鎧をひっぱってくるリーフ。周りのハンターの大半はニヨニヨしながら見物しているだけだ。人の不幸は蜜の味とはよく言ったものである。一部はこちらを見ながら酒を飲んでいる始末だ。

 

 

「待ってほんとに脱げる!や、やめ、ぁぁぁぁぁ!」

 

ーーー夜の酒場に一際大きな悲鳴が木霊したーーー

 

余談ではあるが、その光景を見ていたハンターの何人かは「羨ましい…」とか言っていたそうな。その中に、女ハンターが混じっていたことは気にしないでおくべきだろう。




これが終わったら2本ほど番外編的なものを投下するかもです。半分はできてるのでそれを今日投下する予定

モガ村、森について

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