隻腕の師匠と捨て子の弟子 作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん
追加:UA4桁ありがとうございます!なかなか内容がペラペラですがこれからも頑張って行きます
今日も賑やかながら平和なバルバレ。日が昇り人々が活動を始める時間帯だ。
商人は店を開き、加工屋は炉に火を灯し、食事場は下準備を始める。そしてハンターはクエストを受けるわけだ。それはレオンとて変わらない。ただ、今回は依頼が変わっていただけでーー
「ファンゴの掃討…ですか?しかも指定数の討伐じゃなくて見える範囲で狩り尽くすって?」
いつもとは違う依頼に困惑が隠せないレオンだが、それも仕方ないだろう。討伐ではなく掃討となっており、さらには可能な限り討伐せよ、なんてハンターがやるようなことではない。
だがどうやら事情があるようで…
「うん、どうやら密林と渓流付近で異常発生してるらしくてね、商人隊だけじゃなくて誰も通れないらしい。本来はほとんどいない地域だから全部狩っても大丈夫って訳さ」
なるほどそう言うことなら心配はいらない。そして狩猟数の目安だがーー
「うーん、そこまでは聞いてないけど個人的な予想では20体前後じゃないかな?もともと大量に集まって群れを成すような種じゃあないしねー」
20、それならまあなんとでもなるか。そう思いつつギルドへ向かう。
「お?面白そうな依頼じゃねーか」
「アタシたちも一緒に行ってもいいかしら?」
途中でパーティー仲間と合流しながらクエストに向かう。目指すは渓流付近だ。渓流は美しいと言う話だ。そこでの狩りというのも乙なもんだ、そんな呑気なことを考える3人。彼らはまだ知らなかった。
ーーー徒党を組んだファンゴsの恐ろしさをーーー
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場所は変わりギルド受付にてーー
「結局あのファンゴの掃討ってのはどのくらい狩るんだい?」
受付嬢に問いかけるリーフ。そしてその答えを聞いた彼女は絶句してしまうことになる。
「こちらも詳しくは聞いてないのですが、『ファンゴの海』という話です。まあ軽く見積もっても3桁超えてるのではないでしょうか」
「…え?」
それを聞いた彼女は笑顔で固まってしまった。
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「ちょっと時間かかったけどここが目的地かー。少し水がきれいになってるし本当に近くに渓流があるみたいだねー」
「本当ね、半日もかからずに来れたしここは意外と穴場じゃないかしら」
「さらに進めば渓流だしな。その近くにあるユクモっつー村にも行ってみたいもんだぜ」
ファンゴを探しながら和気藹々と雑談をする3人。
「ん、こっちからなんとなくファンゴの鳴き声が聞こえるね」
「うむ、若干獣臭もあるな。これは予想より多いかも知れねえな」
そうして注意しつつ川沿いに歩いていると曲がり角に差し掛かった。おそらくここを曲がった開けたところにいるのだろう。
「よし、じゃあちょっくらお掃除と行こうか!」
「うん、さっさと終わらせよう」
「この新しいボウガンの試し撃ちをしたいわ!」
そうして元気よく飛び出した彼らが見たものはーーー
「フゴフゴ」「フガ」「フゴゴ」「フンギー!」「ブモー!!!!」「フガァ」「ゴゴ、フゴォ〜」「ブゴォ!」
ーーー見渡す限りのファンゴであったーーー
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場所はまたもや舞い戻りギルド受付にてーーー
「いやいや3桁ってそんなバカな。もともとファンゴは大きな群れをなさないじゃないか。好戦的な彼らは仲間同士で争う事も多いはず」
彼らは非常に気性が荒く、同士討ちも珍しくない。それ故に彼らはまとまって行動することはまずない。なので今回はかなり異常なのだ。
「はい、なので今回の依頼は副次的な目的として原因の調査も兼ねてます。1番の目的はファンゴ掃討ですが」
「なるほどね…しかしファンゴの海か…大変なことだね…」
あの突進野郎が見渡す限りいる光景を想像すると寒気がする。
この依頼を紹介したリーフはあの3人に同情をするのだった。
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件の3人は、絶賛逃亡中であった。
「ぬぉぉぉぉぉぉお!!!なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
「こ、こんなの聞いてないわ!!もう地面全体が動いてたわよ!?」
「やばいやばい逃げろ逃げろ!援護!逃げるのを援護してくれ!」
「無理無理無理!数が多すぎるわ!そっちこそ閃光玉とかないの!?」
「こんなの想像もしてないからないよ!」
「いってる場合か!追いつかれるぞ!」
「「「「「ブモーー!!!!」」」」」
「「「ぎゃああああ!!!」」」
★ ★ ★ ★ ★
「はぁ、はあ、はあ…」
「なんであんなしつこいのよアイツら…」
見つかってから約10分逃げ続けた彼らは、咄嗟に横道に入って難を逃れていた。
「そんで、何かわかったことはあるか?」
「何もないね…逃げるので精一杯だったよ」
なんの収穫もなく、徒らにスタミナを消費しただけという事実に滅入る男2人。しかしここで天使によりヒントが提供される。
「あの、アタシちょっと気になったことがある「本当か!?」きゃあ!」
「ウィレム、興奮しすぎだよ。アリスが痛がってる」
このクソみたいな状況を打破できるかもしれない、そう思ったウィレムはついつい力を込めてしまったようだ。
「あ…す、すまん…それで、気になった事ってなんだ?」
「逃げる時に思ったんだけど…あのファンゴ達、しつこすぎかった?」
その言葉に2人は首をかしげる。
「ファンゴなんていつもしつこいじゃないか」
「そうだけど…なんというか、変だったというか…みんなが協力してたというか…」
言葉を濁すアリスだが、おそらく感覚的なものでうまく表現ができないのだろう。
「つまり、統率が取れていたって事?」
「ん!!そうよ!統率が取れてたの!変に綺麗に丸くなってて…それに…気のせいかも知れないけど、笛みたいな音が聞こえたのよ」
言いたいことを言ってくれたと喜ぶアリスはさらにそう続ける。
「普段は仲間同士で争うアイツらが統率を取るってことは、ボス的な個体か人為的に操ってる奴がいるわけだな」
「そして笛の音が聞こえたってことはおそらくその馬鹿が元凶だね!」
「ようし!あと少し休んだからその馬鹿をぶちのめしに行くわよ!」
ーーー希望が見えてきた3人であったーーー
★ ★ ★ ★ ★
犯人を探し始めて数時間、彼らは高所から周りを見渡すために山に登っていた。
「うーん、見つからないねえ…」
「そうねぇ…時間も遅いし日も暮れそうね。テントみたいなものはないけど仕方ないわね」
「まさかこんなことになるなんて予想できないだろ。まあ勉強になったとでも思えばいいんじゃねえのかい」
そういいながら荷物を降ろし始める。すると突然、声がかけられた。
「おや?こんなところで地面に野宿ですか?」
振り返るとそこにはユクモ装備を着用した若い女性ハンターがいた。
「ええ、本来は今日中にクエストをクリアするつもりだったのですが予想外のことが起きてしまって」
するとそ女性は笑いながらある提案をした。
「ははは、それはそれは大変なようですね。私もここで一夜を過ごすつもりだったのです。宜しければご一緒しませんか?テントと下に敷く厚めの布なら4人分ありますので」
なんと寝床を貸してくれるらしい。思わぬ提案についつい嬉しくなってしまう。
「ありがとうございますわ、しかしアタシ達だけが施しを受けるわけにはいきません。何かお手伝いなどあればご遠慮なくお申し付けください」
「それはありがたい。では焚き火を起こすための木を集めてくる人、少し下の川から水汲みと魚を取ってくる人、そして私ともに今日の山菜やキノコを集める人に別れましょう」
そうしてアリスが木や枝を集め、ウィレムが水汲みと魚を、そしてレオンがユクモハンターと共に山菜を採る事になった。
★ ★ ★ ★ ★
「ここは綺麗な場所ですね」
キノコを取りながらレオンが呟く。沈む日の光が木の隙間から溢れ、なんとも神秘的な光景である。
「ええ、凄いでしょう。それにこちらは渓流に近い方ですからね」
「ほんとうに…師匠は見たことあるのかな」
ふと浮かんだ疑問。しかし無意識に言葉にしていたようだ。
「おや、お師匠様がいらっしゃるので?」
女が山菜をカゴに放り込れつつこちらを見る。どうやら少し興味があるようだ。
「ええ、捨てられていた僕を拾ってくれたんです。ハンターになるのも許してくれたし、むしろいろんな事を教えてくれました」
「そうですか…良い方に出会えたのですね…」
思わず自分の出生を言ってしまった。慌てて女を見るが軽蔑や嘲笑の念はなく、むしろ良き人に出会えた事を喜んでいるようだった。
「ええ、僕の自慢の師匠です。あ、でもなんか普通の人間じゃなくて、ええっと、天人?という種族らしいです。竜人は聞いたことあるんですけどね」
そういうとユクモハンターは少し驚いたような表情をする。
「天人ですか…なかなか珍しいお方なのですね」
何を驚いているのかレオンは不思議だった。
聞くところによると、天人は人とほとんど変わらないが身体機能や自然治癒力が優れていて、竜人ほどではないが寿命が長いそうだ。何より数が少ないらしい。
「そうだったのか…師匠は今何歳くらいなんだろ?」
「それはご本人様を見てみないことにはわかりませんな。しかし仮に貴方と同じくらいの外見なら、おそらく100〜120歳と言ったところではないでしょうか。ちなみに彼らの平均寿命は200歳前後ですね。竜人が軽く300を超えるのを鑑みると短いですな」
今が120で200が平均。そうするとちょうどレオン達と同じ世代になるわけだ。そんな事も考えながら拾ってくれたのかな、なんて思っていると既にカゴは満杯になっていた。
★ ★ ★ ★ ★
「ほら、大漁だぜ!」
「わあ凄い!あ、火は起こしてあるわよ」
山菜採りを終えると、2人は既に戻っていた。
「おや、ありがとうございます。それでは早速料理を開始しますか。ウィレムくんは魚にこの塩を振って焼いてください。アリスちゃんとレオンくんは山菜の皮を剥いて、一口サイズに切る事と、灰汁抜きをお願いします。私はこのキノコ達をソテーにしてやりますので」
その指示に従い各々作業を開始する。
しばらくすると魚の焼ける音や包丁の音が聞こえてきた。
「おし、魚はもうすぐで全部焼き終わるぜ。そっちは?」
「こちらもソテーが終わりました。あとはこの山菜をおひたしにするだけですね」
「もうお湯は沸いてるし味付け用の出汁も完成してます!茹でるだけですよ!」
「ありがとうございます。それではさっさと完成させていただきましょう」
そうしてあっという間に豪華な食事が出来上がった。
「「「「それじゃあ、いただきまーす!!!!」」」」
野外の食事の醍醐味とは、それぞれが好きなものを一番に口に放り込み、そしてその美味しさに感動する事だ。
「う、うめえ!この魚すげえうめえ!適度な脂に主張しすぎない白身、さらに振り掛けた塩が魚の旨みを引き出している!」
いきなり食レポをし始めるウィレムだったが、それもしょうがないだろう。野外で食べる食事というのはとてつもなく美味いのだ。それがその土地で採った素材の料理ともなれば言わずもがなである。
「このおひたしも美味しいわ…シャキシャキした楽しい歯ごたえは残しつつスジがあるわけではない。出汁の味も優しくてホッとするわね…」
「その和風ソテーも変わってると思ったが美味しいな。これは…特産キノコかな?でもバルバレで出回っているものより風味があってコクがあるなー」
そうして初のクエスト中の野外活動は、綺麗な星空の下、美味しい食事を楽しんで終わった。
★ ★ ★ ★ ★
「「「ありがとうございました」」」
朝になり、テントを片付けた後にユクモハンターにお礼を言う。
「いえいえ、こちらも楽しい時間でした。ああ、そういえば名前を名乗っていませんでしたね。私の名前はアオイと言います。少し先のユクモ村でハンターをしております。縁があったらまたお会いしましょう。その時は私の趣味である笛をお聞かせしましょう」
そう言って別れようとするアオイ。しかしなぜか3つの手に背中を掴まれてしまった。
振り返ってみると3人が冷たい笑顔でこちらをみている。
「失礼アオイさん、貴女、笛とおっしゃいまして?」
怖い。顔こそ笑っているが目が猛禽類の類である。
心臓が止まりそうになりながらも肯定をすると、今度は笛を吹いてみろと言われた。
ここで拒否したらやられる。そう思って笛を吹くと何やらこそこそ話している。
「(アリスどうだ?)」
「(ギルティ、ってやつよ)」
何をしているのか知らないが今のうちに…そう思った時、レオンが声を発した。
「か…」
「か?」
何を言っているのかと思った刹那ーー
「「「確保おおおおおおお!!!!!」」」
「にゃぁぉぁぁぁ!!??」
ーーー3つの人影がアオイの上に降りかかってきたーーー
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「それで君たちはこの娘を問い詰めたあげくもみくちゃにしたわけかい?」
ただいまギルドは修羅場です。
あの後めちゃくちゃにされたあげく泣きながらバルバレに連行されたアオイは、興奮する3人から隔離して事情聴取を行い今に至る。
「君たちは!3人で女の子を襲って弄ったあげく泣かせてバルバレまで強制連行するなんて!ハンターがどうこうの前に人としてダメじゃないか!」
「「「ご、ごめんなさい…」」」
ひたすら謝りっぱなしの3人。アリスに関しては涙目である。
しかし尚も終わる気配がない嵐に、思わぬ救いが訪れた。
「ぐす、あの、知らなかったとはいえ私の笛が原因ですので…その辺で…」
今回の騒動の被害者であるアオイその人からの助け舟だ。
調べたところあの笛にはファンゴを集めて仲間意識を高める作用があったらしい。当然アオイは知るはずもなく無自覚でファンゴの海を作り出していたわけだ。
「君が言うなら…でも二度と早まってはいけないからね!?わかったかい!?」
本人が良いと言うならこれ以上は無意味だ。リーフは最後に太い釘を刺してその場を立ち去る。
ギルド面会室は4人だけになってしまった。シーンという音が聞こえてきそうなくらい静かである。
「(気まずい…)」
「(レオン!なんとかしてくれ!耐えられん!)」
「(僕!?いや無理!同じ女性のアリスにたのみなよ!)」
「(私だって無理よ!何をいえばいいのよ!)」
小声でコソコソとそんな醜いやりとりをしているところにアオイからの声がかかる。
「皆さん」
「「「ひゃい!?」」」
変な声が3つ重なった。それを見たアオイはつい笑ってしまった。
「ふふ、今回は私も悪かったと言う事でこれで終わりにしましょう。でも一個だけお願いがあるんです」
「なんでもお申し付け下さい。貴女様の願いは私どもが死力を尽くして叶えましょうぞ」
「アリス?キャラ変わってるよ?動揺しすぎじゃない?」
どこかの帝国兵の様な事になってしまったアリスは置いておいて、話を進めよう。
「大したことではありません。これからは、私も時々クエストに一緒に連れて行って欲しいんです」
物凄く意外な事だった。こちらとしては一緒に狩りに行く仲間が増えてむしろ嬉しいのだが…
「え、ええ、いいですよ。僕たちでよければ一緒に行きましょう。でもそんな事で?」
「やった!ありがとうございます!そんな事がいいんです!…昨日の夜の野宿は今までで一番楽しかったんです。今まで、共に狩りに行ったことがありませんでしたから」
ーーーそう言って涙ぐむアオイだったが、この涙は、先のものとは別物だったーーー
ユクモは出したかった。あんまり知らないけど…
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モガ村、森について
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