隻腕の師匠と捨て子の弟子   作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん

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なんか前回ので少し燃え尽きた気が…


10話 爆鎚竜爆砕

「レオン、ちょっと私から依頼があるんだけどいいかな?」

 

特に変わらないバルバレの日時に珍しい言葉が聞こえる。

 

「師匠が僕に依頼?」

 

なんとリーフがレオンに依頼を出したようだ。自分でいけないのはしょうがないとして、わざわざレオンに頼むよりギルドに貼った方が良いのでは?

 

「うん、ほんとはそうしたいんだけどね…理由がね…ちょっと」

 

言いにくそうにしているリーフ。何がそんなに言いにくいのか?

 

「んっとね…その…鍋の材料にしたくて…」

 

「は?鍋?」

 

何を言いだすんだろうか。だが話を聞くと意外と鍋にもぴったりのようで…

 

「うん、アイツの素材は耐熱、耐圧性能が凄まじくいいんだ。それに体にまとわりつく鉱石も不純物が少なくて質がいい」

 

よくわかるけどよくわからない依頼理由に納得しつつ、モンスターの名前を聞く。

 

「そいつは火山に住んでいる。巨大な顎に転がり高速移動に2種類のガスまで使ってくる強敵。その名もーーー」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ぬぉわぁぁぁぁ!!!」

 

「ゴォォォォォ!!!!」

 

後ろから巨大な丸いものが矮小なコバエをすり潰さんと吠えながら転がってくる。

 

「ぬわぁ!!」

 

それをギリギリで横に避けるレオン。しかしその塊は勢いを止めるとこなく坂を使って方向転換し、又もやこちらに向かってくる。

獣竜種の中でも特に大きな身体を持つこのモンスターの回転攻撃はもはや高速いどうする戦車だ。しかもこちらに敵意を持つ超重戦車、いや、巨大兵器と言うべきか。

 

「くっそお!またかよ…ってええ!?跳んだ!?」

 

もう一度横に避けようと思っとき、ヤツが身体をしならせ、跳ねた。

 

「グォォォォ!!!」

 

そして咆哮しながらその自慢の顎を叩きつける。

 

「わぁぁぁぁぁ!!!あっぶねぇぇぇ!振動で周りの火薬岩も爆発したぞ!」

 

圧倒的質量の顎スタンプは周りを揺らし、近くにあったいつくかの岩を刺激したようだった。

 

「ちくしょう…硬い上にゴロゴロ転がりやがって!」

 

巨大な顎に大きな身体、溶岩にも耐える耐熱殻を有し車輪のごとく回る火山の強敵。

 

「ウラガンギン…めんどくせえ…!」

 

依頼内容は爆鎚竜ウラガンキンの狩猟だった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よお、お前さん弟子にガンキンを依頼したって?」

 

リーフが昼食を取っていると、隣に我らの団の団長が座ってきた。

その食事には酒がある。まだ太陽は高いのに…

 

「昼から酒とはいいご身分だ…って君はよく考えたら龍歴院所属だったっけ?比喩抜きでいい身分だね…」

 

からかおうとしたが本当に高い身分だったようだ。しかしそれに団長は苦い顔をする。

 

「あー、それは言わないでくれ。最近手紙が凄いんだ。まだ戻るつもりはないんだけどな」

 

どうやら自覚はあるようだ。この話題に耐えかねたのかそれより、と話を変える。

 

「なんでまたガンキンなんて?めんどくさい相手だ。わざわざ狩る意味がわからんな」

 

「あー…えーっとだね、その…鍋の材料として…ね?」

 

「は?鍋だ?」

 

レオンと同じ反応をする団長に、少しおかしくなってしまった。

 

「ふふ、そうさ。新しい調合をしたいんだが圧力と温度を高くしなきゃいけないんだ。でも普通の鍋じゃあ耐えられない」

 

グラビモスの岩のような外殻でもね、と付け足して水を飲み干す。残った氷がグラスにあたりカラン、と言う小気味良い音が鳴る。

 

「なるほど…だからガンキンってわけか」

 

ムシャムシャと肉を頬張りながら納得する団長。しかしここである疑問が浮かんだようだ。

 

「なあ、確かにアイツの素材は熱と圧に強い。とろこでお前さん、アレの素材をどうやって鍋に加工するんだ?」

 

「あ」

 

ーーーリーフは頭が真っ白になったーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おいこら!溶岩の中に入るのは卑怯だろ!出てきて正々堂々と勝負しろー!」

 

モンスター相手に正々堂々などと語るハンターが1人。この絵面だけ見れば漫才にも見える。しかし当の本人は至って真面目であるのだ。

 

「溶岩の中に入られちゃどうしようもないんだけど…」

 

何だかんだ言いながらも戦いをかなり有利に進めていたレオンであったが、不利を悟った爆鎚竜がマグマの海に逃げたのだ。おかげで全く手出しができない。ヤツはもう長く持たない。あと少しで討伐だったのに!

レオンは詰みに嘆くしかーーー

 

「そんなことはないんだけどねー!」

 

モンスター相手に迫真の演技をかますレオン。これを見れば、人は、この哀れなハンターはクーラードリンクを忘れて頭がやられてしまったのだろう、と思うに違いない。実際はイラついてるだけだが。

 

「くらえ!毒投げナイフ!そらそらそら!」

 

懐からナイフを取り出し投げつける。そのナイフにはドクテングダケから抽出した猛毒がたっぷり塗られており、被弾した対象を遅行性の毒で弱らす。

 

「グォォォォ!!」

 

「おっと!」

 

ただでさえ瀕死に近いのに、毒に特に弱い爆鎚竜はやめろと言うように一気に丸まって転がってきた。しかしそれに当たるレオンではない。

余裕を持って回避し、あらかじめ仕掛けておいた罠に誘導する。

 

「鬼さんこちら!手のなる方へってヤツだ!いや、どちらかというとボウリングってスポーツかな?」

 

ボウリングとは西のほうから伝来した遊びであり、10本のピンを2回ボールを投げて倒す競技だ。中にはボールに砕竜の粘液を塗ってピンごと爆破するアホがいるらしいが…

 

閑話休題

 

「ガオオォオォォ!!!」

 

ここで絶対に仕留めるという強い意志が感じられる爆鎚竜の回転は強烈な誘導を誇る。しかし今回はそれを逆手に取りーーー

 

「グォオ!?」

 

「残念!ガーターでしたってね!」

 

落とし穴へと誘いこむことに成功した。いきなり穴に落ちたことに大混乱し、もがく爆鎚竜。するとそこにレオンが歩いてきてとあるものを設置する。

 

「この落とし穴にはもともと大タル爆弾Gが仕掛けてあった。そして僕は今からそれの近くに小タル爆弾Gを設置する」

 

無慈悲な宣言をしたレオンは爆鎚竜の顔の右に小タル爆弾Gを仕掛ける。左側には大タル爆弾Gがあり、あと数秒で大爆発を起こすだろう。

 

「ガァァ!グァァァ!」

 

脱出するべくより一層力を込めてもがく爆鎚竜だが、自身の重さと毒が災いして抜け出せない。

 

「申し訳ございませんお客様、こちらのスポーツは1人一回プレイとなっております。では、またのご利用をお待ちしております」

 

ーーー煽りを込めた勝利宣言をした後、火薬の樽が爆鎚竜を襲ったーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

爆鎚竜を爆砕した後、その素材を意気揚々と持って帰ったレオンであったが…

 

「はいいいい!?やっぱりいらなくなったぁ!?」

 

「ほんっとごめん!」

 

帰るなりまさかの不要宣言を突きつけられてしまったのだ。

 

「あんだけ苦労したのに!」

 

テンションがおかしくなるまで苦労したのに、無駄だったのだ。その事実に膝が折れる。

話を聞くに、爆鎚竜の素材は強い。いや、むしろ強すぎたのだ。とてもじゃないが人の手では加工できない。

 

「いや、本当にすまない…私のミスだね…代わりと言っては何だが何かして欲しい事や欲しいものはあるかい?」

 

慰めになるかわからないが恐る恐る聞くリーフ。しかしレオンの食いつきようは異常だった。

 

「ほんとですか!?二言はないですからね!?」

 

「うわ!わ、わかったよ…」

 

がっくりとうなだれいたのにいきなりガバッと立ち上がってきた事に驚き、数歩後ろに下がる。

しかしそんなことは気にしないとばかりにレオンは要望を早速伝える。

 

「じゃあ…」

 

「じゃあ…?」

 

沈黙が続く。周りもどうなるかと見物こそするものの咳払いすらしない。

しかしその沈黙も永遠ではなく、レオンから言の葉が発せられる。

 

「み、耳かきを…」

 

「え?」

 

声が小さすぎて聞こえない。なので聞き返しただけなのだが…

 

「だから!耳かきをしてください!」

 

「うわぁ!わかったわかった!だから急に叫ばないでくれ!」

 

怒鳴られてしまったリーフは納得がいかない様子である。それにしても…

 

「そんな事でいいのかい?君の考えることはよくわからないね…耳かき程度ならいつでもやってあげるが…」

 

「そ、そんな事がいいんです!」

 

なぜそんなに耳かきにこだわるのか全く理解できないリーフ。

 

「本当に…苦労しそうだな…頑張れレオン…俺は何もできないが…」

 

こっそりと聞いていた加工屋は彼女の鈍感さに呆れかえるしかなかった。




頑張って毎日投稿してるけどそろそろきついかも…
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