隻腕の師匠と捨て子の弟子   作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん

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すっげえ場面転換多いのに駄文も駄文だから読みにくいかも…要練習って事で許してヒヤシンス。あと明日は全く書けないので投稿なしっす。


14話 上位、そしてモガへ

「え…上位への緊急クエスト…!?」

 

「そうじゃ、お主は最近ものすごい勢いで成果を出しておる。それに上位個体への遭遇経験もあるしの。ここらで昇格する気はないかの?」

 

とある日の夕刻、いきなり家にギルド職員が来て招集されたレオンは、マスターに思いもよらぬ事を告げられていた。

 

「い、いいんですか?僕まだハンター始めてから1年弱ですが…」

 

上位ハンターになるには平均で3年から5年の月日がかかる。しかしそれを大幅に超える短さに、嬉しさよりも戸惑いが大きい。

 

「いいんじゃよ、3年から5年というのは上位ハンター足るための経験を積むのに必要な時間じゃからな。お主はそれを1年で積み上げたという事じゃ。実際濃厚な1年じゃったろう?」

 

笑いながらそう語るマスター。確かに思い出してみればめちゃくちゃ詰まっていた1年であった。1月前は暫定G級の雷狼竜の狩猟の見学までしていたわけだし。

 

「は、はい。では…そのクエスト、是非受けさせてもらいます!」

 

緊張するものの、自分がさらに強くなるためには通るべき道だ。それに上位になればさらに武器や防具の幅が広がる。これを受けない手ない。

 

「ほっほっほ、良い返事じゃ。ちなみに依頼内容はリオレイア亜種、別名は桜火竜ともいうモンスターじゃ。しっかり準備するのじゃよ」

 

「はい!」

 

そんなやりとりした後、先のやり取りを伝えるべく家に戻ると…

 

「師匠〜!あれ?師匠?何作ってるですか?」

 

リーフは何かに没頭していた。銀の塗装がしてある小さな装置で、中には何か液体が入っている。

 

「ん?なんですこれ?」

 

横にあった出来上がっていると思われるその品をヒョイと拾ってみる。しかし見れば見るほど何に使うのかわからない。するとようやく人がいることに気づいたのか…

 

「わぁぁ!そ、それを返してくれ!…ふぅ…それで?なんの話だったんだい?」

 

慌てて取り上げた後、さっさとしまってしまうリーフ。よくみれば他にも見たことのないものが色々ある。まあ大半はガラクタだろうが…

 

「あー、えっとですね、上位のための緊急クエストでした。内容はリオレイア亜種だそうです!」

 

「おおお!遂に君も上位か!うむむ、1年で上位…早いね!私も鼻が高いってもんだよ!ふふん!」

 

まるで自分のことのように喜んでくれるリーフにこちらもさらに嬉しくなる。

ああ、本当にいい師を持ったのだなーーー

 

自分が素晴らしい人に拾われたことに感謝をしながら、その日は床につくのだった。

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

弟子が眠りにつき、街の人も寝静まっている真夜中の刻限に、一人自宅のテラスから黄昏ている隻腕のハンターがいた。

 

「ふぅ…私のガラクタいじりも一息ついた」

 

夜中まで趣味に没頭していたリーフはそう言って息を吐く。しかしその直後、悲しげな目をしながら独り言を呟き始めた。

 

「あれから数十年、いや、もしかしたら3桁行ってるかな?ふふっ、時間の浪費だけはG級だな」

 

自嘲するように笑いながら呟く。その声はあまりにも弱々しかった。

 

「あの日から、私の時間は止まっている…弟子をとり…いや、いつのまにか弟子になっていただけだが!………レオンを拾ってから人は私を変わったという。実際変わったのだろうね」

 

その独白は止まることなく続いて行く。

 

「でもね、それでも私は止まったままなのさ。弟子を育て、旧友と再会し、感情が出るようになったと言われてもなお、私はまだ歩み出せない。いや、もう歩む足はないのかもしれないね…」

 

懺悔にも聞こえるその独白は加速してゆく。その声には後悔の念が含まれている。

 

「なのになんだろうね?この小さな小さな、けれど無視しがたい胸騒ぎは…。ギルドも情報はない。まあ当たり前か。もしかしたら、私の恐怖が生み出した幻なのかな?」

 

ーーーその懺悔は、誰に聞かれることもなくーーー

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

『それじゃあ行ってらっしゃい。ああ、帰ったら重要な話があるからね』

 

翌日、レオンは予定通り出発をした。場所は前回と同じく渓流である。

 

「さぁて、ちゃっちゃと終わらすか!でも大事な話ってなんだろう」

 

気合いを入れるレオン。出発間際に師が行った言葉が気になるが今はクエストが最優先だ。

 

「綺麗なサクラ色かぁ…サクラってピンクらしいしすぐ見つかるかな?」

 

早速桜火竜の痕跡を探す。

 

「お、ピンク色の鱗が落ちてる…これをたどっていけば…いたな」

 

幸いにもすぐに見つけることができた。しかしそれは向こうも同じ。

 

「グォォォオオオ!!!」

 

こちらを見据え、原種よりも大音量の咆哮をしてきた。

 

「奇襲は無理か…まあ仕方ないか。さぁて!はじめての亜種!いざ行かん!ってね!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お前さん、なんか荷物をまとめていたがどうしたんだ?」

 

朝でもないが昼でもない中途半端な時間に偶然にも団長が家の前を通り過ぎる。まとめ上げられた荷物を見て不思議に思ったようだ。

 

「うん、実は彼のクエストがクリアされて、彼が上位に上がったら活動拠点を少し移動しようと思うんだ」

 

「ほぉ…そりゃあまたどうして?」

 

唐突な報告に、ピクリと眉を動かしつつも冷静を保ちながら聞く団長。その目には興味の色が浮かんでいる。

 

「いやぁ、そろそろバルバレも飽きたし」

 

「おいこら」

 

適当かつ軽い返事についツッコミを入れてしまう。それを見たリーフはしてやったりという顔をして、本当の理由を告げる。

 

「まあ冗談は置いといて…単に彼に新しい環境を見せてやろうと思ったのさ。別にずっとここにいてもいいんだけどね、これから行く場所の専属ハンターからも久しぶりに便りが届いたしいい機会ってわけだよ」

 

なるほど確かに納得できる理由だ。合理性だけではないのも説得力がある。

 

「そうか、なら行ってこい。気をつけろよ」

 

「おや?随分とあっさりしているね。反対はしなくとも、目的地くらいは聞いてくれるもんだと思ったのに。悲しくて涙が出てしまいそうだ」

 

よよよっと泣き崩れるリーフ。しかしここで団長か会心の一撃を放った。

 

「お前さんが半泣きでメイド服着せられてる姿をバッチリ見ているからそんな事しても無駄だぞ。ちなみにソフィアに絵を描かせてある」

 

「………うそ?」

 

リーフは愕然とした表情で団長をみる。その顔は悪魔の笑いを浮かべていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ギャオオオオオオオ!!!」

 

「とぅわ!」

 

桜火竜の突進が来る。原種よりも早く力強いそれは、まさしく陸の女王と言えるだろう。小型モンスターはおろか、並みの中型モンスターですら吹き飛ばしかねない攻撃だ。

 

「ぬぅん!」

 

だがレオンはそれを横や後ろに避けることをせず、逆に桜火竜に向かっていった。狙うは、腹の下だ。

 

「ふぅ!ギリギリだけどカウンター成功だ!」

 

角竜のと違い頭を下げない火竜種の突進は僅かだが地面との隙間がある。決して広くはないが、狙いを定めれば今のレオンの技量では入り込める大きさだった。

 

「アンネさんのやり方はおかしかったけど、学べることはあった…」

 

死を恐れないあの戦い方。完全に真似ようとすれば技量不足ですぐに死んでしまうだろう。なら、今の自分でも出来ることのみを再現するだけだ。

 

「ガァァ!!!」

 

懐に入り込んだ羽虫を振り払うべく、長い尾が振り回される。その尾の先には鋭い棘が生えており、単純な威力増加だけならず強力な出血毒まで含んでいる。

 

「おっと!」

 

それを即座に対応に反対側に避ける。

と、ここで桜火竜が変わった予備動作をし始めた。1歩後ろに下がりつつ力を溜める。

 

「っ!!!」

 

それを見たレオンはすぐさまその場から離脱する。先のように横や前ではなく、素直に後ろに逃げるのだ。

直後に、風圧を発生させながら猛毒の尻尾が一回転した。

 

「あっぶねぇぇぇ!あれがサマーソルト攻撃…食らったらお陀仏…かな…」

 

もし少しでも遅れていたと思うと寒気がする。

 

「グァォ!」

 

しかしそんな安堵など知ったことではないと間髪入れずに滞空しながら噛み付いてくる。陸の女王と言われていてもやはり火竜。空を飛びながらの攻撃は朝飯前のようだ。さらにその噛みつきには炎が纏っており、殺傷能力が上がっている。

 

「くそぉ…陸上戦はもうやってくれないか…なら引きずり落とす!」

 

ポーチよりとあるアイテムを取り出し、投げつける。

 

「ガォァ!?」

 

それは今まで幾度となくお世話になった伝家の宝刀、閃光玉だった。

ドシン!という重苦しい音と共に桜火竜が墜落する。平衡感覚も失っているのか立ち上がることすらできないようだ。

 

「今日はとっておきのモノがあるんだぜ!」

 

そう言って彼は近くの木の陰からカートに乗せたタルを持ってくる。そしてそれを頭の近くに置き、そそくさと退散した。

 

「ガァ…ガァァァァァ!!!」

 

一方墜とされた桜火竜はそんなものに気づかずレオンに吠える。その口の端からは炎が溢れており、怒っているようだ。

だがレオンは涼しい顔をしながら、それに答えるように石を投げた。

本来はただの石。せいぜい投げて気をひくことしかできないガラクタだが、今回においては切り札を起動させる一手となった。

 

「ガッ」

 

石がタルに当たった瞬間、火竜種のブレスすら凌駕する大爆発が巻き起こった。気づかなかった桜火竜は悲鳴をあげることすらできなかったようだ。

 

「うぉぉぉぉ!すごい威力だ…!さすがは大タル爆弾G…ってまだ生きてるのかよ!」

 

土煙が晴れると、そこには未だに立っている桜火竜がいた。しかしその翼膜はズタボロ、身体中から血を流している。どう見ても満身創痍だ。

 

「ァォォ…ウォォ…」

 

弱々しい鳴き声をあげ、足を引きずりながら撤退していくメインターゲット。しかしレオンは追いかけず、投げたペイントボールで寝床を把握するのみだ。

 

「捕獲、試してみるか」

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

「ここは…なるほど…」

 

 

ペイントボールのあとを追って進んでいると、火竜の巣に到達した。そこには先ほどの傷だらけの桜火竜が休息を取っている。相当に深く眠っているのか触っても全く起きる気配がない。

 

「ここにシビレ罠を設置してっと…寝起きにガチ電力してごめんよ…」

 

寝てる途中にいきなりビリビリされる事に同情しつつ、身体の真ん中に設置して起動する。

 

「ゴギャァァァァ!?」

 

起動した瞬間に飛び起きた桜火竜は、何か起きたのか全くわからない。しかし、無理やり覚醒させられた意識もすぐにもう一度眠りにつかされる事になる。

 

「ほいっほいっと」

 

捕獲用麻酔薬を練り込んだ、捕獲用麻酔玉を2個ほど投げつける。プシュッという音と共に標的の身体に薬を回らせる。

 

「ゴァ…グ…グォォ…」

 

薬による強烈な睡魔に勝てるわけもなく、桜火竜は眠りに落ちた。

 

「なるほど楽だなこれ」

 

一部には捕獲を好むハンターもいるというが納得の楽さだ。

生き物は死に瀕した時の決死の抵抗をするが、それを相手にする必要がない。罠のコストと多少の技量はいるがこれは一考の余地がある。

 

「まあいいや、とりあえずクリア!」

 

上位昇格クエストは危なげなく勝利した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ほっほっほ、よくやったのう。これでお主はHR4、つまり上位ハンターじゃ。これからも頑張りたまえ」

 

ギルドに帰ったレオンは早速マスターから昇格の知らせを受けていた。正直、興奮が隠しきれない。

 

「あ、ありがとうございます!師匠もありがとうございます!」

 

「おめでとう。さて、いきなりで悪いんだけど話があるんだ」

 

何やら真面目な顔で話を切り出すリーフ。昇格した喜びをもっと感じていたかったが、師の真面目な話は大抵重要な…重要な…?

 

「君、よくないことを考えてない?アイアンパンチ(文字通り)いる?」

 

「な、なんでもないです。それで!話って!?」

 

勢いでごまかすレオン。なぜこの人はこんなに察しが良いんだと愚痴をこぼす。

 

それを冷たい目で見たあと、一息吸って本題を切り出す。

 

「うん、私はこれから活動拠点を移す。君も、来ないかい?」

 

「え?」

 

思いもよらぬ話に当惑するレオン。

だが話を聞いてる間に頭が整理されてきた。

 

「なるほど…新しい環境…」

 

「君が嫌ならわざわざ行く必要もない。私は行くけどね」

 

ーーーそんなことを言うのは卑怯ではないか。自分は常に、(あなた)とともにいたいのだからーーー

 

「行きます。新しい環境にも興味あるし」

 

「いいのない?君も、ここで友人ができたはずだよ。それを無に…はしないか。でも疎遠になるかもしれない。それでもいいかい?」

 

ふと、3人の顔が浮かぶ。初めてできた狩友であり、長くないとはいえ色々なクエストをこなしてきた仲間。確かに彼らとの別れは辛い。だがそれでもーーー

 

「それでも、です。彼らには置き手紙を書いておきます。それに手紙くらいならやりとりできるでしょう?」

 

決意は、変わらない。

 

「わかったよ…出発は明日の朝だよ。それまでに準備をしておきな」

 

その覚悟を受け取ったリーフはもう何も言わない。

 

「あ、そうだ場所はモガって場所だよ。海が近くにある小さな漁村さ」

 

モガの村。

海の恵みと陸の恵みの両方を受け取って成り立っている自然の村。それを聞いたレオンは、昇格した時以上のワクワクが胸に起こっていた




モガ好き。3G大好き。
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