隻腕の師匠と捨て子の弟子   作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん

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19話 黒歴史と古代武器の真髄

月に一度の頻度でモガの村を訪れる巨大な船、交易船。モガを始めとした色々な場所に赴き、その土地の特産品と他の土地で仕入れた特産品同士の交換をする船だ。モガの米などもここから輸入している。

 もっとも、モガは特産品が多い為に基本は黒字貿易であるが。

 

さて、なぜここでこの話題を出したのか。その理由は…

 

「ふわ、ふぁぁぁぁぁぁ…」

 

リーフがキラキラした目でとあるものを見ていたからだ。

 

「し、師匠…そんな少年のような目で何を…」

 

なお弟子であるレオンは困惑している。こちらの方が少年であるのに…

 

すると、そんなレオンのことなど御構い無しに指を刺して件のものを指し示すリーフ。触る事ができないくらい貴重なのだろうか?そう思いながら見てみると…

 

「おー、これは凄いですね。ラギアクルスのインテリア?」

 

そこには、非常に精巧に作られた海竜、それも幻とされる黒い海竜、すなわち冥海竜を模した彫り物であった。

 

「いやーこれ凄いよ!横の大海龍もいいねぇ!」

 

控えめに言っても非常に高い水準のクオリティーだ。冥海竜の方は黒い電撃が禍々しくも神秘的に表されており、大海龍の方は荒々しくも生き生きとした躍動感あふれる作品となっている。

 

「ふっふっふだゼヨ!オヌシ、良き眼を持っているゼヨ!これはとある村で僅かに作られている木彫りの最高級品だゼヨ!職人が本物を見た事があるとの話ゼヨ!」

 

「んん?本物?」

 

「ゼヨ!」

 

どう言う事だろうか?冥海竜も大海龍も深い海にいるはずのモンスターだ。冥海竜は深海にいるし、大海龍に至ってはかなり最近に発見されたモンスターなのに。ところがラクシュがそれをると…

 

「すごい…まるで本物。これ作った人、誰?」

 

太鼓判を押すどころか作成者に興味を持った。本来は他人に興味がないラクシュが顔も名前も知らぬ者に気を引かれるなどとてつもなく珍しい。

 

「まあいいや、これおいくら?」

 

「ふっふっふ、だゼヨ!製造元は申し訳ないが極秘ゼヨ!さて、この2つの木彫りだが、一つ星7、つまり2つで14ゼヨ」

 

「」

 

その言葉を聞いてリーフは数秒固まった。

参考までに火竜の特産品は星5であり、7は恐暴竜や白海竜の素材となってくる。

 

「この前のイビルから剥ぎ取った胃袋で1つは買えるとして…もう一回はちょっとまけてくれない?」

 

ここは交渉しかない。例の海竜程出ないとは言え、数年間放浪していたときに培った交渉技術を今そこ!

 

「ダメだゼヨ。これ高いゼヨ」

 

「そんにゃぁ…」

 

取りつく島すらなかった。リーフはガックリと項垂れてしまう。しかし、そこに船長がとある提案をした。…一枚のイラストを見せながら…

 

「これ、オヌシゼヨ?ならいい話があるゼヨ。短時間で稼げるお得な仕事が…ヌベ!な、何するゼヨ!」

 

そこまで言いかけた船長が突然殴られてしまった。殴られた本人は何かと思い抗議の目を向けると…

 

「ふっー!ふっー!そ、それを見せるなー!」

 

顔を真っ赤にして涙目になりながら息を荒げるリーフがいた。

 

「そ、そこまでゼヨ?」

 

想像以上の反応に戸惑う船長。

 ちなみに彼が見せたものはメイド服にネコ耳カチューシャをつけて街中を歩かされている時の絵であった。

 

「う、うわぁぁぁぁあん!」

 

「あ、待ってください師匠!」

 

ガチ泣きしながらマイハウスに駆け込むリーフ。 

 己の黒歴史をがっつり掘り返された上に、いろんなところに出回っているという事実はリーフの心をベキベキにするのには十分だった。

 

「ゼ、ゼヨ…やりすぎたみたいゼヨ…とりあえず仕事があるので一旦失礼するゼヨ。あ、こっちの木彫りはおまけしとくゼヨ」

 

バツの悪そうな顔でそそくさと逃げる船長。とりあえず、取り残されたものはリーフを慰めに行く。

 

「師匠…?その、大丈夫ですか?」

 

恐る恐る声を変えるレオン。だが返答はない。

 

「は、入りますよ…って空いてない?そんなバカな…あ、あー!セッチャクロアリぬってある!」

 

なんと、鍵がないドアを施錠するために本来防具の応急処置に使う虫の体液を使っていたのだ。これでは開けれない。そしてこうなった彼女は大抵無茶な要求をするのだ。

 

「嘘でしょ…リーフ、何か欲しいものある?取ってきてあげるから開けて」

 

観念してさっさと要望を聞くしかない。そう思って話しかけると、今にも消えそうな声で返事が来た。

 

「…アジャラ…」

 

「「え?」」

 

「ガララアジャラ…」

 

「「ガ、ガララアジャラ?」」

 

突拍子もない発言に、2人は顔を見合わせるしかなかった。

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

場所は変わって地底火山の最奥地。そこには体のあちこちを爆破され破壊されたグラビモス亜種に、右手を垂れ下がらせ、明らかに重傷を負っている双剣のハンターがいた。

 

「んん…いいねぇ〜!やっぱ狩りってのは(タマ)の取り合いじゃなきゃあねぇ!あははは!!」

 

返り血と自らの血で真っ赤になったそのハンターは、自分の怪我など御構い無しに笑う、嗤う。すると、とある気配を感じた。

 

「ん!この気配は…リーフちゃんが自分の黒歴史を見せられてガチ泣きしてる気配!んん!愉悦!ああ!もっと!もっとアッシの愛しのリーフちゃんを弄りたい!いじめて最後は甘やかして依存させたい!ふひゃぁぁぁ!!」

 

なお、この光景は通りすがりのお守り採掘ハンターに目撃され、アンネには「変態(ガチサイコレズ)」の二つ名が検討されたらしい。

 

 

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

「はぇー、なんかすごいところだなぁ…」

 

「原生林は複雑な地形。遺跡みたいな物もあるしまだ完全に調査しきれてない」

 

リーフの機嫌を直すべく2人は絞蛇竜を探しにわざわざ原生林まで遠出していた。遠出と言っても2日で帰ってこれるレベルだが。

 

「さて、そろそろいないかなってなんじゃこりゃ?」

 

目標を探してあるべく歩き回っているとよくわからないモノを見つけた。

 色はオレンジで硬く、鱗のようなモノでーーー

 

「っ!離れて!」

 

「え?は、はい!ってうわぁ!」

 

触ろうとした瞬間、ラクシュから鋭い警告が来た。だが、僅かに反応が遅れたためにそのトラップに引っかかってしまった。

 

「う…うるせえ!しかも衝撃波あり!?」

 

あの鱗が爆発したのだ。その爆発事態は大きくないものの、衝撃波と高温を伴いながら破片を撒き散らした。

 だが、絞蛇竜の得意技はここからだ。

 

「下から来る!」

 

「うぇ!?」

 

まさか既に地面の中に居るとは思わない。咄嗟に地を蹴って転がりながら離脱したその直後ーーー

 

「シャァァァァァ!」

 

蛇の声を上げながら蛇みたいな竜が突き上げてきた。その様はまるで角竜のようだ。

 

「くっ、このやろー!これでも食らえ!」

 

不意打ちをされたお返しにあまり動いていない尻尾に斬りかかる。しかし…

 

「ッ!?かったぁ!?」

 

ガキン!という鈍い音を立てて弾かれてしまった。一応僅かに粘液が付着しているがあの量ではまだ爆破しないだろう。

 

「ガララアジャラは硬い。柔らかい弱点を狙うか疲れされるしかない。…まあ、私はガンランスの砲撃でいつでも攻撃できる。ふふん」

 

「なんでドヤ顔なんですかそうですよね攻撃通るんですもんねドヤ顔ですよねくそったれ!」

 

トラウマを刺激されたレオンが若干、いや結構キレ気味で返す。おかげで初めてのG級ハンターとの狩りなのだが本人は頭にないようだ。

 

「来る!」

 

「わかってますよ!っとお!」

 

絞蛇竜の噛みつき突進。それをラクシュはいつも通り完全に防ぎ切り、レオンは跳躍して上を取る。

 

「あの後、師匠から教わった落下攻撃…ここで使う!」

 

恐暴竜とエンカンウトしたあとに教わった落下攻撃の利点と欠点。それを今ここで見せるときだ。

 

「らぁぁぁ!」

 

対象が2つあるため、どちらを狙うか迷った絞蛇竜。そしてその隙をついて、上からレオンが降ってきた。

 

「シャァァ!ァァァ!」

 

位置エネルギーを利用した鋭い突きの攻撃は、蛇の脳天に突き刺さり、さらに粘液の爆破まで起こす。

 

「シャァァァァァァァ!?」

 

突然の痛手を負った蛇竜は本能のまま体を揺らしてレオンを弾き飛ばす。

 

「うわ!?まだ生きてる!?」

 

飛ばされながらも驚愕するレオン。正直なところ、アレで決まったと思っていた。だが、蛇竜の頭は鱗が剥がれ肉が焼けているものの、そこで止まっているようだ。

 つまり、脳は無傷なのだ。

 

「なかなかの無茶。リーフ譲り?」

 

怒った蛇竜の鱗爆弾飛ばしからの一斉起爆を倒れたレオンを庇いながら尋ねるラクシュ。よそ見をしながらも完璧な防御をする彼女を見て、やはりG級は桁違いだとレオンは思う。

 

「ですね。師匠の過去は教えてくれませんでしたけど、狩りの仕方は教えてくれました。太刀は機動力も重要って事を。…おおすっげ」

 

「過去はまだ…でも、狩りは教えてくれた。ふーん、わかった」

 

どこか思案中なのか真剣な表情で蛇竜と戦うラクシュ。レオンはかなり神経を尖らしていたというのに…

 

「んぐ…ふぅ、回復終わりました!師匠って、どんな狩りをしていたんですか?」

 

「あまり、人の話をしたくない。でも、私よりハンター歴は長いし憧れでもあった。強かったなあの2人は…」

 

どこか懐かしむように語るラクシュだが、レオンはそれよりも気になることを聞いた。

 

「2人?」

 

思わず聞き返すとラクシュは、しまった、と言った表情でこちらを見て「聞かなかったことにして」と言ってきた。まあ根掘り葉掘り聞く話でもないのでここで終わりにしよう。

 思考をやめ、もう一度蛇竜に走り向かっていく。

 

「シャァァ!」

 

だがそれを大人しく見ている蛇竜でもなく、硬いクチバシを連続で地面に叩きつけてくる。その場所は小さな穴があき、かなりの威力であることが窺える。

 

「よそ見とは、余裕だな!…言ってみたかった」

 

一方どこか緊張感の抜けたラクシュはいつもの超打撃コンボである叩きつけ+フルバーストを敢えて硬い首に叩き込む。

 

「シャァァ!?ァァァ!ァァァァァ!?」

 

その打撃は硬い鱗の防御を強引に破り、その盾を打ち砕く。

 

「守りが弱い。爬虫類如きが、頭が高いわ!…また言えた。むふー」

 

なぜかかっこいい(?)セリフを言いたがっているラクシュではあるが、レオンが狙っていた場所のガードを破ってくれたことは最高だ。

 

「よっしゃあ!っらぁぁぁぁ!」

 

倒れ込んだ蛇竜の首、その大きな傷に向かって太刀を縦一文字に振り下ろす。

 

「ーーーー!!」

 

あまりの激痛に悲鳴すら上げられない蛇竜。だが、仮にもモンスターがここでなされるがままに斃れるわけもなく、最後の抵抗に最高の必殺技を繰り出そうとしてくる。

 

「ーー!」

 

己をここまで傷つけた弱小なるニンゲンのオスを一撃で仕留めるべく、一気に回転し始める。

 

 だがそこには、大きな鉄を持った獣人がいた。

 

「加工屋さんと頑張って解明したこの古代武器…今こそ、真の力をみせよー!」

 

「何言ってるんだあの人」

 

その様子を呆れた様子で見るレオン。しかしその顔は直後に奇怪なものを見た時の顔になった。

 

「さぽーとしすてむ、おんらいん!…あってるかな」

 

 

 

 

〈サポートシステムオンライン。システム復旧…エラー。

 

バックアップダウンロード…サーバーが見つかりません。

 

危機感地システム…起動成功。現状把握開始…敵生命体と交戦中。エマージェンシーモードに変更。追加変更:所有権の変更。前所有者のバイタルが確認できないため、臨時的に所有者を現在の持ち主に変更します〉

 

この場に相応しからぬ機械音声が響く。その音は、レオンにもしっかり届いていた。

 

「な、なんだあれ…?本当に、古代武器なんだ…」

 

だが一番驚いているのはラクシュ本人だ。まさか喋るとは。

 

「え、え、え?ええ?と、とりあえずコレ倒すんだけど、平気?」

 

 

〈質問内容、理解及び肯定。

 

 敵生命体解析完了。生物学名:絞蛇竜と判定。

 

 討伐方法の計算…完了。

 

 提案:本兵器のリミッターの一時解除、及び焼却砲の使用による即時討伐〉

 

 

「焼却砲…竜撃砲?なら、ちょうどいい。そのりみったー?だけ解除して」

 

 

〈了解。

 

 リミッター制限一時解除。鉱石エーテル装填開始。装填完了まで推定8秒。〉

 

 

「よくわからない事ばっか言う。でも、8秒で撃てるのね。なら、十分」

 

そのやり取りの間にも、蛇竜はさらに巻きつきながらだんだんと迫ってくる。そしてーーー

 

「キシャァァァァァァ!!!!」

 

逃げ場をなくした上での強力無比な突き上げという、蛇竜の必殺技が炸裂した。

 だが彼は、ニンゲンを食らうことはなかった。

 

「口を開いたままに固定した。よし、撃って」

 

口を開けて突き上げた時、盾を下に向けていたおかげでその盾に噛みつく形になった蛇竜は、口を閉じることもラクシュを吐き出すこともできない。そしてーーー

 

 

〈了解。エーテル装填率97%。

 

 焼却砲:射出。〉

 

 

それまでとは比にならない大砲撃音と、蛇竜よりも大きな火柱が原生林に突き立った。

 

「どゎぁぁぁぁぁ!?」

 

おかげで近くにいたレオンは爆風の巻き添えを食らってしまったようだ。

 

 

〈焼却砲:終了。

 

 内部温度:165度を突破。冷却の必要あり。

 

 残鉱石エーテル量:2.8%

 

 推奨:エーテル再備蓄。材料:各種鉱石類。

 

 対象の生命活動停止を確認。死亡状態に該当。〉

 

 

相変わらずな無機質な音声が響く。その声にレオンは寒気がしてしまう。

 

「あ、ありがとう…?とりあえず、おふらいん?」

 

 

〈了解:サポートシステムオフライン。お疲れ様でした〉

 

 

そしてプチっという音がして、その後機械声が響くことはもうなかった。

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

「おーい、師匠!お目当のガララアジャラの尻尾取ってきましたよ!」

 

「…」

 

「まだ拗ねてるんですか…あ、そういえばアンネさんから手紙ですよ。なんでも『私アンネローゼ、24時間365日あなたを見続けてるの 』…だそうです」

 

直後、恐ろしいストーカー宣告をされたリーフが血相を変えて部屋から飛び出してきた。

 

「嘘だ!やめてくれ!もう人形は嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ…」

 

と思ったら今度はレオンの脚にしがみ付いて震えてしまっている。そんなに効き目があるとは思わなかった。

 

「とりあえずコレ、ここ置いておきますよ。何に使うんです?」

 

「ぐすっ…そろそろ切れるお酒があったからそれの材料だよ…一口飲むかい?」

 

相変わらず酒だったようだ。この人はどこまで酒が好きなのだろうか……でも、気になるよね!

 

「じゃ、じゃあ一口だけ…これですか?」

 

トテトテと部屋の奥から一杯の酒を持ってきたリーフ。その酒の色は半透明の微妙な色だ。

 

「い、いただきます…っぶへぇ!にっが!」

 

飲んだ瞬間ついむせてしまった。だがそれも仕方ないだろう。これ、とてつもなく苦い上に癖が強い。

 

「はは、君にはさすがに早かったかったな。これはトウガラシ、蜂蜜を混ぜた酒にガララアジャラの尻尾を2年つけた秘蔵の酒だよ。癖もあるし苦味もあるけど、慣れると美味しいもんさ」

 

酒の解説をしつつ、ニヤニヤしながらこちらを見つめるリーフ。非常にムカつく…が、これで機嫌が治ったなら安いもんだろう。

 それにせっかくだ、たまには2人きりで呑んでもいいだろう。

 

「もっと飲みやすいのはないんですか?」

 

「おや、珍しく夜に呑むようだね。ふむ…ではこれはどうかな?」

 

「お、これは軽くて飲みやすいですね」

 

 2人の太刀使いは朝になるまで静かに飲み明かした。

 

 

ーーーなお翌日、グロッキーな様子で倒れているアホ2人が発見されそうなーーー




今回のガンランスに使った人工AIはタイタンフォールのBTみたいにユーモアはありません。基本は受け答えのみの機械の設定です。

あとガララアジャラの漬け酒はトリコのリーガルマンモス編の前に出てきたやつみたいな感じです。マンサム所長と重松副会長が飲んでるシーンのやつ

ブラボを久々にやったらなんかMHと組み合わせられるんじゃないかと思った。まだ書いてみるか決めてないから気軽に答えて欲しいです。仮に書いてもオッケーが多くても本当にやるかはわからないです。

  • あり
  • なし
  • ありより、でも世界観難しいんじゃ?
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