隻腕の師匠と捨て子の弟子   作:銀髪っ娘にTS転生したいおじさん

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これはやりたかった(エロガキ並感)


番外編 温泉騒動 前編

「お〜〜〜〜〜〜〜い!愛しのリーフちゃ〜ん!一緒に温泉旅行に行こ!」

 

「うん、絶対に断る」

 

「なんでさ!」

 

海と山に囲まれた大自然のさなかにある小さな村であるモガは、現在絶賛修羅場であった。

 

「なんでも何も!君は絶対よろしくないいかがわしいことが目的だろう!?わざわざ犠牲になりにいく馬鹿がどこにいるか!」

 

原因は赤いバラことアンネローゼが来ているからである。

 ちなみにわざわざモガまできた理由は温泉旅行に誘いに来たからだ。だが、最近は二つ名が「変態」への変更が真面目に検討されているアンネの誘いはあまりにも怪しい。怪しすぎる。

 

「大丈夫!変なことしな、うへへへ…しないから!じゅるり…」

 

「説得力が皆無だ!よだれを垂らして危ない顔をしながら行ったところで誰が信じるか!」

 

焦点が合っていない表情で震えながらこちらに手を伸ばしてくるアンネ。その様子はもはやホラーである。

 初めはG級ハンターがまた来たということで村の中は歓迎ムードになっていたが今ではみんな引いている。………村長とセガレは大笑いしているが。おのれ他人事だと思って…!

 

「リーフ、リーフ。なら私たちも行く。それなら安心でしょ?あと場所はユクモなんだけど、今ちょうどオットーがいるから」

 

リーフを見かねて、というよりは単に自分も温泉に興味があるのだろう。ラクシュが助け舟を出してくれた。

 しかも現地にはギルドナイトが!これなら…

 

「うーん…まあ温泉は惹かれるし…いっかぁ…でも君は私の半径50メートル以内には来ないでくれ!特に温泉と寝るときは!」

 

「え、やだよ」

 

「即答すんな!」

 

なおも漫才を続ける2人。側から見ればG級ハンターとHR1が対等に話している異様な光景だ。

 

ちなみに受付嬢のアイシャはというと…

 

「ア…アア…ワタしも、オんせン、イキタい。デも、Gキュうハンたー、ホウコク、じかン、ナイ。ゴフッ」

 

怨嗟の声を漏らしたあと、吐血してそのまま沈黙してしまった…………。

 

「あ、死んじゃった。まあすぐ生き返る。ささ、早く行こ」

 

もはや慣れたと言わんばかりにスルーするラクシュ。原因はアイシャにあるのだろうが、これはさすがに不憫すぎる…

 

「ずいぶん雑ですね…ところで僕たちは…その…」

 

その光景に苦笑いしつつ恐る恐る本題に入るレオン。

 まるで女子旅行のような雰囲気になっていたが男子とて温泉にはそそられる。

 もちろんやましい気持ちなど…など………ない……多分。

 

「もちろん、男2人も行く。みんなで行ったほうがいい」

 

「おおっ!俺たちもいいか!そりゃ嬉しいぜ!ユクモの温泉は素晴らしいからな!」

 

快諾したラクシュとそれに同意するリーフだったが…

 

「(ああ…せっかく2人の旅行になると思ったのに!…だけど、まだチャンスはあるよね…うへ、うぇっへへへへへへへ…)」

 

 ーーー図らずも大人数旅行となったことに、1人だけ心中穏やかでない者がいたーーー

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

ガタガタゴトゴトと揺れる車に乗る5人。

 モガの村を船で出たあと、すぐにアプトノス車に乗り換え変えた彼らは、本来は野宿等を含めて1週間はかかる道のりを4日で走破していた。

 

「ひぃ〜疲れた…なんで君は交代制で夜も進むかなぁ!?」

 

「お、おお…旅でここまで疲れたのはなかなかないぞ…みろ、レオンが倒れている…」

 

そのかわり、各員の睡眠を犠牲にしたわけだが…

 

「ふぅ…な、情けないね…アッシを…はぁ…み、見習うといいよ…」

 

「「「おめー(アンネさんも)フラフラじゃねえか!(じゃないですか!)

 

ドヤ顔をしようとしながらも一番フラフラで倒れそうなアンネに鋭いツッコミが入る。

 まあそもそも彼女のやり方が短期決戦型なのだ。特に負傷を厭わないその狩りーー狩りというより虐殺にも見えるがーーは他の短期型のハンターよりも数段は速い。そのおかげでスタミナ、特に持久力は全くと言っていいほどない。

 なのに、今回の旅行(主に2つ目の意味で)が楽しみすぎてはっちゃけていたのだ。

 

「ふふん、みんなダメダメ。私こそ見習われるべき。むふふ。尊敬していいよ」

 

対照的にラクシュはまだまだ余裕があるようだ。まあ攻撃を全てガードするなんてやり方を採用しているのだからスタミナは多いのだろうが…

 

「さ、さすがに元気すぎるぜラクシュさん…強走薬でも飲んできたのか?」

 

「む、私はそんなものに頼らない。…でもナバルデウスのときはさすがに使ったけど。今でも屈辱。ぬぬぬ」

 

基本はスタミナ増強の薬に頼らないラクシュだが、かの古龍を単騎で討伐した時はさすがにお世話になったらしい。

 

「そういえば君からあの時の話はほとんど聞いてないね。どのくらい長く戦ってたんだい?」

 

「自分ではわからなかっけど、村長が丸5日は狩りに行っていた、って言ってた。確かにタフだったよ」

 

「丸5日って君ね…人間は陸上の生物なのだけど…」

 

さすがにアベルやアンネと言ったG級ハンターも開いた口が塞がらない。

 というか5日はもはや魚類の域である。いくら酸素玉を調合分まで持っていったとはいえ、その長さを潜るなど不可能に近い。

 

「まあでもラクシュだし。あ、アッシは無理だねぇ。そんな長い間同じ場所、同じやつと相見えてらんないね。

 狩りなんて、適当に切り刻んで爆破すりゃええのさ」

 

「君は君でそのやり方をやめないか?というか、2人ともアベルを見習おうか。G級なのにトゲがない素晴らしいハンターだぞ!この適応力の高さを見習え!」

 

「うるさい。私は鉄壁なのだ。要塞なのだ。最近は武器が喋るようになったのだ」

 

兵器が喋るという衝撃的な報告を唐突にされたリーフは目を剥く。

 しかし、ベラベラとくっちゃべるこの5人の車に障害がすぐそこまで迫っていたことに彼らは気づかない。

 

「しゃべ!?ってああ…あの発掘兵器か。今でも起動できる…なんかきたな?」

 

さらに距離が縮まり、リーフが気配を感じとる。既にG級の2人も気付いているようだ。…さすがに上位のレオンはまだだが…

 

「うん…でもなんか他の気配もない?」

 

「これは…人間っすね。アッシ、よく他人からいろんな目で見られてるからわかるんだ〜。

その奥には大きめの気配が一つ、多分逃げてるのかな?」

 

「じゃないか?そら、見えたぞ。やっぱり人間、それも商人だな」

 

アベルの報告に顔だけ出して外を見る5人。そこには若干ふらつきながらも必死に逃げる商人が3人ほどいた。

 

「ひぃ…ひぃ…あ、アンタたち!ここはダメだ!は、早く逃げろ!」

 

息を切らしながらも必死に告げる商人の1人。

 自分たちが疲労困憊でありながらも、見ず知らずの他人に警告してくれるあたりかなりいい人だろう。

 

「まあまあ、何が出たんだい?」

 

とりあえず気が動転している商人たちを落ち着かせ、状況を整理しよう。

 

「アオアシラが出たんだ!しかもただのアオアシラじゃねえね!めちゃくちゃな強さだった!」

 

「そうだぜ!実際、護衛のハンターたちもやられちまった!」

 

「アイツらのギルドカードをみたけどよぉ、HR4と5だった。つまり上位だったんだよ!なのに…!なのに3分ももたずにやられちまった!」

 

恐怖がまだ残っているのか震えながら叫ぶ3人。

 

「んー、そのアオアシラはG級個体なわけだ。運がない…いや、むしろ素材が売れるから幸運かな?」

 

「そうだね。ま〜その上位ハンターたちはまあ…ご愁傷様ーって感じ?ま、ハンターなんてそんなもんよ」

 

呑気に話しながら武器を背負うアンネ。だが彼女を知らぬ商人ズは必死に止める。

 

「や、やめろ!アンタまで死にに行く必要はないだろ!ここはギルドに報告して封鎖するから、アンタたちも一旦ーーー」

 

引き返せ、そう言おうとした瞬間だった。

 ーーー彼らがとてつもない威圧感を感じたのはーーー

 

「…あぁ?封鎖だぁ?ふーん…あのクソ熊のせいでここ進めなくなるんだ?」

 

ゆらり、と頭を揺らすアンネ。明らかに先程とは違う雰囲気である。

 

「ひっ!?ア、アンタ…なんだ…?」

 

ここに来るときよりも強烈な恐怖を覚えている商人はガチガチと歯を鳴らしながら必死に言葉を絞り出す。

 

「アッシはしがないハンターだよ。ねぇ商人さん?あの熊をぶっ殺したらこの道通れるんだよね?」

 

ずいっと顔を近づけるアンネ。

 

「ひっ…ひっ…」

 

商人はもはや言葉も出せずにただコクコクと頭を縦に振るしかない。

 一応、本人にとってはただ聞いただけなのだが…

 

「よぉし!ちょっくら行ってきま〜す!」

 

そう言ってひょいと車から降りた彼女は一瞬で加速し、高速で獲物に向かっていった。

 

「あーあー、ガチで怒ってるねあれ。どうも短気だよなぁ…あんな怒んないで黙ってれば可憐な少女なのになぁ…」

 

「あれは治りそうもないな…しかし、赤いバラか…恐ろしいな。先程の鋭いナイフを連想させるような眼光は恐れ入る」

 

「リーフだって、その酒癖と実験癖がなければ優良物件…いや、超がつく」

 

「し、師匠はダメです!…………あいや、その、なんでもないデス…」

 

「君は何を言っているんだ?まあいいや、どっちにしろ私は左腕ないし実験楽しいし酒うまいしこのままがいいや」

 

残された4人は、未だ恐怖に震える商人ズを放置して雑談に興じるのであった。

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

ーーー自分は強い。

 それは疑いようもない事実だ。実際、矮小なニンゲン2匹を、文字通り圧倒的な力で捻り潰した。残念ながらハチミツは持っていなかったようだが…

 

「あ〜、あんただね〜?ここの道を通せんぼしてるのは?…ん、そこに落ちてるのは…ギルドカードか…」

 

なんだ?って、またニンゲンだ…しかもさっきよりも小さい。これはメスか…

 ニンゲンは頭が良いのではなかったのだろうか?まあいい、今回も潰してやろう。そしてハチミツをーーー

 

奪おう、そう思った時だったーーー

 

「まあ興味ないけどねぇ!ひぃやぁぁぁ!!」

 

ーーー血に濡れた、赤いバラのトゲが青熊獣をとらえた。

 

「おおっと避けるか!いい反応ありがとうございますぅ!さぁ!さぁさぁ!どんどん行くよぉぉ!?」

 

「グォォ!?」

 

なんとか反射的に避けた青熊獣だが、バラの連撃は止まるどころかさらに苛烈になってゆく。

 

「そこぉ!はっはぁー!隙だらけだねぇ!」

 

「ガ!グァァ!」

 

必死にアンネを捉えようとする青熊獣だが、あまりにも速すぎる。

 

「遅い遅い遅い!そんなんじゃ一生かかっても追いつけないぜ!…まあ、あんたの一生はここで終わるんだけどねぇ!」

 

青熊獣の突進ををひらりとかわし、すれ違いざまに斬撃を叩き込む。

 G級個体の砕竜の素材で作られたアルコバレノは、強烈は爆破属性もさることながら、そもそもの斬れ味が凄まじい。

 

「ギーーー」

 

僅か3回の攻撃で、青熊獣はかなりの重傷を負ってしまった。

 …たらればの話であるが、もしここで青熊獣が全力でいたら、生き残れたのだろうか?

 

「ガァァァァァ!!!」

 

だが青熊獣は実際には引くことはせず、怒りと痛みに任せて全力で発達した前脚を振り抜いた。

 ーーーそしてそれが、直接の敗因となってしまった。

 

「が…?」

 

間抜けな声を上げる青熊獣。その目線は自分の前脚に注がれていた。

 

ーーーその前脚は2本とも無くなっていたがーーー

 

「はい、ありがとさん。まあアオアシラならこんなもんか…んんー、つまらないねぇ」

 

アンネの変わらない声が響く。だがその声など聞けるはずもなく、腕を失った哀れな熊はそのまま血溜まりに倒れ伏した。

 

「いやーそれにしてもいい武器だねぇこれは。

 あのスイングはパワーはともかく速度はそれなりだったけど、刃こぼれ一つなく真っ向から斬れた…っていてててて!マジか、あんなひ弱そうな腕でも割と威力あったのか…」

 

先程アンネが青熊獣の脚を斬ったことに特にカラクリはない。ただ力任せに振るわれたソレに真正面からぶつかっただけだ。

 無論、アルコバレノという超一級品の武器に高い技量、そしてアンネのような度胸がなければでき得ぬ神業であるが…

 

「さてさて、この腕は持って帰りますかな!ぬへへ、リーフちゃん褒めてくれる…かな?」

 

ルンルンで戻るアンネであったが、一般人の商人たちに(わざとではないとはいえ)殺意に近い意志をぶつけたこと、さすがに斬った脚を「お土産!」と言い張って笑顔で渡すサイコパスぶりに苦言を呈されてしまった…。

 そのせいで着くまで不貞寝してしまい、アプトノス操作担当が消えたハプニングがあったことも追記しておこう。

 

 

 




濡れシーンはさすがに描写する予定はないです。
ただそういうことがあったヨー、とそこはかとなく書くかもしれません。まだ未定です。予定は未定、シャクンタラーにもそう書いてある。
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