とある小人の昔話   作:初代小人

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少し昔の話をさせてください。

そう、ほんの少し前の話。
SNSにも、友人にも、誰にも伝える話でもない、これはそんなありふれた日常の、それでいて人生の中で大切な……本当に大切だった1ピースだから。




あれはそう、高二の春だったか。

昨年まで私の高校で務めていた英語の先生が異動になり(本人の弁では飛ばされた)、気に入っていた私達の学校の生徒にもうに教えられないのが忍びないということで、完全に善意で先生の別宅で勉強会を開いてくださった時から、この話は始まる。

 

 

確か春の陽気だった。

薄手の羽織ものすら少し暑いと感じつつも、私は三時頃には終わった勉強会の帰路についていた。

まあ別に私一人で帰っていた訳ではなくてその勉強会に集まっていたほとんどの生徒は近くにひとつしかない駅に向かって、この後の寄り道先等を駄弁りながら歩いていたのだけれど。

 

 

私はその前年のクリスマスの少し前に初恋が破れて、少しばかり鬱のような状態であったから、もはや勉強会メンバーの顔も先生以外に興味はなく、ただ空気を暗くしないようにだけ気をつけて「普通」を装って居たような記憶がある。

 

 

何にせよ私には他者に関わるつもりはなかったし、何より顔見知りと言える人もいなかったため、他の人達がどこに寄り道しようが誘われるわけもないと思って、気を遣わせても悪いからと少し距離を取って歩いていた。

この後バイト入ってるし。寄り道してられない、だなんて自分に言い聞かせていた。

 

 

しかし私の予想はいい意味で外れて、名前も覚えていなかったけれど、勉強会の昼休憩に先生が手料理を振舞ってくれた際、配膳等を進んでこなしていた気配りのできる女の子2人が私に声をかけた。

 

 

「この後ミスド寄るけど良かったら、小人くんも来ない?」

 

 

私は慌てていたのかあまり記憶はないけれど伺うように彼女らを見てから、5時にバイト始まるからそれまでの少しの時間だけでも良ければだなんて返答をした。

 

じゃあ決まり、だなんてその女の子のうちの一人が言った。

 

 

帰りの電車の中でも、確か2人の隣に申し訳程度に座ってくだらない話をしていた。

 

そうして来る時に自転車を泊めていた駅に着いて、近くのミスドに入った。

 

 

ミスドの中でもくだらないやり取りをして、途中からお絵描き大会になって、絵心のない私はそのあまりの下手くそさに終始2人に笑われていた。

だけれど学校の教室で聞こえてくる少しばかり軽蔑が入ったような笑いとは違って少し心地よかった。

 

失恋以来落ち込んでいて外で笑わなかった私は、久しぶりに腹の底、心の底から笑い声を上げて、楽しいひと時をすごした。

 

誘われた時こそ、「断る理由もないし」などと考えていた私だったが、バイトの時間が迫り、ミスドを出る時には後ろ髪を引かれていた。

 

先に帰ってバイト先でも少し浮かれていて、バイト先の友人に「何かいい事あったか?」と言われたくらいだった。

ちなみにガッツリと自慢した。

 




こんな独白に最後まで付き合っていただけたことに最大の感謝を表します。

もし許していただけるのだとしたら、また綴られるであろうこの続きも読んでいただけたら、私は本望です
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