君に捧ぐ 〜幸あれ〜   作:Kalin

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第2話

私は見知らぬ病室で目を覚ました

 

ここはどこかそんな疑問は浮かばない

 

なぜなら私はここがどこか知っている

 

私は売られたのだ

 

軍部の秘密実験団体に

 

そこは戦争による死傷者を減らすという名目で

 

非人道的な実験を繰り返し

 

英雄そう呼ばれる存在を作り出そうとしていた

 

私は大切なあの人を守るためにここに売られた

 

その大金で彼女は生きることができる

 

 

 

1日目は死刑囚と殺し合いだった

 

2日目は投薬実験を行った

 

3日目は体を開いて機械を埋め込んだ

 

4日目は死刑囚と殺し合い

 

5日目は投薬実験を行う

 

6日目は体内の機械の調整を行い

 

7日目は痛覚を麻痺させる拷問訓練を行う

 

そんなことを繰り返す

 

投薬され体を弄られ死刑囚と殺し合う

 

7日に1度拷問を受け心も体も麻痺していった

 

気づけば私は死刑囚を片手で殺せるようになり

 

今度は軍隊の命令を背いた

 

反逆兵と殺し合っていた

 

戦う相手はどんどん強くなる

 

色んな殺人鬼や兵士

 

更にはご同類とも戦った

 

いや戦ったのではない

 

殺し合ったのだ

 

そうして20年たった頃

 

私はやっと解放された

 

いや解放では無いかもしれない

 

軍に正式に入隊することになった

 

階級はあってないようなものだ

 

特尉という階級だ

 

正式名称は特別戦闘及び対兵器用戦闘少尉

 

少尉なんてついてるが

 

大佐からの勅命を黙々とこなすだけだ

 

戦車に単身で突っ込み左手で主砲を掴み

 

右手で小銃を破壊する

 

走行している戦車の扉をあけ

 

グレネードを投げ込む

 

1個大隊と単騎で戦い殲滅する

 

たくさんの人が血を撒きながらまわりで倒れていく

 

感情はもう既にない

 

痛まないし苦しくもない

 

腕は千切れ片目を失い帰還する

 

1日寝ていれば全て元通りに治っている

 

俺の体はもう人間ではない

 

戦争でたくさんの人を殺していた

 

俺の手には血が染み込み

 

耳には悲鳴が刻まれ

 

地獄のような光景を目に焼き付け

 

いつの間にか忘れていた

 

売られてから25年後

 

終戦...

 

 

 

俺はどうなる

 

戦争は終わったんだ

 

もう殺せないのか

 

もう壊せないのか

 

俺はなぜ生きている

 

戦績は敵兵撃破数15万3482人

 

破壊兵器数1万32機

 

夥しい死体と破壊された兵器によって

 

大金を得た

 

使い道はない

 

俺には大切なものなんて無い

 

誰も必要としない

 

戦争は終わった

 

やることも無い

 

あれ?誰だ?あの人

 

見慣れた研究員が見たこともない女性を連れている

 

「お疲れ様でした。もう戦争も終わりましたし帰っていいですよ。」

 

そう言った

 

「帰る」そう言ったのか?

 

帰る場所なんてない

 

25年ここで生きてきた...

 

25年?私はここへ来る前何をしていた?

 

泣きそうな女性は私に会ってただ謝っていた...

 

君は...結...そうだ...

 

長谷川 結

 

彼女は...

 

私は嘗て愛した彼女を抱きながら悲しみに暮れていた

 

愛する人がいた

 

忘れていた

 

心は壊れもう既に彼女の体温も

 

優しさも愛も感じることはできない

 

ああ...

 

そうか

 

もう壊れてしまったのか

 

私はもう人間じゃない化け物だ

 

そうだ

 

彼女に大金を渡した後

 

「明日帰る」と伝え家まで帰ってもらった

 

そして

 

遺書を書く

 

私の罪を彼女にあてて書く

 

そして静かに命を絶った

 

 

 

 

 

ああ

 

大金だ

 

一生困らないお金

 

なのに満たされないのはどうして?

 

小さな墓の前で泣く

 

彼は私の愛した彼はもういない

 

戦争犯罪者として小さな墓に埋められている

 

もうこの世界に彼はいない

 

なぜ?彼はただ私のために必死だっただけだ

 

なぜ?

 

そう...私が行動しなかったからだ

 

もういい

 

一生分の愛を貰ったから

 

今度は彼のために生きよう...

 

そうして毎日死ぬまで彼の墓に来ては色んな話をして

 

毎日掃除もして墓を綺麗に保つ

 

死ぬまで...

 

そんなことで償いはできないけれど...

 

彼の愛に応えないと

 

ただ一生に生きていたかっただけなのに...

 

 

 

償いだって自分を騙さないと生きていけなかった

 

彼も私が死ぬことは望んでいないだろう

 

だから精一杯騙す

 

償えてると思い込む

 

でなければ死んでしまいそうで

 

死にたくて死にたくて

 

なぜ私たちはこうも無力なのか

 

こんな結末は誰も望んじゃいなかったのに...

 

 

 

戦争により土地は荒れ食料難になると世界はすぐ平和に向かった

 

そして戦争犯罪者によって作られた

 

人体改造技術を応用し

 

タンパク質を作り出すことに成功

 

世界の食料は肉が主体となる

 

そしてその研究所の裏には小さな墓がたくさん並んでいる

 

約1万5千...それが研究員の数

 

しかし忘れられた...いや隠蔽されたが

 

英雄が国を守るためたった1人の愛する人を守るため

 

戦った英雄は世界を枯らして

 

そこに埋まっている

 

ただ守ろうとして

 

世界と自分を壊した英雄

 

彼女はもう何も言わないだろう

 

墓の前で静かに座り眠るように死んだ

 

 

 

 

 

現在どこでも葬式は火葬だ

 

遺骨などはない

 

死体を燃やしそのまま埋めてしまう

 

中には死体がある

 

そう思い込まされて

 

タンパク質を生み出す??

 

そんなことは不可能だ

 

できたのは肉を新鮮に保つそれだけ

 

今この世界にはたくさん死者がいる

 

仕方ないだろう

 

食べるものがないのだから

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