ジャミトフに転生してしまったので、予定を変えてみる【完】   作:ノイラーテム

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外伝:裏の演習

 月の周回軌道を利用した機動実験。

アナハイムの申請で行われたソレの中で、ちょっとしたレースが行われていた。

 

火星探査の為に、現地の仮設基地へ増派される様々な物資。

その中を駆け抜けるように、二機の……いや、二隻の小型船とも言うべき機体が駆け抜けていたのだ。

 

「ちょっとちょっと! なんでこの機動に駆逐艦が付いて来れる訳!?」

「知らないよ。それよりももう少し丁寧にやってくれないか? こいつはロートルなんだ」

 先行する黒いモビルアーマーには増設されたシートに二人が座っている。

扱いきれないスーパーマシンを制御する為に、無理やりコ・パイロットを用意した為だ。

 

「バーニィってば大袈裟ね。アレックスはこないだオーバーホールしたから新品同様よ。それよりも重力を利用したシケインを回るから計算しといて」

「はっ!? ちょっと待ってくれよ! オレはナビの専門家じゃないんだぞ! 聞いているのかクリス!?」

 黒いモビルアーマーは装甲の隙間からアポジモーターを露出させ、噴射。

重力に逆らう急上昇を掛けることで急制動のブレーキを掛ける。その間もメインスラスターは稼働を続け、月表面から月上空へと(ひと)っ飛びだ。

 

その昔、長距離を競うラリーではコースナビゲーターが必須だったという。

彼らは巧みに現地の地形を読み時には操縦の一部を代行していたというが、この機体は特別だ。複雑過ぎ敏感過ぎて、二人が担当しなければここまでの動きは難しい。クリスチーナ・マッケンジーとバーナード・ワイズマンの二人をして、ようやく『当たり前』の動作を熟していた。

 

「リミッター・ツーをカット! その後に十秒だけリミッター・スリーをカット予定!」

「リミッター・ツ。カット! リミッター・スリーの解除準備!」

 以前にアレックスを担当した時にクリスでは扱いきれなかった。

そこで段階的にリミッターを設けたのだが、ここでようやくそれが活きてきた。徐々にリミッターを解除し、全力で扱いきれない機能は一時的にだけ解除できるようにしてあるのだ。

 

メカに詳しいニュータイプであるアムロなら一人でもこなせるとか、設計までできるカミーユやシロッコならもっと簡単だなどとは言ってはいけない。今操縦しているのはクリスとバーニィなのだから。

 

「嘘でしょ!? 着いてきた!?」

「ありゃイルカというより鮫だな」

 重力限界の上昇点で翼を動かし、ウイング・バインダーがAMBACを決める。

衝撃の移動で燃料を節約しながらカーブを描き、緩やかなノズル噴射で今度は横向きに軌道を変えた。

 

モビルスーツならともかくモビルアーマー形態では難しいマニューバーだ。

だが恐ろしい事に、後ろから二等辺三角形の形状をした駆逐艦が現れたのである!

 

『ハーハッハハ! バーニィー! すっかりカミさんの尻に敷かれてるじゃねーか!』

「うるせえミーシャー! この酔っ払い、コックピットを汚してるんじゃないのか!」

 かつては新人だったバーニィも八年も経てば立派な古株だ。

ミハイル・カミンスキーのからかいに対抗しながら、必死でウイング・バインダーを操った。かつてのF-14トムキャットを思わせる動きで横S字の連続カーブを描き、あるいは零戦が行ったという木の葉落としの為に上下にノズルを振り分けた。

 

最愛の夫ならばどんな無茶振りにも応えてくれるというクリスの暗黙の了解。

必死に応えて対応しているというのに、駆逐艦はドンドン距離を詰めて来る。エンジン出力自体はあちらの方が上だが、機体サイズ比ではこちらの方が高い推力だというのにどんな手品なのか?

 

いや、手品のタネは判っている。

 

「あーもう! サイコフレームって、なんてインチキ!」

『そいつを言っても始まらねえよ。モノはもう完成しちまってるんだ。今のうちにデータを洗い出さねえと、火星に行ってからが大変だぜ? どうせあんたは予備のパイロットとして登録(拘束)されるんだ』

 サイコフレームによる過剰エネルギー発生を全て慣性制御に充てている。

その影響で危険な操縦をしても、艦や内部への衝撃は思ったほどではない。現在はテスト期間ゆえに必要以上の対ショックを採っているはずだ、ならばミハイルが酔っ払い運転をしてもマーライオンになる心配もないという物だろう。

 

対空用を兼ねたレーザーファランクスしか装備していない歪つな艦が、モビルアーマーを射程に捉えて演習を終わった。

 

 機動実験艦『rugged leveled』……『でこぼこ 均等』と無機質な名前を付けられた歪な駆逐艦。様々な技術の実験を行いその集大成を『他』に譲った、歴史の上では名も無き船である。

 

半面、火力は乏しく駆逐艦であることを差っ引いても貧弱。

最強の武器が艦首ラム、並びにNTノイズをぶつける音波砲という時点で『戦力としては』お察してある。だがその勇姿を見ればどれだけ異様か判ろうものだ。

 

「……あれって本当に船なんですかね? このデータを売りに行っても誰も信じねえだろうな」

「何倍の給料を貰ってる? 冗談でもそういうことは口にするな」

 アナハイムの社員を装ってデータ計測を行っていた者たちが次々に集結して来る。

一年戦争末期に行動を起こすはずだったサイクロプス隊は、今ではジオンのエージェントとしてジャミトフ・ハイマンに貸し出される立場にあった。

 

「申し訳ありません!」

「判ればいい。まあアレを見て驚かなきゃ嘘だ。そのこと自体は間違いじゃない。しかしオレたちの役目は、そういう連中を確認して回る事だ」

 シュタイナー・ハーディー率いるサイクロプス隊の役目はデータ観測ではない。

その役目はアンダーカバーであり、観測要員や整備スタッフだけではなく他のアナハイム職員が、守秘義務を忘れて『このデータはとんでもなく高く売れる』だなどと愚かな『アルバイト』をしないか見張る為である。

 

そうった意味で監視する側がアルバイトを臭わせるガブリエル・ラミレス・ガルシアの発言はジョークではすまされないところがあった。

 

「しかし、ここは天下のアナハイムですよ? そんな馬鹿な事をする奴いますかね?」

「オアシス建造時のバカ騒ぎを忘れたのか? 完全循環型コロニーの最新仕様。その経済効率はいかばかりかとアホほどスパイがいただろう」

 完全循環型コロニーには三段階が存在する。

賠償金代わりにジオンに竣工させて取り挙げた前期型、そのデータを踏まえて各地で作られていった後期型。そして農業区画やレジャー用などにカスタムさせて効率化する最新型のオアシス型だ。

 

サイクロプス隊はそのいずれにも帯同し、そのほかの機密建造の機密保持にも関わってきた。

それでも前期型・後期型ともにアナハイムやブッホのスパイは山ほどいたし、中には木星公社に所属する者もいただろう。しかも現在は自治区構想が進んでおり、ティターンズの中でも研究機関であるプロメテウスに入り込む者が居ない訳はないのだ。ましてやアナハイムとの共同事業ともなれば、やり易いまであった。

 

「20時で上がるから。また後であいましょうね」

「私は22時だから忘れないでよ!」

「判ってるとも。二人とも後で逢おう」

 そんな中で女性スタッフに囲まれた伊達男がやって来る。

アフリカ系とイタリア系が並んでいるのはこの時代では珍しくないが、一応は機密エリアの中で公然と口説き落としているような奴は珍しい。

 

「いやね。ちょいと小耳に挟んだんだが、最近になって小惑星に研究所を増やしたそうなんだが彼女たちはそこの管理で忙しいそうなんだよ。リモートとはいえ残業とはお疲れさんってことで面白い話をしてあげたんだ」

「アンディ。お前何やってんだよ!」

「何か気になるのか?」

 アンディ・ストロースが軽口を切るとガルシアは抗議する。

だがシュタイナーは笑顔を浮かべているアンディの様子に違った物を見る。彼は伊達男ではあるが、それゆえに緊張を笑顔で覆い隠せるのだ。コミュニケーションの中で情報を探るのが得意だと言い換えても良い。

 

「そこには何もない『はず』なんですよね。政府の記録にだって乗ってはいないとこです。ありもしない研究所で資金を横領してるなら良いんですが。宙域が気になりまして」

「何処だ? 何がそこにある?」

 アンディはクスリと人好きのする笑顔を浮かべて馴染み深い場所を口にした。

ジオン軍なら一度は聞いたことがあり、サイクロプス隊の様な特務部隊は何度も訪れた場所である。

 

つまり存在しない研究所を作っているのではなく、ジオン軍の基地を監視させているのではないかという疑いだ。

 

「ペズンです」

「……っち。枝はアナハイムの深い所に刺さっとるようだな。小文字のC(カピタン)を……ジンネマンを呼び出せ。子供をあやすのは悪いがまた今度にしろとな」

「はっ!」

 シュタイナーは雇い主であるジャミトフに連絡を入れつつ、部下に別の『仲間』を呼び出させた。小文字のCこと『船長』のジンネマンは、急場で扱える偽装商船を所持している。現在はローテーションの休暇中であるはずだが、今からならば間に合うだろう。

 

おそらくは内部査察の後、その『研究所』扱いになっている場所を強襲する為に。

 

 結局のところ、アナハイムの諜報部に『虫』が棲んでいた。

誰に雇われたのか、それとも金かナニカで転向させられたのかは知らないが、アナハイムの為になる機密情報を得ようとペズン基地を見張らせていたらしい。

 

これだけならば、まあ良くあることだ。『老人たち』だけでやり取りすれば良い。

ジオン軍に老人たちへ文句を言う権利などあっても聞き入れられることはないので、ポーカーか三次元チェスか何かのハンデで片が付くはずだった。

 

「存外、早く気が付いたようだな」

「ジオンのコマンドは優秀だよ。キシリアという女、あれで目は確かだ。手を広げ過ぎだったとは思うがね」

 よくある事だがこの一件は泳がされていただけだ。

メラニー・ヒュー・カーバインが感心したのは今だが、ジャミトフが地図に矢印を描き込んだのはずっと以前の事だ。

 

空中に映し出された3Dホロに月を飛び続けるアレックスや駆逐艦と、収納されるペズンの新鋭ムサイが同時に映し出されている。もしこの光景を同じように見る事ができる者が居れば、ムサイの方が本命だと思ったかもしれない。何しろ防諜を担当していたサイクロプス隊が急遽移動を行うのだから。

 

「NT-1はこのまま火星へと向かう。半年は稼げるはずだ」

「そして新鋭ムサイは中止され、本命は予定通りに別のプランか? ジオンも良い面の皮だな。まあ振り回される木星公社ほどではないが」

 つまり一連の流れは最初から全て把握されていたのだ。

判って居て泳がされ、情報を好きな様に調整していた。『虫』が分散して流した情報も精査され、『枝』から『幹』に渡る段階で変遷し、そして今の様に意図が塗り替わる様に曲げられている。

 

ジオン軍と共同で開発したムサイなど最初からダミーでしかない。

ペズン基地で重要なのはコムサイの皮を被ったナニカの方であるし、そのナニカが完成するにはアレックスや駆逐艦が得るデータを合わせないと到達しえないのだ。

 

「今更に確認するが、ここまで大袈裟にする必要はあったのか? 露見する時はアッサリと露見するぞ?」

「まさしく今更だな。露見しても構わぬよ。重要なのは時間を見誤らせることだ。別に脅威と警戒してくれても良い。我々の思い通り動いてくれるならばな」

 要するにこの騒ぎもまた演習の様なものだ。

味方を引き締め『敵』に警戒を抱かせ、全体の流れを掌の中で動かすための布石に過ぎない。

 

そういう意味で良い面の皮というならば、これから命を賭けるサイクロプス隊。

そして連邦軍の新技術実用化はまだ先だと、間違った認識のまま戦う事になる木星公社の先遣隊……メラニーは思いもしていないがジャミトフが予想する処のシロッコであろう。

 

「しかしNT-1を使わないという事は旧戦力だけを派遣するのか?」

「ジオンの懐事情を考えればそうだろうな。だがどうせ元の出処は似たようなものだ。案外、似合いの同窓会になるかもしれんぞ。ジオン残党の残党など迷惑なだけだ。風に吹かれて消えてしまっても惜しくはあるまい」

 結局のところ、危険な実行部隊は旧ジオン軍であった。

サイクロプス隊は正式にガルマから借りているが、共和国に戻るのを良しとしない旧軍の連中は多い。

 

そして急遽出航する武装商船を映したところで3Dホロは搔き消えた。

 

 モノアイが光源にならぬよう、ジムのようなゴーグルで覆われたザクが起動する。

そのまま武装商船の移動に紛れて膝関節と足の動きだけで出撃した。スラスターは点火せず、背中に設置された特殊装備だけを動かしていく。続けてゲルググも動き出した……。

 

フワリ、フワリと二つのナニカが揺れ動いていく。

ワイヤーケーブルでつながれた一つ目は、ザクごと小惑星に落着。もう一つは小さくノズルを吹かせて別の位置に漂っていった。やがてこちらも限界位置で落着するだろう。

 

「……こちらガルシア。目標周辺にカメラ・アイを設置しました。プログラム通りとはいえ、インコムって凄いですね」

「こちらシュタイナー、確認した。便利だが所詮は機械だ。判断するのは自分だぞ」

 ガルシアが通信を入れると、同じような体勢で落着したゲルググにクリアな通信が入る。

それは互いのインコムを使って、短距離通信を行っているからだ。糸電話の要領なのだが、ソレを可能としたのはプログラムで機動調整したということである。

 

「敵も旧ジオンですが、向こうにも妙なのを装備した奴が居ます。画像を送りますか?」

「了解。送れ」

 可能な限り伸ばしたケーブルで画像を録画、もう片方を後方へ。

データの通信量は限られる上、秘匿を条件とするので暫く通信が使えない。だがそのくらいならば、相手の情報を知ることが優先だと判断した。

 

シュタイナーはザクから送信された画像を眺め、幾つか不明な物は事前に用意されたデータと照合する事にした。

 

「随分とゴツイがアレックスみたいなオーバーアーマーか。これを外付けのブースターで加速させるところまでは判る。だが……」

 追加で装甲版を付けて鈍くなっても、宇宙では問題ない。

ブースターで移動させてしまえば自重が増えても、推力が多少下がる程度でしかないのだ。四肢もちゃんと動くようだしAMBACシステムに問題はないだろう。

 

同じような事を連邦側でもやっているし、なんならジャミトフに使われる間に様々な装備も見た。だがよく似た装備を自分たちが付けているのにも関わらず、意味が分からない物を付けていたのだ。

 

「だが、あのウインチはなんだ? 地上と違って上下の移動に制限など……いや、違うな。オレ達ならどう考えるかで判断すればいいのか」

 最初は機能的に考えたが、直ぐにその方向性を捨てた。

真面目に考えれば考える程、地上ならともかく宇宙では使わないのだ。まさかモビルスーツで大型ミサイルでも牽引させる訳でもあるまい。それこそマインレイヤーでも背負えば済む話だ。

 

そこでシュタイナーは自分たちの様な特務部隊ならばこんな時に何に使うかを真っ先に考えたのだ。一つは自分たちが借りているインコムの様に、何処かに何かを浮遊させたり、逆に引っかけてAMBACと共に緊急機動を掛ける方法。で無ければ……。

 

「そうか。罠だ。アレを建物や暗礁に引っ掛けておけば簡易的な罠になる。ガルシア! ワイヤートラップを探せ! お前ならどこに仕掛ける!?」

「了解!」

 シュタイナーは自分たちがガンダムを倒せと言われて、何をやるかをまず考えた。

障害物で足を止め、爆発物で周辺一帯を吹き飛ばす。それが無理でも足を止めればビームサーベルならば装甲だって貫通できる。足場崩しや一点突破は弱者の武器である。有効に使うとしたらソレだろう。

 

そして自分たちにとって一番嫌な事は何か? 最大の切り札であるケンプファーの突撃を止められる事だ。ガルシアにワイヤーを探索させて、自身は用意しておいた狙撃ライフルを組み立て始めた。

 

「幾つか発見しましたが、全てではないと思います。ここから見えない位置もありますし、何だったら荷物の下にブービートラップです」

「よくやった。ミーシャ達の突撃に合わせて大半はオレが始末する。お前はクラッカーを投げて回れ!」

 シュトゥッツァーと言う装備を知らないまでも、同業者のやる事ならば判る。

ガルシアは短期間でそれ内の数を確認し、シュタイナーは組み立てた狙撃用ライフルにエネルギーケーブルを繋いだ。

 

インコムからの画像をリンクさせ、火力よりも射程に重きを置いてある程度の収束ブレは許容した。そもそもケーブルさえ切れるならば、ダメージを与える必要すらないだろう。

 

 

やがて指定時間が来てケンプファー二機が来襲する。

深い青の機体と淡い水色の機体が小惑星に建設された研究所へやって来たのだ!

 

「時間です、来ました!」

「オレはワイヤーを切ってから行く! 先に跳べ!」

 ガルシアのザクは静穏性や発光に注目したステルス性の高い深い緑をしていた。

スラスターも極力絞って目立たないようにしているので、ここからシュタイナーのゲルググが狙撃すれば目立たない筈だ。

 

それでも正面からの爆発に紛れようと、タイミングを計って心の中でカウントダウンを決める。

 

「あらよっと! 定刻通りにただいま参上とくらあ!」

「お届け物です。返品は受け付けておりません。とね!」

 二機のケンプファーはバズーカとショットガンを交互にぶっ飛ばした。

互いに背中合わせで回転しながら二発目を放ち、横合いから来るはずのシュタイナーの狙撃に合わせる。

 

そこへ狙撃用ビームライフルから放たれた光弾が二機の赴こうとした周辺を吹き飛ばしていった。

 

「おう? 予定なら施設に撃ち込むんじゃなかったか?」

「何かあるんでしょうよ。悪者が迎撃の準備をしてなきゃ嘘です」

 それもそうかとミハイルはバズーカを捨ててシュツルムファストを乱雑に二門構える。

合わせてアンディは90mmマシンガンとビームサーベルに持ち替え、前衛として少し前に出た。

 

ガルシアのザクが到着するのはもう少し先だが、シュタイナーも狙撃用ビームライフルを連射モードに切り替えながら突入。サイクロプス隊の戦力が整い始めた。

 

『おのれ! 連邦に下ったか!』

「オレらが言うのもなんだが、テロリストの言うセリフじゃないね! 酔っぱらわずに居られるかっての!」

 追加装甲に物を言わせて突っ込んで来るザクへ、ミハイルはシュツルムファストを撃ち込んだ。

もちろんそんな攻撃は避けられる。後ろにある施設が本命であり、ペズン基地から見えるように盛大な花火を上げただけである。背中に背負った射出機からトライカッターを飛ばしながらビームサーベルを抜く。

 

「おーい! 二人とも! そこらにワイヤートラップが仕掛けてあるぞ! 気を付けろ!」

「ああん? 聞こえねーよ!」

「ミノフスキー粒子だ! サインで教えてくれ!」

 ガルシアのザクは一度上に跳ねてから、怪しい場所にクラッカーを投げる。

そのまま通信を試みるが聞こえないので、閃光が静まってからハンドサインをザクに行わせた。

 

『待ち伏せ』『罠アリ』

 

その表示を見た二人は、顔色ならぬモノアイを見合わせて了承のサインを返して飛びずさった。移動するのは仲間が撃ち込んで爆発した先、ここにはもうトラップはないという場所へだ。その上で周囲へ銃弾をばらまき、あるいは周囲をサーベルで切り払う。

 

『ちっ! 見透かされているか! ……仕方あるまい。撤収するぞ!』

『くそ! 栄光のジオン軍も地に落ちたものだ!』

「おい! くそ、待ちやがれ!」

 ザクだけではなくドムやゲルググが居り、例の特殊な装備を付けている。

その内の何機かがバラまく物を爆薬とみなし、サイクロプス隊は回避しながら攻撃を撃ち込んだ。

 

何が起きるか分からないので余計な追撃はしない。

そもそも怪しげな連中が潜んでいる研究所を襲撃した段階で任務は果たしているのだ。後は遠距離から観察しているジンネマンと、待機しているジオン軍の役目だろう。

 

「何も残っちゃいないと思うが、一応証拠を探しておくぞ。爆発物による隠滅だけは注意しておけ」

「「「了解!」」」

 こうして演習じみた研究所襲撃作戦が終了。

月周辺に残るジオン残党にプレッシャーをかけ、逃走させることに成功する。

 

どこまでが筋書き通りか分からないが、予定表は火星へとスケジュールを新たにした。




 という訳で裏で秘かに(?)暗躍している人々のターン終了。
舞台は火星に移って、あとはドンパチして終了という流れでしょうか?

●サイクロプス隊
 そういえば第二部でバーニィを借りてる兵士に入れたのを思い出し
サイクロプス隊は何をしてたのだろう? とか思いながら投入してみました。
インコムとかトライカッター借し出されてるのは、ちょっとした援助という名のテスト。
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