ノルドに行く前に
――日常は突然崩れ去った。
1204年10月30日12時10分
エレボニア帝国代表ギリアス・オズボーンが銃弾に倒れ、同時に貴族連合による帝都制圧が開始された。帝都は瞬く間に混乱に陥り、その様子をラジオ放送で聞いていた者達もあまりの衝撃に呆然としていた。
そしてオズボーン宰相を狙撃した犯人は貴族派と組んでいた〈帝国解放戦線〉のリーダー〈C〉こと、トールズ士官学院に所属していたクロウ・アームブラストだという事はごく一部の人間しか知らない。
宰相狙撃に成功した貴族派は新型人型兵器〈
〈10月30日13;00〉
アイゼンガルド連峰付近の上空
ミルディーヌ「〈翡翠の騎神スペランザ〉ですか……。」
レイ「どうしたミルディーヌ?」
ミルディーヌ「いえ、機甲兵と似たような騎士人形なのに機甲兵より強く、それでいて彫刻のように美しいなと思いまして……」
レイ「ははっ、翡翠の
ミルディーヌ「ところでレイ兄様、服はそのままでよろしいのですか?」
ミルディーヌの指摘に自分の服装を見ると、〈Ⅶ組〉の象徴である赤い制服のままだった。
レイ「確かにこのままでは目立つな。それにミルディーヌだって〈聖アストライア女学院〉の制服のままだと目立つし、どこかで調達するか。スペランザ、
『ああ、大丈夫だ。』
ミルディーヌ「それではルーレで新しい服を調達しましょう。ちょうど通るルートですし。」
レイ「そうだな。スペランザ、ルーレ郊外に降りてくれ。なるべく貴族派に見つからない場所でな。」
『分かった。』
スペランザはルーレ郊外(閃Ⅱでリィン達が幻獣と戦った場所です。)に降り立ち、レイとミルディーヌ、邪神竜が出てきた。
ミルディーヌ「……あっ、でもこのままルーレに向かってしまったら、領邦軍に捕まってしまうのでは?」
邪神竜「それは我に任せろ。」
レイ「さあ、行くぞ。」
ミルディーヌ「は、はい……」
そして2人と1体は領邦軍が立っている門へと近づく。
領邦軍隊員「待て。お前、トールズ士官学院〈Ⅶ組〉の者だな?」
レイ「そうですが、それが何か?」
領邦軍隊員2「〈Ⅶ組〉の者は捕らえよというお達しだ。詰所に来てもらおうか?」
レイ「残念ながらそれは無理だな。邪神竜。」
そう言うと透明になっていた邪神竜が姿を現し、すぐさま隊員達に向けて目を光らせる。
邪神竜「『よく聞け小僧共。我らは先を急ぐのだ。邪魔をするな。』」
隊員達「あ……」
邪神竜の言葉を聞いた隊員達は目が虚ろになり、レイが一言。
レイ「というわけだ。通っても良いか?」
隊員「はっ!あっ、ああ。」
隊員2「引き止めて悪かったな。」
レイ「いえいえ、お勤めご苦労様です。」
そして2人と1体はあっさりとルーレに入っていった。
ルーレ市内
ミルディーヌ「凄いですね。こんなにあっさり入れるなんて。」
邪神竜「まぁ、これ位は簡単だな。」
レイ「俺も使えるように練習中なんだがな。それより、早く新しい服を買おう。」
そう言って店に入ってレイは青い服と黒い上着(閃Ⅳでクロウが着ていた物の黒いver)を、ミルディーヌは青いドレスっぽい服(同じく閃Ⅳでミュゼが着ていた私服の青いver)を購入した。
そして服を着替えた後、しばらく街を歩いていると武器屋の前で立ち止まるレイ。
レイ「ミルディーヌ、少しだけあそこの武器屋に寄って良いか?」
ミルディーヌ「私は構いませんが?」
ミルディーヌの許可を得てレイは武器屋に入り、剣や銃など色々な武器を見て回る。
レイ「ミルディーヌ、お前何か武器は扱えるか?」
ミルディーヌ「えっ?そうですね、祖父の狩猟についていったのでライフルは扱えますよ。」
レイ「ライフルか……。ショットガンは少し違うしな。だが身を守る為に何か武器があった方が良いしな。」
「うーん……。」と唸りながらレイはミルディーヌに合いそうな武器を探すが良さそうな物が無いので……
レイ「邪神竜、お前の力でミルディーヌに合うライフルを作れないか?(小声)」
と邪神竜に頼んでみる。
邪神竜『まぁ、作れない事もないが……。』
レイ「なら頼む。(小声)」
ミルディーヌ「えっと、レイ兄様?」
レイ「気にするな。それとミルディーヌ、後一ヶ所だけ寄らせてくれ。」
武器屋から出た後、レイ達が来たのはルーレ駅構内にある〈鉄道憲兵隊〉の詰所だった。
憲兵隊員「レイ大尉!?」
レイ「皆、お疲れ様。すまないが通信機を貸してくれ。」
その後、通信機で帝都駅の〈鉄道憲兵隊〉に何かを話した後、レイはミルディーヌと共に詰所を出た。
ミルディーヌ「レイ兄様、詰所で通信機を借りてどこに何を話したんですか?」
レイ「頼れる仲間、と言っても〈Ⅶ組〉とは違うぞ。そいつらにちょっとな。」
ミルディーヌ「フーン?私に隠し事なんて、通用すると思いですか?」
ミルディーヌの言葉にレイは冷や汗をかき、「誤魔化しても無駄だな。」と悟ってスペランザの元に戻るまでの間に先ほどの通信の内容を話す。
ミルディーヌ「なるほど。万が一の事態が起こった時の為にその方達に“力”を与えておくと。確かに良い一手ですね。」
そしてスペランザの元に戻ってきたレイは透明化を解除した邪神竜に一言。
レイ「それじゃ邪神竜、さっき武器屋で言った通りミルディーヌの為に武器を作ってくれ。」
邪神竜「承知した。」
そう言うと邪神竜は目を光らせ、目の前の空間に闇を出現させる。
そして数分後……
邪神竜「まぁ、こんなものか。」
闇が晴れると、中から一丁のライフルが現れてミルディーヌの手の中に収まる。
ミルディーヌ「これは……」
邪神竜「私の力で作り上げたそなた専用の武器だ。」
ミルディーヌ「ありがとうございます。ただ、アストライアに入ってからライフルは使ってないので上手く扱えるか……」
レイ「その点は安心しろ。俺が鍛えてやる。」
その後、レイは数日間ミルディーヌの射撃訓練を行った。その時のミルディーヌは……
ミルディーヌ「レイ兄様って結構スパルタなんですね。出来たらあんな事やこんな事もスパルタで……♥️」
レイ「やめなさい!」
邪神竜「やれやれ…」
弱音を吐かないどころか、いつも通りだった。
雷の軌跡Ⅱ連載開始!!
バイトしてるので不定期更新ではありますが、必ず完結させます!!