迅雷の軌跡Ⅱ   作:カオスカラミティ

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温泉郷ユミル、再び

〈同日、夕方〉

 

使徒第零柱〈氷姫〉ロヴィーナとの戦闘、そして新型機甲兵ヘクトルとの戦闘を終えた〈Ⅶ組〉と協力者達はレイが駆る〈翡翠の騎神スペランザ〉の転移能力でリィンの故郷である〈温泉郷ユミル〉へと戻ってきた。

 

リィン「どうやら無事に戻ってこれたようだな。」

 

ラウラ「しかし、まさかレイもリィンやクロウと同じような騎神を持っていたとはな。」

 

レイ「まぁ、その話はユミルに着いてからな。」

 

そして一行はユミルへと続く雪道を降りていき、目の前にユミルの集落が現れると残っていた〈Ⅶ組〉のメンバーが駆け寄ってきた。

 

アリサ「リィン!皆、お帰りなさい!」

 

エリオット「皆、無事で良かった~。」

 

ガイウス「どうやらサラ教官とレイとも無事に合流出来たようだな。」

 

シャロン「皆様、ここでは冷えますから凰翼館へ向かいましょう。」

 

シャロンがそう言うと〈Ⅶ組〉メンバー全員と協力者達は同意し、凰翼館へと向かう。

 

 

ー凰翼館にて

クレア「それじゃレイ、何もかも全て話してもらうわよ。」

 

レイ「スペランザの事もかな?」

 

サラ「当然でしょ。いきなり1人で帝都に行って行方不明になって、約1ヶ月後に現れたと思ったらリィンやクロウと同じような〈騎神〉に乗ってるんだから。さぁ、素直に白状しなさい。」

 

そう言いながらクレアとサラはレイに詰め寄る。

 

トヴァル「サラ、それじゃ尋問だ……(汗)」

 

リィン「クレアさんも抑えて抑えて……(汗)」

 

するとレイは「ふぅ~……」と軽くため息を吐いてからスペランザを手に入れた所から話し始める。

 

 

レイ「まず、スペランザを手に入れたのは姉さんに会う数年前――邪神竜と初めて会った時だ。その時、〈雷の幻獣サンダードラコ〉を倒したんだが、そのすぐ後に幻獣よりも上位の存在の邪神竜が現れたんだ。」

 

邪神竜「そして我はレイに〈翡翠の騎神スペランザ〉を得る為の〈試練〉を行った。と言っても〈Ⅶ組〉の面々が行ったようなものではなく、我と戦ったのだがな。」

 

クレア「前に邪神竜に会って戦った事は聞いたけど、まさか〈騎神〉を得る為の試練だったなんて……」

 

レイ「前にも話したが、かなりギリギリで勝てたんだ。カイザートライデントとカイザーブロードが無かったらと思うとゾッとする。」

 

すると今まで黙って聞いていた〈Ⅶ組〉だが、代表でマキアスが気になる事を聞いてきた。

 

マキアス「ちょっと良いかレイ?」

 

レイ「何だマキアス?」

 

マキアス「幻獣を倒した後にそれよりはるかに上位の存在である邪神竜が現れたんだよな?」

 

レイ「そうだ。」

 

マキアス「そしてそのまま戦闘に突入したんだよな?」

 

レイ「そうだ。」

 

マキアス「そしてギリギリだが何とか勝利をもぎ取ったんだよな?」

 

レイ「そうだ。」

 

マキアス「何という危ない事をしてるんだ君は!!一歩間違えば死ぬかもしれないだろ!!」

 

レイ「と言ってもな、故郷が無くなってからずっとそんな感じだったし……。それに命かけなきゃ倒せないような相手だったし……。」

 

レイの言葉にクレア以外は「はあぁぁ~……」と呆れるようなため息を吐いた

 

レイ「安心しろ。どこかの誰かみたいに自己犠牲癖がある訳じゃない。」

 

そう言いながら、『どこかの誰か』をチラッと見るとその『誰か』は目をそらす

 

ユーシス「ならばあの日、帝都に行った後の話をしてもらおうか。」

 

レイ「ああ。」

 

その後、レイは帝都に行った後、ミルディーヌと合流しヒンメル霊園に転位したが機甲兵に見つかり、生身で戦闘を開始した事。

 

絶体絶命のピンチに邪神竜の試練を突破した時に受け取ったブレスレットから〈翡翠の騎神スペランザ〉が現れ、機甲兵を倒した事。

 

そのままミルディーヌをスペランザに乗せて〈第三機甲師団〉がいるノルド高原に向かい、そこにいた機甲兵の軍団を弱体化させた事。

 

そして1ヶ月後、ガレリア要塞へ向かいリィン、マキアス、エリオット、フィー、トヴァルと共に〈西風の旅団〉の連隊長ゼノとレオと戦った事。

 

レイ「――でカレンとザギの報告を受けて4人でバリアハートに向かっているとサラにばったり出会ってあの場面にってわけさ。」

 

フィー「なるほどね。っていうかあの黒ローブ達はレイとその仲間だったんだ。」

 

クレア「それじゃ次は……カレン少尉とザギ中尉から話を聞きましょうか?」

 

と言ったクレアの顔は笑顔だが怒りのオーラを纏っている為、物凄く怖かった

 

カレン「ク、クレア大尉……?」

ザギ「あの……笑顔がこわいんですが……」

 

しかしクレアは2人の言葉を聞かずに〈Ⅶ組〉から少し離れた場所で説教を始める

 

クレア「全くあなた達は!!いきなり誰かから通信を受けてノルドに向かったとドミニクから聞いた時は驚きましたよ!!しかも、その後は自分達が所属している部隊以外には連絡しないなど言語道断です!!せめて私には連絡するべきではありませんか!?」

 

カレン・ザギ「す、すいません……」

 

正座させられて説教を受けていた2人はシュンと頭垂れる

 

ミルディーヌ「クレアさんて普段は温厚な人なのに、怒ると怖いんですね。」

 

レイ「うん。俺も鉄道憲兵隊に入りたての頃に色んな人に、大佐クラスの人にまで戦いを挑んだ事がばれて4時間の説教を受けた事がある……(汗)」

 

 

そして、カレンとザギはクレアの説教を3時間受けた後、解放された。

 

 

―凰翼館・露天風呂

レイ「フゥ~、相変わらずいい湯だよな~」

 

ザギ「そうですね。体の疲れが溶けていくようですよ。」

 

カレン「交通の便は悪いですが、それを帳消しにする温泉と食事、さらには冬限定ですがスノーボードなる遊びもある。最高ですね~」

 

ミルディーヌ「ウフフ、それにしてもこうして凰翼館のお風呂に入っていると思い出しますよね。オリヴァルト皇子からいただいたユミルの小旅行。あの時、レイ兄様と一緒に入ってあんな事やこんな事を――♥️」

 

レイ「してません。あの時はどれだけ兵力が集まったか等の話をしただけだろうが。」

 

ミルディーヌ「もうレイ兄様ったら照れちゃって♥️」

 

レイ「頭がクラクラしてきた……」

 

カレン・ザギ「あははは……(汗)」

 

その後、露天風呂から上がった4人は用意されていた夕食を食べ、それぞれに割り当てられた部屋に戻った。


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