〈12月12日〉早朝・渓谷道最奥
レイ「さて、今日はどういう訓練をするか……。」
ミルディーヌ「なら私とあんな事やこんな事の訓練を♥️」
レイ「しません。」
邪神竜「ミルディーヌはどこにいても通常運転だな。しかし、そういう事なら我が相手になろうか?」
その言葉にミルディーヌは驚き、レイは懐かしそうに頬笑む
ミルディーヌ「レイ兄様と邪神竜さんがですか!?確かに昔、レイ兄様が翡翠の騎神を手に入れる為の試練を行う時に戦った事は聞きましたが……」
レイ「懐かしいな。そういえばあれ以降、お前とは戦ってなかったから丁度良いかもな。フッ!!」
邪神竜「ああ。久々にあの時は遅れを取ったが、今度は負けんぞ。ムンッ!」
そう言ってレイは空間に開けた穴に手を入れて〈魔剣カイザーブロード〉と〈魔槍カイザートライデント〉を取り出して構え、邪神竜は目を赤く光らせて巨大化する
ミルディーヌ「えっ、えっと~……」
唐突に始まった〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトVS邪神竜の戦いにミルディーヌはどうすれば良いのか分からず、混乱していた。そこに1人の女性が現れる。
?「大丈夫ですよ。私が何とかしましょう。」
ミルディーヌ「あっ、よろしくお願いします。」
レイ「さあ、行くぞ邪神竜!!今度も俺が勝たせてもらう!!」
邪神竜「フフッ。邪神とはいえ神である我がそう何度もやられてたまるか!!」
そして1人と1体は真正面から突っ込もうとするが……
?「いい加減にしなさい!」
女性の声が響いたと思ったら邪神竜の下半身が氷付けになり、それに驚いたレイが立ち止まると背後から後頭部を導力銃のグリップでおもいっきり殴られた。
邪神竜「ムウッ?これは確か、『フリジットレイン』だったか?」
レイ「ぐっ……うぅっ……。ね、姉さん……一体何を?」
邪神竜は下半身が凍っているが大した事はなさそうだが、レイの方は導力銃のグリップで殴られたので後頭部を押さえてうずくまっている
クレア「一体何を?じゃないわ!!貴方達の方こそ何をやってるのよ!!こんな所で本気で戦ったら雪崩が起きかねないし、里の人にも迷惑がかかるでしょ!!」
レイ「はい……申し訳ありません。」
邪神竜「確かに思慮が足りなかったな。」
その後、レイは武器をしまい、邪神竜はいつもの40センチのミニサイズに戻り、雪の上で正座させられてクレアの説教を受けた
クレア「反省した?」
レイ・邪神竜「はい……」
クレア「よろしい。それじゃ凰翼館に戻り――っ!!」
「凰翼館に戻りましょう」と言いかけたクレアだが、ある一点を見つめて止まってしまった
レイ「姉さん?一体どうし――っ!!」
邪神竜「あれは確か……」
ミルディーヌ「貴族連合軍の旗艦、〈パンタグリュエル〉ですね。」
そう、中立地帯である温泉郷ユミルの上空にパンタグリュエルが現れたのだ。しかもそれだけでなく……
邪神竜「むっ。今、〈蒼の騎神〉がパンタグリュエルからユミルへと降りたぞ。」
レイ「という事は貴族連合は、いやカイエン公の狙いはリィンの〈灰の騎神〉と俺の〈翡翠の騎神〉か。ミルディーヌの予想通りだったな。」
クレア「とにかくユミルへ急がないと!!行くわよレイ!!」
?「悪いけど〈迅雷〉にはここに残ってもらうわ。」
3人「っ!?」
3人が声が聞こえた方に振り返ると、そこには〈氷姫〉ロヴィーナがいた
レイ「〈氷姫〉ロヴィーナ……」
ロヴィーナ「ウフフ、3日ぶりね〈迅雷〉」
レイ「お前がここにいるという事はユミルにも?」
ロヴィーナ「ええ。〈劫炎〉に〈神速〉に〈怪盗紳士〉、〈黒兎〉、〈西風の旅団〉そしてなんと貴族連合の参謀であるルーファス・アルバレアがユミルに降り立ったわ。」
ミルディーヌ「とんでもない顔ぶれですね。クレアさん、ここは私達に任せてユミルへ。」
クレア「えっ?で、ですが……」
邪神竜「クレアがこちらにいてはユミルに残っている者達の苦戦は目に見えている。」
レイ「このとんでもない化け物は俺達に任せて早く。」
クレアは一瞬どうするか考えたが、レイ達の言葉に甘える事にした
クレア「分かりました。ですがレイ、邪神竜、ミルディーヌさん無理をしないように。」
そしてクレアはユミルにいる者達の加勢に向かう為に渓谷道を降りていく
レイ「さて、それじゃ始めるか〈氷姫〉。こちらの方が人数が多いのは多目に見ろよ。」
ロヴィーナ「構わないわ、むしろ大歓迎よ。カイエン公の姪に幻獣よりも上位の存在がどれだけ私を昂らせてくれるか、見せてちょうだい!!」