迅雷の軌跡Ⅱ   作:カオスカラミティ

20 / 24
パンタグリュエルへ

いきなりユミルの空に現れた貴族連合の旗艦〈パンタグリュエル〉。そしてユミルの地には貴族連合に協力している〈結社〉のメンバーや〈西風の旅団〉、さらには貴族連合参謀まで現れ、〈Ⅶ組〉とその協力者は何とか迎え撃っていた

 

その頃、渓谷道最奥でレイとミルディーヌと邪神竜は〈氷姫〉ロヴィーナと対峙していた

 

レイ「……」

ミルディーヌ「……」

邪神竜「……」

 

レイはカイザークローを、ミルディーヌはライフルを構えて、邪神竜は人間大の大きさになってロヴィーナを睨む

 

ロヴィーナ「フフフ。いつまでそうやって様子見をしてるつもりかしら?まぁ、そちらから来ないなら……」

 

するとロヴィーナは右手を左手の上にかざし、自分の左手を凍らせていく

 

ロヴィーナ「こっちから行くだけだけどね!!」

 

そして一気にレイ達に急接近し、凍らせた左手を振るう。それを見たレイは少し動いて回避しようとするが……

 

レイ「っ!!ちっ!!」

 

突如、レイはミルディーヌを抱いて一緒に大幅にロヴィーナから距離を取った

 

ミルディーヌ「レ、レイ兄様!?」

 

邪神竜「間一髪だったな。」

 

そう言って邪神竜は2人の側に飛んできた。しかし、ミルディーヌは邪神竜の言葉を理解出来ていなかった

 

ミルディーヌ「えっと、どういう事でしょうか?」

 

レイ「奴の凍った左手を見てみろ。」

 

ミルディーヌ「凍った左手……。っ!?あれは……」

 

彼女が驚いたのも無理はない。ロヴィーナの左手を覆っている氷が今は剣のように鋭くなっているのだ

 

ロヴィーナ「さすが〈迅雷〉に邪神竜。小娘と違って私の技を初見で見抜くなんてね。」

 

ミルディーヌ「氷の……剣?」

 

レイ「それもお前の能力か?」

 

ロヴィーナ「ええ。自分の腕を凍らせて作る剣――氷剣(ウェイルブ・ブロード)よ。異能の力で作る氷の剣だから切れ味は抜群。ハアッ!」

 

するとロヴィーナは〈ウェイルブ・ブロード〉を振って白銀の斬撃を飛ばしてきた

 

レイ「カイザーリッパー!」

 

―ズガァァァンッ!!

 

レイの赤黒い斬撃とロヴィーナの白銀の斬撃が真正面から激突して爆発が起き、雪が舞い上がって視界がゼロになる

 

レイ「くうっ!視界が……」

ロヴィーナ「ウフフ、良いわね。ん?」

 

―バシュンッ!

 

ロヴィーナ「フッ!」

 

―キィィンッ!

 

ミルディーヌ「うーん、最高のタイミングで狙撃したんですけど……まさか銃弾を剣で真っ二つにするなんて。」

 

ロヴィーナ「いや、なかなかのタイミングだったわよ。でも、今度こんな場面に遭遇したなら爆発が起きた瞬間にする事ね。その方が相手は防御体勢をとっているから防ぎにくいし……ねっ!」

 

ミルディーヌに狙撃のタイミングを教えたロヴィーナは自分の右側に向かって〈ウェイルブ・ブロード〉を振ると『ガギィンッ!』と何かを弾く音が聞こえ、いまだに舞い上がる雪の中からレイが現れる

 

レイ「デェェェヤッ!!」

ロヴィーナ「ハアァァァッ!」

 

―ギィィィンッ!!

 

邪神竜「くらえ!!アトロスフレア!!」

 

ロヴィーナ「ちっ!アイスシールド!」

 

邪神竜の残酷なる赤黒い炎をアイスシールドで受け止めるロヴィーナだが……

 

ロヴィーナ「くっ……ううっ……。ウアァァァァッ!!」

 

シールドごと押されていき、渓谷道の壁に叩きつけられた

 

ロヴィーナ「あっ…かっ…。なかなか良いコンビネーション見せてくれるわね。これは……“本気”出さないといけないかもねぇぇっ!!」

 

レイ「させるか!!」

 

光と闇のエネルギーを両手にためた後、胸の前で1つにし――

 

ヴィータ『そこまでよレイ君。』

 

両腕を突き出してクラフトの1つ『カオス・エンド・フレア』を放とうとしたがヴィータの幻影が現れ、ストップをかけた

 

ミルディーヌ「あれは、〈蒼の歌姫(ディーヴァ)〉ヴィータ・クロチルダ?どうしてここに?」

 

ヴィータ『フフッ、初めましてお嬢さん。私は結社〈身喰らう蛇〉の使徒第二柱〈蒼の深淵〉ヴィータ・クロチルダよ。』

 

ミルディーヌ「彼女まで結社の使徒だったんですか。」

 

レイ「そうじゃないかとは思っていたが……」

 

レイ、ミルディーヌ、邪神竜は新たな〈使徒〉の登場に警戒するが、本人は意に介さずロヴィーナの方を向く

 

ロヴィーナ「ヴィータ、貴女が来たって事は成功したのかしら?」

 

ヴィータ『ええ。つい今しがた〈灰の騎神〉とその起動者(ライザー)であるリィン君をパンタグリュエルに招待したわ。』

 

その言葉にレイ、ミルディーヌ、邪神竜は驚愕する

 

ロヴィーナ「ご苦労様。さて、それじゃ翡翠の起動者(ライザー)である貴方もパンタグリュエルに来てもらえるかしら?嫌だと言うなら……」

 

ミルディーヌ「キャアッ!!」

 

レイ「ミルディーヌ!?」

 

背後からミルディーヌの悲鳴が聞こえ、振り返ると彼女は赤い戦闘服に身を包んだ猟兵男に捕らえられ、銃を向けられていた

 

?「ハーハッハッハ!!さぁ、ロヴィーナ様の言う通りにしないと君の彼女がどうなるか分からないぞ!!」

 

レイ「貴様――」

 

ロヴィーナ「氷の弾丸(アイス・ブリット)!!」

 

?「アギャァァッ!?」

 

レイ・ミルディーヌ「えっ?」

 

なんとロヴィーナが仲間であろう男に向かって氷の弾丸(アイス・ブリット)を一発撃ち、吹っ飛ばした

 

ロヴィーナ「ギルバート、貴女は結社に入ってからずっとセコい事で成り上がってきたわね。まぁ、別にどう成り上がろうが私は興味ないわ。でもね……」

 

どうやら男の名前はギルバートというらしい。そしてその男に対してロヴィーナは大層お怒りのようだ

 

ギルバート「ロ…ロヴィーナ様?」

 

ロヴィーナ「私の獲物とその関係者に手を出すのは許せないわね。カンパネルラにまたおしおきしてもらう?ああ、それとも私がおしおきしようかしら?言っておくけど、カンパネルラみたいに優しくないわよ。」

 

そう言ってロヴィーナは右手に冷気の塊を出現させながらギルバートを睨む

 

ギルバート「ヒィィィッ!!ごめんなさいロヴィーナ様!!もうしませんから、お許し下さい!!」

 

ロヴィーナ「次やったら容赦しないわよ。ごめんなさいね迅雷、それに迅雷の彼女さん。それで話を戻すけど貴方もパンタグリュエルに来てもらえるかしら?」

 

ヴィータ『リィン君と貴方が来てくれたら、カイエン公は内戦の間ユミルに手を出さないと約束するそうよ。』

 

レイ「……。良いだろう。」

 

ヴィータ『それじゃ、行きましょうか。』

 

レイ「少し待ってくれ。」

 

するとレイはミルディーヌの元に向かい、一言

 

レイ「ミルディーヌ、これを持っていてくれ」

 

ミルディーヌ「レイ兄様、なぜこれを私に?」

 

レイ「無くすなよ。」

 

用事が終わるとレイは翡翠の騎神スペランザを起動させて乗り込み、パンタグリュエルへと向かいヴィータとロヴィーナも転位でパンタグリュエルへ戻った


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。