8/27にロヴィーナの部屋でのお茶会参加者を増やしました
〈氷姫〉と〈迅雷〉
―貴族連合軍の旗艦・パンタグリュエルの貴賓区画にて
レイ「………」
貴族連合総主宰であるカイエン公に“招待”されたレイは貴賓区画にあるイスに座っていた。ただし、1人ではないが……
ブルブラン「いやぁ、君にも見せたかったよ。リベールの至宝と言われたクローディア姫の驚いた姿や困った表情を。」
レイ「そうか……」
ブルブラン「ちなみにリベールでの『福音計画』が完了した後はどこに向かったと思う?」
レイ「知るか……。」
ブルブラン「帝国と共和国に挟まれた魔都クロスベルさ。そこでクロスベル警察に新たに発足された『特務支援課』という者達に興味が湧いてね。力量を計る為にささやかな謎解きをプレゼントしたんだよ。」
レイ「帝国だけでなく、各地でお前の名を聞くからもしやと思ったが……。リベールとクロスベルでも同じ事をやってたのか……。やはりあれか?若者が必死に何かを探す姿は美しいとかそういう理由か?」
ブルブラン「まぁそうだね。私の“美”を理解してくれて嬉しいよ迅雷」
レイ「あんまり理解したくないがな……。というか今さらだが、何で俺はお前と話している?」
ブルブラン「ああ、実は〈氷姫〉殿に頼まれたのだよ。君と話をする席を作る為のセッティングに時間がかかりそうだから、話し相手になってあげてくれとね。」
レイ「そうか……(苦笑)どうせなら“美”関係以外が良かったが……」
ブルブラン「フフ、何を言う?私から“美”を取ったら何も残らないじゃないか。―っとそうこうしている内に準備が整ったようだね。」
そう言ってブルブランが向いた方へレイも顔を向けるとロヴィーナがこちらに歩いてくるところだった
ロヴィーナ「ブルブラン、ありがとう。準備が出来たわ。」
ブルブラン「フフ、本来なら氷姫のお茶会に私も参加したいが、君にとっては長年探してきたライバルとなりうるかもしれない者とのお茶会だ。ここは空気を読んで辞退するよ。」
ロヴィーナ「悪いわね。それじゃ迅雷、行きましょうか。」
レイ「分かった。」
―ロヴィーナの部屋にて
ロヴィーナ「さぁ、どうぞ。」
彼女に促され、部屋に入るとデュバリィと同じ甲冑を着た女性が2人いた。
レイ「彼女達はまさか……」
ロヴィーナ「そうよ。デュバリィと同じ〈鉄機隊〉のメンバーよ。」
すると2人は立ち上がり……
アイネス「お初にお目にかかる。私は〈剛毅〉のアイネス」
エンネア「初めまして。〈魔弓〉のエンネアよ。」
とそれぞれレイに自己紹介する
レイ「〈迅雷〉のレイ・リーヴェルトだ。」
ロヴィーナ「さて、自己紹介も終わったし皆座って。」
ロヴィーナに促され、イスに座ると目の前に彼女が用意した紅茶とお茶菓子が置かれた。
レイ「それで?俺をここに呼んだ理由は何だ?〈Ⅶ組〉や正規軍の今後の動向を探る為か?」
ロヴィーナ「ああ、今の所は別に貴方達や正規軍がどう動こうと興味ないわよ。今興味あるのは貴方だけだし。」
そう言うロヴィーナの顔は恋人を見つけたような顔になっており、それを見たレイはちょっと引く
レイ「悪いが俺にはすでに恋人がいるからな……(汗)」
ロヴィーナ「いやいや、別に恋人関係とかになりたいわけじゃないし……(汗)貴方は私やマクバーンと同じように
アイネス「ロヴィーナ様、言い方が紛らわしいですよ……(汗)」
レイ「俺の力を話すなら、それ相応の対価が必要だ。」
エンネア「フフッ、なら私達3人のスリーサイズでも教えてあげましょうか?」
レイ「いりませんから(汗)」
ロヴィーナ「エンネアは相変わらずねぇ。(笑)そうね、私達のスリーサイズは後のお楽しみとして……カイエン公が何の目的で内戦を起こしたか。それが対価にならない?」
レイ「っ!?それは願ってもない対価だが、なぜお前がそれを知っている?」
ロヴィーナ「この艦に乗ってから時々カイエン公の為にお茶会を開いてね。その時に聞いたのよ。それで、どうする?」
レイ「……。聞かせてもらおう。」
ロヴィーナ「カイエン公はね、帝都にある〈緋の騎神〉を手に入れてようとしているのよ。」
レイ「〈緋の騎神〉か。確かそれは……」
邪神竜「確かヘクトル帝が駆り、偽帝オルトロスが暴走させた騎神だ。ヘクトルが暗黒竜討伐の為に駆ったが、その暗黒竜を倒した時に奴の血を浴びてしまい呪われた存在になったのだ。」
ロヴィーナ「さすが幻獣よりも上位の存在だけあってよくご存知ね」
レイ「それでその〈緋の騎神〉はどこにあるかは聞いたのか?」
ロヴィーナ「興味ないから聞かなかったわ。あのオッサン、口を開けば『貴族が支配する古き善き時代を取り戻すのだ!』とか『必ず〈緋の騎神〉を我が手に!』しか言わないんだもん。ウザったいったらありゃしない(怒)」
レイ「そ、そうか……(汗)」
アイネス「さて、ロヴィーナ様が対価を支払ったからお前の“力”の事を聞かせてもらおうか?」
アイネスの言葉にうなずいたレイは“邪竜吼”をどういう経緯で手に入れたか話し始めた
ロヴィーナ「へぇ~、そんな経緯で。フフッ、レグラムで会ったのが〈
レイ「俺は〈結社〉にスカウトされなくて良かったと思ってる。おかげで最愛の人に出会えたからな。」
エンネア「あらあら、お熱い事で♥️」
そしてロヴィーナが出した紅茶とお茶菓子を食べ終わったレイは立ち上がり、部屋を出ていこうとする。しかし、その足を止めてロヴィーナの方を振り向き一言
レイ「最後に1つ。お前やマクバーンはどれだけ
ロヴィーナ「ああ、それなら――
不適な笑みでそう言ったロヴィーナにレイは「そうか。」とだけ答えて部屋を後にした
再び貴賓区画に出ると丁度リィンが貴賓区画の上階から降りてくる所だった
レイ「リィン、なぜ上階に――ってアル?なぜここに?」
リィン「レイ、殿下に失礼だろう!?」
アルフィン「良いんですよリィンさん。公以外では出来るだけそう呼ぶようにと。それに敬語も不要と言ってあります。」
リィン「殿下がそう仰るなら……。」
レイ「それで何でアルがここに?しかもリィンと一緒に?」
リィン「実は部屋を回った後、自室に戻ったらクロウが現れてな。自分の過去を話した後、上階に特別ゲストがいると言ったから向かってみたら殿下がいらっしゃったんだ。」
レイ「……。」
リィンの話を聞いたレイはリィンをジッと見る
リィン「なっ、何だ?」
レイ「いや、アルに何か言われたおかげでお前のその“鬼の力”をちゃんとモノにしたんだなと」
リィン「分かるのか?」
レイ「俺も人外の力を持ってるからな、お前の力がどう変わったかは分かる。だが、それなら丁度良いな。」
アルフィン「丁度良いというのは?」
レイ「ここから脱出する。俺はロヴィーナとしか話さなかったが、それ以外のメンバーはリィンが話をしたみたいだしな。」
リィン「しかし、どうやってここから脱出するんだ?貴賓区画の出入口は貴族連合の兵士が見張っているし……」
レイ「問題ない、方法はある。ついてこい」
するとレイはリィン達に背を向けて自分に割り当てられた部屋へ歩き始めた。そして到着すると扉を開いて中に入る。遅れてリィンとアルフィンも中に入ってきた。
アルフィン「それでレイさん、方法はあると仰いましたがどんな方法なんですか?」
レイ「あれだ。」
彼が指差した先にあったのはダクトだった。確かにダクト前を見張っている者などいるはずがないので絶好の脱出口になるのだが……
リィン「いやいや、殿下をこんな所に通すわけにはいかないだろう!?」
とリィンは猛反対する。しかし、レイは自信満々で一言
レイ「それは大丈夫だ。なぁ、アル?」
アルフィン「ええ。スパイ小説みたいでドキドキしますね♥️」
リィン「え…えぇ~(汗)良いのですか殿下?」
アルフィン「はい、もちろん。さっ、早く行きましょう♥️」
リィン「分かりました。それじゃ俺が先に行くから次にレイ、殿下の順で。」
レイ「了解した。」
アルフィン「はい♥️」
そして2人がダクトに入ったのを見届けたレイは部屋から出て別のルートからパンタグリュエルからの脱出を開始した
このまま書いていくと物凄い字数になるので分けます