魔王に召喚されて、新しく生活を始めました。   作:龍宮院奏

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どんどん出していきます!


契約しちゃった!

 違和感の正体は、案外あっさりと解決した。でもその前に、

「ここ何処?てか、あ、ボトル。え〜と、全部揃ってる…。良かった〜」

よく分からない場所に何か居るけど、まぁボトルもベルトもアイテムもあるから良いかな?

 

「召喚できちゃった……」

ふと後ろを振り返ると、ツインテールの少女と、黒髪ロングの少女が、それぞれ驚いたという表情でこちらを見ていた。

 それに『召喚できちゃった』とは、一体どういう事何だろう……。

「何で僕、魔法陣の上に!え、ビルドが新世界を創ったような感じ?僕死んじゃったの?」

今更感満載だが、ようやく自分がどんな状況に置かれているのかが理解できた。

「まだ…、エグゼイドのアイテムシリーズ集めてないのに…、ジオウだって…」

膝から後悔のドン底へと崩れ落ちる。嘘です、本当は何が何だかさっぱりです。

 

「あ、あこちゃん…。あの人?あの召喚した人…、何だか急に泣き始めたよ」

召喚した時、あまりの衝撃的な現実に腰を抜かして、尻もちを着いてしまった。あこちゃんに手を貸してもらい、何とか起き上がって見ると、召喚された人は泣き始めていた。

「え、どうしよう。りんりん…」

あこちゃんが、私に助けを求めてる…、私が何とかしないと…。でも、知らない人だし。そもそも人かどうかも怪しいのだけれど。

「私も一緒に居るから、まずは話しかけてみようよ。あこちゃんが召喚したんだから、あこちゃんが話したほうが良いと思うよ」

そう言うと、小さく頷いて私の手を引きながら近寄っていった。

 

 俺の人生は一体何だったんだ…。ちょっと奮発して欲しいものを買ったら死ぬなんて、惨めすぎるわ…。自暴自棄になって、思わず頭を床に打ち付ける。

 あぁ、床が冷たくて気持ちいいな…。

「あ、あの…」

「はい…」

声を掛けられてきたが、今更何のようだ…。こんな死人に…。

「ひぃ、あ、あのアナタがあこが召喚した使い魔なの?」

問いかけられた質問を理解するのに、少々思考が追いつかない。使い魔?あのウィザードのガルーダ的な?

「いや、分からないけど…。ねぇ、僕死んだの?」

思わず自分の状況を確認したくて聞いてしまった。

「え、死んでるの?だって、物も触れて、今も自由に喋れてるよ」

少女は怯えながらも、答えてくれた。

「もし、死んでるのなら…、はい」

手を差し伸べてきた。

「もしあこが召喚した使い魔が、死んでいたら主であるあこの手を握れない」

やっぱり僕は死んだ…、

「でも、死んでいないなら、主であるあこの手を握り、あこの最強の闇の眷属となるのだ」

闇の眷属…、この女の子の眷属…。

「僕は…、闇に落ちたヒーローも好きだけど…」

ゆっくりと立ち上がり、

「誰かの笑顔を守れる、そんなヒーロー。光の眷属で在りたいな…」

僕の事を眷属と称する、この少女・主の手を握った。

「握れた…、僕は…生きてる…」

「握ってくれた…。クックッ、それにしても我が闇の魔王を前にして、光の眷属で在りたいとは大した度胸よ…」

少女はそう言って、笑っていた。

「貴様、名は何と言う…」

「僕は、黒崎和覇(くろさき かずは)」

「黒崎和覇…。そうか、黒崎和覇よ、今から貴様は我闇の力を支配する……」

あれ?主様?なんか詰まった。それを後ろから、あの黒髪ロング少女が。

「闇の力を支配し、混沌を征する魔王…」

耳打ちでコソコソっと呟いたのち。

「闇の力を支配し、混沌を征する大魔王!その名は、聖堕天使あこなり!」

言い直した、でも頑張って言ってて可愛いな…。

「ちょっと、我が眷属よ…何をニヤついてる」

あ、主様にバレた。

「あ、あの…その主様が…可愛いなと…」

言ってしまった…、やばいこれは殺される。

「可愛い…、あこはカッコいいもん…」

怒られて殺されるかと思ったら、逆に泣き出しそうに成っちゃった。どうしよう、どうしよう。

「その、ごめんなさい…。主様?僕眷属だから、呼び方合ってるよね?」

やっぱりまだ、眷属だ何だはまだ理解できないけど。

「主様はカッコいいよ、さっきも『主であるあこの手を握り、あこの最強の闇の眷属となるのだ』って言ったところとかカッコよかったし。え〜と、後は、後は」

何か、何か、

「僕を、こうやって召喚できるだなんて主様は偉大な人なんですね!」

「偉大…」

思わず声が大きくなって知っまった。でもさっきよりは元気になってる。

「そ、そうだもん!あこはこうして使い魔を召喚できるくらいに偉大なんだもん」

胸を仰け反らして、頑張って迫力を出そうとしている。やっぱりこういう所は可愛いな…。

「和覇よ、我が眷属よ。今一度問おう、我聖堕天使あこの眷属となることを契約するか?」

主様は真剣な眼差しでこっちを見つめていた。

 今の状況で俺には、他に何か良い選択肢も見つかる事もないだろうと思い。

「もしもこんな僕でよろしければ、貴女の眷属として契約させてください」

膝立ちをし、主様・あこを見上げた。

「それじゃあ、これから宜しくね和覇」

この瞬間にした笑顔は、魔王としての威厳と堕天する前の天使の名残の優しさを兼ね備えたそんな笑顔に思えた。素直にカッコ可愛いと思いました。




第一話で主人公の名前を出し忘れていました。
主人公は黒崎 和覇(くろさき かずは)と言います。
彼はもう、かなりのオタクですね。だって自分のことよりも、アイテムを心配するなんて…、すみません…私も同じ人間です…。
それにしても、やっぱりあこちゃんが可愛い!マジ堕天使!
それでは、今回もご閲覧ありがとうございました。
感想などお待ちしております。

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