あの後、主様に変身を教えることにはなったのだが、氷川さんが
『って、私達はこうして遊ぶために、ここに来てる訳ではないんですよ』と怒られた。
『……、そうよ。今日はもう残り時間も少ないけど、集中して練習するわよ』
湊さんも、本来の目的を果たさんと気迫に満ち溢れていた。
「主様と皆さんが練習をするなら、僕は外の空気でも吸って……」
部外者が居たら、練習の邪魔でしか無いと思って外に出ようとしたら、
「待ちなさい」
引き止められてしまった。
「貴方、何外に出ようとしているのかしら?」
「え?だって……、練習の邪魔になったり……」
「私達の演奏は、誰かが居たら出来ないということは無いは。それに、初めて私達の演奏を聞いた人の感想を聞いてみたいの」
湊さんが僕を見つめる瞳には、強い意志が燃えているように見えた。主様の方に視線を移すと、ぱぁっと笑顔になっていたので……。
「皆さんが良いのなら……、お言葉に甘えて聞かせて頂きます……」
今に消えてしまいそうな蚊の鳴くような声で頼みました。
「やったー!あこの実力を最大限に発揮して、和覇を深淵の……」
「深淵の魔窟……」
白金さん、主様のフォローが素早い。あれは、僕も見習わないと。
「そう、深淵の魔窟の如き、その凄さを感じるが良い……」
主様、凄い気合入ってるな。
「じゃあ、和覇は私達の曲を聞いた後は、思ったことを言っていいから。逆に、何か気を遣って言わないと友希那が怒るよ〜」
リサさんがからかって来たが、案外本当にありそうなのでちゃんと言おう。
「黒崎さん、そう緊張しなくてもいいですよ」
氷川さんが僕を見て話しかけてきた、
「湊さんは、より良いものを作り上げるために聞きたいのです。だから、貴方のそのままの気持ちを言ってあげて下さい」
「は、はい……」
怖い人かと思っていたけど……、そんな事はなくて優しい人なんだな……。
「それじゃあ、みんないくわよ。『LOUDER』」
曲が始まってから、曲が終わるまで、その全てに圧倒されてた。
そして湊さんが早速感想を求めきた。
「それで、貴方には私達の音楽はどう聞こえたのかしら」
「……」
答えを言おうと口を動かそうとするが、その前に自然と涙が溢れかえっていた。
「今まで聞いてきた、どの曲よりも一番凄かったです……。何か言葉で表せない自分に悔しさを覚えるくらいに……」
何かが違っていたのだ。今目の前での演奏だったからなのか、そんな物じゃない。
歌声に乗せられて響き渡る歌詞の一つ一つが、世界を生み出していくような感じがしてくるのだ。鮮明に、アニメを見ているかのように、映像が自然と頭の中で見えてくる。
「歌声に乗せられて響き渡る歌詞の一つ一つが、世界を生み出していくような感じがしてくるのだ。鮮明に、アニメを見ているかのように、映像が自然と頭の中で見えてくる」
「あ、貴方……」
それから歌を彩る楽器の音色が……。ギターから流れ出る重厚なサウンド、ギターと共鳴して輝くようなベースの音色。
「それから歌を彩る楽器の音色が……。ギターから流れ出る重厚なサウンド、ギターと共鳴して輝くようなベースの音色」
「く、黒崎さん……」
「か、和覇……」
歌と共に曲を先導していくドラムの力強さ、その全てを優しく包み込むキーボードの音色……。
「歌と共に曲を先導していくドラムの力強さ、その全てを優しく包み込むキーボードの音色……」
「あこの……ドラムが……」
「私のキーボードの……音が……」
その全てが合わさって、至高の音楽しか言えないでしょ……。こんなに幸せな経験が出来るだなんて……。
「その全てが合わさって、至高の音楽しか言えないでしょ……。こんなに幸せな経験が出来るだなんて……」
「「「「「……」」」」」
「おさげに聞こえるかもしれないですけど……、本当に凄かったです……」
何とか言葉を探し出して、正直な気持ちを述べると、何故かこっちを見てもらえなかった。湊さんも、リサさんも、氷川さんも、白金さんも。そして主様にも。
「あ、あの〜……皆さ」
不安になってきたので、耐えきれずに声をかけると、
「「「「「黒崎(和覇)《さん》!」」」」」
「はい!何でしょうか!」
凄い勢いで名前を呼ばれたので、同じ様に返事を返した。
「貴方、言葉に出来ないって言っておきながら……」
「ちょっと〜、嘘ついたでしょ。あんなに……言われたら……」
「黒崎さん、自分言った言葉にもっと責任をですね……。でも……、今回は許しましょう……」
「あ、あの……、私のキーボードをそんな風に言ってくれて……、ありがとう……」
「あこ達が、みんなで奏でた音楽で、あそこまで言ってくれて……。さ、流石、我が眷属……褒めて遣わそう」
と、それぞれに感謝されたのだが、
「僕、もしかしてあの後……心の声漏れてました……?」
思い当たる所が無かったので、一番可能性のありそうなの言うと、
「えぇ……、とてつもなく評価した本音が滲み出ていたわ……」
湊さんは、少し笑いながら答えくれた。
「あははは……、恥ずかしい……」
あまりの恥ずかしさに、そのにしゃがみ込んだ。だって、思っていたことが全部聞かれただなんて……。
「だから、顔を合わせてくれなかったんだ……」
あぁ〜、恥ずかしすぎる……。
「へぇ〜、自覚無かったんだ……。あれだけ、人のことを褒め倒してくれてたのに〜」
やばい、何だか良く分からないけど、リサさんから不穏なオーラが。
「そうだったんですか……、黒崎さん。貴方は本当に……」
え、待って、氷川さんまで不穏なオーラが出てきてるし。
「あの全てが無自覚で……、そんな事無いですよね……」
あ、白金さんが一番ヤバイ……。僕の何かが、一番怖いって叫んでる。後退りながら、主様に助けを求めに近づくと、
「か〜ず〜は〜、さっき褒めてくれてのが無自覚で言えるとか。あこ、さっきの言葉にすっごく感動したんだからね」
両方のほっぺたを掴んで、目一杯広げられた。
「いひゃい、あひゅひしゃま、いひゃいひょ」
『痛い、主様、痛いです』
「だ〜め、これは罰だから大人しく受けるが良い」
更に頬を引っ張る力が強くなる。
「ひょ、ほんひょうにいひゃいでしゅ。ごめんなひゃでひゅ、ありゅじひゃま」
『ちょ、本当に痛いです。ごめんなさいです、主様』
結局、主様の許しが出る頃には頬が引っ張ったせいで真っ赤になっていた。それを見て、リサさん達から滲み出ていたオーラも自然と消えていった。
「それじゃあ、今日の練習はここまでにしましょうか」
湊さんの号令で、練習が終わり皆さんが片付けをして撤収の準備を初めた。僕も、出していた全てのアイテムをケースに収納していたりすると、一つ大事な事を思い出した。
「あ、主様」
「何?和覇?」
「これから主様たちは、もう帰るんですよね?」
「そうだよ〜。今日もいっぱい頑張ったから、帰って昨日買っておいたお菓子でも食べようかな〜」
「僕って、その……、帰る場所が無いんですけど……」
一瞬、片付けをしていた皆さんの動きも止まったような気がした。
「召喚されたは良いんですけど……、この先って……」
「そう言えば……、って、そうだよ!どうしよう、和覇を召喚したは良いけど、その後の事を考えてなかった!」
慌てて、僕を召喚するに使ったであろう分厚い本を慌てて取り出して、方法を探していたが、
「りんりん、これかな……?」
「え〜と…、それは……無限増殖だ思う……」
白金さんが協力してくれている、けど無限増殖って何?
「じゃあ、これは……」
「それは……、悪魔の軍勢を呼ぶものって書いてあるよ……」
「お〜、今度やってみようかな……」
主様、それ多分やったら街が『良き終末を』状態だよ。僕の力で対応できるか理解らないし。
「あこちゃん……」
白金さんが、しっかりと止めてくれました。
「そうだった、え〜と、え〜と」
それから白金さんと探し始めること、数十分……。
「ど、どうしよう……。見つからない……」
なんとなく、予想はしていたけど……。
「和覇を帰す方法が、分からない……」
絶望ラ〜イズ!マジカ!マジカ!マジカ〜ショ〜タイム!脳内が考えを放棄した瞬間であった。
今回は盛大にRoselia祭り!
やっぱりRoseliaが大好きなのです!本当に感度で泣けます。
それはそうと、和覇は帰ることが出来ずにどうなるのか、
次回から『ソイヤ姉さん』が登場します。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
感想など、お待ちしております。