この平行世界《パラレルワールド》にも祝福を!   作:めむみん

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日曜日に投稿したと思ってたら出来てなかったです・・・
すみません。
毎回、謝ってる気がします・・・


期待の最弱職(ルーキー)

-KITAINOROOKIE-

 

めぐみんとのデート講座中に色々とアクシデントがあったものの、何とか帰って来れた。

そして、宿には帰ってきたのだが、初心者殺しとの対峙よりも厄介な状況になってしまってる。

 

「カズマ?早く寝ましょうよ」

「・・・もうちょっと心の準備をする時間を」

「かれこれ一時間経ってますよ?」

 

ギルドで言ってた通り、本当にダブルベッドをめぐみんは用意していた。

そして、めぐみんは本気で俺を抱き枕にして寝るつもりだと理解した時には遅かった。

 

「カズマ!これは罰ゲームなんですから逃げはダメですよ!」

「わ、分かった。後数分だけってうわっ!?」

 

一瞬空を舞ったと思ったら、背中がふかふかしていた。

めぐみんに引き込まれた。

そして、ガッチリホールドされて身動き取れない。

 

「ホント、カズマはヘタレですね。もう離しませんよ」

「だ、誰がヘタレだって?」

「一時間もベッドに入らない人ですよ」

 

何も言い返せない。

くそっ、相手はロリっ娘だってのに情けねえ。

 

「・・・なあ、めぐみんに聞きたかったんだけどさ」

 

今だ。

二人きりで、話することの方が緊張しない今程確認するのに丁度いい。

流石に宿屋で邪魔されないだろう。

 

「お前の言う好きってのは」

「スースー・・・」

 

何でこうも確認取ろうとするタイミングで、失敗するんだろうか。

やっぱり、めぐみんが言うヘタレだからか?

てかこれ眠れないんだけど。

 

「かずま・・・」

「・・・」

 

そう言えばこいつの寝言は、爆裂散歩の夢が多いから、俺の名前もよく出てくるんだった。

やばい、名前呼ばれながら抱き着かれてるのは、徹夜慣れとか関係なく耐えられるか分からん。

 

「・・・わがばく・・・・えくす・・」

「・・・」

 

名前呼ばれるのより、こいつと共に心中することにならないか心配になってきた。

寝てる間の詠唱中に、魔力が出てることもあるし・・・

 

「・・・いす・・・・れつ・・」

 

ナイス爆裂かな?

一先ず安心だな。

これでこいつが詠唱することはない。

何か安心したら気が抜けて・・・

 

 

 

「・か・・き・・・・・さ・・・よ・・」

「かあさん、あとごふん」

 

休日はゆっくり過ごしたい。

 

「・・・ます・・・・・しは・・」

「あとちょっと」

「・・・・なかなか・・ない・も・いい・・」

 

休みなのにしつこいな。

こうなったら戦うしかねえ。

 

「いいかげんに・・・お、お前何やってんだ!!」

 

抵抗しようと目を開けて見るとそこには下着姿のめぐみんがいた。

 

「着替えですけど?」

「いやいや、俺居るんだぞ?」

 

さも当然の事みたいに言ってる。

やっぱり俺は兄貴みたいに思われてるのだろうか。

妹のいる友達が、兄妹を異性として見るなんて有り得ないって言ってたっけ。

・・・別にめぐみんに異性として意識されたい訳じゃない。訳じゃないけど、何か悔しい。

 

「あとちょっとと言われたので、カズマはもう少し寝たいのかなあと母さんは思いました」

 

あっ、これ絶対ずっといじられるやつだ。

 

「忘れてくれ」

「嫌です。・・・何してるんだと言う割にジロジロ見てくるのはどう言う了見か聞こうじゃないか」

「えっと、これは男の性でだな・・・」

 

やっぱり見られるのは気に触るか。

そりゃそうか。

いくら兄妹でも嫌だわな。

 

「まあ、いいです。着替えを始めた私も悪いですからね」

「悪い」

 

布団を被って見ないようにした。

どうしようか。

アイツが意識しないとしても、あんなの見たら嫌でも意識する。

俺はロリコンじゃない。

ロリコンじゃ・・・

 

「もういいですよ」

「おう」

「カズマ」

 

名前だけ呼んで黙って近付いてくる。

このパターンはラブコメとかでよく見てるから知ってる。

ビンタなりグーパンをされる流れだ。

 

「殴るなら痛くない所にして欲しい」

「そんなことしませんよ。私もカズマの着替え見ますから」

「・・・は?」

「冗談ですよ。私は外で待ってます。早く朝食に行きましょう」

 

めぐみんに振り回され続けてるな・・・

こんなんじゃ頼れるお兄ちゃんになるのはまだまだ先だな。

 

 

 

「遅かったですね。何してたんですか?」

「ナニもしてない。着替えに手間取ってただけだ」

「新しいパジャマが脱ぎにくかったのですね。慣れるまでの辛抱です」

 

全く違うけど、この際これでいいや。

ジャージに慣れ過ぎて、脱ぎにくかったのは事実ではあるし。

 

「今日はどこ行きますか?」

「何処って?」

「昨日はデートについてでしたよね?今日のお題と目的地の話です」

「そろそろバイト戻らないか?毎日金貰ってるだけってのは流石に気が引けるし」

「では今日は労働しましょうか」

 

とまあ、今日の予定が決まったのである。

 

 

 

「二人ともデートは楽しかったか?」

「いや、アレは勉強の為に」

 

ギルドについてからずっとだが、俺達二人は視線を集めてる。

昨日のデートの話が予想以上の早さで広まってるらしい。

 

「分かってるさ。でも商店街の知り合いからデートしてる初々しい二人を見たって聞いてね」

「アレはデートを装う事で、値切る戦法です」

 

値切る戦法より、昨日話してた俺らが兄妹ではなく恋人に見られることはないかの調査したかったと言えばいいのに。

流石に他人に話すのは恥ずかしいのだろうか?

 

「やはり紅魔族は賢いな。今日は二人とも奥の厨房で調理を頼む」

「「はい」」

 

ウェイターやってたらいじり倒されてたろうから、マスターの配慮に感謝しないとな。

でも、この世界の食料って自我もってて暴れるんだよな・・・

しとめ方とかを教わるのが今回のバイトの課題かな。

 

 

 

「お疲れさん。これは今日の分だ。それと明日から来なくていいぞ」

「えっと、俺ら何かやらかしました?」

「完璧とは言えませんが、それなりに出来たとは思うのですが」

 

クビの宣告をされるようなヘマはしてないはず。

人手不足は今も変わらないのは肌感覚で分かるし、切られる理由が見つからない。

 

「いや、腕に関しては十分だし、ウチとしても働いてもらいたいのは山々なんだが、ギルドから二人には冒険者として働いてもらいたいって要請があってね」

 

なるほど、ギルドからの要請か。

確かにそれなら分かる。

ここはギルドの敷地内だから、マスターよりも権限は上だろうし。

とは言え、俺が教養学んでる間も給料もらってたのに、このまま働かずにってのは、不義理に思える。

 

「でも、これまでに俺に投資して貰った分がありますし」

「それについても、ギルドからさっき支払われてね。恩に感じているなら、ギルドで活躍してくれよ二人とも」

「つまり、私達をギルドが買い取ったと?」

 

めぐみんの言い方はさておき、ギルドが俺らを確保しようと動いてくれたのは事実。

冒険者も人が足りてないのか?

 

「そういうこった。俺が投資してた分はこっちで払うから二人を本業に専念させたいってよ。随分期待されてんじゃねえか兄ちゃん」

「俺が?」

 

何故期待なんかされてるんだろう。

冒険者登録した時なんて、愛想笑いが返って来てたのに・・・

 

「初心者殺しが何かは知らねえけど、そいつを倒せる実力者は遊ばせておけないそうだ」

「良かったですね。少なくともギルドからは評価して貰えるようになりましたよ」

 

なるほど、実績残したから手のひら返しってことか。

 

「だな。これで俺のイメージ回復が一つ進んだ」

「それについてなんだが・・・」

 

悪い情報が齎されると思って身構えて見たけど、マスターの顔色的にはそこまで悪いようには見えない。

でもかと言っていい情報かと聞かれればそう言った感じの明るい顔でもない。

凄く気になる。

 

「何でしょう?」

「ウェイターをやってる子が今日接客してる中で、聞いた話によるとだね」

 

情報収集してくれてたのか。

マスターには世話になりっぱなしだな。

いずれ金が貯まったり、暇な時は無償でもいいから手伝いに来よう。

 

「めぐみんくんと盗賊の女の子がキミを取り合ってるって噂が立ってるらしいよ。それ以外は特にネガティブなモノはないと言っていたから安心したまえ」

 

ギルドの連中の中で俺はリア充になってるのか。

全然そんなことないのに。

いやまあ、ラブコメ的な展開に出くわしてないと言えば嘘になるけど、それはめぐみんが俺をからかうためにやってる事だしなあ。

 

「ほう。クリスがカズマを・・・」

「あくまでも噂だろ」

「ええ、ですが私としては見過ごせません」

「そりゃあ、何もないのが一番だけど悪いことではないだろ?」

 

めぐみんとしては俺の事はクリーンにしたいみたいだ。

本当に優しいやつだよな。

俺らより前に組んでためぐみんを追い出してたヤツらにはある種の感謝だな。

 

「カズマがそう言うなら」

「実際は何もないみたいだね。キミたちのパーティーの分は一割引にしてあげるよ。そうだ。あの青髪の子に謝っておいてくれるかな」

「アクアですか?」

 

とりあえず、マスターには事実をちゃんと認識して貰えて良かった。

そういや酒を水に変えてクビになってたっけ。

 

「そうそう。あの子が触れた液体が水に変わると言っていたのが事実だったとは知らずにクビにしてしまったからね」

「アイツがその体質について初めに話してなかったのが悪かったんですから、大丈夫ですよ」

「キミには敵わないな。ハハハハハ」

 

俺の幸運値は多分この出会いの良さに使われているのかもしれない。

明日からは冒険者としての生活か。

ここから俺の冒険者生活が本当の意味で始まるんだ!

 

「仲間の子達が戻って来たみたいだ。行っていいよ」

「「ありがとうございました」」

 

マスターの言う通りにギルドにやってきたアクアとダクネスに声をかけようと近付いて行くと俺はふと、ある違和感を覚えた。

噂されてる割にあまり視線を集めていないなと。

視線を集めたい訳じゃないけど、昨日の感じからしてもっと見られていてもおかしくは無い。

 

「二人ともバイトお疲れ!」

「アクアもな。ダクネスも付き添いで行ってたのか?」

「いや、実家に帰っていたのだが、ギルドに向かう途中でアクアを見かけてな」

「なるほど。所でダクネス、昨日はギルドに居たか?」

 

ダクネスからギルドでどんな噂が流れているのかを聞こう。

この際めぐみんがいると話がややこしくなりそうだから出来れば二人きりの方が都合がいいかもしれない。

 

「ああ、アクアが遅くまで呑んでいたからな」

 

これはラッキー。

アクアのお守りだけしていた訳じゃないだろうし、みんなが話してたとすれば耳には入って来てるはず。

 

「ちょっと二人で話し良いか?」

「私は構わないが、問題はないのか?」

 

心配そうに確かめてくる。

昨日も俺が頼んでるのに、確認されてたような?

ダクネスは気にし過ぎと言うか、気を遣いすぎてないか?

それとも、ダクネスなりの断り方とかだったらどうしよう。

でも誰も止めないし、この前はクリスも事情は知ってるにしても、ダクネスの意図を理解した上で黙って見てたから違うよな?

 

「何を心配してるのかは知らんが来てもらうぞ」

「分かった」

 

場所を喫茶店に変えて、俺は単刀直入に聞いた。

 

「俺に関するギルドで流れてる噂を教えて欲しい」

「カズマは何処まで知っているのだ?」

「俺をめぐみんとクリスが取り合ってるとか何とか」

 

ダクネスが頷いてるからマスターの言ってた情報通りか。

こんな噂でハーレム野郎だとか言われて男性冒険者から目の敵にでもされたら洒落にならない。

 

「概ねそんな感じだな。加えてカズマがめぐみんを選んだと専らの噂だ」

「クリスは大丈夫なのか?」

 

俺とめぐみんはまあ、一緒にいるから何とかなるけど、クリスは勝手にフラれたことにされてるのツラいと思う。

否定しても多分、火に油を注ぐようなもんだし。

 

「昨日から見かけていないから、ほとぼりが冷めるまで隣町に拠点を移したのだろうが、これが逆効果でな」

「・・・失恋したから隣町に行ったと」

「うむ。クリスが馬車に乗る所を目撃されていたのと、昨日めぐみんがダブルベッドを用意しようと言っていたこと、二人が商店街でデートをしていたと言う多くの目撃情報が合わさって、現実味を帯びてしまっている」

 

全部事実だけど、事実じゃない。

クリスは単純に厄介事から逃げただけ。

めぐみんの昨日の発言は、俺への罰ゲームだし、そもそもアイツは周りの目なんて気にしてない。

デートに関しても、めぐみんの知的好奇心が祟って、商店街中でデート中であるとアピールしたのと、レストランにいる所を多くの冒険者に見られてる。

何でこんなに状況証拠バッチリなんだよ。

 

「そうか。もしかしてクリスがいなくなったから俺らに気を使ってみんなこっち見なくなったのか?」

「そんな所だろう。昨日、カズマとクリスをいじっていた者も多かったし、負い目に感じているのもあるかもしれない」

「クリスのこともだけどさ、俺としては別にめぐみんと付き合ってるとか思われててもそれはそれで嬉しいけど、向こうは嫌だろうから何とか出来ないかと考えてるんだが、何かいい案ないか?」

 

妙案がないか聞いて見たら何故か呆れ顔を見せられた。

それくらい自分で考えろってか?

確かに冒険者は全部自己責任が基本だけど、これくらいは許して欲しい。

 

「・・・二つ、案がある」

「ホントか?」

「一つ目は意識的にめぐみんと行動を共にしないことだ」

 

聞いたら簡単そうだけど、実践するのはすごく難易度高いと思う。

爆裂散歩からの流れで大抵一緒にいるし、どこか行こうとするとめぐみんが「知らないことがあれば私に聞いてください」と言ってついて来てくれるし、流石に俺の教養不足を補うために同行すると言ってくれてるのは断り難い。

 

「それが出来たら苦労してない」

「カズマはめぐみんに流され過ぎだ。そんなだから二人の関係が恋仲であると噂が流れたり、アクアにロリマなどと呼ばれたりすることになるのだぞ?」

「それは分かってるけど中々言い難く、て?ちょっと待て、アイツそんな二つ名を俺を指して使ってんのか!」

 

あのクソアマ!

誰がロリコンだ!

アイツとは一度じっくり話す必要があるな。

 

「その話は後にしてだ。何かしら理由をつけて距離を置く他ないだろう」

「俺としては駄女神の処遇についての方が今重要なんだけど」

「はあ、前にも聞いたが、カズマはめぐみんをどう思っているのだ?」

 

何故ため息をつかれたのだろうか。

話を脱線させたからか?

それにしても呆れるようなため息をつく理由にはならないと思うんだが。

ここに来てからダクネスに呆れられてばかりだ。

 

「前にも言ったけど恩師だ。最近はちょっと抜けてる所もあるけど頼れるかわいい妹分みたいなポジションだ」

「以前と変わらず異性としては全くか?」

「もちろんと言いたい所だが、あいつのからかいでドキドキさせられっぱなしで、お世辞にも意識してないとは言えないかな。でも恋愛感情はない」

 

急にハグされたり、押し倒されたり、添い寝したり、抱き枕にされたりと、美少女にこんなことさせるにはいくら払えばいいんだと思うくらいの事を平然とあの子はしてくる。

これで意識しない男はめぐみんの実の兄とか、ゲイとかって言う例外を除けばいないはずだ。

 

「それは私と初めて会った時のモノと近いのか?」

「そうだと思う。てかさっきから何の確認なんだ?」

「いやな。噂を消すよりも噂を事実にした方が早いだろうと思って、カズマに告白させようと思ったのだ」

 

この人は何考えてんだ?

確かに俺とめぐみんの関係が事実だと認めて、その上でクリスの噂は尾ひれの着いたデマだと言った方が収束は早いだろう。

でも恋人になるのは簡単じゃない。

そりゃまあ、めぐみんが恋人になるってのはそれはそれで俺なんかに彼女が出来たって事で嬉しいけど、それとこれとは話が別だ。

 

「おいこら、人生一大イベントを噂解消なんて言うしょうもないことのためにさせるのかお前は?」

「確実に成功する案だと私は思うぞ?」

 

ダクネスは俺らを心のない駒か何かだと思ってないか?

めぐみんだって、会ってすぐの男となんて嫌だろうし、俺だって好きでもないのに告白するのは気が引ける。

それにこの案は最大の欠点がある。

 

「仮に俺がめぐみんのこと好きだったとして、俺がフラれて負う心のダメージとか考えたことあんのか?」

「考えてなかったが、問題ないだろう?」

 

ダクネスがここまでドライな性格だとは思って無かった。

なんだよその呆れた目は。

あれか?

俺がヘタレだとでも言いたいのか?

ダクネスとしては親友が事実とは異なる噂を流されて、それを解消する為には、手段を選ばない的な考えなのか?

 

「はぁ、もういい。アレだろ?とりあえずめぐみんに流されないように頑張って、一緒にいる時間減らせばいいんだろ?」

「うむ。第二案の存在も念頭にな」

 

ダクネスも何だかんだで、俺らの関係疑ってるのでは無いかと思えてきた。

なんと言うか単純に俺に告らせようとしてるようにも見える。

クリスを助けるのが半分、俺らを引っつけようとしてるのが半分って所か。

いや、クリスの方がウェイト大きいと思うけど。

 

「そっちは絶対使わないから」

「どちらの案にせよ。協力するから遠慮なく声をかけてくれ」

「ああ」

 

第一案の方はありがたいけど、第二案の方は協力も何もないと思う。だって告白するの俺だし、その場のことはダクネスにはどうしようもないし。

とは思いつつも協力してもらえるのだから、感謝しとかないとな。

 

「助かる。そろそろギルド戻るか」

 

 

 

ギルドに戻るとまた凄い視線を集めてる。

まさか俺がダクネスにも手を出した的なやつじゃないよな?

そうなったら洒落にならないんだけども。

 

「えっと、俺なんかしたか?」

 

近くにいたよく話す冒険者に聞いてみる。

 

「悪いことではないから安心しろ。今お前さんが注目集めてるのは彼女が惚気けまくってたからだよ」

「・・・俺ら付き合ってないけどな」

 

アイツ昨日の初心者殺しの話を本当に話してんだな。

思ってた通り惚気だと思われてる。

はぁ、収束がまた遠のいた。

 

「さっさと告白しろよ」

「何でそうなるんだよ。ダクネスも・・・あれ?」

 

ダクネスといい、何故俺に告白させようとするんだ?

それに気付いたらダクネスは何処か言ってるし。

 

「さっきプリーストの姉ちゃんの所に行ったぞ」

「じゃあ、そのプリーストは何処にいるんだ?」

「あの人だかりの中心」

 

宴会芸か。

お捻り貰えばいいのに、変な所で律儀っていうかなんて言うか。

 

「・・・めぐみんは?」

「あっちの人だかりの中心で今もカズマの武勇伝を語ってるぞ」

「今すぐ止めさせてくる」

 

情報提供への礼としてお辞儀してから、めぐみんのいる集団に向かう。

この人数は掻き分けるの難しそうだな。

どうして近付こうか。

 

「おっ、ご本人登場だぞ」

「お前ら道開けろ」

 

近付くのが難しいと考えてたのに、一瞬で問題は解消された。

道が開けてめぐみんまでの道が出来た。

 

「カズマ!こっちに来て昨日の話をしましょう!」

「しません。そんなことより明日のクエストについてみんなで話すからこっちこい」

「そんなことではありませんよ!みんなも話聞きたいですよね!」

 

みんな面白がって無責任に話を聞かせろとコールする。

ここで拒否すればめぐみんに流されない第一歩になる。

頑張れ俺。

俺はやれば出来る男だ。

 

「金出すから話してくれよ」

 

誰かは知らないがこの発言によって、俺が何も言ってないのに、俺の手元にお金が次々と集まってきた。

・・・もう、これはめぐみんに流されたんじゃなくて、冒険者の圧に負けたって事で大丈夫だよな?

 

「で、どうやって初心者殺し倒したんだ?」

 

誰かの言ったその一言によって、みんなの視線がより強くなった。

あっ、これ、俺の活躍を聞きたいとかじゃなくて、初心者殺しの倒し方知りたい冒険者の集まりか。

俺にこれだけ金を積むってことはめぐみんは俺の戦い方の詳細は話してないな。

 

「えっと、偶々上手くいっただけで、毎回出来るわけじゃないし、保証できないぞ?」

 

一応確認とって責任回避だけはしとかなければと思ったけど、そんなことより早く話してとヤジが飛んでくる。

誰も止めないし、大丈夫だろう。

 

「話の重複は避けたいから何処から話せばいいか教えて欲しい」

「お前の彼女は何も話してないから全部だ」

「カズマくんがカッコよかったとか、凄かったとかしか聞いてないから、どんな攻撃手段なのか教えて!」

 

めぐみんは何を語ってたんだ?

普通武勇伝って、戦い方を臨場感溢れる語りでするもんだよな?

 

「話す前に言っとくが俺とめぐみんは付き合ってないぞ」

「そう言うのいいから早く」

 

表情からして分かる。

恥ずかしがって、否定してるだけだと思ってるなこいつら。

言っても無駄か。

 

「はぁ。まず使うのは初級魔法と剣だ。剣はダガーとかでもなんでも、切れればいい」

「ちょっと待て!初心者殺しが初級魔法で倒せるのか?」

「初級魔法なんて覚えるだけ無駄だって習ったよ?」

「嘘ついてんじゃねえだろうな?」

「まあまあ、嘘かどうかの判断は話聞いたからにしてくれ」

 

先輩冒険者達に囲まれてる中、お金貰って話してるのに嘘つける初心者冒険者なんていねえよ!

本当の意味で冒険者を選択してる奴の基礎能力的に初級魔法か良くて中級くらいしか使えないのもわかってるだろうに。

 

「話進めるぞ?初級魔法の中でも使うのはクリエイト・アースとクリエイト・ウォーターだ」

「クリエイト・アース?」

「土作ってどうすんだ?」

「聞いていれば分かりますよ」

「それはそうだけどよ」

 

めぐみんのフォローに助けられた。

まあ、俺だって初心者殺しが初心者の魔法で倒せるなんて思いもしない。

 

「コホン。まず逃げながら土を手の中一杯になるまで作って、射程距離に初心者殺しが来たら目に向けてクリエイト・ウォーターを放てば目潰しが出来るから、怯んでる間に剣で切り付けて仕留める。頭を切り落とせば確実だな」

「・・・本当にそんなので倒せるのか?」

「だから偶々上手くいっただけってさっき言ったろうが」

 

大した情報じゃないと見るやみんな席に戻って行った。

金返せって言わないだけましか。

これで変に視線を集めなくなるだろう。

クリスもその内戻って来るだろうし、そうなれば、噂も沈静化するはずだ。

やっと落ち着いて、めぐみんと話が出来る。

 

「みんな戻っていきましたね」

「お前は何を話してたんだ?」

「その話よりもダクネスから聞いた話はどうでしたか?」

 

聞こえてたのか?

まあ、話の内容分かってるなら丁度いい。

 

「話によると俺がめぐみんを選んだからクリスが隣町に逃げたってさ」

「クリスが可哀想ですね」

「何とかしてやりたいけど、俺が動くと逆効果だろうし」

「確かにそうですね。私達が恋人になれば多少は早期解決も可能でしょうけど」

 

まさか、ダクネスが問題ないって言ってたのこういうことか?

めぐみんも同じ案に辿り着くだろうって?

じゃあ、そう教えてくれよ。

 

「・・・お前もそれを言うか」

「と言うとダクネスもこの案を出したのですか?」

「まあな。俺がめぐみんに告白して、恋人だって所を事実にして認めれば噂に上書きも出来るだろうって。ダクネスは協力を惜しまないとか言ってたけど」

 

ダクネスもフリをする案だって言ってくれれば、俺も構えなくていいのに。

でも恋人のフリするのを提案するのは凄い勇気いるし、ダクネスが間に入ってくれなかったら言えないかも。

 

「では協力してもらいましょう」

「おう。ってどういうことだ?」

「こういうことですよ」

 

と言ってめぐみんが肩にもたれかかって来た。

なんかいい匂いがする。

って、そんなこと考えてる場合じゃねえ!

 

「大人しくしてください。私達が恋人のフリをして一日でも早くクリスが戻ってこれるなら、それでいいじゃないですか」

「・・・分かった。めぐみんはそれでいいんだな?」

 

まさか、絶対にしないと言ってた第二案で、行動することになるとは。

ダクネスに話したらどんな反応するだろうか。

ほら見た事かって顔してそう。

 

「恋愛に興味なんてないですから。カズマと一緒ならそれで」

「そうか。そろそろ爆裂散歩行こう」

 

席から立てば離れてくれると思ったけど、手を繋いで行くことになった。

・・・これもクリスの為だ。

多少恥ずかしくても我慢するしかないか。

と言ってもデート講習からずっと恋人のフリしてる並に恥ずいことだらけだったけどな。

俺が慣れるのが先か、噂が消えるのが先か・・・




今日また、今週分を投稿するのでそちらもよろしくお願いします。
更新はこのシリーズです。
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