この平行世界《パラレルワールド》にも祝福を!   作:めむみん

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先週は現パロを先々週にあげたので、勘弁してください。
今日から週一投稿に戻していきたいと思ってますので宜しくお願いします。
遅れていたらすみません。


休日の過ごし方

-KYUUJITSUNOSUGOSHIKATA-

 

クエスト終わりの風呂は最高だ。

疲れが洗い流されていくような爽快感が堪らない。

そして、何よりめぐみんが居ない。

誰にも邪魔されない一人の時間を満喫できる数少ない場所だ。

別にめぐみんが嫌いという訳ではないけど、一緒に居るとからかわれるし、変にドキドキさせられるから落ち着かない。

元から日本人特有の長風呂をしてみんなを待たせていたが、ここ最近は単に長風呂と言うより一人の時間を作っている側面もある。

でも今日はめぐみんのために早めに上がらないといけない。

先に戻って良いと伝えたのに待ってくれると言うのだ。

俺を待つのが主目的ではないとしても、待たせている以上長風呂は出来ない。

めぐみんが俺を待つ主目的は、恋人のフリをするため。

理由はクリスと俺との噂を、俺とめぐみんが付き合っていると言う情報を認めることで上書きすると言うモノ。

単に恋人のフリをするのなら、緊張は差程しないだろうけど、現実は違う。

めぐみんから何度か好きだと伝えられてはいるが、真意が分からないから困っている。

責任取るならと言う話もしてくるし、明らかに異性としての好きじゃないと話が合わない時もあった。

でも本当に好きな相手にはしないと思うこともしてくるし、俺が確認しようとすると邪魔が入るし、どうすればいいんだろうか。

とめぐみんとのこれからを悩んでいると見知った冒険者が近付いて来た。

 

「カズマまた長風呂してんのか?彼女が待ちぼうけてたぞ?」

「えっ?もうそんなに時間経ってたのか?」

「彼女って遂に認めたな」

 

どうしよう。

俺も認めたことになった。

まあ、恋人のフリをするんだからいつか認めることになるだけどな。

 

「否定したって信じないから疲れるし止めた」

「そういうことにしといてやるよ」

 

こうして俺は外で待ってるめぐみんの元へ向う。

時計を見ると五十分経過してた。

これいつもより待たせてるな。

どう言い訳するかな。

 

「カズマ、いつもより遅いですよ?なるべく早くと言ってましたよね?」

「悪い、お前のこと考えてたら長風呂になった」

 

ご機嫌斜めな様子だったから正直に話してみた。

 

「そ、そうですか。ならいいです」

「いいのか?」

 

そっぽ向いて話聞いてくれなくなるのかと思ったけど、許して貰えたらしい。

こうも簡単に許して貰えるとは思って無かった。

何か裏がありそうだけど。

 

「牛乳とコーヒー牛乳一本ずつお願いします」

「へいへい」

 

やっぱり要求があったか。

そんなことだろうとは思った。

 

「カズマ」

「どうした?」

「私たち恋人ということになってるんですよね?」

 

当事者同士でこんな話普通しないよな。

めぐみんも困惑気味に話してるし。

 

「ああ」

「ならばこうしましょう」

 

突然腕が引っ張られたと思ったらめぐみんとの距離がゼロになっていた。

何かいい匂いする。

教養講座以来の恋人繋ぎだな。

なんの前触れもなくされたことで、前よりも緊張する。

 

「・・・お前は何やってんの?」

「恋人繋ぎです」

「昨日みたく普通に手を繋げば良くないか?」

 

凄いドキドキしてるけど、平静を装って何とか対応してる。

めぐみんは全くいつもと変わらない様子。

めぐみんってやっぱり大物だわ。

 

「いつまでもイチャイチャせずに初々しいままだと怪しまれますよ?」

「いや、昨日の今日だぞ?進展早過ぎないか?」

「それもそうですね」

 

納得して貰えたと思ったのも束の間、めぐみんは恋人繋ぎを継続している。

 

「言ってることとやってることが噛み合ってないぞ」

「私思ったんですよ」

「何を?」

 

めぐみんなりの考えあっての行動らしい。

まあ、めぐみん的に恥ずかしいとは思ってないのも一因だろうけど。

 

「ずっと付き合ってると噂されてた私達が恋人繋ぎしてても、ついに隠さなくなったか程度の認識になるんじゃないかと」

「・・・」

 

凄い正論で何も言えない。

ギルドの連中の反応はいつも決まって隠さなくていいだったからな。

 

「ということでこのままギルドに向かいましょう」

 

この後ギルドに着くと、めぐみんの言ってた通り、「やっと隠さなくなったな」とか「おめでとう」とか色々言われた。

アクアとダクネスにまで「二人でこれからも仲良く頑張りなさい」とか「カズマ、よく頑張ったな」とか言われた。

ダメだこれ。

結局、仲間も俺らのこと分かってないわ。

アクアの曇りなき眼とやらは何処へ行ったのだろうか。

クリス、早く帰ってきてくれ頼む!

 

 

 

翌朝、俺はクリスに手紙を書いていた。

何としても現状を伝えて帰ってきてもらわねば。

一人だけ隣町に逃げるとか、ズルい。

昨日までは可哀想にと思ってたけど、何か、昨日の一件で可哀想って感情が無くなった。

 

「かずま?」

「めぐみん起こしちまったか?」

 

なるべく音を立てないようにしてたんだけどな。

もう起きる時間と言えば起きる時間だけども。

 

「おはようございます。何してるんですか?アレを見ようとしてたなら怒りますよ?」

「そんなことしねえって、クリスに早く帰ってくるように手紙書いてるんだ」

 

アレと言うのは俺も何なのかは知らないけど、めぐみんが大切にしてるモノだ。

そして、それが何かは見せてくれない。

初めて同室で眠ることになった日の夜、音がして目が覚めたら何かを抱きしめながら泣いているめぐみんを見た。

俺が起きたのに気付いためぐみんは焦ってそれを隠して、そのまま布団の中に入って、その何かを片付けた場所は絶対に開けないようにと言われた。

そんな事もあって極力この机に近付かないようにしていたんだが、机だから、文字を書くのにはどうしても使わざるを得なかった。

 

「何故です?」

「俺らが恋人のフリして頑張ってるのに、一人だけ隣町に逃げるのズルいって思えてきて」

「私達二人も隣町に逃げるのはどうですか?」

「それはもう色々ダメだろ。愛の逃避行とか言われるぞ?」

 

紅魔の里だっけか?

そこに向かって二人で帰って暮らすつもりだとか何とか、噂されるのは必至だろうな。

 

「でも今クリスが返ってきても、ギルドの冒険者から変に気を遣われるのでは?」

「・・・」

「カズマの気持ちも分からなくはないですが、クリスだってまさかこんな噂が立つなんて想像もしてなかったと思いますよ?」

「そんなこと言われたら書けなくなるじゃん」

 

言われてみればクリスは単にパンツコンビと言われるのが嫌で街から逃げたんだっけ。

知らぬ間に言われてんだからなアイツも。

手紙書くのはやめよう。

 

「クリスに手紙を書くのはクリスが帰って来れる状況を作ってからにしませんか?」

「わかった」

「それよりも今日はどうしますか?」

「とりあえずギルドでクエスト確認だな。昨日は散々だったけど、同じく初心者向けのやつを受けよう」

 

と話していたのだが、掲示板の前に着くと俺達の受けられそうなクエストが全くなかった。

いつもびっしり張り紙だらけで下の依頼が見えないくらいなのに、お知らせと書かれた紙しか貼られてない、

 

「クエストありませんね」

「全部他のパーティーに取られたのか?」

 

クエストがないかと、一応受付に確認を取ってみたが、いい返答は得られなかった。

 

「すみません。今日はクエスト処理を行う職員が三人も病欠になってしまい不足してまして、制限をかけてる所なんです。その旨を書いた掲示物を今作ってる所でして、代わりとなる仕事の斡旋は行ってますのでどうですか?お二人なら直ぐにでもギルドの食堂で働けると思いますが」

「そうですか。ありがとうございます。他の二人待ってから決めます」

 

今日はバイトか。

これまでお世話になった分手伝うか。

 

「どうしますか?私は労働よりも今日はゆっくりしたい気分なのですが」

「マスターに恩返し出来るいい機会だと思わないか?」

「カズマ、食堂を見てください」

 

いつも以上に繁盛している食堂だとは思うけど、めぐみんが言わんとすることがさっぱり分からない。

お金のある冒険者は働かずに飲んだくれてるんだろうなあ。

俺も出来ればそうしたいけど。

 

「食堂がどうした?」

「いつもより人が多いのに料理が遅いと怒鳴る声が聞こえないことからして人手足りてますよ?それに急に冒険者を雇い入れることになって人件費が上がってる所に行くのは気が引けます」

「な、なるほど」

 

言われてみれば俺達が働いてた時はウェイターの人達が「まだなのか!」とか「早く出さねえなら割引しろや!」とか怒鳴られてたな。

言っても二日しか働いてないけどな。

 

「と言うことでまずは爆裂に行きましょう!」

「ちょっと待て、アクアとダクネス待つってさっき話してたろ?」

「分かってますよ。予定を決めただけです」

「嘘つけ、出口の方に俺引っ張って行こうとしてたの分かってるからな?」

 

爆裂魔法のことになると周り見えなくなるよなコイツ。

まあ、うちのパーティーだと常識枠なんだけども。

それを言ったらダクネスもドMさえなければ常識枠だからな。

 

「・・・あっ、ダクネスが来ましたよ!」

「おはよう。何かいいクエストはあったか?」

「それが人手不足でクエストに制限かけてるらしい」

「ということは今日は自由行動か?」

「ああ、俺らは爆裂しに行く所だ。ギルドが代わりに仕事の斡旋してくれるらしいから、その話も含めてアクアにしといてくれないか?」

 

これで後は爆裂散歩して、のんびりするだけか。

何するかな。

この街で休日過ごすの初めてだな。

めぐみんとのデート講座はなしとしてだ。

 

「任せておけ。二人はゆっくりしてくるといい」

「ダクネスからも言われましたし、今日はのんびりしましょう!」

「おう。やけに今日は元気だな。まあ、突然の休日にテンション上がってないと言えば嘘になるけど」

 

めぐみんってこう言う子供っぽい所あるよな。

確か中学生くらいだよな?

年相応な所もあるってことかな。

 

「今日みたいな爆裂散歩日和はテンションが上がりませんか?」

「俺はどっちかって言うと曇ってる方が好きだ」

 

今日みたいな快晴は眩しいから出来れば曇りの方がいい。

ずっと曇りはそれはそれで嫌だけど、別の話だなこれは。

 

「アクアの言う元ヒキニートだからですか?」

「・・・爆裂しに行くぞ」

 

この場合あまり否定出来ないから困る。

一応、引きこもりじゃないし、学生だからニートでも無いはずだけど、太陽の当たらない部屋が好きなのは不登校になってからだからな・・・

 

「行きましょう!と言いたい所なのですが、ちょっと用事を思い出したので、お昼からでもいいですか?」

「用事?誰かと約束してたのか?」

「いえ、宿屋で少しやることがあるのですよ」

「それなら俺もついて、行っちまったか」

 

俺を置いて行ったと言うことは俺が居ない方がいいってことだよな。

アレの隠し場所を変えに行ってるかもしれないし後を追わない方がいいよな。

 

「あれ?めぐみん走ってったけど、どうしたの?」

「宿屋で何かするらしい。昼まで一緒に飲まないか?」

「出来ればそうしたいけど、バイト受けちゃったのよね」

「行動が早いな」

 

もうダクネスから話聞いてバイト取ったのか。

アクアは土木関係のバイトだろうな。

 

「朝一にギルド来たらクエストの代わりにバイトの募集してたからね」

「俺らより先に来てたのか」

「そうそう。バイト先に行って、正式に決まったからその報告に戻って来たのよ」

 

アクアはそう言えば早起きだったな。

城壁補修の工事が早いからだったっけ。

 

「バイト頑張れよ。俺は食堂でゆっくりしてる」

「ふふん。お頭が給料アップだって言ってくれたから頑張るわ!」

 

アクアは水の女神としての才能を土木工事に役立ててるらしい。

おやっさんの話だとアクアにはずっといて欲しい逸材何だとか。

天職だなって言ったらすげえ怒られたけども。

 

「ダクネス、昼まで飲まないか?」

「すまない。今バイトを受けた所でな。始まるまでの間の話し相手にはなれるぞ」

「なら少しの間頼む」

 

これで昼までちょっと持たせられるな。

ダクネスが居なくなったらどうしようかな。

飲んでる誰かと話すのが一番だろうな。

 

「所でさっきめぐみんと爆裂しに行くと言っていたのに、どうして私を誘っているのだ?」

「宿屋に用事あるの思い出したから行くのは昼になってからだってさ」

「カズマを引っ張って行かなかったのが気になるな」

 

まあ、そうなるよな。

爆裂散歩行くならついて行った方が早いからな。

 

「多分、俺には見られたくない何かを動かしてるんだと思う」

「と言うと?」

「誰にだって隠し事の一つや二つあるだろ?俺だってまだアクアと共有してる秘密もあるし、俺だけの秘密だってある」

 

俺が転生者だって話は何時が話時なんだろう。

多分、アクアみたく信じて貰えないだろうし、出来れば伝えたくはないしな。

とは言え、このまま一緒に冒険者やっていく仲間にずっと黙ってるのもなあ。

悩ましい。

 

「まだと言うことはいずれ話してくれるのだな?」

「その内な。ダクネスだって何か隠してるだろ?」

「わ、私は仲間に隠し事などしてない」

 

物凄い動揺ぶりだな。

絶対に何か隠してるなこれ。

 

「してるだろ」

「してない」

「・・・何にせよだ。仲間同士でも無闇な詮索はなしだろ?」

 

俺も転生関係の質問されたら困るからな。

ここはお互い探り合いはなしとしておこう。

 

「今し方詮索を受けた気がするのだが」

「隠し事してるかどうか聞いただけだろ?中身までは聞いてない」

「・・・私も時が来たら話そう」

 

・・・ダクネスが秘密を話してくれた時に、俺も話すってのがありかもな。

めぐみんはあの隠してるモノだな。

でも、そうなるとアクアが女神だと言わなきゃいけないんだよな。

絶対俺も可哀想な奴扱いされそうで嫌だ。

 

「気長に待ってる。その時にはこの会話忘れてるかもしれないけど」

「ああ。すまない、私はそろそろ時間だ。ゆっくりするといい」

 

 

 

先輩冒険者達と一緒に飲んでいる。

飲むと言っても俺はジュースだけども。

ここで、先輩達から情報収集するのが今日の午前中のやることだな。

先輩と言ってももう既にタメ口の関係だけども。

 

「街の近くにある廃城に魔王軍幹部が住み着いたらしいぜ」

「こんな辺鄙な所に魔王軍幹部が来るわけないだろ」

 

何だって魔王軍の幹部が初心者冒険者しかいない街に来るんだ?

いつも為になる情報貰ってけど疑わしいなこれに関しては。

 

「本当だって、俺の知り合いの知り合いの親父さんが言ってたらしいから間違いねえって」

「それただの他人じゃねえか」

 

又聞きもいい所だ。

絶対ガセネタだ。

 

「その話本当らしいぞ」

「どこ情報だ?また知り合いの知り合いとか言わないよな?」

 

いつも絡んでる冒険者の一人がやってきて被せてきた。

 

「伝令で来てる王都の騎士が魔王軍幹部がアクセルの街付近に潜伏してるとの情報が入ったが、増援を出すのは厳しいって話をさっき詰所でしてたからな」

「・・・何で魔王軍幹部がはじまりの街に来るんだよ。悪質な嫌がらせか?」

 

これでこの街に魔王軍幹部攻めてきたら俺達はどうすればいいんだろうか。

とりあえず、昼飯でみんな戻ってくるだろうから、その時に話してみよう。

 

「どうせただの陽動だろ。増援を王都から派遣した途端王都が襲われるんだろうな」

「うわあ。如何にも魔王軍がやりそうな手だな。まあ、駆け出しの俺らには関係ないけどな」

「だな。間違いねえ」

 

話が一区切りした所で三人が集まってこっちを見ているのに気付いた。

先輩方も気づいたのか俺は三人の元に向かったのだが、何故か目が合った瞬間にみんな視線を逸らせた。

 

「お前ら三人揃ってどうした?」

「随分楽しそうでしたねカズマ?」

 

めぐみんが不機嫌そうに言った。

 

「情報収集は冒険者の基本だろ?」

「カズマが他所のパーティーに入るかもなんて心配はしてないからね」

 

アクアはツンデレみたいに俺の事チラチラ見ながらそんなことを言った。

 

「昼まで暇だったから先輩達に話聞いてただけなんだが?」

「仲間が取られるかもしれないと言うこの状況で、何だか込み上げてくる興奮感。これが噂の寝取られ……」

 

そして、ダクネスは何だか興奮しながらそんなことを言った。

これは何言っても無駄だな。

ダクネスは変なスイッチ入ったし、これ以上この場にいるとろくなことにならなそうだな。

 

「めぐみん、早く爆裂散歩終わらせるぞ」

「嫌です」

「何でだよ」

 

まさかめぐみんに反対されるとは思ってなかった。

爆裂散歩に一番行きたいのめぐみんだろうに。

 

「ゆっくり爆裂散歩したいので」

「じゃあ、ゆっくり行くか」

 

この場からは立ち去れるから良かったとこの時の俺はそう考えていた。

ゆっくり爆裂散歩に行くと言うことの意味を俺はまだ理解していなかったのだ。




このシリーズの次回はお城にポンポンポンポン放ちに行く回となることでしょう。
次回の更新シリーズは未定です。
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