この平行世界《パラレルワールド》にも祝福を!   作:めむみん

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何とか週一投稿に収められました
COVID19の感染に苦しめられてますが、貯金で何とかなりました。
今は喉が痛いだけになりました。


呪いと祝福

-NOROITOSYUKUFUKU-

 

俺とめぐみんが恋人のフリを始めてから約一週間。

ここ最近はクエストがないから、ギルドでのんびりしてることが多い。

現状、事実を知っている面子を除いては完全に俺たちが恋仲だと思っていることだろう。

何故かって?

それはもちろん、めぐみんの行動が全てだ。

 

「むぅ、また他の女見てましたね?ああ言うのが好みなんですか?」

 

頬を膨らませてそんな抗議をしてくる。

正直、俺ももうめぐみんと実際に交際してるんじゃないかと思い始めてる。

因みに今はギルドの食堂で昼間からイチャイチャしてることになってる。

アクアは毎日バイトへ、ダクネスは実家に毎日筋トレへ、今日に関しては、用事で隣町へ行った。

そんな毎日を、俺は飲酒でこの状況を何とか耐え凌いでる。

素面だとめぐみんのからかいに耐えられない。

昼間から酒飲むなとかそういう話はなしだぞ?

 

「ちょっと考え事してただけで誰のことも見てねえよ」

「本当ですか?」

「本当だって、俺はめぐみんにしか興味無い」

 

とまあ、明らかにカレカノのやり取りを毎日してる。

最初の方は宿に帰ってからアレはなんだったんだと聞いてたけども、恋人として普通の反応をしておかないと疑われるとか何とか言って説き伏せられてしまったが故の返しだ。

おかしい、何かがおかしいけど、アクアもダクネスもニコニコ見て、頷いてるだけだからなあ。

 

「また考え事してます?」

「どうやったら日常を取り戻せるか考えてる」

「私としてはカズマと出会ってからの大半をこうやって過ごしてるので、これが日常ですよ?」

「言われてみればそうだな」

 

非日常も続けば日常か。

しかも異世界転生してからの生活は確かに、めぐみんと一緒に居る時間の多い日常だった。

・・・どうなってんだこれは。

これはあれか?

めぐみんルートへ進めという神からの啓示か何かなのか?

それだったら恋人のフリとか訳の分からないワンクッションやめて欲しい。

当事者の俺でも分かる。

一日中どこへ行くにも一緒に居て、同じ宿で泊まってる二人とか何処からどう見てもカップルで間違いない。

俺がめぐみんと実際に付き合いたいとか変な気起こさないうちに早くクリス帰ってこないかな。

 

「また何か考えてますね?」

「なあ、めぐみん、俺思ったんだけど、そろそろクリス呼んでも良くないか?」

「なるほど、他の女を見ては無いけど、他の女のこと考えてたんですね」

 

見てるよりも考えてる方が不味いと思う。

てか、なんでこいつはこの場面でも続けてんだ?

周りの冒険者はもうこっち見てないってのに。

 

「人聞き悪い言い方やめろ」

「はーい。カズマの言う通りだと思うので、今度ダクネスに頼んで手紙送りましょうか」

「めぐみんはいつ頃この関係終わらせる予定?」

 

クリスを呼び戻せば当初の予定は果たせる。

後は不自然じゃないように別れたことにするだけだ。

とはいえ、その別れると言う工程が現状とても難しくなっている。

 

「私はこのままでも構いませんよ?」

「・・・楽しんでるだけだよな?」

「違いますよ?カズマと一緒居る時間が好きなので、このままがいいんです」

 

また勘違いしそうなことを言う。

とは言え、この状況でのこの返しは本当に勘違いなのか?

もうやけだ。

酒も入ってるし、今なら普通に聞けるはずだ。

 

「なあ、めぐみん。一つ聞いていいか?」

「構いませんよ?アレに関すること以外なら」

「それはもちろん聞かないけども、俺が聞きたいのは…」

 

お前の言う好きは恋愛的な意味かと聞こうと思ったが無理だった。

ギルド内に警報音が鳴り響いたことで完全に声がかき消された。

 

『緊急!緊急!正門前にデュラハンが襲来!デュラハン襲来!戦闘要因は直ちに正門前へ向かってください!正門前へ向かってください!』

 

明らかに焦ってる放送からして、相当ヤバい案件なのだろう。

俺がめぐみんからどう思われてるとか正直どうでもいいレベルで。

とはいえ、どうしてここまで俺が確認しようとするタイミングで邪魔が入るんだよ!

 

「これが終わってからですね」

「だな・・・」

 

 

 

アナウンスに従って正門へ移動すると、正面には堂々と丘の上に立ち、こちらを睨みつける黒い鎧で身を包んだデュラハンがそこにはいた。

乗っている馬も黒く、頭がない。

俺の邪魔するやつは許さんぶっ叩いてやるとか思ってたけど、そんなこと出来る相手じゃなさそうだ。

相手がアンデッドだからアクアが到着したらある程度戦えるかもしれないけど俺とめぐみんだけじゃ何もできないと思う。

 

「要求はなんだ!」

 

一人の冒険者がそんなことを言う。

この状況でよくそんなこと確認できるなあと見てみると如何にも勇者みたいな鎧を着たイケメンだった。

・・・何か見てるだけでイライラしてきた。

 

「要求か。ああ、この中に居る頭のおかしい魔法使いに要求がある」

「「「頭のおかしい魔法使い?」」」

 

見かけないイケメン野郎とその取り巻きと思われる女性冒険者二人以外は「頭のおかしい魔法使い」と聞いただけでめぐみんを見た。

もちろん俺も。

 

「カズマまでこっち見ますか・・・はぁ、全く心当たりはありませんが話くらい聞いてあげますよ」

「貴様か・・・毎日毎日、ポンポンポンポン爆裂魔法を城に撃ち込む大バカ者はああああああ!!」

 

それはそれはとても心当たりのある内容で、デュラハンさんは超お怒りだった。

これ、大丈夫かな?

めぐみんと俺殺されないよな?

 

「爆裂散歩をバカ呼ばわりとは聞き捨てなりませんね」

「爆裂散歩?なんだその変な散歩は、そんなモノがあってたまるか!いいか!命が惜しければ今後、俺の城に爆裂はするなよ!」

「無理です」

 

無理ですって何だよ。

爆裂やめれば命助かるんだからそこは乗っとけよ。

やはりめぐみんは頭のおかしい魔法使いであってると思う。

 

「何だと?」

「私は一日に一度、爆裂魔法を放って、カズマから採点してもらわないと死にます」

「「「・・・は?」」」

 

期せずして、デュラハン含め全冒険者の声がハモった。

何言ってんだろうこいつは。

 

「ええ、昔は何も無い平原に放てば満足でした。しかし、爆裂散歩を重ねる内に、大きくて硬い物じゃないと満足できなくなり、更にはカズマじゃないと満足出来ない身体になってしまいまして」

「何紛らわしいこと言ってんだ!あと、身体クネクネするのやめろ!」

 

周囲の冒険者からの視線が凄い。

ニヤケてるヤツらと呆れてるヤツらと色々いるけどとにかく気まずい。

俺らがあの散歩で何してるか知ってるやつが大半だからいいけど、ここまで誤解を産むことってないと思う。

 

「・・・惚気なら他所でやってくれ」

「惚気じゃありません!あなたがやめろと言うから無理だと説明したのです!」

「何も城じゃなくとも大きくて硬い目標なら近くの岩山があるだろうが」

 

ご最もですデュラハンさん。

どうかバカを止めてください!

そうすれば俺の労力も減るんで……

 

「あれは一発で木っ端微塵ですが、あなたが勝手に占拠してる城は未だに破壊出来てないんですよ?そんなのどっち狙うかなんて決まってるじゃないですか」

「・・・お前の言いたいことはよく分かった。止めるつもりはないということだな?」

「ええ、そちらが拠点を別の場所に変えれば済む話ですし」

 

この子本当に肝っ玉座ってるよな。

一応アンデッドの中でも上位なデュラハン相手にここまで堂々と言い切るとは。

しかも話だけ聞いてたらデュラハンの方がまともに聞こえるのは気の所為だろうか?

 

「それは無い。今から陣地を築く余裕は無いからな」

「では、交渉決裂ですね。先生!後はお願いします!」

 

お前は戦わないのかよ!

バイトから嬉々として抜け出してこっちへとやって来たのであろうアクアがウキウキで出て来た。

デュラハンって一応強キャラなんだけども、女神に取ってはバイトの店長に怒られるよりも下の者らしい。

 

「まっかせなさい!野良デュラハンなんてこの私にかかればちょちょいのちょいよ!」

 

・・・一応女神だもんな。

こういう時こそ頼りにならなきゃ困る。

 

「ほう、アーク・プリーストか。しかし、所詮始まりの町にいる者のレベルじゃまった……」

「『セイクリッド・ターン・アンデッド』ッ!」

「ぎゃあああああああああ」

 

おっ、アクアの除霊魔法で馬が消えた。

結構効いてるなこれ。

転げ回ってるし。

 

「カズマカズマ、どうしよう私の魔法が効いてないわ」

「いや、ぎゃあああああああって言ってたし聞いてるだろ」

「こ、この程度か。まだまだ」

 

片膝を突いてデュラハンが何か言ってる。

負け惜しみにしか聞こえないが。

 

「『セイクリッド・ターン・アンデッド』ッッ!」

「ひゃああああああああ」

「やっぱり全然効いてないわ!全力でやったのに!」

「いや、のたうち回ってひゃああああああって言ってるから効いてるだろ。さっきより痛そうだし」

 

除霊が出来てないのは、曲がりなりにも魔王軍幹部だからいわゆる神聖魔法への耐性があるってだけで、効いてるからあと何回かやれば除霊出来る気はするんだけども。

どうなんだろう?

 

「もういい、これ以上は拉致があかん。伝えたいことは伝えたから帰らせてもらう。最後に遅くなったが自己紹介だ。俺は魔王軍幹部のベルディア。この街を滅ぼされたくなければ二度と城へ来るな!危害を貴様らに加えるつもりはない。いいな?俺も元はこれでも真っ当な騎士のだったつもりだ。約束は必ず守る」

「さっきも言いましたが無理です」

「・・・ふっ、そうか、素直に従っておけば良かったものを。汝に死の宣告を、貴様は一週間後に死ぬ」

 

死の宣告だと!

そんなもん使えるやつが始まりの街に来んなよ!

てか魔王軍幹部って何だ!

めぐみんの声も震えてたし、そう言うのは先に言っとけよ!

ってそんなことよりめぐみんが危ない!

 

「カズマ?」

 

気付いたらめぐみんの手を取り強引にこちらへ寄せ、デュラハンから庇うようにしゃがみ込んだ。

すると何かが後ろを通った気がする。

とは言えこの状況で何かが俺の背後通るはずは無いだろう。

仮に何かがいたとして鳥とかそういうのだろう。

まあ、つまりこの状況で死の宣告をくらうのは俺だった。

 

「あ゙ぁあああああ!?」

「か、カズマッ!」

「・・・まあ、いい、何かが通ったのは置いとくして、仲間同士の絆が深い、ましてや恋人が相手であればその方が苦しむだろう。貴様の所為で恋人は死ぬ。己の愚かさを悔いるがいい」

 

・・・やっぱり何かが俺の後ろを通ったらしい。

何かってなんだ?

ってそんなことよりもめぐみんは涙流して固まってるし、こういう時どうすればいいのか誰か教えて欲しい。

あと、恋人と言ったことを訂正して欲しい!

 

「呪いを解いて欲しければ、城まで来て俺を倒してみろ。配下を全て倒した上で、やれるものならな。クハハハハハ」

 

言ってデュラハンは居なくなった。

そして、最初にデュラハンの要求を聞いたイケメンがデュラハンの居た場所に突進して、その虚空へ剣を振り下ろした。

俺、あと一週間の命なのに、イケメンがバカなことしてるの見てるのが楽しい。多分ハイになってるんだな。落ち着かないと……

はぁ、とりあえず、ダクネスがこの場に居なくて良かった。

いたら間違いなく、嬉々としてめぐみん庇ってただろうしな。

俺なんかの命で済んで良かった。

・・・全然良くないけど。

 

「ひぐっ、かずま……」

「怪我とかないか?」

「わ、わたしは、で、でも」

「気にするな。俺がしたくてしたことだから」

 

とは言ったものの咄嗟に身体が動いただけだが。

もちろんめぐみんを守ろうと言う意識はあったけど、先にめぐみんの名前呼んで手も動いてた気がする。

無意識下で守ったってことか。

まあ、俺の死因もそんな感じだもんな。

トラクターに轢かれそうな子を守ろうと勝手に身体が動いて死んだ訳だからな。

 

「・・・ちょっと、行ってきます」

「どこ行く気だ?」

「あのデュラハン倒してきます」

 

なんて事を言い出した。

責任を感じてるんだろう。

そんなに気負わなくていいのに。

 

「俺のことは気にすんな。俺みたいな最弱職一人の命で魔王軍幹部を退けられるならそれでいいじゃねえか」

「よくなんかないです!」

 

そう怒鳴っためぐみんは、涙を流していた。

心配させまいと言ったことが怒らせてしまったらしい。

 

「カズマが居なくなったら、私は、私は……」

「そん時はアクアかダクネスにたの…」

「好きな人が居なくなるのは嫌なんです!」

「えっと」

 

こんな時に何言ってんだと言おうと思ったけど出来なかった。

それは俺の反応なんて気にもせずに続けためぐみんの言葉だった

 

「もう嫌なんですよ!大切な人と会えなくなるのは、だから止めないでください」

「分かった。じゃあ行くか。俺も気付かなかった間抜けだからな」

 

俺が大切な人か……

これはいよいよ冗談とか、からかうためじゃないな。

でも、もうってことは、既に大切な人を失ってるってことだよな?

家族か、初恋の人か……

いや、そんな詮索してる場合じゃない……

 

「カズマは来なくても」

「俺の問題なのに、本人が行かなくてどうするよ。それに、魔法使った後のお前を誰が連れて帰るんだ?あと、爆裂散歩に付き合うって約束だろ?」

「ズルいですよ。それは……」

 

めぐみんは俯いて、動かなくなった。

めぐみんに取って大切な人を失うことがどれだけ辛いことなのか俺にはハッキリ分からないけど、少なくとも単騎で無謀な戦いに挑もうとするくらいなのは想像にかたくない。

いつも年下のめぐみんに引っ張られてる俺だけど、こんなときくらい年上らしく行動したい。

 

「ほら、行くぞ」

 

手を引くと少しずつ動き出した。

めぐみんは覚悟を決めた顔をしていた。

さっきまで涙を流していたのと同じとは思えない程に表情が違う。

これなら大丈夫だろうと思っているとめぐみんが口を開いた。

 

「こんな時に言うのはどうかとも思うんですけど、もし、あのデュラハンを倒せたらこの答えを聞かせてください。カズマ、私と結婚を前提に……」

 

「『セイクリッド・ブレイクスペル』ッ!」

 

その言葉を聞くと同時に俺の身体は何かに纏われて、何だか心が洗われるような心地がした。

・・・うん、多分これ、死の宣告解けたわ。

 

「これでカズマが死ぬことはないわ!めぐみん、安心してちょうだい!」

「「・・・」」

 

俺とめぐみんのやる気を返せ。

それにこんな時だからとプロポーズしようとしためぐみんの気持ちを返せ。

あのめぐみんが固まって動かなくなったんですけど!

そんな中アクアは他の冒険者達に胴上げされていた。

そして俺とめぐみんの間だけ、時間が止まっていた。

 

「えっと、めぐみん。俺はもう大丈夫だからな?」

「へ?は、はい。無事で良かったです……」

「返事はその、ちょっとだけ時間くれ、このまま言うのはなんか違う気がするし」

「わ、分かりました」

 

言ってめぐみんは落ち込んで下を見る。

そういや前にダブルベッドとか部屋同室がどうのって話になった時もこんな感じだったよな。

俺が死の宣告を代わりに受けたことだけでも結構ショック受けてたからこれ以上不安にさせたくない。

いつかみたいに抱きしめながら俺は告げた。

 

「安心しろ、その、俺もお前のこと好きだから」

「・・・へ?」

「だから、ちょっとだけ時間くれ」

「は、はい!」

 

はぁ、言っちゃったよ。

告白しちゃったよ。

しょうがないよな。

こんな美少女と毎日一緒に居て好きですとか言われまくって好きにならない方がおかしい。

うん。そうだ。そうに違いない。

じゃなきゃ男じゃねえ。

 

「と、とりあえず、他の連中帰ったし俺らも帰ろうぜ」

「そうですね」

 

いつもなら恋人繋ぎしてくるだろうに、今日は服を掴むだけだ。

めぐみんって結構逆境に弱いタイプなんだろうか?

試しに俺からは初めてな恋人繋ぎを実践してみる。

 

「ど、どうしたんですか?」

「いつもの事だろ?」

「ええっと、それは、その……」

 

こんなに焦ってる所見るの初めてだな。

・・・こうやって見ると焦ってるめぐみん超かわいいな。

まあ、めぐみんからしたらこれを毎日見てた訳だもんな。

そりゃあ、止められないし、止めるなんて気にはならないな。

 

「照れてるめぐみんもかわいいな」

「なっ、なっ……」

「めぐみん、好きだぞ」

「ううっ……」

 

多分、こんなめぐみん見られるのは今日くらいだろうし堪能しとこう。

どうせ明日には同じことしても普通に受け入れる所か、カウンターされそうだよな。

と考えてたら男に声をかけられた。

 

「す、すまない。僕がいながら君たちが死の宣告を受けるようなことになって」

「はい?」

「僕はみつる…」

「悪いと思ってるならどっか行ってください!そもそも私たちの問題なので、出しゃばらないでください!」

「えっと、その、はい……」

 

とイケメンさまはめぐみんに追っ払われていた。

見ててスカッとするわあ。

しかも、それが彼女(予定)に言われてるんだから余計に心地いい。

 

「何なんですかあの人!折角いい雰囲気だったのに台無しです!」

「まあまあ、アイツ多分それなりに強いけど力になれなくて申し訳なく思ってたんだろうよ」

「だって、カズマとその、ちゃんと両想いだって分かってから初めての二人きりの時間をあんなしょうもない話のために直ぐに潰されたんですよ!」

 

言われてみればそうだな。

しかも、めぐみんが女々しい反応してる数少ない機会が短くなったもんな。

俺もちょっと腹たって来た。

でも、こんなことに時間使いたくないし、今はめぐみんと二人の時間楽しみたい。

 

「お、おう。わかった。分かったから一旦落ち着こう」

「と言うかアクアもアクアで、どうして直ぐに解呪してくれなかったんですか?私が馬鹿みたいじゃないですか!」

「その気持ちはよーく分かる。分かるけども、言ってもしょうがないし、結果としてはお互いの気持ち知れたしそれでいいだろ?」

 

確かにあのバカがもっと早く解呪してくれれば、こんなことにはなってなかった。

でも、こんな機会でもなければ俺は多分めぐみんに確認を出来ずじまいだった気がしてならない。

だって、経験したからこそ、からかうのが好きだからって分かるけど、そうじゃないままだったら、単にからかわれてるだけだとしか思わないから。

 

「それはそうですけど……」

「あの男も帰ったし、アクアはほかの冒険者と戻ってったからここから二人の時間過ごせば良くないか?」

「分かりました。・・・あの、昼頃まで私にからかわれてたカズマと中身一緒ですか?」

 

俺も昼頃の自分に、この後めぐみんを俺がリードしてるなんて言っても絶対信じないと思う。

だって、めぐみん相手だからな。

 

「おう。強いて言うなら今はもう酒の影響下にないだろうなって所くらいだ」

「余計に謎ですよ。前にお酒の力借りてなにか聞こうとしてましたよね?」

「めぐみんの言う好きの意味を聞きたかったんだよ。意図せず聞けちゃったけど」

「鈍感だった訳じゃないのですね」

 

めぐみんからは鈍感野郎に見えてたのか。

まあ、今までのからかい含めて全部が、全力のストレートボールだったんだから、そりゃ鈍感だって思うか。

思い返せば、俺が思考放棄してただけだしな、他に意味を見出して気にしないようにしてたし、と言うか意識したら終わると思ってたからな。

 

「からかわれてるのか本気なのかずっと悩んでたんだよ。仲間としての好きじゃ説明つかないこともあったし、愛おしいとか言われた時はもう意味がわからなかった。でももしからかうためだったら確認した後にもからかわれるし、聞くに聞けないっていうか」

「私の積極策が裏目に出てた訳ですか……」

「まあ、そうなるな」

「失敗しました」

 

めぐみんは作戦ミスだと思ってるけど、普通に成功してると思う。

だって、そのアタックで俺は落とされたわけだし。

 

「所で、いつからなんだ?」

「いつから?そうですねそれは……あれ?いつからでしょう?」

「おい」

「冗談ですよ。まあ、いわゆる一目惚れです」

「は?」

 

自分で言うのもなんだけどルックスは中の中だし、一目惚れなんて起こるとは思えない。

でも、なんか前にも言われた気がする。

 

「じゃなきゃギルドで登録出来ずに悪目立ちしてた二人組に声掛けたりしませんよ。前に声かけた理由の話と同じです」

「・・・俺パッとしないやつだぞ?」

「顔じゃないですよ。なんと言うか、遺伝子レベルで惹かれました」

 

遺伝子レベル?

めぐみんってフェロモン的なの分かるのか?

でもなんかのテレビで一目惚れはフェロモンがとか聞いた気がする。

気がするだけだけども。

 

「・・・意味が分からないんだけども」

「その内詳しく教えますよ。今は余韻に浸ってたいです」

「分かった。・・・これからもよろしくなめぐみん」

「はい、よろしくお願いしますカズマ」

 

こうして、俺たちの関係は恋人のフリをする二人ではなくなった。

あとは、日を改めて俺が告白するだけ。

だけとか言ったけどこれが凄くハードル高い。

早めに腹括らないとこのままになりそうだからな。

めぐみんと実際に付き合って、噂を無くす案を協力するとか言ってたダクネスに相談するか。




次回の更新も週一投稿を維持できるように頑張ります。
シリーズはいつもと同じで未定です。
カズめぐしてるかも未定です。
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