一日遅れで申し訳ないです。
-SHIRANAIICHIMEN-
ゾンビメーカー討伐に赴いていた俺達であったが、めぐみんの飲酒事件からリッチーとの遭遇なんて言う超危険な事態に巻き込まれたが、どちらも事なきを得た。
今はその帰り道。
「ねえねえ。今日は結構な数のアンデッド倒したから報酬アップよね?」
「今度は金使い込むなよ」
「はいはい」
とまあ、いつも通りワイワイアクアと二人で騒ぎながら帰っていたのだが、次のめぐみんの発言で俺達はある事実を知ることとなる。
「あのう。ゾンビメーカーの討伐の時私は寝てましたから、私の分はアクアにつけておいてください」
「ありがとう!さすがめぐみんね!」
ゾンビメーカー?
・・・あっ、そういや俺達ゾンビメーカーの討伐に来てたんだった。
アクアは気付かずに喜んでるけどもこれ、クエスト失敗だよな。
「アクア、悪い知らせだが多分お前の討伐数とクエスト失敗のペナルティーで見ると大した額入ってこない所かマイナスの可能性もある」
「何言ってるの?こんなに討伐したのよ?」
「だって俺らゾンビメーカー討伐してないからな」
めぐみんに言われるまで誰一人気付いてなかったが、間違いなくクエストは失敗扱いだろう。
ウィズのことを話せない以上仕方ない。
「・・・ねえ、やっぱりあのリッチー討伐すべきよ!事情を全部説明すれば失敗にはならないわ!」
「だからやめろって!あんないい人中々居ないぞ?」
「ううっ」
現金なやつだな全く。
あんな善人を強制的に除霊するとか気が引ける。
「リッチーって何の話ですか?」
そう言えばめぐみんには何も話してなかったな。
ただクエスト終わったから帰るって言ってただけだし。
「実はめぐみんが眠っている間にリッチーに声を掛けられたのだ」
「そうそう。まあ、アクアがいなけりゃ普通に会話して終わってたと思うけどな」
「それはどういうことでしょう?」
めぐみんが疑問に思う中、アクアがドヤ顔でこっちを見てくるが気付いてないフリしておこう。
「アクアじゃなきゃあの人がリッチーだって気付かなかったからな。加えてその人は俺達を襲う気はなかった。多分、共同墓地にいるゾンビメーカーの討伐に来ましたとか言ったら色々察してプリーストに依頼出すとか他の方法取ってたんじゃないか?」
「ま、待ってください。情報量が多くてよく分からないのですが。その、とりあえず人型の友好的なリッチーが居たという事で大丈夫ですか?」
よく分からないと言ってる割にはちゃんと状況整理できてると思う。
流石は自称紅魔族随一の天才と言った所か。
「ああ、友好的で超いい人。身寄りのない共同墓地の人を除霊するために毎日通ってるくらいに」
「それでどうしてクエスト失敗になるのですか?」
「そのリッチーのウィズって人が除霊を行っているとゾンビを呼び起こしてしまうらくて、ゾンビメーカーは居ないってことだ」
アクアには仕方ないと宥めるしかないが、本心としては納得いかない。
ゾンビが大量に湧くことになったのはウィズがいたからと言っても、そもそも共同墓地が放置されてた所為だから、アクセルにある教会の人にペナルティーは負担してもらいたいものだ。
「なるほど。所でそのウィズという方はウィズ魔道具の店主さんですか?」
「知り合いか?」
めぐみんが起きてたら話ややこしくならなくて済んだじゃないか?
「いえ、探している人物と条件の合う人として把握していたのですが、捜査線上に上がったのがウィズさんです」
探し人か。
めぐみんがアクセルに来たのはその人を探す為なのだろうか?
「でその人物の条件ってなんだ?」
「巨乳で爆裂魔法が使えるお姉さん」
「その話詳しく!」
確かにウィズも巨乳のお姉さんだったが、他にもこの街に巨乳のお姉さんがいる可能性があるってことだよな?
「え、えっと、私が爆裂魔法を教わった恩人です」
「そんな話じゃなくて、もっとあるだろ!」
「じゃあどんな話ですか?」
「それは…やっぱり何もない続けて」
危ない危ない。
アクアとダクネスから冷めた目で見られてるが本人が気付いてないし大丈夫だろう。
「あとは赤髪でしたね」
「ならさっきの人じゃないな」
「そうでしたか。まあそう簡単には見つからないですよね。聞く時に赤髪の情報入れるの忘れてました」
何とか誤魔化せた。
にしてもめぐみんの探し人の所為でめぐみんは爆裂魔法に目覚めたのか。
会ったら文句言っておこう。
「それ結構重要だと思うけどな。てか本当にクエストはどうしようか?」
「ウィズの事を話す訳には行かないだろうから、ペナルティーを支払うしかないのではないか?」
ダクネスの言う通り、ペナルティーを払うしかない。
とは言え出来れば払いたくないよな。
「まあ、そうなるよな。アクアのアンデッド除霊数の報酬でチャラに出来るといいんだが」
「反対!皆で負担すべきだと思うの」
「・・・めぐみんの件覚えてるか?」
とまあこんな風にアクアの討伐数の多さからペナルティーは無くなった。
ゾンビメーカーはいなかったと報告すると色々面倒なので、アンデッドが多過ぎて、アクアの魔力がなくなり、ゾンビメーカーを見つけるに至らなかったと報告しておいた。
これなら今後ゾンビメーカーが見つからなくても移動しただけと言う話で済むだろう。
と軽く考えて後は寝るだけと風呂から上がって宿屋へ向かったのだが、俺はまた大事な話を忘れていた。
「ホントカズマって長風呂よね。いつまで待たせるのよ」
「何か俺に用か?」
「何かって部屋変えるって話でしょう?」
部屋と言うかベッドの交代。
今日色々あって完全に忘れてた。
「・・・そういやそうだったな」
「カズマが鍵もってるし、あとカズマの荷物も運んで貰わないと」
「ちょっと待ってくれ。今すぐやるから」
何でこんなことになったんだろうとか考えながら荷物をまとめる。
・・・女の子との共同生活ってどんなものなんだろうか?
めぐみんのこと特に意識してなかったけど緊張する。
とりあえず妹ととの同居生活って思っておこう。
気持ち的には楽だと思う。
と言うかめぐみんが妹だったら俺はシスコンまっしぐらだな。間違いなく。
「悪い。待たせた。これが鍵だ」
「はーい。これが私達の部屋のやつだから。めぐみんに何かしたら分かってるでしょうね?」
ダクネスにも釘を刺されたが、俺がそんなことするわけない。
仮に襲ったとして、捕まるだけだし。
って未成年者にしかもクエスト中に酒飲ませたやつが何を言ってんだ?
「お前だけには言われたくない」
「・・・おやすみ」
「おやすみ」
アクアのやつすっと部屋に入って行ったけど、俺は今緊張して扉を開けられずにいる。
さっきの妹戦法は全然役に立ってないんだが、どうしようか。
もう一回シミュレーションしてみよう。
めぐみんが妹だったら……
「カズマ?部屋の前で何してるんですか?」
いつの間にか扉が開いていて、パジャマ姿のめぐみんがこちらを見ていた。
・・・何と言うか本当に妹に思えてきた。
本人見てから急に緊張が解れた。
「えっと、本当に俺がここで泊まっていいのか考えてた」
「外は冷えますし、風邪引かれては困りますよ。早く入ってください」
返答が全く噛み合ってないけど、めぐみんとしては何の問題もないのだろう。
俺の気持ちも考えてもらいたい。
「荷物はそこの棚と机に置いて、ベッドはこっちのを使ってください。寝巻きに着替えるならそこのトイレでお願いします」
「あ、ああ。ありがとう」
誘導されるがままに動いてる。
確かにめぐみんの言う通りこっちのベッドはふかふかで凄く寝心地が良さそうで、広さも全然違う。
部屋の様子を観察しているとめぐみんに話しかけられた。
「その、今日のお酒のことなんですけど、また話聞いてもいいですか?」
「おう」
結構気にしていたみたいだ。
てっきり、もう水に流してなかったことにするのかと思ってた。
「私は何を言ってましたか?」
「何をって、クエストの時に話した通りだけど?」
「アクアに似ただる絡みという所は聞けてないです」
確かに、良く考えればまだ話してないこともあった。
あの時はキスに関わる話だけだったし。
「そうだな。私を見て欲しいとか、俺は私のだーとか、ダクネスだけずるいとかそんなこと言ってたな」
「アクアってそんなこと言ってましたか?」
「私の宴会芸見てなさいとか、お前は私の従者だとか、他の人と話してないでこっち見ろとかほぼ一緒だろ?」
「・・・」
何か言いたげな顔してるけど、違う所があるなら言って欲しいものだ。
直接的に俺が何かされるという点においてめぐみんの方が厄介と言えば厄介だけど。
「あとは、俺が退避してテントに戻ってからの話になるけど、俺のクリエイト・ウォーターの水を俺の味がするとか言ってたのと、俺が周りにいないのに気付いて母親を見失った子供みたいになってたぞ」
「・・・見苦しい所を見せてしまいましたね」
「気にするな。悪いのは買うなって言ってた酒を買ったアクアと、気付けなかった俺だ」
アクアに買い出し頼んだこと自体が誤りだったと言える。
面倒くさがらずに自分でやるべきだった。
「カズマは優しいですね」
「優しいって言ったらめぐみんも優しいだろう?」
「私ですか?」
何をそんなに驚いてるのだろうか?
俺とアクアがどれだけ世話になったかを考えるだけで凄くめぐみんがいい人であるってのは分かるんだけども。
「だって俺らの登録手数料払って、その上で宿まで提供してくれてるし」
「カズマ達の仲間になりたかったからやったことです。一種の投資ですよ。優しさとは言えません」
めぐみんは絶対大物になる。
恩着せがましくせずに、逆に否定するなんて普通できない。
「カズマと出会えて良かったです。これからもよろしくお願いします」
「えっと、こちらこそよろしく」
「私はそろそろ寝ますけど、カズマはどうしますか?」
目を擦りながら確認してくるめぐみんに不覚にもドキッとしてしまった。
落ち着け、相手はロリっ子で三歳下だ。
そう。
相手はロリっ子で、妹枠。
よし、これで大丈夫だ。
「特にやることないし、着替えて俺も寝るとする」
「ではまた明日。おやすみなさい」
「おやすみ」
俺が着替え終わって部屋に戻るとめぐみんはぐっすりと眠っていた。
・・・安心し過ぎじゃなかろうか。
俺に襲われたらとかって一切考えてないんだろうな。
めぐみんの信頼を裏切らないようにしないといけないな。
「おはようございます。やっと起きましたね。もうすぐでお昼ですよ?」
「・・・えっ?」
何故そんなに俺を寝かせていたのだろうか?
逆の立場なら叩き起してると思う。
「昨日アクアとダクネスの三人で今日はゆっくり休もうとお風呂で話していたので、今日はカズマが起きるまで待ってみようかと思いまして」
「まさかずっと俺が起きるの待ってたのか?」
「はい。カズマの寝顔は可愛いなあと思いながら眺めてました」
「恥ずいから忘れてくれ」
寝顔見られてたって恥ずかしいし、可愛いって言われてるのがまた……
「無理ですよ。五時間近く見てますから脳に焼き付いてます」
「・・・そんなに見ててよく飽きねえな」
「好きな人の寝顔ですからね」
「えっ!?」
この子急に何言い出すのだろうか?
まさか俺にもモテ期がやってきたのか?
「何驚いてるのですか?昨日も言いましたよね?」
「・・・そういやそうだったな」
なんだ。
アレか。
一瞬焦った。
そう言えばコイツは爆裂魔法のためならデートとか付き合ってとか言う奴だった。
寝起きドッキリは本当にやめて欲しい。
「という事で今日こそはカズマとデートしたいのですよ」
「分かった。ついて行くからちょっと待っててくれ、着替えてくるから」
やはり爆裂散歩に誘う口上だったか。
モテ期が来たとかちょっとでも考えてた自分があほらしい。
「分かってますよ。私もまだパジャマですから。あっ、私がいいと言うまで出て来たらダメですからね」
「分かった」
言われて見ると確かにめぐみんもパジャマだった。
・・・あれ?
てことは俺の寝顔見てたのは本当なのか?
変な寝言してないか心配になってきた。
「もういいか?」
「あとちょっと待ってください。もうすぐですから」
「はいよ」
ジャージから着替えるのよりは時間がかかって当然だな。
ボタンとファスナーの差がこれか。
「出来ました。開けていいですよ」
「よし、まずは朝食ならぬ昼しょ……」
飯食って爆裂だと考えてた俺は急な出来事にフリーズしてしまった。
「カズマ?」
「めぐみん、その服どうしたんだ?」
いつもの服とは違い、黒くて何処か色っぽさを感じさせるフリフリの可愛いワンピースを着ためぐみんがそこにいた。
めぐみんの私服初めて見たけど、てっきりめぐみんの私服って中二病全開なやつかと思ってた。
「デートなので気合い入れてみました」
「そ、そうか。似合ってるぞ」
「ありがとうございます」
ニコッと笑ってるめぐみんが輝いて見えた。
これは夢か?
何かめぐみんがいつもより可愛く見える気がする。
おかしい。
何かがおかしい。
「お昼は私一推しのレストランに行って、商店街でブラブラしましょう」
「えっと、本当にデートするのか?」
「・・・前もそのつもりでしたよ。あの時は寝てしまったので、今回は先にデートをと思いまして」
何だ?
本当に何が起こってるんだ?
考えろ。
考えろ俺。
選択肢を間違えたら終わりだ。
「てっきり爆裂散歩の口実だと思ってた」
「やはりそうですか。爆裂はデートの〆にします」
「デートの〆が爆裂魔法って聞いたことないけどな」
爆裂魔法とかムードもへったくれもないしな。
「私とデートは嫌ですか?」
「嫌じゃないけど、なんで俺なんだ?」
「何故だと思います?」
疑問に疑問が返ってきた。
つまり俺がちょっと考えれば分かることだよな?
まさかこれって常識講座の一環なのか?
「俺の常識レベルを測るためとか?」
「半分正解です。正しくはカズマをよく知るためです」
「俺をよく知る?」
「ええ、カズマのこと詳しく知りたいので」
俺の事知って何の得があるのだろうか?
最弱職でつい最新までヒモだった俺の事なんて知る価値ないと思う。
「何のために?」
「知りたいから知りたいのですよ」
答えになってないけど、言わんとすることは分かる気がする。
俺も今回のデートを通してめぐみんがどんな人か知ってみたいと今話していて思ったし。
「それよりも早く昼食にしましょう!」
「ああ」
陽気なめぐみんに手を引かれて、レストランへと向かうのであった。
次回の更新は未定です。
天界編がどんどん書きたいこと増えてどうしようか悩んでいる所であります笑