Fate / SAO CCC   作:YASUT

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意外と長くなってしまったので分割。
あと少し……あと少しでSAOP1巻部分終了だ……


第二層攻略会議 1/2

 第二層の迷宮区を突破されて数日。

 最前線攻略集団はフロアボスの情報を可能な限り収集し終え、一際大きな広間に集まっていた。

 剣や槍、様々な武器を携えたプレイヤー達はボス戦に備え、パーティー内での打ち合わせに励んでいる。

 

「……呆れたわ。命知らずの人間がまだこんなにいたなんて。まあ、それ言ったらわたし達もか」

 

 ……前回同様、自分達――岸波白野、遠坂凛のレベルは決して高い方ではない。

 そんな弱小パーティーがここに呼び出された理由は、とある人物からの一通のメールだった。

 キャスターという反則級の切り札を持つ故、彼らにはてっきり嫌われてるものとばかり思っていたが――

 

「……思ってたのと違うな。もっと露骨に嫌われると思ってたんだけど」

「嫌われてると思うわよ。別の意味で」

「別の……?」

 

 どういう意味だろう。

 強さに対する嫉妬……とかではないのか?

 

「ええ。

 ……あんた達、わたしがいない間に随分仲良くしてたらしいじゃない?」

「仲良く…………あ」

 

 言われて頭をよぎったのは、満面のキャスターの笑顔。

 ――ケーキのことか。

 そういえばあの茶番、結構な人数に見られてたんだった……

 

「このゲーム、女性がよっぽど少ないみたいね。ここだってパッと見た感じ、男ばっかりだし。“両手に花”状態の貴方を見たら、誰だってまず敵視するんじゃない?

 公共の場でイチャイチャなんてされたら尚更よ」

「私は気にしませんよ?」

「俺は気にする」

「えー、別にいーじゃないですか。一緒にバカップルプレイしましょうよご主人様ー」

「断固拒否します」

 

 というか、“バ”カップルと認めてしまうのか。

 どれだけ恋に盲目なんだ。

 ……自分がいつかそっち側に堕ちた未来を想像すると、色んなことが不安で仕方ない。

 

 

「……あ、いたいた。

 ハクノさん! リンさん! こっちでーす!」

 

 

「?」

 

 ハキハキとした、自分達を呼ぶ声が聞こえた。

 ガシャガシャと鎧の音を鳴らしながら走ってきたのは、一人のプレイヤー。

 青く染められた長髪と、騎士風の鎧、盾、剣。

 

 彼の名はディアベル。

 第一層のフロアボス戦でもいた、この集団のリーダー的存在だ。

 甘いルックスと物怖じしない態度、巧みな話術で百層攻略を目指す同士を集めたカリスマ。

 

 そんな彼からメールで誘われた結果、自分達はこの場にいる。

 

「よかった、来てくれて。三人は第一層でのMVPだからね。今回も攻略戦に加わってくれたら、本当に心強いよ」

「……あんまり期待しないでほしいわね。わたし達、もう前みたいなインチキはできないんだけど?」

「そうだとしても、やっぱり嬉しいよ。こんなデスゲームで、ボス攻略に参加してくれるだけでもね。それに――」

 

 にこやかに微笑みながら、ディアベルはこっちに向き直る。

 

「ハクノさん。今回は君の使い魔と“もう一人”を軸にパーティーを分けようと考えてるんだ。駄目かな?」

「いいけど……もう一人って?」

「いたんだよ。君の使い魔と同じ、凄い力を持ったNPCが。

 オレも最初は驚いた。まさかあの有名な鍛冶屋が、実は最強の剣士だったんだからね」

「NPCに鍛冶屋……って、まさか」

 

 この世界におけるサーヴァントは、プレイヤーとは扱いが違う。

 基本的にフロアボスか、或いはクエストの登場人物(キャラクター)として登録されている。

 つまり、NPC。ノンプレイヤーキャラクター。

 

「ほら、あそこさ」

 

 ディアベルが指差した方向を見る。

 そこにいたのは、ディアベルと同じような騎士風の防具を着た集団。

 おそらくは彼の仲間だろう。

 

 ――その中心に、目立つ人物が一人。

 

「……な」

 

 銀色装備の集合の中に、赤い布のような装備が一つ。

 背は高く、髪は白く、肌は浅黒い。

 おかげで離れていてもすぐ分かった。

 

「……やっぱりね」

「え? リンさんは彼のこと……アーチャーさんのこと、知ってたんですか?」

「まあね。じゃあ、また後で。行くわよ、きし……ハクノくん」

 

 

 ◆

 

 

「以前、不覚にも戦闘を目撃されてしまってな。双剣を使っていたせいか、目をつけられてしまった。ゲーム攻略にその力を貸して欲しい、とな」

「ディアベルって人に?」

「……ああ」

 

 無言でアーチャーは頷いた。

 双剣とは、あの白と黒の剣……干将・莫耶だろうか。

 なんにせよ、あの戦闘スタイルで目をつけられないのは無理がある。

 双剣。もしくは二刀流。

 両手に武器をもって戦う剣士は、今のところアーチャー以外に見たことがない。

 剣道には二刀流のスタイルもあるそうだが、そこまで出来る人間はこの手のゲームをプレイしないのかもしれない。

 

「私としてはゲーム攻略よりも、死者を出さないことに力を尽くしたいのだがね」

「死者を出さない、ね。貴方、いろんな街で鍛冶屋をやってたって聞いたけど」

「プレイヤーの装備を少しでも強化できれば、と思ってな。通常のゲームなら御法度だが、命が掛かってるとなれば止むなしだ」

「その結果がアレってわけ?」

 

 遠坂はアーチャーから目を離し、ある五人組のパーティーを見た。

 ここには複数のグループが集まっているが、その中でも彼らの特異性はずば抜けている。

 

 ――装備。

 

 防具もかなりの上物だが、それよりも目が行くのは彼らが背負っている武器だ。

 ここに集まっているプレイヤーの中でもトップクラスなのは間違いない。

 

「《レジェンドブレイブス》……そう名乗ってるらしいわね、彼ら。三層でのクエストでギルドを結成するとか」

「らしいな……それがどうした」

「とぼけても無駄よ。……岸波くん」

「……分かった」

 

 慣れてしまった手付きでメニューを開き、ある装備品を具現化する。

 刀身のない剣の柄。

 通常の剣として扱うには使い勝手が悪そうな、微妙な重量感覚。

 確か名前は――《黒鍵》

 悪魔祓いの効果を持つ、投擲用の剣。

 

「っ――さすがに、重いな」

 

 ずっと持ってるのは流石に疲れるので、ストレージに仕舞う。

 これだけでも十分だろう。

 

「……そうか。お前たち、あの神父とも知り合いだったのか」

「そーよ。改めて聞くけど、これ作ったのアンタでしょ? ついでにあの五人の武器も。

 そしてアイルランドの御子“クーフーリン”を見たことがある。偽物じゃない、本物の英雄をね。違うかしら?」

「そこまで言い切るか」

「無駄に芸が細かいのよ、貴方は。他の連中は知らないけど、あの槍、突き穿つ死刺の槍(ゲイ・ボルク)そっくりじゃない」

「……その発言は、後悔することになるぞ」

「今更よ。アンタにはもう、聖杯戦争経験者って割れてるし。

 わたしのサーヴァントはクーフーリンだった。ただそれだけのことだから」

「――はぁ」

 

 大きなため息。

 どうやら観念したらしい。

 

「そうだ。あれらは全て私が用意した。自分で自分の身を守れるようにな。逆に言えば、そのせいでこんな場所にまで来れてしまったわけだが」

「? どういうことなんだ、アーチャー」

 

 来ることができた、ならば分かる。

 来れてしまった、という言い方が気になった。

 

「気にするな。他人のお前が悩むようなことではない。彼らに力を与えてしまったのは、ほかならぬ私だ。後始末くらいは自分でつけるさ」

「……そうか」

 

 彼らとアーチャーとの間に何があったかは分からない。

 だけど、この男なら少なくとも最悪の事態にはならない。

 

 ――死者を出さないことに力を尽くしたい。

 

 あの言葉は、嘘を言っているようには見えなかったからだ。

 

「さて、そろそろ行くぞ。今回彼らは、私とキャスターの力をアテにしているようだからな」

「アーチャーさん。その前に一つ質問が。

 貴方はこの戦い、どうやって乗り切るおつもりですか?」

「今の私は、彼らに“強力なNPC”として認識されている。ならば、それ相応に戦うまでだ」

「宝具を使う気はない、と。そう捉えてよろしいのですね?」

「状況次第、と言いたいところだが……おそらく、そうはいくまい。第一層のフロアボスは普通ではなかった。ならば、今回も何かが起こると考えるべきだろう」

 

 ――第一層。

 レベルカンストの、あの巨大な九尾のことだ。

 キャスターを召喚できたから良かったものの、一歩間違えたら死んでいてもおかしくなかった。

 

「なら、今のうちにアンタの宝具教えなさいよ」

「ぶ――っ」

 

 なんだその問いは。

 気持ちはわかるけど、それにしたって直球すぎる。

 

「遠坂、流石にそれは無理だって」

「そうも言ってられないっての。前みたいなアクシデントが起きたら、その時どうするのよ。場合によっては、新しいサーヴァントがそのまま敵として出てくる可能性だってある。そうなったら、誰も死なないとは言い切れないわ。わたし達も含めてね」

「それは……そうかもしれないけど」

「だからアーチャー。貴方の宝具、今ここで教えてもらうわ。もしかしたら、キャスターと連携出来るかもしれないから」

 

 ――確かに、キャスターの宝具ならば連携は可能だろう。 

 

 宝具の解放には大量の魔力を使う。

 この世界では、現界に必要な分だけの魔力は心配無い。

 それでも、マスターがいないアーチャーには回数制限・時間制限が伴うはずだ。

 ……だけど、それは。

 

「本気で言っているのか、遠坂凛」

「リスクは承知の上よ。敵か味方かもはっきりしない輩に、無条件で魔力を提供する。確かに、普通じゃ考えられないことだと思う。

 ――でもね。どんなことがあっても、貴方はこの二人に勝てないわ」

「……ほう」

 

 絶対的な信頼のもとに、赤い少女は力強く断言した。

 それだけのハンデがあったとしても、岸波白野とキャスターは負けはしない――と。

 

 その言葉に、少しだけ胸が熱くなった。

 実際に戦って勝てるかどうかは分からない。

 だけど――あの遠坂に“勝てる”と断言させてしまうくらい、岸波白野は信頼されているのだ。

 

「フッ……いい仲間を持ったな。これだけ女性に頼りにされるのは、男として冥利に尽きるだろう?」

「その言い方はお止めくださいアチャ男さん。フラグが立ってしまいます」

「私の知ったことではないな。この手の喜劇は当事者にとっては地獄だが、傍観者にとっては天国のようなものだ」

「むぅ、やけに実感のあるお言葉。さては貴方、生前はかなりのドンファンでしたね?」

 

 ちなみに“ドン・ファン”とはスペインの伝説の放蕩児のことで、現在はプレイボーイの代名詞として使われている。

 

「さてな。どうやら、この世界に来る時に色々と不手際があったらしくてな。記憶に少々混乱が見られる」

「便利な言い訳ですね。記憶喪失、ですか……チラリ」

「……」

 

 ……何故だろう。

 今、キャスターがこっちを見たような……

 

「……話を戻すぞ。もし覚える気があるのなら、聞いておくことを勧める」

 

 

 

 

 




失敗。
アーチャーがキャス狐の宝具知ってること前提で書いてしまった……
これだけならいい。前に鏡見たからそのとき見破ったってことにすればおk。
問題は、「アーチャーがキャス狐の宝具を知っている」ことを遠坂が知っていること。

後で直すかもしれないし、直さないかもしれない。
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