Fate / SAO CCC   作:YASUT

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第一層突破

「く……オオォ!」

 

 敵の野太刀に合わせ、ソードスキル『スラント』を発動させる。手にした剣は独特のエフェクトを帯びたあと、勢いよく野太刀と衝突した。

 タイミングは完璧。野太刀による攻撃が相殺され、両者の武器は共に大きく弾かれた。

 だが、ここで地力の差が現れる。

 イルファング・ザ・コボルドロードはフロアボスであるのに対し、自分はハクノという一人のプレイヤーに過ぎない。

 攻撃を相殺しスタン状態にしても、敵は無傷であるのに対し、こちらは少なからずダメージを受けている。

 そしてスタン状態から回復する速度もまた、敵の方が遥かに上。

 だが、こちらは一人ではない。この小さな隙が、新たな攻撃へと繋がる。

 

 後方からイルファングに向けて呪符が放たれた。キャスターによる追撃だ。

 呪符は滑空し、両足に付着する。

 直後、呪いによって作られた氷が出現し、イルファングの両足を氷漬けにした。

 

「―――――彫像の出来上がりです」

 

 呪いは止まらない。

 氷は確実にイルファングを侵食していく。

 キャスターのレベルはマスターである自分と同じ数値にまでダウンしている。呪術の攻撃力も著しく弱体化しており、故にダメージもまた大きくはない。

 しかし、攻撃の連鎖は繋がった。

 体力の残りはわずか数ドット。おそらく、次の一撃で奴は沈む。

 下半身の自由は氷に奪われ、回避は不可能。

 

「■■■■■―――■■――ッ!!」

 

 であるならば、奴に残された手段は迎撃のみ。

 最大の障害であるキャスターを惨殺するため、イルファングは野太刀を大きく振り上げた。

 だが、それが振るわれることはもう無い。

 

「おおおおおおッ!!」

 

 地を駆ける黒い剣士。

 彼はソードスキルの光を帯びた剣を構え、イルファングに向かって突進する。

 剣は美しいVの軌跡を描き、イルファングの左肩口から抜けた。

 片手剣二連撃技、『バーチカル・アーク』―――――

 

 そうして、戦いは終了した。

 イルファング・ザ・コボルドロードの体力ゲージは底を付き、完全なゼロと化す。

 狼に似た顔を天井に向け、短く吠えたあと、その前進にヒビが入る。

 両腕の力が抜け、振り上げられていた野太刀が落下する。直後、イルファング・ザ・コボルドロードは無数のガラス片へと姿を変え、散っていった。

 

 途端、約四十人のプレイヤー達が硬直する。

 立ったまま呆然としている者。

 片膝立ちの姿勢で待機している者。

 周囲を見回し、怯えている者。

 皆それぞれ反応は違う。しかし、一つだけ共通している事がある。

 これで本当に終わりなのか、もしかしたら次があるのではないか、という恐怖。

 

 ―――――数秒後、新たなメッセージが視界に流れた。

 獲得経験値。分配されたコルの額。獲得アイテム。

 

「……………終わった、のか?」

 

「終わった…………勝った?」

 

「勝った…………勝った! オレ達は、勝ったんだ!!」

 

 恐怖はやがて歓喜へと変わり、フロア全体に歓声が弾けた。

 叫ぶ者。仲間と抱き合う者。意味の分からない踊りを披露する者。

 

 そんな勇敢な剣士達を視界に入れながら、ほぅと息を吐いた。

 肺に溜まっていた空気と共に、体から緊張が抜ける。

 画面は血のように赤い。体力は死亡寸前。だが、こうして生きている。

 そして―――――

 

「おっとっと。ご無事ですか、ご主人様」

 

 足から力が抜け、倒れそうになったところを彼女に支えられた。

 キャスター。

 岸波白野、唯一無二のパートナー。

 この世界で目覚めた頃はいなかった。けれど彼女は今、確かに自分の隣にいる。

 なら、死にかけた価値はあった。手を伸ばした甲斐はあった。

 これだけは、胸を張って言える。

 

「お疲れ様」

 

 剣を納めた遠坂がゆっくりと歩いてくる。

 やがて目の前で止まり、ほら、と左手に持っていたポーションを差し出した。

 

「とりあえずそれ飲んで、HP回復しときなさい。今のアンタ、危なっかしくて見てらんないから」

 

「……ありがとう」

 

 ポーションを受け取り、ぐいっと豪快に煽る。

 レモンに似た酸っぱさが口の中に染み渡り、同時に体力ゲージが回復を始めた。

 このゲームにおけるポーションは実にもどかしいもので、飲めば一瞬でゲージが回復するわけではない。

 時間と共に一ドットずつ、徐々に戻っていくというシステムなのだ。

 

「それにしても流石はご主人様です!

 えっと…………そーどすきる?とか、言ってましたっけ?

 まあとにかく、お見事でした!」

 

「いや、そんなことはないよ」

 

 キャスターの言葉を否定した後、チラリと彼を見る。

 ラストアタックを決めた剣士。

 さっきまでの戦いを見てよく分かった。自分は、どう足掻いても彼には勝てない。

 彼と自分を隔てるものは経験。

 そして、圧倒的な才能。

 敵の攻撃を先読みし指示を出していたこともそうだが、目を見張るべきはやはり彼の剣技だろう。

 死者が一人も出なかったのは、彼の働きも大きい。

 

「それに、キャスターだって凄かった」

 

「いえ、このくらいは当然ですとも。私はご主人様のサーヴァントですから。

 あ、でもでも、ご褒美を下さるのでしたら喜んでいただきます!

 せっかくの感動の再会なわけですし、やっぱりここはド定番! 深~い愛情を込めて、ギュッと抱き締めてください!」

 

 頬を朱色に染めながら、これでもかと媚びる狐。

 だがスルーする。彼女のこういった要求に一々相手していたらキリがない。

 そんなキャスターにため息をつきつつ、それでも心のどこかで安心を覚えながら、今までの戦いで刃こぼれした剣を鞘に納めた。

 その時だった。

 

 

「―――――おかしいだろ」

 

 

 怒気を帯びた静かな声。

 その一声が引き金だったのか、湧き上がっていたはずの歓声が徐々に静まり返っていった。

 キャスターと遠坂から視線を離し、振り向く。

 入口付近には、フロアボスが健在である限り無限に生まれるエネミー『ルインコボルド・センチネル』を担当していたチーム。

 対しフロアの奥……すなわち“ここ”には、フロアボス『イルファング・ザ・コボルドロード』を担当したチーム。

 自分達は、第一層を突破するために結成された仲間である。

 だが両者の間には、見えない境界線があるようにも見えた。

 

「まずは、アンタ」

 

 声を発したプレイヤー―――――軽鎧を装備したシミタ―使いはまず、止めの一撃を決めた黒い剣士を睨みつける。

 

「どうしてボスの使う技を知ってたんだ。あんなの、事前に配られた攻略本には載ってなかった。」

 

「………それ、は」

 

 黒い剣士が言葉に詰まる。

 確かに、あのボスが野太刀によるソードスキルを使うことは知らなかった。

 そしてあれは、少なくとも第一層では一度も見たことのない技だった。

 なら、考えられる可能性は一つ。

 

 別のプレイヤーが黒い剣士の前まで走り出し、叫んだ。

 

「オレ………オレ知ってる。こいつ、元ベータテスターだ! だから、ボスの攻撃パターンとか旨いクエストとか、全部知ってるんだ! 知ってて隠してるんだ!」

 

 そう。それは、『彼が元ベータテスターである』ということ。

 しかし、驚く者は一人もいなかった。おそらく皆、彼が初見であるはずのソードスキルを見切った時点で確信していたのだろう。

 でもそれだと矛盾する。あの攻略本にはこうも書いてあったからだ。

 

 これはベータ時代の情報だ、と。

 

 なら、彼がベータテスターだったとしても、知っている情報はあの攻略本と大差はないはず。

 そう思って、二人を諌めようと声をかけた。

 

「……ちょっと、待っ―――――」

 

「お前らもだよ、『チーター』」

 

「っ………」

 

 氷のように冷めた指摘が自分を硬直させた。

 その視線はどこまでも冷たく、どこまでも鋭い。

 

 その瞬間、風向きが変わった。

 

 

「え…………チーター?」

 

「チーターって…………あのチーター? チートの?」

 

「それ以外に何があるんだよ。というか、実際チーターだろ、あいつ等。」

 

 

 チーターという単語に反応し、四十人のプレイヤーがざわつき始める。

 だが、それもわずか数秒のみ。

 黒い剣士に向けられていた明確な敵意が、今度はこちらに向けられた。

 対象は、自分と遠坂凛。

 『ハクノ』と『リン』。

 

「アンタ達だってそうだろ! 特に、そこの赤い細剣使い(フェンサー)。目立たない場所からだったけど、オレはちゃんと見てたぞ。アンタが見たことのない短剣で、レベル99の敵にダメージを与えたところを!」

 

「…………」

 

 シミタ―使いの男は声を荒げ、濁流のように遠坂を責め立てる。

 対し、遠坂は答えない。代わりに突き刺すような視線で答える。

 怯むことなく仁王立ちするその姿は、「だから何?」と言わんばかりだ。

 事実、彼女は何も悪いことはしていない。仲間の命を助けたのだから、むしろ良いことをしたと言えるだろう。

 しかし、こういうのは理屈ではないのだ。

 能力を持たない人間が、能力を持つ人間を妬む。

 ……自分にも、覚えがないわけではない。

 

「っ……それに、お前らだって!」

 

 遠坂の刺すような視線から逃れるように、今度は自分とキャスターに向き合った。

 

「爆発だの氷だのワケがわからない。まるで魔法使い(メイジ)じゃないか!

 チートにも程がある! なんだよ後ろのそいつは!」

 

 男はキャスターを指差しながら、自分に向かって更に怒鳴りつけた。

 魔法使い(メイジ)という指摘はあながち間違いではない。

 だが、あの男―――――茅場晶彦の言葉が本当ならば、次の階層あたりで魔法使い(メイジ)系統スキルがこの世界にも現れるはずだ。

 それで自分たちの条件は同じになる。

 しかし、「茅場晶彦と接触した」と言っても、彼らに信じてもらえるかどうか…………

 

「ほう。なんだよ後ろのそいつは、ですか…………ふふ、ふふふふふ。」

 

 キャスター?

 

「……ふっ、よくぞ聞いて下さいました!」

 

「なっ……、はぁ!?」

 

「つまりあなた方は、私が一体何者なのか知りたいわけですね。

 いいでしょう、心してお聞きなさい!」

 

 誰よりも早く、キャスターは答えた。

 遠坂同様、怯んでいる様子は微塵もない。

 むしろ堂々としている。

 そして何故かテンションが高い。

 

「―――――」

 

 得体の知れない警報が頭の中で鳴り響いた。

 キャスターのこのノリはまずい。

 何がって…………なんかこう、シリアスゲージ的な物が。

 

 だが彼女は、こちらの心配など意にも介さない。

 頭の中はいつも花園。

 それがキャスター。

 岸波白野、唯一無二のパートナーなのだから………

 

「ごほん。

 私はご主じ………いえ、ハクノ様の剣であり、鎧であり、従者にしてパートナー。

 そう、すなわち―――――!」

 

 カッと目を見開くキャスター。

 そして―――――

 

 

「妻です!!」

 

 

 キャスターはここぞとばかりに、約四十人の前で宣言した。

 しかも、フロア全体に響き渡るような大きな声で。

 

 咄嗟に四十人のプレイヤーの顔を確認する。

 

 

「…………………………」

 

「――――――――――」

 

 

 ……案の定、彼らは一人の例外もなく固まっていた。

 先程までベータテスターだと指を指されていた剣士でさえ、あんぐりと口を開け、呆けたようにこちらを眺めている。

 

 そんな彼らに対し、キャスターはかなりご満悦の様子。

 一仕事を終えた後のような、清々しい笑みを浮かべていた。

 …………なんという策士。

 敢えて目立つ状況で妻だと宣言することで、白昼堂々イチャイチャする口実でも手に入れるつもりか―――――!?

 

「……………はぁ」

 

 そんなキャスターとは対照的に、遠坂はやれやれと額に手を当て、「空気読め」と言わんばかりに首を振った。

 同感です。

 

「……! だ、だから何だよ。アンタらがチートを使ったってことには変わりないだろ!」

 

 だがシミター使いの男は、負けじと声を張り上げた。

 彼にとってキャスターの『妻宣言』はどうでもよかったらしい。

 その様子を見て、キャスターはムッと眉をひそめた。

 敢えてボケに走ることでシリアスな空気を吹き飛ばし、有耶無耶にしたかったのか。

 それとも、「私の話聞け」的な意味で眉をひそめたのか。

 そのどちらかは、キャスターにしか分からない(棒)。

 

 …………まあ。それは置いといて、だ。

 

 どんな事情があったにせよ、チートを使ったのは事実だ。

 チートとはデータを改変、そして、製作者が意図しない動作をさせる行為を指す。

 キャスターの呪術はともかく、遠坂が使ったあの短剣は言い訳できない。

 正直に言うしかないのか……

 

 そこまで考えたところで、今まで沈黙していた黒い剣士がぼそりと呟いた。

 

「―――――そんなわけないだろ」

 

「な………なんだと………?」

 

 剣士はふてぶてしく、そして冷ややかにシミター使いの顔を見ている。

 はぁ、と大げさに溜息をついたあと、見下すように剣士は言った。

 

「全く、これだから素人は。ついでだし、お前らにも教えてやるよ」

 

「……お前、知ってるのかよ」

 

「当然だろ。俺を誰だと思ってるんだ。

 元ベータテスター? 少し違う。俺を、あんな素人連中と一緒にしないでもらいたい」

 

 シミター使いの男が自分から離れ、再び黒い剣士に迫る。

 それに釣られ、他のプレイヤー達の注意もまた彼に向けられた。

 

「…………?」

 

 黒い剣士が一瞬だけこちらを見た。

 シミター使いの男に向けているような冷めた視線ではない。

 一言でいうなら懇願。

 『口を挟まないでくれ。俺がなんとかする。』

 そう伝えているようにも見えた。

 

「……仕方ないわね。私たちは黙ってましょう。」

 

「そうですね。私も面倒事は御免ですし。」

 

 溜息をつく遠坂と、どうでもいいと言わんばかりなキャスター。

 そんな自分達を尻目に、剣士は偽りの情報を吐き始めた。

 

「まずは短剣の攻撃だな。俺はテスト時代、あれと同じものを見たことがある。

 あれは、敵のレベルに関係なく固定ダメージ、及びスタンを与える武器だ。

 蒼い着物の女の人は、期間限定の特別なクエストの報酬、使い魔だ。」

 

「な……じゃあ、あいつらは……」

 

「ああ。あいつらはチーターじゃない。ちょっと運がいいだけの“素人”だ。実際何度も死にかけてたしな。まだアンタ達の方がマシなくらいさ」

 

 おお……なんという黒い表情。というより、ドヤ顔か。

 どちらにせよ流石だ。今の彼は、『悪』に成りきっている。

 いずれ彼には『黒の剣士』という二つ名が付けられるかもしれない。

 

「……ご主人様。アイツ、燃やしていいですか? 生意気です」

 

 素人という単語が気に障ったのか、対抗するように睨み返す狐耳の呪術師。

 その手には一枚の呪符。

 いや、怒ってくれるその気持ちは嬉しいのだが、実際自分は素人だ。

 だから、彼の言葉は否定できない。

 

「落ち着けキャスター。あれ、演技だから。な?」

 

「だとしても許せません。ちょーっと剣の扱いが上手いからって、何を偉そうに。

 大体、余計なお世話なんです。ああやって囮になるのが格好良いとでも思ってるんですかね、あのお子様は。

 自意識過剰にも程があります。たかがあの程度で、敵意が全て自分に向くはずがないでしょうに」 

 

 ブツブツと毒を吐き続けるキャスター。

 が、一応は演技だと分かっているらしく、呪符はすぐに仕舞ってくれた。

 再びあちらに視線を向ける。

 剣士はこちらの騒ぎに気付くことなく、演説を続けていた。

 

「―――――でも、俺はあんな奴らとは違う。俺はベータテスト中、誰にも到達できなかった階にまで登った。カタナスキルを知っていたのは、上の層でカタナを使うMOBと散々戦ったからだ。他にもいろいろ知ってるぜ。アルゴなんか問題にならないくらいにな」

 

「なんだよ……それ。もはやチートじゃねえか……チーターだろそんなの!」

 

 少し離れたところで別のプレイヤーが声を上げる。

 周囲からチーター、ベータのチーター、という声がいくつも湧き上がる。やがてそれらは混じり合い、とある造語を生み出した。

 

「…………『ビーター』、か。いい呼び方だな、それ。」

 

 にやりと笑みを浮かべた後、黒い剣士はこの場にいる全員を見回しながら、はっきりと告げた。

 

「そうだ、俺はビーターだ。これからは元テスター如きと一緒にしないでくれ」

 

 剣士はその後、指で何やら手元を操作する。

 しばらくすると彼の体が小さな光に包まれ、艶のある漆黒の革が現れた。丈はかなり長く、裾は膝下辺りにまで達している。おそらく、先程のラストアタックで手に入れた装備だろう。

 ばさりとロングコートを翻し、黒い剣士は後ろ―――――ボス部屋の奥の小さな扉へと歩き始める。

 

「二層の転移門は、俺が有効化(アクティベート)しといてやる。この上の出口から主要区まで少しフィールドを歩くから、ついてくるなら初見のMOBに殺される覚悟しとけよ」

 

 その後、黒コートの剣士は大股で歩を進め、玉座の後ろに設けられた扉を押し開けた。

 その向こうに見えるのは、二層に続いているであろう螺旋階段。勝者のみが上ることを許される栄光の階段。

 だがこの場にいる多くの勝者達は、その場から一歩も動こうとはしなかった。

 第二層には何が待っているか分からない。

 もしかしたら彼についていった後、名前も知らないエネミーに殺されてしまうかもしれない。

 あるいはただ単純に、『汚い悪のビーター』に味方したくないだけか。

 

 …………いや。

 理由なんてどうでもいい。

 何故なら。

 

「……キャスター、遠坂」

 

 自分は、あの階段を上るのだから。

 次の世界を見てみたい。

 目指す理由は、それだけで十分だ。

 

「行こう」

 

「はい!」

 

「了解」

 

 二人の意思を確認した後、歩を進める。

 後ろにはキャスター。隣には遠坂。

 不安がないと言えば嘘になる。

 恐怖がないと言えば嘘になる。

 けれど、この歩みは止まらない。

 

 臆病でも、蛮勇であれ―――――

 

 それが岸波白野の掲げる方針だ。

 

 やがて、階段の前に辿りついた。

 カツン、と音を鳴らし、階段の一段目を上がる。

 そのまま二段目、三段目と、ゆっくり、しかし確実に歩を進める。

 

 この歩みがいずれ、浮遊城(アインクラッド)に囚われた全てのプレイヤーを救うと信じて。

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