機動戦士ガンダムIS(インサイド・ザ・ストラトス)   作:見知らぬとまと

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相変わらずの亀更新です。申し訳ありません。


赤い瞳に映ったもの

最後の一機である黒いISとIS学園生徒会長である更識 楯無の戦いも、終局が見えてきていた。

 

「ああもう、しつこいわね!」

 

その楯無の声を理解したかどうか定かではないが、黒いISはもはや何度目振るったかわからないその剛腕を再び『ミステリアス・レイディ』に向けて振るった。

 

しかし楯無は余裕を持ってそれを躱すと、『ミステリアス・レイディ』特有の水を纏ったランス、『蒼流旋』をバリアへと突き刺す。

 

直撃。その一撃はバリアを突き抜け、一部装甲を傷つける。そこで楯無は離脱するが、黒いISもその楯無を追うように飛ぼうとする。

 

しかし、ナノマシンの爆発に行く手を阻まれる。

 

これもまた言うまでも無く、『ミステリアス・レイディ』の武装である、『清き情熱(クリア・パッション)』という爆破技だ。

 

 

 

これまでの猛攻でシールド・エネルギーに底が見え、破れかぶれに特攻を試みる黒いIS。

 

しかし最後は、

 

「これで終わりよ!」

 

楯無が展開した蛇腹剣『ラスティー・ネイル』によって大きくバリアを切り裂かれ、エネルギー切れで停止、そしてアリーナへと落下した。

 

上がる砂煙。それが晴れたところに見えた黒い機体は大部分が粉砕されており、行動不能になったことは明らかだった。

 

 

そしてこれを以て3機の黒いISによるIS学園襲撃事件は終わりを告げたのであった。

 

 

 

 

 

 

その後、教員チームによって発見されたバナージは、アリーナ地上部にて別の同型機と戦闘し、同じように負傷した一夏ともに、医務室に運ばれていた。

 

「バナージか。気が付いたのか?」

 

 

 

 

バナージが医務室で目を覚ますと、カーテンが開き隣のベッドの一夏の声が聞こえた。

 

「ああ、今起きたところだ」

 

同じ男子同士である、しかも同年代であるバナージと一夏は仲がいい。

 

お前もか、と怪我をした一夏と同様のバナージは顔を見合わせて苦笑した。

 

 

その後先に事情説明を受けていたらしい一夏から聞いたことの顛末を聞いていると、医務室の扉がガラッと開いた。

 

「大丈夫でしたか、リンクス君」

 

「ふむ、状態はどうだ?リンクス」

 

入ってきたのは織斑先生と、山田先生だった。

 

「大丈夫です。ISの凄さを身に染みて感じました」

 

どうやらバナージの戦闘中に負った傷はそこまで酷くなく、大部分はISの重い兵装が全身にのしかかっていたことや、落下時の衝撃による打撲だという。

 

近いうちにISにも乗れるだろう、と織斑先生が言うと、よかったな、と一夏も喜んでいた。

 

そこでバナージは気になっていたことを聞くことにした。

 

「更識さん―――打鉄弐式のパイロットはどうなりました?」

 

 

その質問をすると、織斑先生と山田先生は何とも言えない顔をした。

 

「怪我はない。ただ・・・・会ってみればわかる。」

 

怪我はない、という言葉にほっとしたバナージ。

 

しかしながら良からぬ状態であることも同時に察したバナージは、先生が医務室から去ってなお、考え込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

簪は自分の部屋のベッドにうずくまっていた。

 

照明も碌につけていない部屋の中で、彼女はタブレット端末を見つめていた。

 

「私のせいだ・・・・」

 

無意識のうちに、そんな言葉が浮かんでくる。

 

今も脳裏に焼き付いて離れない、半壊したリンクス君のIS、『シルヴァ・バレト』。

 

 

今も医務室にいるという彼は、私をどう思っているのだろうか。

 

見込み違いだったと、諦めているだろうか。

 

あるいは不甲斐ないやつだと、責めているだろうか。

 

 

なぜ、簪があの時戦いに赴いたのか、簪自身にもわからない。

 

いや、本当はわかっているのだ。今も、耳元にこびりついて離れない、あの声を忘れるはずがないのだから。

 

 

 

「―――貴女は、無能のままでいなさいな」

 

「ッ!?・・・・・」

 

自分の脳裏に響く残滓(呪い)だとわかっていても、思わず反応してしまう。

 

 

そうだ、あの戦いに赴いた理由はただ一つ。

 

姉を超えたかった。何故かと問われても答えは出ないし、あるいは無数にあるのだろう。

 

 

更識 簪の姉―――IS学園生徒会長、更識楯無は超人だ。

 

どんなことも、常人には到底できないようなことを、『努力すればできる』と、そんな風に言って簡単にこなす。

 

その上嫉妬どころか、そのカリスマは他人を惹きつけてやまない。そういう(ヒト)なのだ。

 

そして彼女は言った。「貴女は私が守る。――だから、貴女は無能のままでいなさいな」と。

 

 

 

いつだって現実は非情かつ理不尽で、遠ざかっていくその背中に簪が追いつくことはできない。

 

 

 

だから、簪は考える。夢想する。

 

いつか、こんな自分を変えてくれる。この世の不条理から解き放ってくれる。

 

 

そんな、ヒーローの到来を。

 

 

思惟に耽る簪は、再生される大好きな戦隊ヒーローでさえ、目に入っていなかった。

 

 

 

 

 

 

世界のどこか。

 

暗い部屋の中、高難度のフラッシュ暗算にも匹敵するスピードでスクロールされる情報を眺める、異様な恰好の少女がいた。

 

「ふんふんふふーん♪」

 

鼻歌も歌いながら超高速でこれまた異様なキーボードを叩き、そのたびに頭に載せたうさ耳―――今の彼女のお気に入りである、一人『不思議の国のアリス』コスチューム――が揺れる。

 

彼女こそ世界が血眼でその行方を追う天才科学者―――『人類最高(レユニリオン)』とも称される彼女こそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()篠ノ之 束(しののの   たばね)である。

 

そして世界最高の頭脳を持つと言われる彼女は今、()()()()()()()()()()()I()S()によって収集したデータに考えを寄せていた。

 

黒い三機の無人IS――――名を『ゴーレムⅠ』という―の中でも今回は、データ収集のため防御性を大幅に強化したモデルだった。

 

それを撃破した複数のIS。織斑一夏(いっくん)の白式は兎も角として、彼女が興味を寄せていたのは残り二人の男性操縦者の操るISである。

 

しかもこの2機―――()()()()()I()S()()()()()()

 

篠ノ之 束は珍しく本格的に興味を寄せ、端末のキーボードを叩いた。

 

 

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