機動戦士ガンダムIS(インサイド・ザ・ストラトス)   作:見知らぬとまと

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今回は少しだけ長めに。

アムロの『研修生』という肩書ですが、どちらかというと教育研修生に近く、教員に近い感じで考えています。


ボーイズ・ミーツ・ボーイ

数日後。

 

バナージの体調も一応は回復し、一夏も同様に回復したころ。

 

「ええとですね、今日は転校生を紹介します。しかも二名です!」

 

朝から山田先生の第一声にクラスが大きくざわついた。

 

同じクラスに転校生が二人とは珍しいことだ。しかし、最大の驚きはこの後に待っていた。

 

 

 

教室のドアが開き入ってきたのは、金髪(ブロンドヘア)と碧眼が印象的な―――

 

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いと思いますが、みなさんよろしくお願いします。」

 

()()()()()()()()

 

 

きゃあああああ!!と沸き立つ教室。

 

「織斑くんともリンクスくんとも違う感じの美形!」

 

「守ってあげたくなる系の!」

 

「ううっ、これはわたしもデュノア君派に・・・」

 

「攻めの織斑くん・・・受けのデュノアくん・・・閃めいt(ry」

 

 

美形、と称されるその風貌は中性的だ。

 

首の後ろで束ねた金髪(ブロンドヘア)と碧眼、そしてスマートな体つきがいかにも『貴公子』然とした印象を創り出していた。

 

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

 

 

担任の織斑先生のひと声にクラスは落ち着きを取り戻すが、興奮冷めやらぬ様子は抜けていなかった。

 

「みなさん、まだ自己紹介は終わっていませんから・・・」

 

 

副担任の山田先生が言ったそのとき、件の二人目の転校生が教室へと入ってきた。

 

 

黒眼帯を左目に付けた長い銀髪の少女。

 

身長は低いが、その冷め切った視線と『軍人』じみた印象からから放たれる威圧感はシャルルの比ではない。

 

 

アムロとバナージはそこに既視感を感じた。

 

正確にはその仕草、一挙手一投足というべきか。

 

(印象だけでなく、本当に軍の経験者のようだ・・・)

 

アムロとバナージも似たようなもの(実戦経験者)ではあるが、どちらかといえば彼らがラー・カイラムやネェル・アーガマで共に戦った正規兵のような挙動を二人は見て取った。

 

 

 

そんな彼女だが、教壇前の中央付近で口を開かぬまま、腕を組んで生徒をその冷め切った眼で眺める。

 

 

そしてその後は、織斑千冬の方を見つめた。

 

「・・・挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

「私はここでは教官ではない、教師だ。織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

 

どうやら軍人時代に関わりがあったようだった。

 

織斑千冬は今で世界最強《ブリュンヒルデ》の名を冠する人物だ。

 

それが一国家の教官を務めるとは少し考えにくいが、まあ深く詮索することでもないだろう。

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

 

彼女はこちらを向くと一言だけそう言った。

 

そして彼女は席へ―――正確には織斑一夏の席へ向かった。

 

 

 

パシッ!

 

「・・・何のつもりだ?」

 

「そっちこそなんなんです!急に人を平手で打とうだなんて!」

 

 

例の少女――ラウラからバナージが感じたものは『敵意』だった。

 

それが明確に友人でもある織斑一夏を狙っていると分かったとき、バナージの体は自然に動いていた。

 

ラウラは一夏の顔を平手打ちしようとしたが、バナージはそれを先読みしてその手首を掴んだのだ。

 

 

ラウラは掴まれた手から逆に関節を攻撃しようとするも、その敵意を読んだバナージは先んじて手を離した。

 

「・・・・フン」

 

ラウラはバナージ、そして一夏を一瞥すると、自分の席へと戻った。

 

 

それを頭が痛そうに見ていた千冬だったが、

 

「織斑、リンクス。同じ男子生徒だろう。デュノアの面倒を見てやれ」

 

そう言うと、次の授業へ向かってしまった。

 

 

 

一夏とバナージはアイコンタクトすると、

 

「シャルル、急いだほうがいいぜ。遅れると、千冬ね―――織斑先生の鉄拳制裁が炸裂するからな」

 

そのままシャルルの手を引いて次の授業の行われるアリーナへ急ぐ一夏、そして同じく急ぐバナージ。

 

 

 

しかしその先には、

 

「転校生の美少年発見!しかもリンクス君と織斑君と一緒!」

 

「ものども出会え出会え~!」

 

妙なテンションの女子生徒たちが立ちふさがった。

 

「仕方ない・・・バナージ。ここは俺に任せてシャルルと先に行け!」

 

同じく妙なテンションの一夏。

 

 

ある意味、バナージはこの世界ではかつて出来なかった―――バナージは高校の時期にユニコーンガンダムと出会ったから――青春の続きをしているのかもしれない。

 

バナージはまるで普通の高校生のように笑いながらアリーナを目指した。

 

 

 

 

なお、その後アリーナに3人は遅れたことをここに記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

週末。

 

 

「ひどい目にあった・・・」

 

あの後もシャルルと一夏とバナージは様々なところで追い回され、バナージはへとへとだった。

 

もっともそんな生活にも慣れてきたバナージは、整備室を借りて、『シルヴァ・バレト』の修理に取り掛かった。

 

各部の装甲や破損したパーツを倉持技研から送られてきた資材で修理し、何しろ新武装を搭載する。

 

新しく拡張領域(バススロット)に収納されたソレは、バナージが最も愛用した武装だった。

 

 

ビーム・マグナム。

 

今度は完成系であり、その火力は現行全ISの中でも単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)を除く常設携行武装では最強クラスの火力を持つ。

 

丸一日かけて『シルヴァ・バレト』・・・どちらかというと『シルヴァ・バレト・サプレッサー』というべき―ISを完成させたバナージ。

 

バナージは試験運転の為、お披露目も兼ねて一夏が借りているアリーナへと向かった。

 

 

 

 

 

下では一夏がセシリアや鈴、そしてシャルルと共に訓練に勤しんでいた。

 

 

近づくとだいぶ打ち解けたシャルルや一夏がおーい、と声をかけてくる。

 

「バナージ、機体修理終わったんだな。改装はしてないのか?」

 

「いや、武装が増えたんだ。一夏の調子はどう?」

 

「今、シャルルからライフルを借りていろいろ勉強してるところだ。」

 

 

 

一夏のIS、『白式』は近接戦用の武装しか持たない極めて特殊なISである。

 

 

拡張領域(バススロット)がほとんどなく、通常時の実体刀剣と変形時の強力なエネルギー刃を武器とする『雪片弐型』のみを武装とする『白式』は、高度な立ち回りが求められるISだ。

 

IS――正確には今や行方を眩ました篠ノ之束博士が残した400個余りのISコアは、それぞれがコア・ネットワークで繋がっていると同時に、それぞれが『意思』ともいえる個性を持っている。

 

そして肝心な『白式』の個性はというと、遠距離攻撃武装を一切受け付けない(インストールできない)のだ。

 

もちろん今のようにすでに実体化した銃器などを借りて――ISはそれぞれに許可した武装しか他人には使えないが―射撃をすることはできる。

 

しかしそれも自動装填などのIS特有の補助を受けることはできないため、実質的に『白式』は近接戦以外できないISといえる。

 

 

そんな風につかの間の談笑をして、いざ試験運転のため、武装を展開したとき――

 

『白式』の近くの地面が爆ぜた。

 

 

それが何らかの射撃攻撃であると理解したバナージ。

 

バナージが出てきた反対側のピットを見ると――

 

「・・・・・・」

 

銀髪の転校生――ラウラ・ボーデヴィッヒが、『黒い雨(シュバルツェア・レーゲン)』の名を冠する黒きISの砲口をこちらに向けていた。

 

 




『機動戦士ガンダムNT』については、設定に関してはほとんど触れない予定です。

(投稿主がにわかのため。申し訳ありません。)



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