機動戦士ガンダムIS(インサイド・ザ・ストラトス) 作:見知らぬとまと
追記:PCの故障により、次回更新が大幅に遅れると思われます。
別端末で書いていますので、もうしばらくお待ちください。
「――以上が事の顛末だ。なにか質問はあるか」
「・・・・・・」
医務室で目を覚ましたラウラは、教官――織斑千冬から、状況の説明を受けていた。
ラウラにもわかっていた。ヴァルキリー・トレース・システムの発動は、彼女の意思によるものだと。
そんな彼女に、千冬は表情をこれまで以上に引き締めて言った。
「ラウラ!」
「はっ!」
「お前は誰だ?」
「わ、私は・・・・」
言えなかった。自分が『ラウラ・ボーデヴィッヒ』であると。
ラウラはドイツの遺伝子調整体――その完成形である。
高い身体能力、知力、その他の能力を兼ね備えた、『理想の兵士』。それが彼女。
彼女は軍でも優秀であり続けた―――IS、その出現までは。
彼女にはIS適正がなかった。だが、方法は存在した。
『
しかし、彼女はソレを扱いきることが出来なかった。
一切危険性は無いとされていたソレが、暴走を起こした。常に発動し制御が効かなくなったのだ。
彼女は最強の座から転落し、『出来損ない』の烙印を押された。
そこからの救ってくれた恩人こそが当時ドイツ軍で指導をしていた、織斑千冬その人である。
そこから再びのし上がってきたはずの彼女。
しかし、彼女は黙り込むことしか出来なかった。
そんな彼女に、千冬は言った。
「お前が誰でもないのなら丁度いい。お前はこれから『ラウラ・ボーデヴィッヒ』になるがいい。
――――なに、焦る必要はない。なにせ、時間はたっぷり、死ぬまであるからな」
啞然とする『ラウラ』に、そして彼女は去り際、こう言った。
「お前は私にはなれないぞ。
――――――アイツの姉は、こう見えて苦労が絶えないのさ」
バタン、と扉が閉まる。
医務室で一人になったラウラの頭の中では、目覚める前のやり取りがリフレインしていた。
『お前は・・・なぜそんなにも強いんだ?』
『俺は強くなんてないさ。でも、強いて言うのなら――強くなりたいから、強いのさ』
『強くなりたいから、強い・・・?』
『それに、強くなったら、やってみたいことがあるんだ』
『誰かを守るために、戦いたい』
『そうだな、だから、お前も守ってやるよ・・・ラウラ』
「織斑一夏、か・・・」
『あいつに会うことがあれば、注意しておいた方が良い。うっかりすると、惚れてしまうぞ?
―――――――――――あいつは、妙に女を刺激するからな』
そう言っていたときの、わずかに、しかし嬉しそうに緩んだ頬は今でも頭に残っている。
きっとさっき医務室を出たときも、似たように微笑んでいたのだろう。
成程―――――――これは確かに、惚れてしまいそうだ。
全くズルい姉弟だと、ラウラは一人、笑いを溢した。
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バナージとアムロの部屋。
「入るわよ~?」
「どうぞ」
ガチャ、と扉を開けて入ってきたのは、更識――楯無である。
「ありがとね、簪ちゃんの件。助かっちゃった」
「いえ。簪さんとは、僕もやりやすいですから」
そのバナージの一言を聞いた楯無は、一瞬目を丸くした。
「あの簪ちゃんに異性の友達ができるなんて・・・バナージくん、簪ちゃんをよろしくね?」
「いや、俺と簪さんは「あ、もしかしてもう『友達』を越えて――」なんでそうなるんですか!」
「でもその割には簪ちゃんのこと名前で呼ぶようになったじゃない?」
どこからともなく取り出した扇子には、白地に達筆な字で
「進展」
と書かれている。何種類あるのだろうか・・・
「俺と簪さんは普通の友達ですよ。それにそれを言うのなら―――」
「言うのなら?」
「会長さんも、あまり逃げているべきではないと思いますよ
―――――――これは貴女が、直接話すべき問題です」
「そうね・・・・」
「大丈夫ですよ、簪さんは――――」
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倉持技研第二研究所、その一室。
アムロは『六花零式』の返却、そして自らのISの受け取りのためにここに来ていた。
「アムロさん、例の品だ。次のIS学園の運用テストにはデータを頼んますぜ」
「素晴らしい完成度だ。これで取り敢えずは完成、ということだな」
MIS開発プロジェクトの例の主任と、笑みを交わす。
その目の前に座すのは、『リ・ガズィ』のコアを引き継ぐ、『アムロ・レイ大尉』の専用機。
「ああ、そうだ。こいつこそが―――「MIS-RX-93 νガンダム」