機動戦士ガンダムIS(インサイド・ザ・ストラトス) 作:見知らぬとまと
これからも超不定期投稿が続くと思われますが、少し駆け足で(日常回が減るかも)キリのいいところまでは行きたいと思います。
IS学園には、いくつかの大きな行事がある。
学年別トーナメント、キャノンボール・ファストなどなど・・・
そのうちの一つが――――――――臨海学校である。
トンネルを抜けた先には、一面の蒼が広がっていた。
「おおおおぉおおぉおお!」
美しい海。窓越しにでも潮風が感じられそうな解放感に、生徒たちが歓声を上げるのも無理はない、と千冬は思った。
しかし千冬にとって意外だったのは、大人びた印象のあるバナージも目を輝かせていることだ。
「バナージは海、好きなのか?」
姉弟同じことを考えていたのか、バナージの隣に座っていた一夏が質問した。
「いや、観光で海を見たことがほとんどなくて。確かにこれはみんながわくわくするのもわかる」
「へー。水着は忘れてないよな?俺が海での遊び方ってやつをレクチャーしてやるよ」
いつもISのことを教えてくれたお返しな?と笑いながら言う一夏を見ていると、バナージも自身の年齢相応にはしゃぎたくなる。
そんな二人を見ていると、バナージと一夏にとって楽しい思い出になると良いな、と千冬は姉としても教師としても思った。
やがてバスは目的地である旅館、『花月荘』に着いた。
千冬の指示で―――浮かれている生徒にもそのカリスマ性は健在である――それなりに素早く整列した生徒たちを出迎えたのは、旅館の女将さんだった。
「それでは、ここが三日間お世話になる『花月荘』だ。くれぐれも迷惑をかけないようにしろ」
「「「「よろしくお願いしまーす」」」」
千冬の言葉に続くようにして、生徒たちが挨拶をする。
「はい、こちらこそ。ふふ、今年の一年生も元気があってよろしいわね」
上品な笑顔で女将さんは挨拶をすると、バナージと一夏に目を向けた。
「あら、こちらが噂の?」
噂、というのは男性IS操縦者のことだろうとすぐに理解した。
「ええ、今年はこの関係でいくつか大変で申し訳ありません」
「あらあら、礼儀正しい、いい子そうな感じを受けますよ」
「バナージ・リンクスです、三日間、お世話になります」
「織斑一夏です、よろしくお願いします」
話が自分に回ってきたことを察知して挨拶したバナージと、それに続いた一夏。
全く困った弟です、とぼやく千冬と、身内には厳しいんですねと笑う女将さんと、何とも言えない空気に頭をかく一夏。
そんな三人が、バナージには微笑ましかった。
当然といえば当然だが、バナージ、一夏。それとアムロで専用の大部屋を使うことになっている。
「これが和室か・・・これを『粋』っていうんだっけ」
実際に見たことはほとんど無い――宇宙世紀ではもちろん、日本に来てもあまり見る時間など無かった――『和室』の独特の雰囲気に感動するバナージ。
畳の独特な匂いは、嗅ぎなれていないにも関わらず妙な安心感を与えた。
アムロもあまり見たことはないため感心しつつ――さすがに声には出さないが―荷物を部屋の端に置いていく。
「今日は一日自由時間だ。一夏、バナージを頼んだぞ」
アムロは、日本(と女子)に慣れている一夏に――千冬との区別のため、また親しさゆえにアムロはファーストネームで一夏を呼ぶ――バナージを託し、自分は独り部屋に残った。
「し、失礼しまぁ~す」
「失礼するぞ、レイ研修生」
一日目は自由時間だが、教員にはいくつかやることがある。広いアムロの部屋は、一日目の教員会議場所となっていた。
異性の部屋に落ち着かない様子の山田先生だが、気持ちを切り替えると概要を切り出した。
「今日の仕事は各国から送られてきた試験用装備の回収、配布とスケジュール組みです」
IS学園の臨海学校2日目は広い海という屋外でのIS訓練を兼ねている。
しかし、各国の干渉を避けるため、各国の人員は来ることを禁止される。
当然装備だけが船で届けられ、必然的に沿海での荷物の護衛や整理などもIS学園教員の仕事となるのだ。
「そちらは私と山田先生で対応しましょう。千冬教諭は生徒たちをお願いできますか」
アムロは千冬に気を使い―勿論自分では生徒の管理ができないということもあるが―護衛任務を自分が務めることにした。
千冬は少しバツの悪そうな表情をした後、
「―――分かりました。お願いします」
と言って席を立った。
尤も、山田先生が提案したことで、細かいすり合わせはもう済んでいる。
アムロは哨戒用の船に乗るため準備を始めた。
――――夏の日差しが、砂浜に照り付ける。
「リンクスくん!お願い!」
「はぁっ!」
一夏が一瞬で女子に――主にセシリアやシャルルや鈴――に捕まってしまったため、バナージはクラスメイトとビーチボールを楽しんでいた。
戦闘で鍛えられた体と反射神経―ニュータイプ能力は使っていないと信じたい―で経験の差を補って頑張るバナージ。
男子高校生としてはやはりこういう運動には心が躍るものだ。
年相応に笑いながら、バナージはトスに合わせてスパイクを繰り出した。
その後戻ってきた一夏と遠泳で勝負したり、一夏が鈴を背負っていたの見て、せがんできた女子をおんぶして騎馬戦もどきをやったり。最後には千冬の水着に一夏が見惚れて(?)一悶着あったりした。
ちなみに一悶着の中身はというと、専用機持ち7人対千冬のビーチバレー。
これだけいても勝てず、最後に千冬が「まだまだだな」と笑ったのが印象的だった。
そんなこんなで、一日が終わるころには、二人ともへろへろになっていた。
夕食の席で伸びをして腰を伸ばす一夏とバナージ。
「あー疲れた。――――楽しかったな、バナージ」
「はしゃぎ過ぎだよ――またやろう、一夏」
それでも笑顔の二人を見て、アムロと真耶、そして千冬は頬を緩めた。
今回久々の投稿をするに至ったのは、今でも読んでくだっさる読者様が励みになったからです。
端末も直ったので、不定期ですが投稿はしていくかもしれません、よろしくお願いします。