機動戦士ガンダムIS(インサイド・ザ・ストラトス) 作:見知らぬとまと
楽しかった時間はあっという間に過ぎ去り、合宿2日目。
今日は各自のIS装備のテストなどが行われる日だ。
1年の専用機持ちは全員集められ、千冬の号令でそれぞれのテスト場所へと向かった。
しかし、割り当てられた海岸試験場は専用機持ちの数より二人分多い。
「篠ノ之、お前に
一機は篠ノ之箒の専用機―――『第四世代型IS』【紅椿】。
そしてもう一機は。
「全く、倉持技研もとんだ無茶をしてくれる。
―――――再び、この機体に乗れる日が来るとは」
MISの名を冠する機体、その
名を――――
篠ノ之箒は、『紅椿』の性能に驚愕していた。
AICの様に奇抜な武装が積んであるわけでも、あるいはブルー・ティアーズのように強力な特殊兵器が積んであるわけでもない。
ただその機体は―――速く、強い。
「んふー。さすが私。また天才してしまったか」
「全く、お前という奴は・・」
『紅椿』の性能を観測し、リアルタイムで調整している少女。
兎耳の生えた奇抜なファッションの特徴的な――今は『一人アリスインワンダーランド』らしい―
彼女の名を、『篠ノ之 束』。言わずとも知れた、ISの開発者である。
束は一通り紅椿の動きを確認すると、満足げな笑みを浮かべた。
「うん、うん。展開装甲も機能しているし、とりあえずはこれで大丈夫かな。」
そう行って海岸線を歩いて行く束。
「何処へ行く?お前の興味を引くような者は他にいないと思うが」
それは彼女を知る者には意外なことで、隣でため息を吐いていた旧知の親友、千冬が指摘したのも無理はない。
篠ノ之束は、基本的に身内以外に一切の興味を持たない。
その身内には一夏と千冬も含まれているが、一夏とはさっき会ってきたようだ。
だが束は躍るような調子でそれを否定した。
「いるんだよ。彼は――――相当な
束の進む先には勿論―――白亜の機体が飛んでいる。
投影された仮想ターゲットを超高速で撃破していくアムロ。
恐らくシャルロットならば「洗練された」と評し。
ラウラならば「磨き抜かれた」と評し。
一夏ならば「凄まじい」と評し。
バナージであれば「見たこともないほどのエースパイロット」と評するような。
完成された戦闘が、そこにあった。
ビームライフルが火を噴き、仮想ターゲットを瞬時に撃破。
そして宙返りしながら背中のニュー・ハイパー・バズーカが火を噴き背後の敵を撃破。
そして上下反転した状態でビームライフルを3発命中させ、複雑な回避軌道を描きながらバルカンで牽制。
最後にはビームサーベルでの斬撃からシールドバッシュ、そこへシールド裏のミサイルとビームキャノンでの追撃。
あまりにも速い。千冬はそう思った。
これならば今にでも『モンド・グロッソ』の並みの出場者を3機相手にしても勝てるだろう。
これではこちらに気づかないだろうと思った千冬だったが、意外にもすぐに海岸へと飛んできた。
頭全体を覆う特徴的な装甲―宇宙世紀ではガンダム・フェイスと呼ぶ―の顔部分が開き、アムロの素顔が明らかになる。
そしてアムロが口を開くより早く、束は彼にずいっ、と近づいた。
「ふむふむ・・・面白いね、そのIS。その背中の板はビットだよね?
――――しかも、ISの制御を介さないでも動かせるシステムでしょ?」
サイコフレームの一端を一瞬にして掴んだ束は呼吸でもするようにISのシステムに割り込み、プログラムを見る。
「プログラムも面白いね。一見普通のIS用プログラムだけど、ところどころ
しかも個人作にしては洗練され過ぎてるね。まるで何十年、いや
そこまで束が話したところで、アムロは防御用プログラムとカウンタークラック用のプログラムを作動させた。
「おっと危ない。んふーー。ますます君に興味が湧いてきたよ。
―――『ロンド・ベル所属 アムロ・レイ大尉』?」
「ッ!?」
アムロは驚愕と同時に納得した。
アムロは今ISを動かしていないが、彼女から感じる思惟は警告音すら連想させる
―――『子供のように純粋な意思』。
今の自分は――少なくともIS無しでは―子供の手の中で弄ばれる蝶と同じなのかもしれないと、そう思わせるのに十分な思惟――いや、
その裏付けに彼女は満足げな笑みを浮かべながら、
「きっとまた会うかもね。ちーちゃんもまったねー!」
と言いながら姿を消した。―――おそらくは超高性能のステルス装備で。
若干未だ状況の呑み込めていない千冬に、アムロは声をかけた。
「とんでもない友人をお持ちのようだな、千冬教諭」
「ああ・・・・全くだ」
苦い顔で海を見つめる二人。
水平線は未だ青く、それがアムロには大西洋での戦いの前のベルファストに重なって見えた。
ついにMISの完成形が出てきました。
今回急いで(というか慌てて)書いたので、ミス・誤字脱字の報告、感想等頂くと喜びます。