機動戦士ガンダムIS(インサイド・ザ・ストラトス) 作:見知らぬとまと
あのあと散々女子生徒に絡まれた(褒めちぎられた)バナージはほとほと疲れ切った表情で部屋へと戻ってきた。
「お疲れ。いい戦法だった。ファンネルはどうだった?」
先に部屋にいたアムロが声をかけた。
「ファンネルは少し反応が鈍いですが、試作とは思えないほどの再現でした。
・・・・あれ?アムロさん、出掛けるんですか?」
「ああ、少し出かけてくる。」
部屋を出たアムロが向かった先はアリーナだった。
出撃口でIS、『リ・ガズィ』を纏う。
上空で待ち構えていた対戦相手、それは
「さあ、始めるか」
IS界の伝説、『ブリュンヒルデ』の称号を持つ織斑千冬その人だった。
放送室には、他のクラス含めて多くの教員がいた。
あの憧れである織斑千冬が、相手が新入生とはいえISで戦うというのだ。
どうせ短時間で決着がついてしまうだろうが、一目見てみたいと思ったのだ。
織斑千冬の纏うISは訓練機として使われている、専用機ですらない『打鉄』。
刀剣を主武装とする、ガードに主眼を置いた操作性と安定性に長けたISだ。
しかしそれでも、IS無しでも閉所ではISに勝るとすら言われた織斑千冬が勝利することは目に見えていた。
正式な試合でもないため、合図などない。
しかし、動いたのは同時だった。
近接戦を得意とし、刀剣を展開して高速で接近する千冬と、距離を置いて試作ビーム・ライフルで牽制するアムロ。
それを千冬は躱していく。そしてアムロはそれを読んで射撃する。そしてそれすらも読んで千冬が回避する。
勿論アムロの卓越した能力は確実にダメージを与えていくが、カノンですらないビームが掠めただけでは決して致命傷にはならない。
そしてマガジン式のビームライフルをISがストレージから自動装填する一瞬をついて千冬が切り込む。
しかしリ・ガズィは後ろに大型のバックパックを展開すると、そのスラスターで急速に上昇し距離をとった。
「そこだッ!」
BWSにはバッテリーが積み込まれており、疑似的にジェネレーター直結型の武装を再現していた。
高出力のビーム・キャノン。直撃は辛うじて免れたにも関わらず想像以上に削れたシールド・エネルギーを見て千冬は舌を巻く。
千冬は無理を押して距離を詰める。
「動きが甘い!」
「ちぃっ!早いッ!」
そして接近戦の間合いに持ち込んだ千冬は刀剣で隙の少ない斬撃を畳みかけて反撃を許さない。
今度はアムロの消耗する番だった。
しかしバルカン・ポッドでできたわずかな隙を逃さず、腰にマウントされた試作ビーム・サーベルを抜き取り、反撃に出る。
ビームの光と鋼色の刃が数回交錯し、お互いのシールド・エネルギーを奪う。
高速で行われた、しかし考え抜かれた(あるいは身に付いた高度な反射)斬撃が見るものの目を奪った。
しかしその時、試作ビーム・サーベルが明滅して消えた。試作品であるビーム・サーベルが高度な接近戦に耐えられなかったのだろう。
瞬時にもしもの時のために用意されていたIS用コンバットナイフを展開。
他の刀剣に劣る性能をカバーするため、ここには敵の刀剣をホールドするための窪みがついていた。
嚙み合う刀剣。
片側のスラスターを吹かし放たれたアムロの高速の回し蹴りと、千冬の前蹴りが同時に命中する。
吹き飛ばされる両機体。しかしISの姿勢制御で勝る千冬が繰り出した刀剣の投擲が追撃し・・・
「試合終了!勝者、織斑千冬!」
お互いのシールド・エネルギーが危険域に突っ込む激戦だったが、試作品の初期不良とISでの経験が二人の伝説の勝敗を分けたのだった。