「俺ガイル」お疲れ様会会場にて   作:さすらいガードマン

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俺ガイル最終巻たる14巻が発売されてはや20日。
原作読んでる方は読み終えてるでしょうし、読んで無い方は、今からすぐ読むということは無いでしょう。

この話は、原作最終巻既読を前提として書かれた、メタ視点・ネタバレ満載の、お馬鹿な台本形式会話劇です。
そういうのが苦手な方、ネタバレを避けたい方は今すぐブラウザバックをお願いします。

繰り返します、ネタバレあります!

宜しいですね?
では、どうぞ。



賛否両論、あの台詞

 

 

 ここは総武高・海浜総合高二校合同プロムが行われた海辺のイベントホール。

 しかし本日会場にかかるのは「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。――お疲れ様会会場」の案内看板である。

 

 会場の喧騒を離れた、ホールの通用口を出た所にある小さなテラス。東京湾の水面を照らす夕日を眺めて佇む一人の男。傍には三人の女性の影。

 

八「フッ……終わった……な」(MAXコーヒーをチビチビ飲みながら)

 

結「うわっ、ヒッキーがなんかカッコつけてる? キモっ」

 

雪「本当ね、夕日が腐って落ちてしまったらどうするつもりなの?」

 

八「馬っ鹿お前、太陽さんは偉大なんだぞ。この景色見てれば俺だって多少は心も浄化されるわ。むしろ浄化され過ぎて燃え尽きて灰になっちまうまである」

 

い「いくらせんぱいがゾンビでも、マインクラフトじゃあるまいし、主人公がそんなつまらない消えかたしてどーするんですか?せっかく雪乃先輩と……その……」

 

結「そーだよ。……ゆきのん、ヒッキー、あの、おめでと……」

 

雪「由比ヶ浜さん……」

 

八「由比ヶ浜……」

 

い「なんか『恋敵を祝福する』王道展開みたいな雰囲気醸し出しちゃってますけど……でもぉ、結衣先輩、ラストシーンでは未練ありまくり、みたいな感じだったじゃないですかぁ」

 

結「いやそのね、お祝いする気持ちも、嘘じゃないってゆーかだし……あはは」

 

い「むう……ずいぶん余裕ですね……。はっ!そういえば……結衣先輩は、『another』(BD・DVD特典小説)でちゃんとヒロインしてるじゃないですか……。ううー、ずるいですー、アニメ三期の特典ではわたしルートの特典小説きぼーです!」

 

雪(額に手を当てて眉をひそめながら)「それは……渡先生の事だから、筆が捗ればあり得ない事では無いわね」

 

結「あ、うんうんあるかも。三期のキービジュ? にもなんかいろはちゃん、ぐわーんってすごいおっきく描いてあったし」

 

八「タイトルは……『やはり俺の青春ラブコメは間違っている―if―』じゃ短いし……『―route if―』とか、ネタなら『―irohas―』とか、そんな感じか……。いやでも、一色がヒロインのルートとか、俺がめっちゃ苦労して働かされる未来しか見えないんだが」

 

い「わたしのために働けるなんて、せんぱいは幸せ者ですね」

 

八「何でだよ……俺の幸せは小町のために働くことに決まってんだろ!」

 

い「出たシスコン」

 

八「し、シスコンじゃねーし」

 

結「ヒッキーは彼女が出来てもそこは変わらないんだ……。ゆきのん的にはどうなの?」

 

雪「比企谷君が小町さんがらみでおかしくなる事はもう諦めてるわ。あそこまでいくと、シスコンというより……コマコン?」

 

八「おう、コマコンだとも。そんなわけだから特典小説は小町ルートを希望する!タイトルは『やはり俺の青春ラブコメは間違っている―sister―』とかな。『―another―』と韻を踏んでるみたいで良いだろ」

 

い「お米ちゃんルートって……コマコンだかコメコンだか知りませんけど、妹ルートとか普通にキモいですよ?」

 

八「甘いな一色、お前はライトノベル:ジャンル『千葉』のルールが解っていない」

 

結「ジャンルが『千葉』ってなんだし……」

 

八「つまり、この世界線において、千葉県では兄妹で結婚式を挙げることが条例で許されてるんだ」

 

い「はぁ! そんなの聞いたことないですし。頭だいじょーぶですか?」

 

八「何を言う、千葉の兄妹と言えばあの二人! ほら、うちもやらせてもらった千葉都市モノレールラッピング車両とかのコラボあっただろ?」

 

い「モノレール……そういえばそんなのもありましたね」

 

結「うんうん! みんなで制服着せてもらったの超楽しかった~」

 

八「そのコラボの先輩たる『俺妹』の高坂さんちでやってるんだよ。ちゃんと教会でウエディングドレス着て!」

 

い「兄妹でですか⁉ うわ~……マジだとしたらさすがにドン引きなんですけど…………」

 

雪「条例はともかく……残念ながら本当なのよね、結婚式は」

 

結「えぇーっ あれってマジだったの? あたし、てっきり都市伝説かなーと……」

 

雪「本当に千葉の兄妹は……ふふふ……お兄さんはしょうがない人ですね、とりあえず手錠かけましょうか」(虹彩の消えた目、能面のような笑顔)

 

八「おい雪ノ下、それキャラ違うから! 声怖すぎだからっ!」

 

雪「うるさいこの変態っ、ぶち殺しますよっっ」

 

八「ヒエッ」

 

結「ゆきのんが壊れたっ⁉」

 

 

 

 

 

 

雪「…………ごめんなさいね、ちょっと取り乱したわ……」

 

八「取り乱したというより取り憑かれた感じだったが……」

 

結「よかったー、ゆきのんが戻ってきたよ」(ホッ)

 

八「まあ完結したとは言っても、原作小説の方も、14巻のあとがきで渡先生がこれから『短編集』とか『俺ガイルスターズ』とか書くって言ってるしな。本気かどうかは知らんけど……アニメ三期に向けてはまだ色々と動きもあるんじゃないか」

 

 

い「じゃあ、そこでわたしのルートを……。いやむしろ、アニメ三期の本編で大逆転わたしエンドとかワンチャンありませんかね? 改変って言うんですか……原作とアニメで話が違う事ってわりとあるみたいですし、ここはひとつ……」

 

雪「ダメよ!……あ……」(思わず声を上げてしまった自分に戸惑う)

 

結「……ゆきのん?」

 

雪(頬をうっすら紅く染めながら)「だって……一度は諦めて……やっと貴方と……」

 

八「雪乃……下」

 

い「う……なんか雪乃先輩がめちゃくちゃかわいーです……ん?」

 

い「(はっとして八幡を見る)せんぱい?」

 

八「お、おう」

 

い「今、『雪乃』って。もしかして二人っきりの時はそう呼んでるんですか?」

 

雪「……!」

 

八「ゆ、雪ノ……下って言っただけで」

 

い「はいはいそーゆーのいいですからとっととそこに正座して下さい」

 

八「え、何で俺怒られる流れなの?……俺はただ本人にそう呼んでみて欲しいって言われて……」

 

雪「ちょ……貴方、今それを言うのはずるいわ////」(八幡の上着を掴んで上目遣い)

 

結・い(きゅうぅぅぅん)

 

い「はあ……雪乃先輩もそーゆー女の子女の子したお願いとかするんですねー」

 

雪「その話はもういいでしょう……」(恨めしそうに八幡を睨む)

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

い「さーて、いい感じに場も温まってきたことですし、こっからはもっと鋭く行きますよ~」

 

結「鋭く?」

 

八(嫌な予感しかしない…………)

 

い「第一回のテーマは…………」

 

雪(第一回って、これ以降もやるつもりなのかしら……)

 

い「題して、『賛否両論、八幡の告白』ですっ!」

 

八「ぶほっっっ」

雪「!!!」

 

結「ふわっ、ヒッキーってば、こっちにコーヒー吹かないでよっ」

 

八「げほごほ……悪い……。って、何だよその恣意的なテーマは! 賛否両論? 誰の賛否だよ」

 

い「これはですね……、例のせんぱいのちょおめんどくさい告白について、最終巻を読んでくださった読者さんの中でも意見が別れてるって話です~」

 

八「ぐ……あれを大勢の読者さんに読まれたと思うと……死にたい、死にたいよぅ……」

 

い「『お前の人生歪める権利を俺にくれ。代わりに俺の全部をくれてやる』みたいな感じでしたっけ」

 

八「ぐおぉ、やめてくれ……」(頭抱える)

 

い「一言で言って重っ。それにいくらなんでも卑屈過ぎませんかね?『歪める』って……。言葉だけ切り取ったら恋の告白とは到底思えませんよ」

 

八「うう……自分でもどうしようもねえ台詞だってのは解ってんだよ。けど……伝えたいのは、恋慕とか思慕とかそういう単純なものじゃ無い、覚悟っていうか……それをどう言葉にすれば良いんだ? そんな事考えてるうちに気がついたらああなっててな。すまんかった」

 

い「謝るならわたしじゃなく雪乃先輩に謝ってくださいよ……」

 

雪「そんな、私は別に……」

 

い「雪乃先輩もあれでよくOKしましたね? まあ、返事も斜め上の台詞でしたけど」

 

結「『あなたの人生を私にください』だもんね……」

 

雪「それはあのっ……あの場の雰囲気に当てられたというか……うう」

 

い「まったく……いちいち言ってる事がちょおヘビー過ぎますよね。お二人とも、ホントに高校生なんですか?」

 

八「…………」

雪「…………」

 

結「あはは……。でも、うん。なんてゆーか、ゆきのんとヒッキーらしいというか……」

 

い「まあ? 幸い好意的な意見も多かったようですし。結衣先輩が言ってるみたいに『八幡と雪乃らしい』とか『最高の告白だった(ただしこの二人限定)』みたいなー」

 

八「しかし……俺らしか知らないはずのアレをこうして本人の前でやいのやいの言われるって、どんな羞恥プレイだよ……」

 

雪「ええ、本当に……」

 

い「否定的な意見ももちろんありましたけど……『雪乃の台詞じゃ無いけど、八幡てめえ他に言うことあるだろ!』っていう意見にはまあわたしも賛成ですね」

 

結「あと、面白いのでは『面倒くさい、むしろそこがいいまである。ってすごい解る!ゆきのんマジめんどくさカワイイ』なんてのもあったよー」

 

八「だろ!だろ!」

 

い「何でせんぱいが嬉しそうにドヤ顔するんですか……」

 

雪「私が『面倒くさい』事を良いことのように話されるというのは……ちょっと複雑な気分ね……」

 

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 

 

い「ちょっと仕切り直ししまして……。雪乃先輩、真面目な話、あの告白……受けた本人はどう思ったんですか?」

 

結「…………」

 

八「ゴクッ……」

 

雪「……そうね、正直最初はどういう意味か解らなかったわ。だって、『人生を歪める権利』なんて言われても……」

 

い「そーですよね! ほらせんぱい、いくらなんでも分かりにく過ぎますって。何かの言い訳みたいに、肝心なことは言わないし……」

 

雪「でも、ね。不思議と伝わるものよ。きっと……他の誰でもない、比企谷君と私だから……」

 

八「…………」

 

雪「たった一年だけど、でも、二人の間に積み上げたものが確かにあったから。だから……ね」

 

結「……」(胸の奥かムズムズする)

 

い(これは……勝てないわけですねー……)

 

雪「ふふふ、もちろん不満が無かった訳ではないわ。あの時……分かり易い言葉が欲しいと思ったのも本当だもの」

 

八「う……そこはほら、俺だしな」

 

雪「ええ、本当にどうしようもないわね、私のパートナーは」

 

結・い(なんか、惚気られてる気がする)

 

い「まあ、せんぱいらしいって話に落ち着くんですかね? 結局大事な言葉は雪乃先輩に言わせちゃったんですもんね~」

 

八「あれは……言い逃げされたというか、そういうアレだろ」

 

雪「でも貴方も、あの後ちゃんと、『好きだ』って……それに、それ以上のことも面と向かって私に言ってくれたじゃない////」

 

い「!!!」

ゆ「っ!!」

 

八「おまっ……」

 

い「え! ちょっと待ってください、そんな事どこにも……」(14巻をパラパラ捲りながら)

 

八「雪ノ下、何バラしてくれちゃってんの!?……あ、お前さっきの名前呼びのこと言っちまったこと根に持ってただろ」

 

雪「あら、なんの事かしら?////」(カオマッカ)

 

八「てめえ……開き直って自爆テロとか」

 

い「ちょっとせんぱい! いつですか? どんなシチュでなんて言ったんですか!?」

 

結「それ以上のことって……、聞いてみたい……かも」(ドキドキ)

 

八「知らん! 本文に書いて無いことについては黙秘権を行使する」

 

い「いえいえ何言ってんですか。わたしには総武高の生徒会長として読者様に真実をお伝えする義務があります!」

 

八「生徒会長は何の関係もねーだろ!」

 

い「いいじゃないですかぁー、減るもんじゃ無いですし」

 

八「減る! SPとかMPとかそういう、なんかこう……大事なものすり減るからっ」

 

 

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

い「……という訳で、お送りしてきましたお疲れ様座談会ですが、今後読者様の需要があれは、次回からはゲストを交えてお送りしたいと思いま~す」

 

雪「いつの間に座談会に……」

 

結「次回もあるの? それにゲストって……」

 

い「それはほら、あっちの会場からちょいちょいっと来てもらえばいいんですよぅ」(イベントホールを指差して)

 

八「……誰を呼ぶつもりだよ」

 

い「えー? そうですね……この四人共通の関係者ってことならー、葉山先輩とか、はるさんとか……」

 

八「待て待て! なんだその悪意ある人選は!」

 

い「えー、他意は無いですよー(棒)」

 

雪「私もその人達とははちょっと……」

 

結「うーん……嫌ってわけじゃないけどさー、相性ってゆーか……」

 

い「そうですか? 面白い話が聞けそうなんですけどねー。まあ、考えておきますよ」

 

八「ま、穏便に済むよう頼むわ……」

 

 

 

い「はーい。ではそろそろお時間ですね。機会があればまたお会いしましょー!」(空中、()()()に向かってカメラ目線で手を振る)

 

八・雪・結(誰に向かって話してるんだろう……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
という訳で、後れ馳せながら、祝!原作完結SSでした。


遂に(ようやく)完結しましたねー。
寂しくもありますが、私はこの結末には大満足です。
ボーイミーツガールの王道、最初に登場したメインヒロインと結ばれる展開。
昨今、後から登場したヒロインに人気を奪われる作品も多い中、雪乃は最後までその輝きを失いませんでしたね。
告白で即話が終わらず、付き合い始めの初々しいイチャイチャをちゃんとやってくれたのも個人的にポイント高いです。

結衣派・いろはす派の方にとっては不満もあるとは思いますが、留美派の私に比べればちゃんと希望の光があると思いますしw

第二回以降は、需要が多ければ、合間をみて書いてみたいな、というくらいの感じですね。
ネタ(テーマとかゲストとか)はいくつかあるんですか、それより私がここで主に書いてる留美SSの方をとっとと書けと怒られそうなのでそちらを優先しないとなのです。


ご意見・ご感想お待ちしてます。一言感想とかも大歓迎なのでぜひどうぞ。

ではでは。



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