Fate/Grand Order 案①『間桐桜に転生したら』 作:ら・ま・ミュウ
「流石に、中身までは一緒じゃなかったね……」
「ですが、先輩のマイルームと食堂…そして中央管制室は本物と見分けがつかなくて、驚きました」
「……そうだね」
「「ハァ……」」
近代的な喫茶店
ため息を漏らすリツカとマシュ。
何から何まで……カルデアの来訪が予測されていた特異点は今までにもあったが、ここまで完璧に“おもてなし”される事などなかった二人は……“逆に”疲れていた。
「聖杯は、三女神同盟のティアマトと名乗る……ゴルゴーンが、所持していて此方には対ゴルゴーンにこれ以上ないと云われるペルセウスさんがいるようですが、先輩……」
「うん、分かるよマシュ。出来すぎている。まるで、裏切る前の敵の本部に上がり込んでいるみたいだ」
ゴーレムを操るサーヴァントと最低でも後二体のサーヴァントが活動するこの城塞都市。エジソンの例もあり、これから敵対したとすればどれだけ厄介な事になるか……悪い癖だがつい考えてしまう。
「明日、望めばウルクまで送ると言われましたが、どうしましょう」
『僕の意見から言わせてもらえば、行く必要はないんじゃないかな?だってギルガメッシュ王だぜ?
慢心で冷血で暴君で人の事をすぐ雑種呼ばわりする差別しゅ……『あーはいはい。これ以上は黙ろうかロマニ』と、兎に角、現状は安全圏から情報収集に勤めるのが得策じゃないかな?』
「そうですか……情報収集…」
リツカは謎のサーヴァントこと、前髪の短い小太郎に渡されたこの都市のパンフレットを見る。
カルデア(偽)
ゴーレム工場
修練場
ゲームセンター
公園
神殿
図書館
モノレール
喫茶店(現在の場所)
「この中だと図書館かな、マシュは何処か気になる場所はある?」
「私は修練場が少し…この街にはサーヴァントとゴーレムしか見当たらないので、誰が利用するのか疑問に思いまして」
「ああ、そうか。だったらモノレールをここで乗り継いで「あっカップルなら無料って書いてあります」うぇ!ど、どうしたんだマシュ!?」
人形ゴーレムが運んできたケーキと紅茶を嗜みながらパンフレットを眺め話し合う二人。
綺麗に塗装された道路や桜の“ガワ”の趣味が影響してメルヘンチックに改修されつくした建物の数々。
『フフフッ友好作戦その1…一生の思い出作り作戦は成功ですねぇ』
ゲームコントローラー片手にタブレットを眺める自称警備担当の巴御前は、桜が眠りにつく前に出した大いなる作戦の一つが達成された事に頬をつり上げる。
『ですが、まだまだですよ……貴方々とは長い付き合いになるのですからねぇ~』
それはゲーム画面の御三家ポケモンに対してか、リツカとマシュに対してか真相は分からない。
『悩みます、悩みますよぉ……』
「おーぅ、勘弁してくださーい」
「駄目だ。君は僕の最高傑作の触媒となってもらう」
「うそ……何故お前がここに!?」
「アナいきなりどうしたんだ!」
「……捕獲対象発見♪」
「ゴーレムにしてはまぁまぁの出来ね。
…ライダーはまだかしら。小さい方の妹を連れて来るって言ってたけど」
「カリバーァァ!!!」
「ウヒャア!?何なのよこの“ちんちくりん”は!」
「首を出せぇ」
「「「はわわわわ!!!」」」
「やぁギル」
「――なん…だと!」