機動戦士ガンダムSEED Natural Gifted 作:風早 海月
ジブラルタル、ザフト襲来
大西洋連邦…旧イギリス領のジブラルタル。そこで1人のナチュラルの女の子が産まれた。
誕生日にちなんで
☆☆☆☆☆
エイプリル・フール・クライシスと呼ばれる作戦によって、核エネルギー(核分裂反応エネルギー)を取り上げられた地球上では異常なほどのエネルギー不足に陥り、物流・生産その他が行えず食料不足→餓死者・凍死者が多く出た。その数は10億を超えるとされ、地球全人類の10%を超える。
そんな中で、珊瑚海海戦によってジブラルタルではさらなる動揺が拡がっていた。
「イヴ!逃げるぞ!」
「待ってて。……もう少しで……」
「そんなロボット作って何になるんだ!今となっては持っていくわけにも―」
「何言ってるの?お父さん。これはジブラルタルを守るための力だよ。」
イヴはその全長14m程の機体を見上げる。
電力がないなら内燃機関積めばいけるべなと、ジブラルタルではほとんど見られないバイオ燃料をかき集めて、バッテリーの代わりにエンジンと燃料とオルタネーターを搭載した人型のロボット――モビルスーツもどきである。
「装甲は軽金属製だから期待できないけど、その分機体は軽くて機動性ならバクゥには勝てないけど、ディンとかジンなら勝てる。」
「バカ言ってんじゃねぇ!こんな所でお前が戦う必要なんてねぇ!」
「でも軍人たちは逃げちゃったし…みんなが逃げるまでの時間稼ぎだよ。幸いこのジブラルタルは旧イギリス領だからそのツテで本国…ブリテン島に行ける。」
「民間人への攻撃はない!」
「なわけないよ。人種間で殺しあってるんだから。」
イヴはモビルスーツもどきのコックピットに乗ると、エンジンを起動する。
「電圧チェック。オルタネーター…正・副・予備、全てよし。エジェクションシート正常。戦術データ、インストール確認。機内備品よし。……《ベータ》、正常に起動。これよりジブラルタル防衛に向かう。」
時にC.E.70、5月26日。第1次カサブランカ沖海戦の翌日、ザフト軍がジブラルタルに上陸した日である。
この日のザフト軍のジブラルタル上陸の戦闘報告は以下の通りである。
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戦闘特記事項概要報告
撃墜・未帰還
ディン4機、グーン2機、ジン8機、バクゥ1機
損傷
ディン2機、ジン4機、ボズゴロフ級1
戦果
ジブラルタル占領、モビルスーツもどき1機撃破
備考
敵性小型のモビルスーツもどきのみの被害である。しかしながら、撃破後に確認したその設計や工作の状況によると町工場での工作品の可能性が高く、正規品でないと考えられる。また、パイロットの腕も高く、とてもナチュラルとは思えないどころか、赤服のエースでさえも手玉に取られる状況から我ら同胞の中でも優秀なものが搭乗していたと考えられたが、それについての報告は下記の補足にて行う。
今後の展開にて、現住者のコーディネーターからの反撃がある可能性をかんがえて侵攻する必要があるだろう。
なお、上陸を指揮したセントー隊長が意識不明の重体であるため後送された。そのため、ジブラルタル基地の建築の責任者は副長である私、ディエイン・ティルピッツが当たる。
ディエイン・ティルピッツ
補足…後日追記
先日の報告にあったモビルスーツもどきについて、訂正する箇所があるため追記する。
敵性小型モビルスーツもどきを撃破した際に飛び出したエジェクションシートに気を失った少女(外観年齢で12~13歳程)がいた。コックピット・シートの狭さから彼女専用に作られたもののようである。遺伝子に改変の跡はないためナチュラルと認定された。しかしながら、ナチュラルでありながらモビルスーツもどきを運用するだけに限らず、我がザフト軍の誇るセントー隊に大きな損害を与えたのは驚異である。
彼女は《ナチュラルギフテッド》、天然物の天才であることは疑いようはない。その才能を地球連合軍に利用されたものと見て、コルシカ条約違反に当たる《少年兵》と認定し、保護している。
現在、保護してから2日目であるが、未だ目は覚ましていないため、これらのことは推測であることに留意されたい。
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