機動戦士ガンダムSEED Natural Gifted   作:風早 海月

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プラント

C.E.70、7月。

 

イヴはプラントのザフト高官から尋問を受けていた。それまでドクターストップがかけられていたのがようやくOKが出たのだ。

 

「…なっ!つまり君はあの機体を自作したのか!?」

「はい。流石にOSはプロトジンのものを参考にしましたが…あのエイプリル・フール・クライシスで電力不足になることは予測されたのでそうそうにバイオ燃料を買い占めて、ガスタービン・エレクトリック方式での駆動に変更しました。」

「……嘘だろ?」

「本当ですよ。まあコックピットを小さくまとめられたので、その分機体を小さくできて、機体の軽量化ができて…」

 

ザフトの尋問を担当する士官は唖然とする。今の時代にエンジン駆動の機体にするという思い切った換装を行える胆力を持つ技術者はザフト・地球連合軍どちらを見てもいないだろう。

 

「結局、君はこちらがコルシカ条約違反に当たる《民間人虐殺》を行うかもしれないということを想定して義勇兵…と言うより民兵となったわけだ。」

「その扱いで結構です。」

 

コルシカ条約はハーグ陸戦条約などを手本に作成されている。交戦者と認められるのはコルシカ条約第1条で規定される。

条件だけ抜粋する。

 

・部下の責任を負う指揮官が存在すること。

・遠方から識別可能な固有の徽章を着用していること。

・公然と兵器を携帯していること。

・その動作において、戦争法規を遵守していること。

 

ただし、例外がある。

 

コルシカ条約第2条。

未だ占領されていない地方の人民でありながら、敵の接近にあたり第1条に従って編成する暇なく、侵入軍隊に抗敵するため自ら兵器を操る者が公然と兵器を携帯し、かつ戦争の法規慣例を遵守する場合はこれを交戦者と認める。

 

この場合、ジブラルタルではこの第2条が適用されるため、軍事的な識別用の徽章を着用せず、指揮官がいなく、かつ少年兵に当たるイヴでも、義勇兵として認識される。

 

ちなみに、プラント側の意向もあり少年兵の使用禁止年齢は13歳以下禁止と、かつてのジュネーブ条約などでのそれよりも引き下げられている。これは、プラントでは社会的に14歳前後で仕事に付けるからだ。

 

捕虜となったイヴだが、その年齢…11歳ということもあり、捕虜労働には付かせられないということで、どうするかと頭を悩ませていたプラントの捕虜情報局だった。

 

 

そんな時に、イヴに面会に来た人物がいた。

 

 

シーゲル・クラインである。

 

「体調はどうだね?」

「問題ないです。」

「そうか。」

 

彼はその幼さと、コルシカ条約の抜け穴…少年兵に当たらない条件だったイヴに驚き、こうして何度も足を運んでいた。

 

「君は家族と離れ離れになったことを悲観していないのかね?」

「私は自分で言うのもなんですが、天才です。齢6にして大学を卒業したのはその証拠ですね。父は親としては愛してくれましたが、人としては不気味がっていたのはよく感じられました。こうして文通するだけでも嬉しいです。」

 

捕虜情報局を介したやり取りは中立国であるスカンジナビア王国やオーブ連合首長国やコペルニクスなどを仲介とする。大西洋連邦のプラントにおける利益保護国はスカンジナビア王国とオーブ連合首長国であり、プラントの大西洋連邦における利益保護国もまた同様である。

 

しかしながら、スカンジナビア王国とオーブ連合首長国には大きく違いがあり、それは武装への考えである。どちらかと言うと、スカンジナビア王国は非武装中立であり、オーブ連合首長国は武装中立である。

 

「……今日は2つ、プラント最高評議会として話がある。まぁ本来なら私じゃなくて官僚たちに任せればいいのだろうが、私自身が君と話したくてね。」

「そうですか。」

「悲しい話と比較的軽い悲しい話、どちらが先がいいかな?」

「悲しい話からで。」

「……そうか。ジブラルタル基地からの報告によると、ジブラルタル脱出船は地球連合軍によって撃沈された。」

「えっ………」

「どうやら、ジブラルタル方面からでてきたためにザフトの輸送艦と思われたらしい。生存者はいなかった。」

「そう………ですか。」

「2つ目の話だ。君の能力は地球連合軍にとって喉から手が出るほどのものだ。捕虜交換を望んでいる。我々が示すことの出来る道は4つだ。捕虜交換で地球連合軍に行く。捕虜交換を拒否する。プラントに帰化する。………そして、オーブ連合首長国に亡命する。詳しい話はこの書面に書いてある。後で目を通してくれ。」

 

 

シーゲルはイヴの頭に手を置いてから、イヴの住むザフトの女子寮の一室であるこの部屋から退室した。

 

 

 

 

―――――

 

 

・地球連合軍の捕虜交換を受け入れる場合

地球連合軍の軍人として扱われる。流石にコルシカ条約違反に当たる少年兵としての出兵は無いだろうが、技術者としては動員されるだろう。なお、ブルーコスモスに目をつけられればその限りでなく、少年兵としても有り得るであろう。

 

・捕虜交換拒否した場合

このまま捕虜を継続する。コルシカ条約に則った待遇となる。

 

・プラント帰化した場合

国家への忠誠を見るため、ザフト関連の職につくことが求められると共に15歳になると共に3年間の兵役が課せられる。

 

・オーブ連合首長国に亡命した場合

オーブ連合首長国の保有するヘリオポリスにて保護。カレッジ学生として4年間の保護期間を要する。なお、この措置はオーブ連合首長国の法律的に15歳未満の労働が認められず、保護者の必要とする年齢であるためである。以前の大学卒業の単位は認定する。

 

 

―――――

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