機動戦士ガンダムSEED Natural Gifted 作:風早 海月
ヘリオポリス
イヴはオーブ連合首長国の保有するヘリオポリスのカレッジ学生として編入した。
彼女はその平和を享受していた。
「キラ、追加。」
「うぇぇえ!?またぁ?」
イヴは同じ加藤ゼミの学生で、よく教授の仕事の手伝いをさせられているキラ・ヤマトにデータチップを手渡す。
「イヴ、手伝ってくれてもいいんじゃないかな?」
「イヴ、こどもだからわかんなぁーい!」
「キラ、分かるけど抑えろ!」
サイがキラを羽交い締めにする。大学生活の日常風景だった。
このまま卒業までずっとこうして平和でいられるはずだった。
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イヴはゼミの部屋から出て、お手洗いに行って、出てきた時だった。強い揺れを感じた。
隕石なども自動迎撃で揺れは微かなものになるのが多いのだが、これは異常だ。
意志をサッと固めたイヴは手元のノートパソコンでヘリオポリスの宇宙港管制をハッキングしだした。
(……ザフトが攻撃?なんで?中立国のはずじゃあ…?………!?G計画……………なるほど。オーブも1枚岩では無いか。せっかくなら連合との合同開発じゃなくて鹵獲したジンとかを手本にすればいいのに……連合とつるんでも大して旨みはない。)
イヴはザフトのこの作戦のやり方に少し疑問を持った。
(プラントだって1枚岩では無いけど、コルシカ条約どころか人としての倫理観すら無い人達がやってるのか……穏健派がいるならここの襲撃でこんな作戦は取らない。)
ノートパソコンを閉じて、モルゲンレーテへ向けて走る。
(多分シェルターはカレッジの周りは満員……掛けるならモルゲンレーテしかない!)
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モルゲンレーテに着いた時には、シェルターはなかった。
「来い!」
「左ブロックのシェルターに行きます!お構いなく!」
「あそこはもうドアしかない!」
イヴは撃たれたザフト兵の持っていた小銃と予備弾倉を拾う。
そして、1人の赤服のザフト兵の後ろから突きつけた。
「無用な殺傷はやめてください。ここはモルゲンレーテ。民間人もいるのですよ?」
突きつけた銃口に歯噛みする赤服。
「中立国が連合の戦艦とモビルスーツを作るかよ。」
「西暦時代には永世中立国が武器を開発して他国に売ることはありましたが?何か?」
スイス製の銃はなかなか有名である。
「…なるほど。」
それで納得していいのか赤服よ。
イヴは銃口を離して、銃を下ろす。
「武器の鹵獲は日常茶飯事。持っていくことは何も言いませんが。」
「……有難く頂く。」
赤服……ラスティ・マッケンジーとイヴの初対面がこの時であった。
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G計画によって開発された機体は5機。のはずだった。
(この機体……データになかった!……とりあえず、ジンは追い払わないと……ね。)
その機体のコックピットに座る。だが、身体が小さくて、フットペダルに届かないことに気がついた。
イヴはシートに寄っかかるように座り、何とか操縦できるようにした。まあ固定ベルトは出来ないが。
起動した機体のデータやOSを確認していく。
「なるほど。オーブの自作機か。OSは……うん、まあ書き直そ。」
いくら技術大国オーブでも、OSは酷いものだった。
プラントで、1度だけ聞いたことのある士官学校の授業ではこう言っていた。「結局のところ、モビルスーツのOSは格ゲーのコンボみたいなものだ。」と。
「MBF-P00、アストレイ0号機…アストレイ イエローフレームね。」
イエローフレームを立たせたイヴはヘリオポリス内部に向けてスラスターを吹かした。
ヘリオポリス内部に出ると、ジンともう1機のモビルスーツが戦闘していた。さらにその後ろにもう1機いる。イエローフレームのメインシステムが直ぐにデータを画面に呼び起こす。
X105ストライクとX303イージスだ。
そのストライクに重斬刀が振り落とされる瞬間、イエローフレームは割り込んで、アーマーシュナイダー2本で受けた。
『なっ!?』
先程キラに大声を上げていた地球軍の士官の女性が驚きの声を発する。
『そこのジンの人、直ちに離脱してください。これ以上の戦闘は望みません。民間人の避難もまだ完了してません。』
『……ミゲル、離脱だ。』
さっきの赤服―――ラスティはどうやら奪取に失敗してイージスに同乗しているらしい。
『ラスティ!』
『Gの装甲はフェイズシフトだ。乗り込まれた時点で奪取失敗だ。離脱するぞ。援護を。』
さらにイージスを操縦する赤服もイージスのフェイズシフトを起動しながら告げる。
フェイズシフトは暖色の方が強く、寒色の方が弱いという性質がある。イージスの赤色はとても強いフェイズシフトであることを示していた。
『だが…アスラン――っ!』
『諦めろ。』
『ちぃっ!離脱する!』
こうして、ザフトをなんとか退けたのだった。