機動戦士ガンダムSEED Natural Gifted   作:風早 海月

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イエローフレーム、鹵獲

 

 

「…!砲撃来ます!」

「ノイマン曹長!」

「分かってます!」

 

当直に当たっていたサイがエネルギー反応を確認して、報告する。

アークエンジェルはバカみたいな戦闘機動をして初撃を回避する。

 

アークエンジェルが目指したのは地球低軌道上にいる第八艦隊との合流であった。ヘリオポリスで水と燃料の補給ができたことで余裕が生まれ、デブリベルトに隠れながら第八艦隊と合流するつもりなのだ。

だが、今回はそれが裏目につき、大きなデブリの影から奇襲を仕掛けられたのだ。

 

「総員第一戦闘配備!機関増速!デブリベルトに逃げこむ!」

 

高速艦であるアークエンジェルだが、常に最高速度という訳でもない。だから、クルーゼの読みの速さがあればナスカ級よりも鈍足なガモフでも先行出来るのだ。

 

「モビルスーツ発進急がせろ!フラガ大尉は!?」

 

バジルールも大慌てである。

 

「後方、ローラシア級!接近!」

「なぜ気づかなかった!」

「ガス噴射による慣性航行をしていた模様です!敵艦外壁に多数の後付けガスボンベを確認!」

「くっ!アンチビーム爆雷投射!」

 

慌ただしく戦闘配置につく。そこにはサイやミリアリアたちの姿もあった。

 

『こちらイエローフレーム、エールでお願い。』

『了解!アストレイ イエローフレーム、エールを装備します。イヴ、無事を祈るわ。』

 

イヴはモルゲンレーテで発見した追加ストライカーを使いたい所だったが、まだ調整が終わっておらず、エールストライカーを選択した。

 

『ストライクにもエールを!』

『了解!キラ、頑張って!』

 

ミリアリアが艦載機管制に入っている。

 

「面舵5、下げ舵15!」

「バリアント照準!てぇ!スレッジハマー、当てなくていいばらまけ!」

 

ラミアス艦長とバジルールの連携もヘリオポリスの時のド派手な艦対艦戦闘を超えて、なかなかと言えるはどにはなっていた。だが、誰が予想しただろうか。艦載機の戦いは劣勢を極めていた。

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

「クソ!なんてこったい!モビルスーツ12機の大所帯じゃないの!」

 

本来ならローラシア級であるガモフには6機分のスペースしかないが、露天繋止のように艦の外に繋止することで搭載機数を増加させている。

 

イージス、デュエル、バスター、ブリッツの4機の他に、ジンが配備されていた。

8機のジンの中には、クルーゼのシグーの代機のジン・ハイマニューバ、ミゲル専用ジンカスタム、ラスティ専用ジンカスタム、の姿もある。

 

『ミゲル、しくじるなよ!』

『お前こそ!』

 

「そぉら!当たれ!」

 

ミゲルの好みの武装であるバルルス改特火重粒子砲をイエローフレームに撃ち鳴らす。

 

『ミゲル、ラスティ。私はエンデュミオンの鷹を相手する。不明機は頼むぞ。』

『はい、分かってますよ!』

『了解。』

 

ラスティ専用ジンカスタムの持つ115mmレールガン シヴァが連続で火を吹き、イエローフレームの発泡金属装甲を掠める。

 

「っ!この2機…連携が上手い…!」

 

操縦技術は2人を有無も言わさぬほどに突き放しているイヴだが、決して戦闘経験が多い訳では無い。その点、戦術などを細かく士官学校で指導された2人はイヴに勝る。

 

「くっ!」

 

 

 

 

 

「クルーゼ!」

「ムウ…今度こそここで消えてもらう!」

 

ムウとクルーゼの一騎打ちは互角で推移する。

 

ジンに比べれば機動性は上がるものの、代機ということもありレスポンスが悪い。対して、ゼロはムウの反応についていけてないが、先よりは向上している。そこにゼロのオールレンジ攻撃が加わり、互角の戦いとなっていた。

 

「ええい、お前に構っている暇はないというのに!」

「…まあ第一作戦目標は不明機だからな。今は見逃してやろう、ムウ。」

 

イージス、デュエル、バスター、ブリッツの4機もストライクが何とか押さえ込んでいる。

 

『ミゲル、ラスティ、離脱しろ。試製グングニール、起動しろ。』

 

クルーゼはサッと機体を翻らせて、戻る。

 

「クルーゼ…!」

 

だが、キラとイヴの劣勢に助太刀が先と、ストライクの方へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

試製グングニール。ザフトの戦略兵器のひとつとして開発が進む兵器のひとつだが、実戦実験をクルーゼが引き受けていた。

 

試作型の名の通り、現行型では極小範囲にしか電磁波を放てないのである。さらに、レーダー照準を避けるためNジャマーを運用しているため、電磁波の一つであるグングニールも影響を受けて能力が下がる。もちろん、最終的にはNジャマーが常に作動している地上で運用する予定なので、今後の開発が進むことに期待されている。

 

『暗証番号、入力。後退しろ!後はクルーゼ隊長が作戦宙域に誘導する!』

 

中途半端にラスティたちを追撃したところを、ムウがイヴを引き止めた。

 

「ふっ、ムウ、お前の止める位置は予測済みだ。……さあ、最強のナチュラルを迎えようではないか。」

 

クルーゼがニヤリと笑うと、グングニールが起動した。

 

 

『ラスティ、お前は不明機を鹵獲後、撤退しろ。ミゲル以下残ったジンは足つきへ向かえ。』

『了解。』『りょーかい。』

 

「ふっ、無様だな、ムウ!」

 

クルーゼは“右側のバックパックスラスターの破損”に口を歪めながらも、ムウの指揮を嘲る。

 

(だが……あの距離で私を狙った…?流れ弾とは思えん。)

 

クルーゼはムウから離れたすぐに撃ち込まれた数条のビームにバックパックスラスターを撃ち抜かれていた。

 

()()は軍事教練も受けていないのだぞ…!既に集団戦技能を持っているというのか!?)

 

クルーゼはガモフに戻る道すがら、イヴの才能に恐れを抱いていたが、すぐに口元を歪めた。

 

 

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