機動戦士ガンダムSEED Natural Gifted   作:風早 海月

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まだ最初の方なんですけどね!イヴの生まれをご紹介しますよ!

これは後でイヴの心の揺れに大きく作用するので、先にさせてもらいました。謎解きは後だろ!っていう人にはごめんなさい。


低軌道会戦編
イヴの真実


 

 

 

 

 

「君はよくよくここが好きなのかね?」

 

イヴの視界ど真ん中にはシーゲル・クラインの顔があった。そして、その後ろにはラウ・ル・クルーゼがいた。

 

「済まないが、コペルニクスに亡命は出来なくなってね。2度目となると…ね。」

「いえ。」

「やはり、連合は君を取り戻したいようだが、戻るかい?」

「……この戦い、簡単には終戦なんてしないでしょう。クラインさんも分かりますよね?」

「……政治家としてはそうだな。宇宙生命学者としては早期講和を望むが…」

 

シーゲルは頭を振る。

 

「プラントとして示すことが出来るのは前より選択肢は狭い。君を戦場には送りたくないがね。済まない。」

「力はただ力。殴り合う2人の間に性能の良い武器があればそれを使うでしょう。後は倫理観なだけです。」

「済まない。今度来る時までに決めておいてくれ。ああ、クルーゼ隊長も話があるそうだ。」

 

シーゲルはそのまま、部屋を辞した。

すると、後ろにいたクルーゼが話し出した。

 

「私が話すことは君の生まれについてだ。私と同じく業を背負った少女よ。」

 

クルーゼは仮面を外す。

 

「私が幾つに見える。」

「30代半ばから後半…ですか?」

「私はまだ23だ。」

「え…」

「私は生まれつきテロメアが短くてね。細かい話、君も知ってるあのムウ・ラ・フラガの伯父…が1番近いのか?でね。」

 

クルーゼは嘘は言っていない。ムウの父親のアル・ダ・フラガの遺伝子を利用したクローンなのだから、アル・ダ・フラガの双子の弟とも言える。

 

「とても優秀なナチュラルのクローンなんだ。つまり私もナチュラルなのだが、まあ、クローンという時点で自然ではないな。」

 

嘲るように話すクルーゼの顕になっている瞳には憎悪や憎しみ、悲しみに包まれているが、イヴはその奥に優しい光が見えた。

 

「その元になった人物がムウ・ラ・フラガの父親なのだよ。もう既に故人だがな。」

 

クルーゼは椅子に座ると、薬を数粒飲む。

 

「細胞分裂抑制剤さ。こうでもしなければあっという間に老人だよ。」

 

ズボンの中の足が何か堪えるように力が入っているのは副作用か。

 

「まあそんな話はいい。君の話だ。C.E.30年代の事だ。密かに生まれていたコーディネーターが各方面で才能を開花させていくと、《ヒト》としての性能差が顕著になり、C.E.40には反コーディネーター感情は高まっていた。そして、その中でコーディネーターを超えるナチュラルを作り出そうという動きがあった。その流れが今の連合軍の一部には流れている。薬物漬けにして一時的に潜在能力を強制的に開花させてやるのが当時の主流だった。だが、別な観点を持つ科学者がいたのだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という夢物語を説いた。確かに、長期的に見れば、遺伝子上の劣化は進まないだろう。しかしそう上手くはいかん。自然交配で最高の()()を生み出すことはもはや確率論でしかなかった。だからこそ、フラガ家の特殊能力に目をつけたのだよ。」

「特殊能力…?」

「先を読む力。これはフラガ家のどの代の当主も必ず持っている。強弱はあれどな。この遺伝子を使えば、最高のナチュラルが作れると考えたその科学者はフラガ家の遺伝子を手に入れようとした…が、既にフラガ家で生き残っていたのは出来損ないと言われたムウ・ラ・フラガだけだった。が、最高の性能だったアル・ダ・フラガのクローンがいた。私の遺伝情報を奪った彼はそれを持って最高のナチュラルを作り上げようとしたが、科学者はふと立ち止まった。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と。」

「なんて…まさか……」

「そう、自然交配でなければ意味が無い。そう考えた彼は()()遺伝情報からクローンを作った。そして、母親は……ほかの科学者の作った()()()()()()()()()()()()()()()()()()……優秀だが病弱と判断された少女…いや、幼女と言うべき年齢の彼女を用いた。今の君よりも若く…6歳程だったらしい。強制的に成長させられて、初潮を無理やり引き出したのを確認すると、クローンと交配させられて、3ヶ月だ。もちろんクローンも強制的に成長させられて5~6歳程に成長させられて、薬で強制的に精通させられた。2人とも麻薬の組み合わせで作られた媚薬によって3ヶ月間、睡眠と食事以外常に交尾を続けさせられた。そして、やっと出来たのが……君だ。C.E.58、12月。母親となった少女は出産で亡くなった。私のクローンもまた、血流関係で亡くなった。………ふん、皮肉なものだ。最高のナチュラルだったアル・ダ・フラガの遺伝子。そして、最高たれと作られた優秀なコーディネーターの間で自然交配した子供……ヘリオポリスにいることはあとから知ったが…やっと同志に会えたと思った。結局、君もまた、失敗作なのだからな。」

 

イヴはその情報量の多さにパンクしそうだったが、脳はその優秀さを発揮して、無意識にでも理解していた。()()()()()()()も告げていた。

 

「何が失敗か…君ならもう気がついているのだろう?」

「……成長障害。」

「正解だ。君が10歳前後で成長が止まることは生まれてすぐの検査で分かった。だから孤児院に預けてしまったのだよ。」

 

クルーゼの瞳が憎しみの瞳から表面に押しでてきた優しい瞳に変わる。

 

「……これで君の身の上話も終わりだ。さて、伝えることは伝えた。これを聞いて何をする訳では無いが、君は知っているべき人間だと思っただけだ。これで失礼する。」

 

クルーゼが立ち上がり、仮面を付けて、制服の白服の裾を翻すと、イヴが呼び止める。

 

「…………あの!」

 

クルーゼは振り返ると、ギュッとした感覚を得た。パステルイエローに近い明るい金髪が自分の腹にあることに気づく。

 

「父はあなたが元になってるんですよね………」

 

自分の腹に抱きつくイヴに、仮面の奥の瞳が揺れる。

イヴは頬を染めながら、クルーゼを見上げる。

 

「パパと呼んでもいいですか?お父さんは育ててくれた人がいるから……」

「………好きにしろ。」

 

したから見えるクルーゼの耳が赤くなっていることを、イヴの優秀な目と脳は見逃さなかったのであった。

 

 

 

 

 

 




イヴ「パパっ」
ラウ「てぇてぇ」


外見年齢的にラウとイヴって確かに親子っぽい……
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