鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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柱合会議

 今、俺の居る場所は鬼殺隊の本部である、産屋敷邸である。

 この場までの道程は、隠の方に目隠しをされ、おぶって案内してもらった。そして、産屋敷邸に到着した所で、しのぶさんと合流したのだ。

 柱合会議では、“柱たち”としのぶさんの顔合わせ(挨拶)を行い、その後に俺が“上弦ノ弐”についての情報を提示、次に通例会議、というする流れらしい。

 

「楓。では、行きましょうか」

 

「そうだな」

 

 俺は、しのぶさんの問いに頷く。

 現在の俺は、松葉杖を突き、右腕には包帯を巻き、包帯で腕を吊るしている状態だ。

 頬、額の傷は塞がったが、骨折や筋の損傷は柱合会議までに完治ができなかった。俺の恰好、お館様や柱たちに怒られないよね?そうだよね?

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 扉を開け、行燈に照らす室内に“八人の柱”が座っていた。全員、カナエさんから修行中に教えてもらった人たちである。そして、もの凄い威圧感。――『柱』が発する威圧感だ。

 俺は頭を深く下げて、しのぶさんに続き入室し扉を閉める。てか、俺の恰好場違い過ぎない?大丈夫?……いや、その前に、俺正座できないよ。

 

「蟲柱、胡蝶しのぶです。よろしくお願いします」

 

「階級“癸”、栗花落楓です。よろしくお願いします」

 

 ……やべぇやべぇ。柱たちは「お前その格好はなんだ?」って思ってるよ、あの顔は。特に風柱!あの形相はやばすぎ「何だァその格好はァ、殺すぞ!」って感じで見てるもん……。

 その時、しのぶさんが助け舟を出す。

 

「皆さん。彼の怪我は、お館様も了承済みです」

 

 しのぶさんは「彼は、上弦の弐との交戦で傷ついたんですよ」と、若干威圧感。

 柱たちも「……そうか」って納得してくれた。……風柱は、しぶしぶ、って感じだったけど。んで、俺は部屋に隅で立っていてもいいらしい。

 ともあれ、しのぶさんは指定された席に着席した。

 

「つーか、栗花落。お前、本当に上弦と戦ったのか?ド派手に階級が低すぎだろ?」

 

 そう聞いたのは音柱。

 

「ま、まあそうですね。交戦したのは、最終選別の帰りですから」

 

 「よもやよもや!」「オレは信じない信じない」「最終選別の帰りィ、本当かよォ?」「キャー、上弦と戦いで生き残る!素敵ね!」「南無阿弥陀仏」との声が上がる。

 まあ確かに、階級が低い奴が“上弦”と交戦して生き残るのは、些か信じられないかも知れない。俺でも半信半疑なるし。

 

「交戦したのは嘘じゃありませんよ、私が証人ですから。――それに彼は、胡蝶カナエの弟子(・・・・・・・・)ですから、これくらい当然です」

 

 ……しのぶさん、あんまり持ち上げないで。

 俺、柱と対面するだけでも、胃痛案件なんです。

 

「よもや!胡蝶カナエに弟子が居ただと!?初耳だ!」

 

「オレも聞いたことねェ。そんな素振り見せなかったしなァ」

 

「つーことはだ、栗花落。お前、“花の呼吸”の使い手か?」

 

 ……これって、柱合会議なんだよね?俺、何で質問されてるんだろ?

 ともあれ、俺は口を開く。

 

「そうですね。俺は“花の呼吸”を使います」

 

「楓は、派生もさせたんですよね?」

 

 え?何でしのぶさん知ってるの?

 でもまあ、何処からから漏れたんだろうなぁ。最終選別の後とかに。

 

「――“桜の呼吸”に派生させました」

 

「型はどうしたんだァ」

 

 そう、風柱が聞く。

 

「自分で創りました。派生させても、型がなかったら意味がありませんから」

 

 「ほ―!」「へぇ」「よもや!?」と感嘆な声が上がるが、俺が創った型の剣技は、ほぼ趣味なんだよね……。

 その時、

 

 

「――お館様のお成りです」

 

 

 そう誰かが呟き、鬼殺隊当主が姿を現す。

 お館様は、最終選別で拝見した双子?の肩に手を添えながら部屋に入って瞬間、『柱たち』は腰を落とし頭垂れた。俺もそうしたいが、この怪我で自由が効かない。隅に立つだけだ。

 

「お館様におかれましても、ご壮健でなによりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」

 

「ありがとう、実弥」

 

 風柱が座ったお館様にそう挨拶したが、さっきと別人じゃね。と思うくらい真面目だった。……てか、切り替え早すぎだろ。

 

「――君が、栗花落楓だね」

 

「お初にお目にかかります、お館様。このような恰好、お許しください」

 

 俺は頭を下げる。

 

「構わないよ、事情が事情だからね」

 

 お館様の声は、耳に凄く心地良い。何だか、優しい温もりでふわふわしてるようだ。

 ともあれ、俺は顔を上げ、

 

「ありがとうございます」

 

 そう言うと、お館様は微笑んだ。

 

「では、早速会議を始めようか。最初の議題は、各柱に通達したように、上弦の弐。についてだ。――楓、君たちが遭遇した、上弦の弐についての仔細を報告してもらえるかな」

 

「わかりました」

 

 俺は、回りを見渡してから口を開く。

 

「自分と花柱はあの夜、上弦の弐と遭遇しました。上弦の弐は、鋭利な対の扇を携える鬼で、冷気を操る血気術を使用し、その中には凍てついた血を霧状に撒き散らす血気術があります。これを吸ったら肺胞が破壊され、呼吸の使用が許されず、鬼殺隊士にとっては致命傷です」

 

 俺は言葉を続ける。

 

「奴は、鬼殺隊士の剣技も見てるようにも思いました。あの鬼は、まず相手の力量を分析し、甚振って殺す、そう感じます。それに奴は、自分の分身を作れます。力量は、本体と同等と見て間違えないでしょう。最低でも、五体は生成可能と見て間違いありません」

 

 俺は怒りを抑え込み、呟く。

 

「――それと奴は、女性を好んで襲います。奴の周囲には、殺された女性が多く転がっていましたから」

 

 俺が両拳を握締めていたら、しのぶさんが「大丈夫ですから」と声をかけてくれた。

 無意識に殺気が洩れていたようだ。……申し訳ないです。

 

「――報告は以上です」

 

「ありがとう、楓。そうか……上弦の弐は、氷の血気術を使うんだね」

 

 上弦ノ弐について知っている限りの情報を伝えると、柱たちは、対策を話し始める。

 

「肺を破壊する血気術とは厄介なことだ。やはり、速度で立ち回るべきか?」

 

「いや、ここは破壊力で勝負した方が確実だ。人形は、そのまま潰せばいい」

 

「相性を考えれば、宇髄?煉獄?悲鳴嶼さん?」

 

「ここは、私が前線に立ちましょうか?楓の話だと、上弦の弐は“女性に”執着してるようですし。元花柱の前に現れたのも“女性”だったから、と可能性も捨てきれませんから」

 

 その時、音柱が俺を見る。

 

「栗花落は、よく奴を退けたな。聞いた所、かなり厄介な野郎だ」

 

「そうですね。俺の場合は――――上弦の弐を除き(・・・・・・・)全て潰しました(・・・・・・・)

 

 ザワザワ、と戸惑うような声が上がる。

 

「その代償として、体がガタガタになってしまったんですが」

 

 でもあの時、陽の保険が効いて幸いした。奴には致命傷を与えることができていたが、これが無かったら、俺とカナエさんは死んでいたかも知れない。

 その後は、暫く柱たちによる対策案が飛び交い、それができる限り出尽くした後、お館様が静かに頷いた。

 

「では各自、上弦の弐の特徴を念頭に置いて、楓からの情報を無駄にしないように」

 

 その言葉の次に、各柱たちは頭を下げ、俺も慌てて頭を下げた。

 

「それじゃあ、上弦の弐についての議題は終わり。楓は下がっていいよ」

 

「御意。お先に失礼します」

 

 俺は、隠の人たちに連れられ産屋敷邸を後にしたのだった。

 こうして、俺の柱合会議が終了した。




怪我を負ったことで、柱たちに怪訝(特に風柱)そうな表情で見られる楓君(笑)
てか、重傷で柱合会議に参加する楓君。ある意味凄いってス。

ではでは、次回(@^^)/~~~

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