鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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ご都合主義満載です。


初任務

「なあ鴉さんよ。こんな所に鬼が居るのか?」

 

 鬼殺隊の隊服に袖を通し、蝶羽織りを上から羽織っている俺は鴉にそう聞く。

 ちなみに鬼殺隊の隊服だが、通気性が良く濡れにくく燃えにくい上、特別な繊維で作られているので、下級の鬼の攻撃に耐えうる強度を備えている。そしてその背には、鬼殺隊が掲げる『悪鬼滅殺』の“滅”の文字が刻まれている代物である。

 

「居ル居ル!この森に潜入シテイタ鬼殺隊士が、十名殉職(・・・・)シテイル!ダカラ、階級ノ高イ楓ガ呼バレタンダ!」

 

 鴉がそう言った。

 そして、俺が今居る場所は町外れの森の中だ。鴉の情報よると、森に入った町の子供が帰って来ず、捜索の出た大人たちも森から帰って来なくなったそうだ。……てか、殉職している情報を聞くと、どれだけ頑張っても手に届く命だけしか護ることはできないと、改めて実感してしまい歯痒くなる。

 

「階級が高いっていってもなぁ。俺、弱いし」

 

「嘘ツケ!上弦ト交戦シテ生キテイル楓ハ、弱イ訳ガナイダロウ!ソレニ楓ハ、元花柱ノ弟子ダロウ!」

 

「いやまあ、そうかも知れないけど」

 

 歩いていたら、俺の目線の先に古びた小屋が映る。

 長年放置されていたのか、所々が罅割れ瓦礫が朽ち果てていた。誰も寄り付かなく、近づくことでさえ躊躇する小屋。

 

「……人間?」

 

 小屋の中からは人の気配がする。上弦の弐と交戦した俺は、人間と鬼。その気配の違いが読み取れるようになっている。

 俺は小屋に近づき、ギイィィ。と扉を開けると、そこには蹲っている子供。おそらく、森から帰還しなくなった子だろう。――でも何で?帰らなくなった多数大人は?何故、鬼殺隊士は殉職した?

 俺は子供の前で膝を曲げて、目線を合わせる。

 

「お前、町の子供か?」

 

「う、うん。……で、でも、僕帰れない」

 

 「何でだ?」と俺が聞こうとした時、小屋を囲ように鬼の気配。

 俺は溜息を吐き「なるほどな」と頷く。町の子供は誘き寄せる餌で、助けに来た人たちは食糧(血肉)ということだ。

 小屋内部の窓から外をざっと見て、鬼の数は五十体前後(・・・・・)。森に入った鬼殺隊士、多数の大人たちは、子供を見つけてから囲まれ、たぶん喰われたんだろう。民間人となれば、格好の餌だ。

 でもおかしい、鬼は群れないはず……。

 

「大丈夫だ、絶対助ける」

 

 俺は言葉を続ける。

 

「坊主、知ってることでいい。怪物は何か言ってたか?」

 

「……怪物は『我は大人の方が好物。大人の方が血肉になる』って言ってた」

 

 確かに、子供が帰らなければ、捜索にかかるのは大人たちだ。

 その大人が鬼の狙いになる。ということなんだろう。で、その大人は、今は俺。ということになる。

 

「そうか。俺が今からその怪物を退治してくるから、そこから動くなよ」

 

「だ、ダメだよ。ここに来た黒い人も、そう言ってから戻って来なかった……」

 

「心配すんな、俺は死なないから」

 

 そう言ってから、俺は桜色の日輪刀を鞘から抜き、小屋から出て行く。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 外に出て回りを見回すと、そこには「ぐうぅうう!」「があぁああ!」と、鬼たちが小屋を囲み、涎を垂らし唸り声を上げている。

 ……いやその前に、こいつら死んでるよな?生気も無いし、目が死んでる。……もしかしてこいつら、同族に殺されてから血気術で操られるのか?本体は一体だけ。とか?

 ――そうすれば辻褄が合う。あれだ、本体が鬼共を操って、鬼共で人間を殺してから喰っているのだろう。

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 俺は刀を振り、無数の刃で鬼共を斬りつけ殲滅するが、まだ半分以上は残っている。もう一度広範囲で殲滅したいが、千本桜は隙ができてしまう剣技でもあるので、無暗に乱発することは危険だ。

 

 ――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。

 

 俺は花の九連撃で、迫ってくる鬼の頸を確実に落とす。

 背後から襲ってきた鬼には、俺が振り向く動作と一緒に足蹴りを入れ、体勢を崩させてから刀を振るい頸を跳ばし、別方向から跳びかかって来た鬼には、遠心力の応用で体を回し、その勢いで刀を振り頸を跳ばす。

 

 ――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。

 

 左右から襲って来た鬼に、俺は地面を蹴り、空で体を捻りながら、花の斬撃で頸を跳ばす。

 そして、着地した俺を取り囲むように襲ってくる鬼共。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 自身の周囲に花の斬撃を放ち、襲ってくる鬼の頸を跳ばす。

 

 ――血気術 土砂際涯。

 

 ――血気術 土槍。

 

 その声と同時に、俺を中心とする地面が盛り上がり、俺は体勢を崩す。

 そして、そこを狙うように鋭い土の槍が正面から襲いかかる。

 

 ――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。

 

 俺は飛ばさせながらも空で体を捻り、周囲に斬撃を放ち槍を弾く。だが、右頬は鋭利な槍が掠り傷を作る。

 着地した時、襲いかかって来た鬼共は“花の呼吸 肆ノ型 紅羽衣”で頸を跳ばす。

 

「(……あれが本体か。でも、血気術を使用するとか聞いてないだけど)」

 

 俺は溜息を吐き、刀を持ち直し、鬼共を見据えて構えた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「ぎゃああぁぁ!」

 

 刀を振るい鬼の頸を跳ばすと断末魔が上がり、体を霧状に変化させこの世から消え去る。だが、俺は警戒心を解くこと無く前を見据える。

 あれから半刻(一時間)が経過し、鬼の数は残り八体と追い詰めることができていた。――血気術が襲ってくるというオマケ付きだが。

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 ――血気術 土防壁。

 

 刀を振るい、刃の雨で鬼共は斬り裂かれて消滅するが、本体の鬼は地面を持ち上げ、千本桜の刃の雨防ぐ。

 

 ――血気術 土力鎖。

 

 本体の鬼の体から無数の土の鎖が飛び出し、それは刃を絡め取って日輪刀を引き手放さそうとする。

 俺は「チッ」と舌打ちをする。

 

「(……いや待てよ。奪い去るとしているということは、その遠心力を利用できるのでは?)」

 

 そう考え俺は――、

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。

 

 俺は奴の引く力を利用し、爆発的に加速して鎖を破壊し、鬼の頸に刃を振るう。

 

 ――血気術 土鉄。

 

 突然、地面から土の柱が奴の正面に飛び出す。

 それが壁になり、俺の一閃は奴の頸を霞めるだけだ。

 

 ――血気術 土爪。

 

 鬼の尖った爪が更に伸び、爪が変色した。俺は直感で感じた、この爪には毒が仕込まれている、と。

 俺はそれをギリギリまで引きつけ、爪を躱す。

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。

 

 そして、至近距離で一閃。

 これだけ近ければ、奴の頸に届く。

 

「ぎゃあぁぁああ!」

 

 ――奴は、断末魔を上げ頸を跳ばす。

 

「……我は、あのお方に認め――」

 

 そう最後に口にし、奴は霧となってこの世を去った。

 ――それにしても、奴の瞳に刻まれていたのは、下弦の陸(・・・・)?だったような。まあ、十二鬼月がこんな小癪な手を使うとは思えない。俺の勘違いだろう。

 俺は日輪刀を鞘に納め、右頬を触ったが、意外と傷が深い。これはきっと、傷が残ってしまう確率があった。




戦闘描写難すぎ(>_<)巧く書ける人は凄いですね。マジで尊敬ですm(__)m
てか、ちゃっかり下弦を倒してる楓君。まあ、上弦(童磨)との戦闘でカナエさんを護りつつ生き残る力量を持っているので、当然かも知れませんが。
ちなみに、この戦闘で負傷したのは右頬だけですね。深く切っているので、傷は残ってしまいますが。

ではでは、次回(@^^)/~~~

追記。
楓君の蝶羽織りは、カナエさん(しのぶさん)の羽織の蒼色バージョンです。
鬼たちは体が強化され硬くなっており“千本桜”で殲滅できていたのは少数になった感じです。実際は、半分は殲滅できてるんですけどね。

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