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~産屋敷邸、庭~
その日鴉は、柱たちに産屋敷邸に召集を告げ、柱たちは『柱合会議の日程以外で招集するとは、何事か』と考えながら産屋敷邸に向かった。
「なんだァ。柱が勢揃いとか、鬼に動きでもあったのかァ?」
そう言ったのは、風柱・不死川実弥。
その表情は「重要案件なんだよなァ」と言って、毒づいている。
「南無……私は、鴉に呼ばれ馳せ参じた」
岩柱・悲鳴嶼行瞑は、数珠をじゃらじゃらと擦り合わせ、両瞳から涙を流し呟く。『各柱』も「悲鳴嶼さんと同じです」と答える。
その時「お館様のお成りです」と声がかかり、耀哉が双子と一緒に姿を現し、ザッと柱たちは片膝をつき頭を下げる。ともあれ、風柱がいつものように挨拶を交わし、言葉を続ける。
「お館様。本日はどういった御用件で、柱たちに召集を掛けたのでしょうか?」
「そうだね。今日の会議は、鬼に関しての話じゃないんだ」
「え?」と柱たちは内心で呟く。
鬼の情報ではなかったら、何の為に臨時会議を設けたのか?と、柱たちは疑問を膨らませる。
「実はね。つい先日、新たな『柱』を任命したんだ。この会議は、その『柱』との顔合わせ。と思って欲しい」
「……して、お館様。その『柱』とは、どのような人物なんでしょうか?」
炎柱がそう呟き、音柱が「オレは派手好きの奴なら嬉しいぜ!」と続く。
耀哉は「皆も一度会ったことがあるんだよ」と言って微笑む。柱たちは「一度会ったことがある?」と内心で首を傾げる。
「出ておいで」
耀哉がそう呟くと、屋敷の角から――隊服に刀を腰に差した“栗花落楓”が姿を現し『柱たち』の前で片膝をつく。
柱たちの反応は「お前、柱合会議の時の!?」「胡蝶カナエの弟子か!?」「柱候補か!?」「嘘?“上弦の弐”の情報を開示していた子だよね?」「ふふ。驚いて驚いてる」と、様々な反応だ。
「この度、お館様から『桜柱』の名を戴いた栗花落楓と申します。よろしくお願いします」
そう言ってから、楓は一礼する。
だが、『柱』への任命に不満を抱いたのは、風柱・不死川実弥だ。
「……不躾ですがお館様。栗花落楓の実力は如何ほど?自分は、力量が無ければ賛成できません」
「ふふ。そういうと思っていたよ、実弥。――だから楓に、事前に言っておいたんだ」
会議の前に耀哉は、楓に「手合せをするかも知れない。楓、その準備はしておいて」と、そう言っていたのだ。その問いに楓は「問題ありません、お館様」と了承していた。
「不死川さん、それは“真剣で手合わせ“でしょうか?自分は木刀でも構いませんが」
楓の言葉に、実弥は額に青筋を浮かべる。
実弥は「真剣に決まってるだろォが!」と声を荒げた。
「――お前の実力を見せろ」
「――わかりました」
真剣での手合わせは、寸止めか、武器を弾く、で決着という方針で決まった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~中庭~
向かい合う楓と実弥。やはり、一同が興味を持つのは楓の実力だ。
楓は、約二ヵ月で柱に上り詰め、上弦の弐と交戦し、胡蝶カナエの弟子であり、呼吸を派生させ型を創った。という肩書きがあるので、興味を示されるのは必然であった。
「じゃあ、このコインが落ちたら戦闘開始でいいですか?」
「はい」
「ああ」
しのぶ、楓、実弥がそう言ってから、コインが高く弾かれ、地面に触れて硬く音を立てると同時に、楓と実弥は抜剣し技を繰り出した。
――風の呼吸 壱ノ方 塵旋風・削ぎ。
――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。
螺旋状に巻き起こる旋風を纏いながら実弥は楓に突撃するが、花の斬撃を周囲に描き、それを相殺する。そして、ガキンッ!と凄まじい刀の衝突音と爆風が舞い上がり、両者は後方に跳び、間合いを取る。
――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。
――風の呼吸 参ノ型 晴嵐風樹。
楓は高速で九連撃を放つが、実弥は自身を取り囲むような風の剣技で、花の斬撃を弾き落とす。
そして、実弥は踏み込み斬り上げるが、それに反応した楓は刀を衝突させる。
「いい反応だァ」
「どうも」
楓は刀を弾くと、
――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。
そのまま跳ぶように、体を捻りながら刀を振るう。
しかし実弥は、それを素早い体捌きで回避。
――風の呼吸 陸ノ型 黒風烟嵐。
空気を引き裂き、斬り上げられた斬風の刃が楓を襲いかかる。着地した楓は咄嗟に一歩引き斬撃を回避するが、凄まじい風で吹き飛ばされる。だが楓は、抜群の体のバネで空中で体勢を立て直す。
そして、着地したと同時に剣技を繰り出す。
――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。
――風の呼吸 捌ノ型 初烈風斬り。
楓は桜の閃光になり、実弥の刀を飛ばす為一閃を放つが、実弥は閃光とすれ違いざまに剣技を繰り出し、一閃を弾き落とす。その衝突で楓と実弥は体勢を崩すが、二人はすぐさま振り向き体勢を整え刀を振るい、ガキンッ!と甲高い音が響き、刀の鍔競り合い。
「(――不死川さん、守り硬すぎだろ。俺の剣技が通る気がしないんだが)」
「(――確かに、栗花落は“柱”に匹敵する力量を持ってるなァ。しかもこいつ、まだ何か隠してやがるなァ)」
楓と実弥、お互いが心中を呟く。
そして楓と実弥が距離を取り、楓は納刀し、柄に右掌を添え実弥を見据え、実弥も刀を構える。
――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞「そこまでだ!」
――風の呼吸 壱ノ型 塵旋「そこまでだ!」
楓の前に抜剣した義勇が、実弥の前には抜剣した杏寿郎が割って入る。
「……なんだァ、煉獄。勝手に止めんじゃねェ」
「……冨岡さん。何で止めるんですか?」
不機嫌になりました。という表情で義勇と杏寿郎を見る、楓と実弥。
「止める!不死川、周りを見回して見ろっ!」
「……お前たち、ここが何処だか忘れてないか?」
杏寿郎と義勇の言葉で、楓と実弥は周り見渡すと、一部の庭は更地に変えられ、その周りの木々は吹き飛び、耀哉を守るように抜剣している柱たち。だが、耀哉はにこにこ微笑んでいるが。
「(…………力の加減を誤った)」
「(…………お館様のお屋敷だってことを忘れてたぜェ)」
冷汗を流す楓と実弥。
ともあれ、楓は柄から手を放し、実弥は納刀する。だが、柱たちの責める視線が痛い。そして二人は「……やっちまった」と同調していたのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~数分前、柱side~
「あの実力は本物だな!オレは派手に歓迎するぜ!」
そう言ったのは、音柱・宇髄天元。
それに続き、炎柱・煉獄杏寿郎が呟く。
「よもやよもやだ!オレには、“栗花落楓”が“胡蝶カナエ”に見えるぞ!」
「それはそうでしょう。楓は、“元花柱・胡蝶カナエ”の
そう。蟲柱・胡蝶しのぶが言うように、楓は呼吸だけでは無く、カナエの剣技も受け継いでいる。なので、“栗花落楓”が“胡蝶カナエ”のように映るのは必然だった。
その後も「キュンキュンしちゃうわ」と、恋柱・甘露寺蜜璃が呟き、「実力は認めてやる。だが甘露寺を誑かせるような輩なら殺す」と、蛇柱・伊黒小芭内が続いた。
「僕はすぐ忘れちゃうし、何でもいいや」
「……(栗花落は柱代理のオレと違い、柱としての力量を持ってる。だからオレは)認める」
「柱が増えることに感謝を……南無阿弥陀仏」
霞柱・時透無一郎。水柱・冨岡義勇。岩柱・悲鳴嶼行冥。と続く。そして柱たちは、“栗花落楓”を正式に認めたのだ。
「あの人たちを止めなくていいの?」
無一郎がそう呟く。そう、花と風の余波で周囲の地や木々が吹き飛ばされているのだ。
柱たちは顔を引き攣らせて『あれは拙い、お館様の安全確保を』と思い、抜刀したのだった。
――閑話休題。
そしてこれが、柱顔合わせの一幕になったのだった。
柱紹介の一幕でした。やっぱ戦闘描写難しいですね。
楓君も、正式に“柱”として認められました。
ではでは、次回(@^^)/~~~
追記。
ここでは、柱は10人設定ですね。
各柱(柱たち)とありましたが、しのぶさん(蝶屋敷の皆)は楓君が柱に就任したことを知っていました。
お館様も、真剣の使用を許可してますね。