鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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あけましておめでとうございます(^O^)
新年初の投稿です。今回は、賛否あるかもなぁ(ご都合主義有りです)。


ひととき

「「ただいま帰りました」」

 

 そう言って、楓と炭治郎は小屋の扉を開けると、中からは食欲を擽る匂いが流れてくる。

 それを鼻にした炭治郎は喉を「ごく」と鳴らし、楓は「お、揚げ豆腐か」と嬉しそうな表情だ。

 

「鍛錬終わったんだ。ご飯できてるよ」

 

「たくさん作ったから、一杯食べてね」

 

 真菰とカナエがそう言うと、炭治郎は「はいッ!」と頷き、表情を固くしてる。まあ確かに、いきなり美女が目に入り、ご飯をどうぞ。と言われたら当然の反応かも知れない。

 炭治郎は疑問符を浮かべながら、口を開く。

 

「楓さんのお知り合いですか?」

 

「うーん、何て言えばいいんだろう?……友達?家族?恋人?お嫁さん?」

 

 そう言って、真菰は疑問符を浮かべる。

 すると、カナエが口を開く。

 

全部(・・)、で良いんじゃないかしら」

 

 真菰は「そっか。じゃあ、カナエもだね」と言って頷き、カナエも「そうね」と頷いている。

 炭治郎は、それを聞いて言葉の処理が追いつかなかった。

 

「(……友達なのに家族?恋人なのにお嫁さん?どういうこと……?)」

 

 その時、ぽん。と楓が炭治郎の右肩に右掌を乗せる。

 

「俺たちの関係はちょっと特殊でな、一言で言い表すの難しいんだよ」

 

 炭治郎は「なるほど」と内心で呟き、楓が修行中に言っていた『護りたい笑顔』は、真菰とカナエのことなんだろう。と、炭治郎はそう思った。

 ともあれ、鱗滝、禰豆子、炭治郎、楓、カナエ、真菰、と炭鉢を囲むようにして座る。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「真菰さんは、姉弟子になるんですか。じゃあ、水の呼吸の使い手ですか?」

 

 炭治郎が、お茶碗から箸で掬った豆腐を口に入れ咀嚼し飲み込んでから、そう呟く。

 それに対して真菰は、お玉を使って鱗滝のお茶碗に豆腐をよそってから呟く。

 

「私は水の呼吸を使うよ。炭治郎は私の弟弟子だねっ」

 

 炭治郎は「姉弟子の真菰さんに負けないように頑張ります」と強く頷いて、次いで炭治郎は楓とカナエを見る。

 

「楓さんとカナエさんも、水の呼吸の使い手ですか?」

 

 楓は、咀嚼していた揚げ豆腐を飲み込んでから口を開く。

 

「俺は花の呼吸だ。水の呼吸の派生だな」

 

 そう言ってから、楓は揚げ豆腐を箸で掴み口にする。

 

「私も花の呼吸よ」

 

 カナエは全集中の呼吸が僅かに使用することができるので、僅かな時間だけ花の呼吸の使用が可能だ。

 呼吸の話題が出ると、最終選抜の話題になるのは必然だった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「藤が狂い咲いている山の中で、七日間生き残る、ですか」

 

「それが最終選別の合格内容だ。でもその試験では、何人もの受験者が挑戦し、散っていく厳しい試験でもある」

 

 楓は、考え深いように呟く。

 きっと、自身の選別時を思い返しているのだろう。

 

「じゃあ、この場に居る皆さんも?」

 

「私は何とか生き残れた、ってところかしら」

 

「私も合格したけど、楓が助けてくれなかったら死んじゃってた。あの時は、本当に楓に感謝だよ」

 

「俺も何とか生き残れた感じだ」

 

 その時「冗談はダメだよ」と、真菰が指摘し頬を膨らませる。

 楓は、困ったように頷くと、口を開く。

 

「……まあ、俺は無傷(・・)で合格した」

 

 炭治郎は目を丸くした。

 

「む、無傷で合格ですか?」

 

「そうだな。でも、修行の二年間は『現柱(花柱)』に鍛えてもらい、正式な後継者になったからな。たぶん、そこが違ったんだろう」

 

「せ、正式な後継者ですか……」

 

「そ。俺はその人から、剣技(・・)呼吸(・・)立ち回り(・・・・)挫学(・・)個性(・・)も、全部(・・)教えてもらった」

 

 育手が弟子を取り、剣技や呼吸を教え、一人前の剣士として送り出すのが“後継者”だが、“正式な後継者”は育手と弟子が心をさらけ出し、衣・食・住を共にし、修行は二人三脚で行うのだ。

 

 ――閑話休題。

 

 楓が「ここまでする“育手”は初めて聞くだろ?」と炭治郎に問いかけると、カナエが楓の左脇腹を突く。

 

「もう、炭治郎君が頷くのをわかってて問いかけないの」

 

 カナエは言葉を続ける。

 

「炭治郎君、私が楓の育手(師匠)なの」

 

「じ、じゃあ、『現柱』って言うのは、胡蝶カナエさん?」

 

「今は引退してるけどね。ちなみに鬼殺隊では、花柱の名を戴いてたわ。――今は私の後継者として、楓が柱の任についているわね」

 

「ああ。今は、俺が『桜柱』として任についてる」

 

 炭治郎は硬直した。さすがに『元柱(花柱)』『現柱(桜柱)』がこの場に居るなんて、想定外過ぎる。

 

「じゃあ、真菰さんも柱?」

 

「ううん。私は(きのえ)隊士だよ。柱の一つ下の位だね」

 

 そう言って、真菰は苦笑した。

 よく考えて見れば、この場には鬼殺隊のほぼ最高位の人たちしか居ない。元柱である、鱗滝左近次、胡蝶カナエ。現柱、栗花落楓。(きのえ)隊士、鱗滝真菰。

 なので「オレ、場違いじゃないよね」と、炭治郎が思ってしまったの当然なのかも知れない。

 

「ところでお前たち、今日は蝶屋敷に帰るのか?もう遅いし、泊まっても構わないぞ」

 

 鱗滝が、楓たち問いかけた。

 

「そうですね。明日は、ここから警備地区に飛びます」

 

「私も、朝一で出れば問題ないかなぁ」

 

「私も大丈夫かな。でも、明日は調剤の研究があるから、早めに出る必要はあるけど」

 

 楓、真菰、カナエと呟く。

 

「(……えっ!?楓さんたちって、一緒に住んでるの!?てか、年頃の男女が一つ屋根の下って、間違えとか起こらないよね!?そ、それに、きょ、今日は真菰さんたちと一緒か。何か緊張するんだけど……)」

 

 炭治郎は、内心で驚きと困惑を隠せない。

 ともあれ、こうして鱗滝の小屋に楓たちが一泊することに決まったのだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 お風呂をもらい、就寝の支度をして布団を敷くが、六人が眠るには詰める必要があった。

 

「俺は入り口で寝ようか?よく、警備中に野宿してるし」

 

 楓は風が通らない場所ならば、眠ることは可能だ。

 

「楓は、私たちの間で眠れば万事解決だよ」

 

「もう家族のようなものだし、気にしなくていいのに」

 

 キョトン顔の、真菰とカナエ。

 

「……俺男。真菰とカナエさんは女。どういう意味か解るだろ?」

 

 真菰とカナエは「へ?わかんないよ」と首を傾げる。

 いや、楓が言葉を端折り過ぎたのが原因なのかも知れないが。

 すると、寝床に就いた鱗滝が、

 

「――楓たちはもう寝なさい。明日早いんだろう」

 

 寝床に就いた炭治郎と禰豆子も、

 

「――楓さん、頑張って下さい!」

 

「ウー」

 

 と言葉を発し、眠りに就いてしまった。

 楓が助けを求めようとした鱗滝と炭治郎は、既に夢の中。完全に退路が断たれるのであった。

 楓は、はあ。と盛大に溜息を吐き、覚悟を決めたのだった。

 

「……じゃあ、お邪魔するわ」

 

 覚悟を決めた楓はのろのろと移動し、真菰とカナエの間に挟まれるように仰向けになり、布団をかけるのだった。

 

「(……落ち着かないんだが)」

 

 楓が目線だけで回りを見渡すと、全員が就寝中だ。しかも、真菰とカナエが左右から抱き付くというオマケ付きである。楓は「……これ、完全に寝不足になるな」と思いながら、長い息を吐き目を閉じたのだった。




カナエさんと真菰ちゃんは、原作と比べて若干幼い感じで書いてます。
ちなみに、真菰ちゃんは鱗滝さんの義妹という設定になったので、鱗滝の名字を貰ってますね。
そして、墓穴を掘る楓君(笑)

追記。
既に、真菰ちゃんとカナエさんは、楓君のお嫁さん(家族)認識です。

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