新年初の投稿です。今回は、賛否あるかもなぁ(ご都合主義有りです)。
「「ただいま帰りました」」
そう言って、楓と炭治郎は小屋の扉を開けると、中からは食欲を擽る匂いが流れてくる。
それを鼻にした炭治郎は喉を「ごく」と鳴らし、楓は「お、揚げ豆腐か」と嬉しそうな表情だ。
「鍛錬終わったんだ。ご飯できてるよ」
「たくさん作ったから、一杯食べてね」
真菰とカナエがそう言うと、炭治郎は「はいッ!」と頷き、表情を固くしてる。まあ確かに、いきなり美女が目に入り、ご飯をどうぞ。と言われたら当然の反応かも知れない。
炭治郎は疑問符を浮かべながら、口を開く。
「楓さんのお知り合いですか?」
「うーん、何て言えばいいんだろう?……友達?家族?恋人?お嫁さん?」
そう言って、真菰は疑問符を浮かべる。
すると、カナエが口を開く。
「
真菰は「そっか。じゃあ、カナエもだね」と言って頷き、カナエも「そうね」と頷いている。
炭治郎は、それを聞いて言葉の処理が追いつかなかった。
「(……友達なのに家族?恋人なのにお嫁さん?どういうこと……?)」
その時、ぽん。と楓が炭治郎の右肩に右掌を乗せる。
「俺たちの関係はちょっと特殊でな、一言で言い表すの難しいんだよ」
炭治郎は「なるほど」と内心で呟き、楓が修行中に言っていた『護りたい笑顔』は、真菰とカナエのことなんだろう。と、炭治郎はそう思った。
ともあれ、鱗滝、禰豆子、炭治郎、楓、カナエ、真菰、と炭鉢を囲むようにして座る。
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「真菰さんは、姉弟子になるんですか。じゃあ、水の呼吸の使い手ですか?」
炭治郎が、お茶碗から箸で掬った豆腐を口に入れ咀嚼し飲み込んでから、そう呟く。
それに対して真菰は、お玉を使って鱗滝のお茶碗に豆腐をよそってから呟く。
「私は水の呼吸を使うよ。炭治郎は私の弟弟子だねっ」
炭治郎は「姉弟子の真菰さんに負けないように頑張ります」と強く頷いて、次いで炭治郎は楓とカナエを見る。
「楓さんとカナエさんも、水の呼吸の使い手ですか?」
楓は、咀嚼していた揚げ豆腐を飲み込んでから口を開く。
「俺は花の呼吸だ。水の呼吸の派生だな」
そう言ってから、楓は揚げ豆腐を箸で掴み口にする。
「私も花の呼吸よ」
カナエは全集中の呼吸が僅かに使用することができるので、僅かな時間だけ花の呼吸の使用が可能だ。
呼吸の話題が出ると、最終選抜の話題になるのは必然だった。
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「藤が狂い咲いている山の中で、七日間生き残る、ですか」
「それが最終選別の合格内容だ。でもその試験では、何人もの受験者が挑戦し、散っていく厳しい試験でもある」
楓は、考え深いように呟く。
きっと、自身の選別時を思い返しているのだろう。
「じゃあ、この場に居る皆さんも?」
「私は何とか生き残れた、ってところかしら」
「私も合格したけど、楓が助けてくれなかったら死んじゃってた。あの時は、本当に楓に感謝だよ」
「俺も何とか生き残れた感じだ」
その時「冗談はダメだよ」と、真菰が指摘し頬を膨らませる。
楓は、困ったように頷くと、口を開く。
「……まあ、俺は
炭治郎は目を丸くした。
「む、無傷で合格ですか?」
「そうだな。でも、修行の二年間は『
「せ、正式な後継者ですか……」
「そ。俺はその人から、
育手が弟子を取り、剣技や呼吸を教え、一人前の剣士として送り出すのが“後継者”だが、“正式な後継者”は育手と弟子が心をさらけ出し、衣・食・住を共にし、修行は二人三脚で行うのだ。
――閑話休題。
楓が「ここまでする“育手”は初めて聞くだろ?」と炭治郎に問いかけると、カナエが楓の左脇腹を突く。
「もう、炭治郎君が頷くのをわかってて問いかけないの」
カナエは言葉を続ける。
「炭治郎君、私が楓の
「じ、じゃあ、『現柱』って言うのは、胡蝶カナエさん?」
「今は引退してるけどね。ちなみに鬼殺隊では、花柱の名を戴いてたわ。――今は私の後継者として、楓が柱の任についているわね」
「ああ。今は、俺が『桜柱』として任についてる」
炭治郎は硬直した。さすがに『
「じゃあ、真菰さんも柱?」
「ううん。私は
そう言って、真菰は苦笑した。
よく考えて見れば、この場には鬼殺隊のほぼ最高位の人たちしか居ない。元柱である、鱗滝左近次、胡蝶カナエ。現柱、栗花落楓。
なので「オレ、場違いじゃないよね」と、炭治郎が思ってしまったの当然なのかも知れない。
「ところでお前たち、今日は蝶屋敷に帰るのか?もう遅いし、泊まっても構わないぞ」
鱗滝が、楓たち問いかけた。
「そうですね。明日は、ここから警備地区に飛びます」
「私も、朝一で出れば問題ないかなぁ」
「私も大丈夫かな。でも、明日は調剤の研究があるから、早めに出る必要はあるけど」
楓、真菰、カナエと呟く。
「(……えっ!?楓さんたちって、一緒に住んでるの!?てか、年頃の男女が一つ屋根の下って、間違えとか起こらないよね!?そ、それに、きょ、今日は真菰さんたちと一緒か。何か緊張するんだけど……)」
炭治郎は、内心で驚きと困惑を隠せない。
ともあれ、こうして鱗滝の小屋に楓たちが一泊することに決まったのだ。
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お風呂をもらい、就寝の支度をして布団を敷くが、六人が眠るには詰める必要があった。
「俺は入り口で寝ようか?よく、警備中に野宿してるし」
楓は風が通らない場所ならば、眠ることは可能だ。
「楓は、私たちの間で眠れば万事解決だよ」
「もう家族のようなものだし、気にしなくていいのに」
キョトン顔の、真菰とカナエ。
「……俺男。真菰とカナエさんは女。どういう意味か解るだろ?」
真菰とカナエは「へ?わかんないよ」と首を傾げる。
いや、楓が言葉を端折り過ぎたのが原因なのかも知れないが。
すると、寝床に就いた鱗滝が、
「――楓たちはもう寝なさい。明日早いんだろう」
寝床に就いた炭治郎と禰豆子も、
「――楓さん、頑張って下さい!」
「ウー」
と言葉を発し、眠りに就いてしまった。
楓が助けを求めようとした鱗滝と炭治郎は、既に夢の中。完全に退路が断たれるのであった。
楓は、はあ。と盛大に溜息を吐き、覚悟を決めたのだった。
「……じゃあ、お邪魔するわ」
覚悟を決めた楓はのろのろと移動し、真菰とカナエの間に挟まれるように仰向けになり、布団をかけるのだった。
「(……落ち着かないんだが)」
楓が目線だけで回りを見渡すと、全員が就寝中だ。しかも、真菰とカナエが左右から抱き付くというオマケ付きである。楓は「……これ、完全に寝不足になるな」と思いながら、長い息を吐き目を閉じたのだった。
カナエさんと真菰ちゃんは、原作と比べて若干幼い感じで書いてます。
ちなみに、真菰ちゃんは鱗滝さんの義妹という設定になったので、鱗滝の名字を貰ってますね。
そして、墓穴を掘る楓君(笑)
追記。
既に、真菰ちゃんとカナエさんは、楓君のお嫁さん(家族)認識です。