ちなみに、炭治郎とカナヲちゃんの最終選別は終えてます。
~三ヶ月後、ある任務~
俺は今、鬼殺隊の隊服に袖を通し腰に日輪刀を下げ、周りの木々を足場に使用し跳び去るように移動している。
それから、俺が不意に呟く。
「真菰が揚げた、揚げ豆腐を食いたい」
「ソコハ、蝶屋敷ノ皆ジャナインダナ」
「まあな。てか、真菰が作る揚げ豆腐が別格すぎたのがいけない。あれは美味すぎる」
「……自慢カ?」
俺の右肩に乗る鴉は呆れ顔である。
「違うわっ!」
俺は声を上げてから、意識を切り返る。
先日、任務に向かった鬼殺隊士
俺が「かなり強い鬼だろうな」と呟くと、鴉が話し出す。
「オレの予想デハ、十二鬼月ガ潜ンデ居ル可能性ガ考エラレル」
俺は「だろうなぁ」と言って、溜息を吐く。
「……今回ノ任務ハ、何時モト異ナル筈だ。気ヲ付ケロヨ、楓」
「……わかってるよ」
「……分カッテルナライイ」
鴉の言葉を聞いてから、俺は速度を上げて任務先に向かうのだった。
――時刻は夕刻を迎える時間帯だ。後数刻も経過すれば、鬼の活動時間である夜に突入する。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~夜~
任務先に到着し、俺の目に入ったのは地獄絵図、と言うに相応しい悲惨な光景であった。
鬼殺隊士の屍が転がり落ちており、その隊士の殆んどが四肢を欠損している。流れた血液も土に馴染み、黒く変色していた。
「……酷いな」
俺は日輪刀を抜き、道中を歩いていく。
――その時、一人の隊士がのろのろと俺に近寄って来る。おそらく、満身創痍になりながらも産屋敷邸に鴉を飛ばした隊士で間違えないだろう。
「……桜……柱、様。救援に、駆け付けて……」
「ああ。お前の鴉のお陰でな」
「……そう、ですか。……よかった」
次の瞬間、ドスッ、と鈍い音が耳に届くと、隊士の口から血を流し前向きに倒れる。背中には、彼が所有していたと思われる日輪刀が刺されている。
「おやおや、まだ生きてたんですねぇ。鬼殺隊士は、ゴキブリのようにしぶといです」
目線の先にいる鬼は、華奢長身で袴の上に羽織を纏っている風貌だ。だが、奴から放つ雰囲気が鋭利な刃を沸騰させた。
そして鬼の腰には、鬼殺隊士の
「……お前、鬼殺隊士を馬鹿にしすぎだ」
俺の視線に気づいたのか、鬼は腰に手をやり、刀の鞘を擦る。
「ああ、これですか。私が鬼殺隊士を殺した時に集める日輪刀ですよ」
鬼は「鬼殺隊士の日輪刀は、色々な色があって面白いですよね」と付け加え言葉を続ける。
そして、鬼が眼球を回転させ刻まれた文字を見せつける。そこに刻まれていたのは――下弦の参。
「――君は柱なんですよね、桜柱は桜色の日輪刀なんでしょうか?」
「……知りたいなら、俺を殺してみろ」
俺は刀を鞘から抜き構え、
――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。
俺は加速して一閃を放つが、それは鬼が手にした二つの日輪刀を交差して受け止め、ガキンッと音が響き刀の鍔去り合いが起こる。
「……予想以上に速いですね、さすが柱と言った所でしょうか」
鬼は「平隊士とは格が違います」と言って笑うが、俺も「お前も予想以上に速いんだよ」と内心で毒付く。――そう。俺は今の一閃で頸を落とすつもりでいたのだ。
「……お前に褒められても嬉しくねぇよ」
俺と奴は刀を弾き距離を取り、剣技を繰り出す。
――血鬼術 千本の刃。
――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。
奴の背後から無数の剣が放たれ、俺が振った刀が無数の桜を成し、刃が衝突した爆風で回りに砂埃が舞う。
――血鬼術 死屍の刃。
――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。
周囲を護るように花の斬撃を放ち、四方から迫ってきていた刃を弾き飛ばすと、鬼に一瞬だけ隙ができる。
――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。
俺は鬼が怯んだ一瞬を狙い、九連撃は、肩、胴、足、腕、手の甲。隙ができる部位を的確に斬り裂く。その勢いで、両手、腰に携える日輪刀を周囲に弾き飛ばそうとしたが、両手に携える日輪刀だけを弾くことができなかった。
――閑話休題。
俺の予想では、鬼の血気術は虚空から剣を放つ類のものだろう。
血気術を発動するには、若干の隙ができてしまうので、自身の身を護る為に意地でも携える日輪刀を手放すことをしなかったのだ。もし、日輪刀が地に落ちれば、“桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃”で頸を刎ねられることが解っているのだ。
「……さすが柱ですね。私の技が通用する気配がない」
鬼が言うのは、最初に繰り出した無数の剣で、鬼殺隊士を初見殺しにしていたらしい。
……でもそうか、あれの初見対応は
「……勝手に言ってろ、悪鬼が」
鬼は直線的な右手に携える日輪刀で突きを放つが、俺は足に踏ん張りを入れ、下から上に捻るような斬撃、“花の呼吸 肆ノ型 紅羽衣”で弾き空を跳び、鬼の左手に携え振りかぶる日輪刀は “花の呼吸 陸ノ型 渦桃”で、空で体を捻りながら弾く。
鬼は目を丸くした、先程の攻防で殺すことができたと確信していたのだろう。――それもそのはずだ、奴の腕は伸び切っていて、間合いが柄空きだ。
俺は着地したと同時に、剣技を繰り出す。
――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。
一閃し、鬼の頸を落とし通り過ぎると、地に、ボタ、という音が鳴る。
俺が納刀し振り向くと、鬼は頸だけの状態になり、体は灰に変えていた所だった。完全に消滅するのは時間の問題だろう。
「……さすが柱です。私は、傷一つも付けることはできませんでした」
「いや、羽織で見えていないだけで、俺の両手首は傷だらけだぞ」
俺は羽織を捲り、両腕を晒す。
「――――お前の剣、見事だった」
鬼は驚愕したように目を丸くする。
あれだけ罵られたのに、俺の言葉が称賛なんて誰が想像できるだろう。
「……そう、ですか。私の剣は、貴方に届きました、か」
「……ああ、届いた。きっとお前が人間の時は、立派な剣士、だったんだろうな。――――でも、人を殺したことは許されることじゃないけどな」
おそらく剣士として活動していた時に、無惨に鬼にされ人間の心の無くし、殺戮だけに力を注ぐ悪鬼に成り下がってしまったのだろう。そして鬼は「……そう、ですね」と言って、穏やかな顔でこの世を去った。
俺はそれを確認してから隠の人たちを呼び、この場をお願いしたのだった。
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任務が終了し、蝶屋敷に帰還している途中で、鴉が俺の右肩に乗る。
「カー!カー!次ハ南南東!南南東!十二鬼月ガ潜ンデ居ル可能性ガ有り!楓、那田蜘蛛山ヘ向カエ!」
「わかった。今の戦況は?」
「隊士ガホボ全滅!癸隊士モ数名入山、入山!」
癸隊士と言ったら、炭治郎とカナヲを思い浮かべる。
もしの話で、炭治郎が背負っている禰豆子が隊士たちの前で露見したら、敵と見なされる、かも知れない。
「鴉さんよ。詳しい道案内は頼んだぞ」
鴉は「了解ダ!了解ダ!」と鳴いた。
てか、現状を見ると十二鬼月の確率が高い。てことは、柱案件になるよなぁ。……色々と無事に済んでくれたらいいんだけど。ともあれ、俺は那田蜘蛛山に急いだのだった。
那田蜘蛛山に行く前にちゃっかり下弦の参を滅している楓君(笑)
ちなみにこの三ヶ月で、カナエさんと真菰ちゃんはお嫁さん設定ですね。式は挙げてませんけど、籍は入れてます。てか、大正に籍っていう概念はあったのだろうか?
ではでは、次回(@^^)/~~~
追記。
隊士を殺した日輪刀は鬼が奪った一本を投擲されまして、日輪刀の色に関しては、夜が濃かった為正確には判りませんでしたね。