――藤襲山。
この山は、鬼殺隊へ入隊を希望する者が訪れる最終試練場所。特徴的なのは、山の麓から中腹にかけて一面に藤の花が咲いていること。しかも、藤の花は一年中咲き続けてるので、鬼にとっては牢獄だろう。
「皆さま。今宵は最終選別にお集まり下さり、ありがとうございます」
最終選別は、藤の花の柄の着物を着た、白髪の少女の説明から始まる。
そして、同じ柄の着物を着た、白髪の少女と瓜二つの黒髪の少女が口を開く。
「この藤襲山には、鬼殺の剣士様が生け捕りにした鬼が閉じ込められており、外に出ることは叶いません」
説明を聞きながら回りを見渡した所、参加者は約二十名。……てか、既に帰りたくなった俺氏。
ともあれ、説明は続く。
「山の麓から中腹にかけて、鬼が嫌う藤の花が一年中狂い咲いているからでございます。しかし、これから先は、藤の花が咲いておりませんので鬼共がおります」
そして、白髪の少女は言った。
「山の中で七日間生き抜く。――それが、最終選別の合格条件でございます」
少女たちは頭を下げ、
「――では、行ってらしゃいませ」
それを聞いてから、俺は鳥居を潜り山の中に入る。――これから、最終選別が開始される。
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山の中を散策するようにゆっくり歩く。周囲に人が居ない為、置いて行かれた気分になる。
今思った、団体行動を取った方が生存率上がるんじゃね、と。でも、それが裏目に出たら申し訳ない気持ちになるが。
「腹減ったし、飯を食うか」
そう呟き、俺は肩から下げた風呂敷の中の小箱から非情食を取り出し、口に運び咀嚼し、水を口にする。この非常食は『食材を探すのは大変だから、一週間分ね』と言って、カナエさんが用意してくれたものだ。てか、この状況を先読みするなんて、さすが
ともあれ、風呂敷を肩に縛って先に進む。
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「
そう言って、前方の茂みから鬼が顔を出す。鬼は飢餓状態なのか、考えも無しに突撃して来る。
俺は刀の鞘に手を添え、
――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。
一閃し、鬼の後方まで移動し納刀すると、その鬼の頸が宙を舞った。振り返ると、鬼は体を崩し、霧状になってこの世を去った。
“呼吸”を始めて実戦で使用したが、鍛錬時のように使用できている。体も強張ってないし、上々といった所だ。
「つか、鬼弱くね」
そう呟く俺。
『柱』と二年間鍛錬していたので、その辺り物差しが曖昧なのかも知れないけど。
「まあいいや。鬼を狩りますか」
でも、出会った鬼だけだ。山に生息する鬼全ては、刀の強度と自身の
「(……あ、寝床どうしよう)」
そう思ったのは、鬼を狩り暫し時間が経過した頃だった。
ホームシックになる楓君。てか、最終選別余裕で合格しそう。
ちなみに楓君の寝床は、安全を確認した洞窟ですね。
ではでは、次回(@^^)/~~~
追記。
乱舞一閃は、霹靂一閃のイメージです。