鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

5 / 69
最終選別

 ――藤襲山。

 この山は、鬼殺隊へ入隊を希望する者が訪れる最終試練場所。特徴的なのは、山の麓から中腹にかけて一面に藤の花が咲いていること。しかも、藤の花は一年中咲き続けてるので、鬼にとっては牢獄だろう。

 

「皆さま。今宵は最終選別にお集まり下さり、ありがとうございます」

 

 最終選別は、藤の花の柄の着物を着た、白髪の少女の説明から始まる。

 そして、同じ柄の着物を着た、白髪の少女と瓜二つの黒髪の少女が口を開く。

 

「この藤襲山には、鬼殺の剣士様が生け捕りにした鬼が閉じ込められており、外に出ることは叶いません」

 

 説明を聞きながら回りを見渡した所、参加者は約二十名。……てか、既に帰りたくなった俺氏。

 ともあれ、説明は続く。

 

「山の麓から中腹にかけて、鬼が嫌う藤の花が一年中狂い咲いているからでございます。しかし、これから先は、藤の花が咲いておりませんので鬼共がおります」

 

 そして、白髪の少女は言った。

 

「山の中で七日間生き抜く。――それが、最終選別の合格条件でございます」

 

 少女たちは頭を下げ、

 

「――では、行ってらしゃいませ」

 

 それを聞いてから、俺は鳥居を潜り山の中に入る。――これから、最終選別が開始される。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 山の中を散策するようにゆっくり歩く。周囲に人が居ない為、置いて行かれた気分になる。

 今思った、団体行動を取った方が生存率上がるんじゃね、と。でも、それが裏目に出たら申し訳ない気持ちになるが。

 

「腹減ったし、飯を食うか」

 

 そう呟き、俺は肩から下げた風呂敷の中の小箱から非情食を取り出し、口に運び咀嚼し、水を口にする。この非常食は『食材を探すのは大変だから、一週間分ね』と言って、カナエさんが用意してくれたものだ。てか、この状況を先読みするなんて、さすがカナエさん(師匠)

 ともあれ、風呂敷を肩に縛って先に進む。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

子供(血肉)が来やがった!」

 

 そう言って、前方の茂みから鬼が顔を出す。鬼は飢餓状態なのか、考えも無しに突撃して来る。

 俺は刀の鞘に手を添え、

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃。

 

 一閃し、鬼の後方まで移動し納刀すると、その鬼の頸が宙を舞った。振り返ると、鬼は体を崩し、霧状になってこの世を去った。

 “呼吸”を始めて実戦で使用したが、鍛錬時のように使用できている。体も強張ってないし、上々といった所だ。

 

「つか、鬼弱くね」

 

 そう呟く俺。

 『柱』と二年間鍛錬していたので、その辺り物差しが曖昧なのかも知れないけど。

 

「まあいいや。鬼を狩りますか」

 

 でも、出会った鬼だけだ。山に生息する鬼全ては、刀の強度と自身の体力(精神力)が心配になる。その辺も考慮して戦う、ということも選別に含まれているのだろう。ということなので、俺は「よし」と言ってから歩き出す。

 

「(……あ、寝床どうしよう)」

 

 そう思ったのは、鬼を狩り暫し時間が経過した頃だった。




ホームシックになる楓君。てか、最終選別余裕で合格しそう。
ちなみに楓君の寝床は、安全を確認した洞窟ですね。

ではでは、次回(@^^)/~~~

追記。
乱舞一閃は、霹靂一閃のイメージです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。